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中国人的資源社会保障部の張小建副部長は、2009年6月23日の会議において中国の現在の雇用状況が下記3点において特に厳しい状況にあると報告した。
雇用は国民の死活問題である。雇用は国民生活を改善する上で基盤となり、欠くことのできない基本的な出発点である。およそ13億人という世界最多の人口を擁する中国において、雇用問題の解決は困難で苦労の多い任務であるが、同時に、緊急を要する任務でもある。
| 年度 | 総人口 | 労働者数 | 就業者数 | 都市部登録失業者数 | 失業率 |
| 2005 | 1,307.56 | 778.77 | 758.25 | 8.39 | 4.2% |
| 2006 | 1,314.48 | 782.44 | 764.00 | 8.47 | 4.1% |
| 2007 | 1,321.29 | 786.45 | 769.90 | 8.30 | 4.0% |
| 年度 | 都市部就業者数 | 農村部就業者数 |
| 2005 | 273.31 | 484.94 |
| 2006 | 283.10 | 480.90 |
| 2007 | 293.50 | 476.40 |
世界金融危機の影響で、中国の労働需要はここ数年大きな落ち込みを見せた。中国実体経済の顕著な後退が、就職率の低下と失業率の上昇をもたらした。国家統計局よると、失業率は2007年の4.0%から2008年の4.2%へ上昇した。ちなみに、中国における失業率の計算方式は国際標準とは異なり、表2‐1にある失業者数は都市部での登録失業者数のみを示すもので、農村地域あるいは都市部での未登録失業者は含まない。したがって、実際の調査を通じて得られた失業率のほうが、より現状に近い結果が得られる。中国社会科学院が都市部住民7,139人に実施した調査では、経済活動を行っているとする2,288人の中にも、国際定義では「失業者」の定義に該当する者が215人含まれていた。したがって、この結果から都市部の概算失業率は、実際には9.4%に達することが分かる。
人的資源社会保障部が全国103都市で集めた労働市場関連情報によれば、有効求人倍率は2007年の0.98倍から2008年第4四半期の0.85倍へと急減し、2003年以来最低の状況であった。2008年11月、中国政府は4兆元 ※1の景気刺激策を打ち出し、今後の2年間に内需拡大、雇用拡大と“安定した比較的速い”経済成長を目標とすることを決めた。具体的には、政府は2009年度の国家予算から昨年比66.7%増の420億元を割り当てて雇用拡大に努めるものである。これら施策により、中国の労働市場は良い変化が現れ始め、有効求人倍率も2009年第1四半期には0.86倍に改善した。とはいえ、依然厳しい過剰労働力と構造的な問題と対峙している。
第一次産業の雇用数は年々減少傾向にある一方で、第二次産業及び第三次産業の雇用は着実に増加している。人的資源社会保障部が、2009年第1四半期に全国103都市で調査しまとめた労働市場に関わる情報によれば、都市部での部門別求人状況は表2‐4のとおりである。
| 年度 | 合計 | 第一次産業 | 第二次産業 | 第三次産業 |
| 2005 | 758.25 | 339.70 | 180.84 | 237.71 |
| 2006 | 764.00 | 325.61 | 192.25 | 246.14 |
| 2007 | 769.90 | 314.44 | 206.29 | 249.17 |
| 2008 | 774.80 | 306.54 | 211.09 | 257.17 |
| 産 業 | 求人数(人) | 比率(%) | 前期比(%) | 前年同期比(%) |
| 農業、林業、畜産、漁業 | 114,090 | 2.4 | -1.0 | +0.4 |
| 鉱業・採石業 | 36,702 | 0.8 | -0.6 | -0.2 |
| 製造業 | 1,529,445 | 31.9 | +5.7 | -0.6 |
| 電気、ガス、水道業 | 66,778 | 1.4 | -0.3 | - |
| 建設業 | 208,607 | 4.4 | -0.8 | -0.2 |
| 運輸、倉庫、通信業 | 110,240 | 2.3 | -0.2 | -0.1 |
| コンピュータサービス、ソフトウェア | 131,041 | 2.7 | -0.1 | -0.3 |
| 卸売・小売業 | 824,189 | 17.2 | +0.6 | +1.8 |
| ホテル、飲食業 | 616,931 | 12.9 | -0.3 | +0.6 |
| 金融仲介業 | 86,433 | 1.8 | +0.1 | +0.1 |
| 不動産業 | 98,490 | 2.1 | -0.6 | - |
| 賃貸、ビジネスサービス | 293,610 | 6.1 | -0.4 | -0.2 |
| 科学研究、地質調査 | 32,189 | 0.7 | -0.2 | - |
| 水利資源保護、環境管理 | 38,794 | 0.8 | +0.1 | -0.1 |
| 人事、その他サービス | 433,110 | 9.0 | -1.2 | -0.9 |
| 教育 | 37,045 | 0.8 | -0.3 | -0.1 |
| 社会衛生、社会保障 | 41,130 | 0.9 | -0.3 | +0.1 |
| 文化、スポーツ、娯楽 | 71,193 | 1.5 | +0.1 | -0.2 |
| 行政、社会組織 | 21,517 | 0.4 | -0.3 | -0.1 |
| 国際組織 | 795 | 0.0 | - | - |
| 合 計 | 4,792,329 | 100 | - | - |
農村部では中学卒業後、高校や専科大学、総合大学に進む機会がない限り、ほとんどの学生が就職する。一方、都市部の学生は、中学卒業後3つの選択肢がある。高校に進学できない学生は、2年間の職業訓練を受け、就職のための基礎的な技術を身につけることができる。ほかの学生は高校や職業学校に進み、一部の学生は入学試験に合格すれば更に専科大学や総合大学で学ぶことができる。しかし実際には、競争率が高いことから、ほとんどの学生が労働市場に参入している。1999年以降、大学進学者数が増え続けていることもあり、大学卒業者数も表2‐5に見られるようにかなりの勢いで増え続けている。
| 年度 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 |
| 新入生数 | 504 | 546 | 565 | 600 |
| 卒業生数 | 307 | 377 | 448 | 559 |
世界金融危機の影響で、2009年の卒業生は低就職率という深刻な問題に直面している。2009年6月4日現在、就職の内定した卒業生は45%に過ぎず、これは前年より3%低い。就職できた卒業生は275万人と昨年と変わらない水準にある。2009年6月3日の人的資源社会保障部の発表によれば、政府は既に大学卒業生の雇用に関する施策を策定している。国務院文件の要旨によると、全国の27省が、各地の状況を踏まえて、以下のような大学卒業生の雇用拡大に関する詳細施策を公表している。
表2‐6を見ると分かるように、失業の最も重要な理由は雇用者側の理由による離職で30.8%となっている。さらに40~59歳では離職者の50%以上が、雇用者側の理由に基づく離職である。雇用者側の理由による失業は主として経済構造調整や合理化再編によるものであり、そうした失業者の雇用促進には近年多くの対策や優遇策が講じられてきた。さらに特筆すべきは、卒業後未就職の割合が21.4%に達している点である。特に16~24歳の若年層に多く見られる。この実情は、若年者の雇用が厳しい状況にあることを示すと同時に、多くの若者は技能が欠けているか、あるいは激務を嫌う傾向にあることを反映している。なお、家事都合による離職は13.8%にすぎないが、女性の占める割合がほぼ2倍で25.7%を占めている。
| 年齢 | 合計 | 退職 | 家事都合 | 卒業後未就職 |
| 100.0 | 1.5 | 13.8 | 21.6 | |
| 16~19歳 | 100.0 | - | 1.4 | 76.7 |
| 20~24歳 | 100.0 | - | 8.2 | 58.8 |
| 25~29歳 | 100.0 | - | 19.0 | 23.6 |
| 30~34歳 | 100.0 | - | 24.8 | 3.9 |
| 35~39歳 | 100.0 | - | 17.6 | 2.0 |
| 40~44歳 | 100.0 | 0.1 | 13.9 | 0.8 |
| 45~49歳 | 100.0 | 2.3 | 10.2 | 0.1 |
| 50~54歳 | 100.0 | 11.7 | 8.0 | 0.2 |
| 55~59歳 | 100.0 | 16.0 | 9.4 | 0.5 |
| 60~64歳 | 100.0 | 46.4 | 14.3 | 3.6 |
| 65歳以上 | 100.0 | 13.0 | 26.1 | 4.3 |
| 年齢 | 雇用者側理由 | 個人的理由 | 土地収用 | その他 |
| 30.8 | 18.9 | 1.5 | 11.9 | |
| 16~19歳 | 1.4 | 12.8 | 0.5 | 7.3 |
| 20~24歳 | 4.3 | 17.7 | 0.5 | 10.4 |
| 25~29歳 | 11.4 | 28.1 | 1.0 | 16.8 |
| 30~34歳 | 29.9 | 24.4 | 3.0 | 14.1 |
| 35~39歳 | 46.0 | 18.8 | 2.3 | 13.2 |
| 40~44歳 | 56.4 | 17.1 | 2.0 | 9.7 |
| 45~49歳 | 64.2 | 12.0 | 1.7 | 9.6 |
| 50~54歳 | 55.1 | 13.0 | 0.9 | 11.1 |
| 55~59歳 | 51.6 | 12.7 | 0.9 | 8.9 |
| 60~64歳 | 14.3 | 7.1 | 3.6 | 10.7 |
| 65歳以上 | 13.0 | 13.0 | 8.7 | 21.7 |
職業学校及び技術学校の卒業者が技能労働者の主要供給源である。専科大学や総合大学への進学者数増加により、職業学校の学生数は1990代末以降著しく減少した。前述したように、近年労働市場で大学卒業生の就職難が強まる一方で、職業学校卒業生は不足している。労働市場の強い需要に刺激されて、職業技術学校への進学が近年増加傾向にある。
| 年度 | 1990 | 1995 | 2000 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 |
| 新入生数 | 50 | 75 | 50 | 110 | 118 | 135 | 159 |
| 年度 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 |
| 新入生数 | 566 | 475 | 613 | 652 |
職種別技能労働者数を示す正式な統計は発表されていないため、ここでは全国の職業資格を有する技能労働者数を参考に示す。中国では、1993年に職業技能試験制度が制定された。資格証明取得者数は年々著しい増加が見られる。2007年の志願者数は1,220万人で、10年前のおよそ4倍である(1997年志願者数約314万人)。また、資格証明取得者は2007年に996万人で、10年前のおよそ4倍である(1997年は約279万人)。
| 合計 | 初級 | 中級 | 上級 | 技能者 | 上級技能者 | |
| 受験者数 | 12,231,413 | 4,389,064 | 5,422,375 | 1,907,654 | 442,715 | 69,605 |
| 資格取得者数 | 9,956,079 | 3,687,419 | 4,518,674 | 1,429,235 | 274,176 | 46,575 |
近年、職業訓練が急速に発展した重要な理由の一つは、中央と地方政府による投資の増加である。2005年、国務院主催の全国職業教育工作会議において中国職業教育の新段階がスタートして以来、職業訓練基金は大幅に増額された。さらに、中央政府は第11次5カ年計画期間中の2006~2010年にかけて、貧困家庭の学生400万人を支援し、職業教育が受けられるよう資金援助を行う予定である。既に大きな進展を見ているものの、中国は依然として技能者不足、取り分けハイレベルの技能者が不足するという難題に直面している。もう一つの重要な理由は、より多くの企業が大学卒業生よりも低賃金で、特別な事前職場研修もせず、すぐに現場に入れる職業学校卒業生の採用を好むことである。
世界中で経済危機と人員削減の混乱が続く中で、中国では、賃金削減が日に日に重大な問題になっている。2008年の全国1人当たり賃金は29,229元で、1日当たり平均賃金は111.99元であった。それは前年比17.2%増と伸び率で1.5%低下し、物価上昇分を差し引いた実質伸び率は11.0%である。労働者の平均賃金は、国有企業31,005元、都市部集団所有企業18,338元、その他28,387元である。2008年に国務院は、義務教育学校の成果報酬賃金に関する指導意見を公表し、公的機関の賃金体系改革を更に進め、手当や補助金の標準化を継続するよう勧告した。349億元に上る賃金支払遅延等国有企業の歴史的な賃金不払問題を解決しようと多くの施策が講じられてきた。全国28の省で賃金に関するガイドラインを公表し、20の省で最低賃金基準が見直された。
中国の最低賃金制度は1993年に制定され、1994年に公布された企業最低賃金条例及び賃金支払暫定規定とともに実施されている。2004年に人的資源社会保障部が公布した最低賃金規定によると、最低賃金は、労働者が法定就業時間内もしくは労働契約で規定された時間内に通常の労働を提供する条件で、雇用主が労働者に対して合法的に支払う最も低い賃金となっている。
金融危機の影響で、2008年11月17日、人的資源社会保障部は、現下の経済情勢並びに企業の実状を鑑みて、企業の最低賃金基準の調整を見合わせると発表した。最低賃金基準には、月額と時給の2種類の基準が規定されている。中央政府は最低賃金制度の実施について監督責任を負い、省、自治区あるいは中央直轄市の各地方政府は、法律で定められた規則に基づき、異なる最低賃金基準の中から地域の状況に応じた最低賃金の採用が認められている。2007年末における中国の月額最低賃金は表2‐10のとおりである。
| 省 | 実施日 | 月額最低賃金基準 | |||||||
| 北京市 | 2007年7月1日 | 730 | |||||||
| 天津市 | 2007年4月1日 | 740 | |||||||
| 河北 | 2006年10月1日 | 580 | 540 | 480 | 440 | ||||
| 山西 | 2007年10月1日 | 610 | 570 | 530 | 490 | ||||
| 黒竜江 | 2006年5月1日 | 620 | 590 | 475 | 450 | 420 | 400 | 380 | |
| 吉林 | 2007年7月1日 | 650 | 600 | 550 | |||||
| 遼寧 | 2007年12月1日 | 700 | 480 | 420 | |||||
| 内蒙古 | 2006年10月1日 | 560 | 520 | 460 | 400 | ||||
| 上海市 | 2007年9月1日 | 840 | |||||||
| 安徽 | 2006年10月1日 | 520 | 500 | 460 | 430 | 390 | 360 | ||
| 江蘇 | 2007年10月1日 | 850 | 700 | 590 | |||||
| 山東 | 2006年10月1日 | 610 | 540 | 480 | 430 | 390 | |||
| 福建 | 2007年8月1日 | 750 | 700 | 650 | 570 | 480 | |||
| 河南 | 2007年10月1日 | 650 | 550 | 450 | |||||
| 浙江 | 2007年9月1日 | 850 | 750 | 700 | 620 | ||||
| 江西 | 2006年12月1日 | 510 | 480 | 450 | 420 | 390 | |||
| 湖北 | 2007年3月1日 | 580 | 500 | 460 | 420 | 380 | |||
| 甘粛 | 2006年9月1日 | 430 | 400 | 360 | 320 | ||||
| 広東 | 2006年9月1日 | 780 | 690 | 600 | 500 | 450 | |||
| 湖南 | 2007年7月1日 | 635 | 530 | 500 | 480 | 460 | 440 | ||
| 広西 | 2007年11月1日 | 580 | 500 | 450 | 400 | ||||
| 海南 | 2006年7月1日 | 580 | 480 | 430 | |||||
| 四川 | 2006年9月1日 | 580 | 510 | 450 | 400 | ||||
| 重慶市 | 2006年9月1日 | 580 | 480 | 440 | |||||
| 貴州 | 2007年11月1日 | 650 | 600 | 550 | |||||
| 雲南 | 2006年7月1日 | 540 | 480 | 420 | |||||
| 陝西 | 2006年10月1日 | 540 | 500 | 460 | 420 | ||||
| 西蔵 | 2004年11月1日 | 495 | 470 | 445 | |||||
| 寧夏 | 2006年3月1日 | 450 | 420 | 380 | |||||
| 青海 | 2006年7月1日 | 460 | 450 | 440 | |||||
| 新疆 | 2006年5月1日 | 670 | 620 | 580 | 550 | 520 | 500 | 480 | 460 |
| 深圳市 | 2007年10月1日 | 850 | 750 | ||||||
| 大連市 | 2006年8月1日 | 650 | 600 | 500 | |||||
2007年末までに多くの省において、消費者物価指数の変動やその他の理由で最低賃金基準が著しく上昇し、2008年には一部の省で再調整がなされた。例えば、北京の最低賃金基準は2008年7月1日付で月額730元から800元へ、時給4.36元から4.6元に上昇した。上海の最低賃金基準は2008年4月1日付で、月額840元から960元へ、時給7.5元から8.0元へと増額された。2007年末以降、消費者物価指数が上昇し、低所得者層への影響が大きかったことに配慮して、全国でもかつてないほどの目立った最低賃金基準の引き上げが見られた。例えば、河北省の最低賃金基準は、2008年2月1日に最初の調整が行われ、その5カ月後には月額最低賃金基準は680元から750元へと、1年間に2度にわたって引き上げられた。
北京青年報によると、最近いくつかの大手鉄鋼企業では人件費削減が進行している。ある鉄鋼メーカーでは労働者の20%、部長以上の管理者の50%を解雇する予定である。人員削減以外に、一部大手企業では減給に着手している。収入減少の危機は従業員一人一人にも迫りつつあるように見える。2009年の賃金の傾向は、基本賃金上昇率の低下である。2001年以降、中国の賃金の伸びは年率8%を維持し、2008年前半には12.2%にまで上昇した。先頭を行くファンド業界では20.6%上昇し、次いで銀行業14.2%、保険業11.4%と続いた。しかし2008年の9月は、2009年も9%以上の上昇を予測していたすべての企業にとって、賃金予算の分岐点になったと思われる。今回の世界不況の波じわじわと押し寄せてくる中で、国の半数以上の企業が経済環境の悪化とコスト削減の懸念から、2009年の賃金予算を削減した。
2008年11月以降、有名な国際人材コンサルテイング会社の多くが、中国の大・中規模企業における「緊急時の賃金」について調査を行った。その結論は、2008年に12%であった賃金伸び率が2009年には3.5%~4%低下して、平均伸び率は8%と緩やかになるというものである。また、受けた影響の度合いも産業ごとに異なり、コンサルテイング会社のワトソンワイアットの調査によれば、影響が最も大きかったのは不動産業で、2008年前半の伸び率10%強から2009年の5.9%へ、製造業では12.5%から10.7%へ、金融業は8.8%から7.5%へ、そしてハイテク産業と消費財業界は影響が最も小さくそれぞれ9.7%から8.3%、10.2%から9.4%への減少であった。
結論から見ると、予測値は若干低めに調整されたものの基本的には依然高水準にある。各種業界の在職労働者の平均賃金は、2007年と比べてすべて上昇し、その上昇幅は2,000元以上であった。平均賃金の上位3業界は、証券業界の172,123元で全国平均の5.9倍、次いで金融業の87,670元は全国平均の3.0倍、航空業界の75,769元は全国平均の2.6倍であった。一方、下位の業界は、木材加工業及び竹・籐・麦わら製品業界で、賃金15,663元は全国平均賃金の53.6%、全国平均の55.5%である繊維業界の賃金16,222元をわずかに下回った。次いで農業及び副業の食品加工業で、賃金17,559元は全国平均賃金の60.1%である。最高賃金と最低賃金の比率は11:1であった。繊維産業と衣類・靴・帽子製造業は、金融危機の影響が甚大で、平均賃金はそれぞれ16,222元と18,572元で、伸び率はそれぞれ17.0%と11.1%であった。
研究及び政府機関の賃金に関する報告では、2008年の平均賃金が最も高かったのは政府機関で、その賃金33,869元は全国平均の1.16倍であった。次いで高いのは研究機関で、賃金29,758元は全国平均の1.02倍であった。企業の賃金は最も低く、28,359元は全国平均の97.0%であった。長年にわたって、研究機関と政府機関の賃金が全国平均を幾分上回り、企業の賃金が幾分下回るという状況は変わっていない。
都市部の運営種類別の賃金平均は、有限責任企業の35,324元が最も高く、全国平均の1.21倍である。次に高いのは外国投資企業で32,653元、全国平均の1.12倍である。第3位は国有企業で、31,005元は全国平均の1.06倍である。他方、最も低いのは集団所有企業の賃金で、18,338元は全国平均の62.7%にすぎない。
| 産業分類 | 2005年 | 2006年 | 2007年 |
| 農業、林業、畜産、漁業 | 8,309 | 9,430 | 11,086 |
| 鉱業・採石業 | 20,626 | 24,335 | 28,377 |
| 製造業 | 15,757 | 17,966 | 20,884 |
| 電気、ガス、水道業 | 25,073 | 28,765 | 33,809 |
| 建設業 | 14,338 | 16,406 | 18,758 |
| 運輸、倉庫、通信業 | 21,352 | 24,623 | 28,434 |
| コンピュータサービス、ソフトウェア | 40,588 | 44,763 | 49,225 |
| 卸売・小売業 | 15,241 | 17,736 | 20,888 |
| ホテル、飲食業 | 13,857 | 15,206 | 17,041 |
| 金融、保険業 | 32,228 | 39,280 | 49,435 |
| 不動産 | 20,581 | 22,578 | 26,425 |
| 賃貸、その他サービス | 20,992 | 23,648 | 26,965 |
| 科学研究、地質探査 | 27,434 | 31,909 | 38,879 |
| 水資源保護、環境管理 | 14,753 | 16,140 | 19,064 |
| 人事、その他サービス | 16,642 | 18,953 | 21,550 |
| 教育 | 18,470 | 21,134 | 26,162 |
| 公衆衛生、社会保障 | 21,048 | 23,898 | 28,258 |
| 文化、スポーツ、娯楽 | 22,885 | 26,126 | 30,662 |
| 行政、社会組織 | 20,505 | 22,883 | 28,171 |
表2‐11から分かることは、電気・ガス・水道、コンピュータサービス及びソフトウェア、金融仲介、科学研究・地質探査等々の一部業界に高給職種が見られることである。特に、金融・保険業界は2007年の全職種の中で最高額であったことから、財務部は世界金融危機が進んだ2009年4月7日に声明を出し、国有金融機関の2008年度幹部給与は2007年度給与の90%以下とした。また財務部は、支給額とは税前給与を意味し、基本給、成果報酬、社会保険及びすべての福利厚生費を含むものであると言明した。措置は社会所得配分をより均衡させるものではあったが、財務部は給与額の個人レベルで計算するものか、幹部レベル全体で計算するものかは明確にしなかった。同時に、2008年に業績を下げた国有金融機関については、幹部給与を10%減額し、下げ幅の大きい金融機関に対しては減額率も拡大すると発表した。
中国では、役職別給与体系に関しては、1999年に制定されたガイドラインがある。このガイドラインに沿って多くの都市がそれぞれ異なる賃金基準を設定する。毎年、地方政府は分析結果に基づき6月末までに公表し、企業が合理的な給与水準を設定できるようにしている。表2‐12は2008年度の北京市における部長職の給与水準ガイドラインで、19種類の役職の給与状況を示している。
| 職位 | 下級 | 中級 | 高級 | 平均 |
| 財務部門総監(総会計師) | 34,238 | 92,981 | 351,978 | 236,084 |
| マーケティング部門総監 | 33,146 | 94,853 | 297,109 | 182,033 |
| 人事部門総監 | 47,295 | 87,876 | 219,898 | 149,458 |
| 販売部門総監 | 36,642 | 104,293 | 363,046 | 238,182 |
| 建設技術プロジェクト部長 | 27,527 | 73,295 | 168,881 | 103,164 |
| 物流部長 | 32,739 | 105,083 | 204,607 | 135,983 |
| 総工程師 | 34,409 | 79,153 | 281,153 | 172,689 |
| 総経理助理 | 28,396 | 78,844 | 290,552 | 176,854 |
| 製造あるいは営業部長 | 28,059 | 73,227 | 258,655 | 143,822 |
| 財務部長 | 27,750 | 79,189 | 301,075 | 238,912 |
| 総務部長 | 31,394 | 69,571 | 191,929 | 115,335 |
| 人事部長 | 28,111 | 69,026 | 218,197 | 126,390 |
| 販売・マーケティング部長 | 23,036 | 60,524 | 239,924 | 133,270 |
| 広告・広報部長 | 27,950 | 59,088 | 207,350 | 173,840 |
| 購買部長 | 26,146 | 88,028 | 228,703 | 139,850 |
| 調査・開発部長 | 36,228 | 84,807 | 257,866 | 146,632 |
| ネットワーク・ソフト企画部長 | 53,424 | 119,758 | 253,690 | 161,934 |
| 技術部長 | 26,042 | 55,105 | 176,149 | 106,868 |
| 事務室スタッフ | 23,944 | 55,684 | 181,491 | 110,901 |
| 職位 | 賃レベル | 全体 | 初級 労働者 |
中級 労働者 |
高級 労働者 |
技術者 | 高級 技術者 |
| 店舗 スタッフ |
初級 | 10,934 | 11,096 | 13,425 | 16,862 | 21,373 | 22,400 |
| 中級 | 25,149 | 22,996 | 24,386 | 26,096 | 50,009 | 59,861 | |
| 高級 | 68,083 | 61,115 | 67,788 | 76,518 | 81,226 | 94,531 | |
| 平均 | 38,047 | 34,885 | 44,071 | 45,834 | 71,072 | 77,331 | |
| 会計係 | 初級 | 12,291 | 11,969 | 14,797 | 16,310 | 25,857 | 38,998 |
| 中級 | 23,830 | 24,742 | 27,190 | 28,080 | 39,659 | 44,167 | |
| 高級 | 54,632 | 45,158 | 56,646 | 57,311 | 58,951 | 59,741 | |
| 平均 | 32,458 | 29,534 | 34,023 | 36,461 | 39,281 | 45,768 | |
| 営業 | 初級 | 13,659 | 17,247 | 18,400 | 21,240 | 22,967 | 37,132 |
| 中級 | 35,226 | 43,373 | 46,741 | 47,941 | 49,276 | 79,016 | |
| 高級 | 132,830 | 122,188 | 148,550 | 149,041 | 150,521 | 152,009 | |
| 平均 | 70,163 | 68,664 | 80,956 | 83,191 | 89,032 | 95,032 | |
| 仕入れ・ 購買 |
初級 | 15,074 | 17,970 | 20,256 | 23,931 | 26,571 | 27,237 |
| 中級 | 35,363 | 34,751 | 37,986 | 40,516 | 49,826 | 51,849 | |
| 高級 | 113,112 | 62,028 | 74,437 | 79,971 | 84,364 | 86,300 | |
| 平均 | 61,620 | 41,682 | 49,713 | 52,987 | 53,219 | 54,462 | |
| 倉庫管理 | 初級 | 11,673 | 9,480 | 14,414 | 15,916 | 24,800 | 26,054 |
| 中級 | 25,085 | 25,339 | 25,383 | 31,527 | 31,980 | 35,595 | |
| 高級 | 66,751 | 43,653 | 45,613 | 48,877 | 49,001 | 59,241 | |
| 平均 | 37,833 | 39,793 | 40,127 | 40,887 | 44,597 | 45,297 | |
| 中国料理人 | 初級 | 13,705 | 13,093 | 13,731 | 17,841 | 18,188 | 22,684 |
| 中級 | 31,903 | 24,380 | 30,040 | 34,480 | 44,500 | 48,292 | |
| 高級 | 84,619 | 45,995 | 58,262 | 65,891 | 73,348 | 157,505 | |
| 平均 | 47,368 | 28,975 | 35,358 | 40,804 | 44,112 | 87,772 | |
| 西洋料理人 | 初級 | 22,909 | ‐ | 22,820 | 24,104 | 32,858 | 35,180 |
| 中級 | 31,680 | ‐ | 27,150 | 28,861 | 33,779 | 37,065 | |
| 高級 | 41,547 | ‐ | 32,560 | 36,423 | 36,596 | 47,232 | |
| 平均 | 32,861 | ‐ | 29,420 | 31,056 | 34,253 | 36,492 | |
| ウエイター/ウエイトレス | 初級 | 10,654 | 10,993 | 11,862 | 13,008 | 21,176 | 25,529 |
| 中級 | 27,825 | 26,400 | 27,959 | 33,035 | 44,804 | 46,736 | |
| 高級 | 54,561 | 53,139 | 58,957 | 59,467 | 62,275 | 63,965 | |
| 平均 | 31,496 | 30,204 | 31,643 | 32,390 | 41,931 | 42,203 | |
| 資産・用度係 | 初級 | 11,621 | 12,727 | 16,279 | 16,400 | 34,660 | ‐ |
| 中級 | 28,355 | 20,811 | 20,882 | 34,691 | 37,800 | ‐ | |
| 高級 | 67,753 | 38,975 | 43,450 | 44,660 | 45,096 | ‐ | |
| 平均 | 38,450 | 30,060 | 30,248 | 31,894 | 39,185 | ‐ | |
| ボイラーマン | 初級 | 12,310 | 11,590 | 14,426 | 17,996 | 22,116 | ‐ |
| 中級 | 24,468 | 23,524 | 26,399 | 29,231 | 52,834 | ‐ | |
| 高級 | 46,196 | 46,639 | 49,289 | 53,514 | 58,437 | ‐ | |
| 平均 | 28,470 | 28,907 | 29,816 | 35,195 | 44,462 | 59,141 | |
| 旋盤工 | 初級 | 13,969 | 15,495 | 16,134 | 17,113 | 21,216 | 71,491 |
| 中級 | 29,335 | 27,976 | 28,070 | 32,071 | 32,802 | 77,185 | |
| 高級 | 69,333 | 56,917 | 62,641 | 63,324 | 64,634 | 81,412 | |
| 平均 | 40,420 | 35,962 | 39,083 | 39,831 | 43,087 | 76,818 | |
| 鋳造工 | 初級 | 12,679 | 21,140 | 22,122 | 25,280 | ‐ | ‐ |
| 中級 | 30,098 | 30,474 | 31,994 | 44,120 | ‐ | ‐ | |
| 高級 | 82,104 | 45,584 | 46,746 | 50,059 | ‐ | ‐ | |
| 平均 | 46,481 | 32,640 | 33,214 | 39,820 | 40,098 | ‐ | |
| 自動車修理工 | 初級 | 15,472 | 18,027 | 19,337 | 20,732 | 29,369 | 33,060 |
| 中級 | 36,626 | 35,143 | 39,000 | 40,010 | 51,601 | 75,093 | |
| 高級 | 78,309 | 81,045 | 81,181 | 85,512 | 86,085 | 89,372 | |
| 平均 | 45,312 | 42,493 | 43,290 | 52,093 | 54,738 | 65,842 | |
| 保守電気技師 | 初級 | 12,067 | 12,186 | 14,978 | 17,137 | 20,508 | 24,115 |
| 中級 | 26,525 | 24,469 | 28,110 | 32,194 | 35,537 | 38,941 | |
| 高級 | 63,629 | 53,115 | 73,132 | 76,573 | 82,109 | 80,326 | |
| 平均 | 36,532 | 31,918 | 32,768 | 36,113 | 49,994 | 54,074 | |
| 製品検査員 | 初級 | 12,169 | 12,467 | 15,599 | 18,392 | 18,901 | 21,000 |
| 中級 | 25,781 | 30,325 | 36,657 | 37,479 | 38,339 | 43,113 | |
| 高級 | 59,482 | 55,261 | 61,391 | 66,681 | 66,834 | 69,983 | |
| 平均 | 34,733 | 38,665 | 39,115 | 40,054 | 44,112 | 53,612 |
2008年1月10日人的資源社会保障部は、公式ウェブサイト上に、職員・社員の労働時間と賃金の計算方法を見直す「職員及び社員の年平均月間就業時間と賃金の案分比例計算方式に関わる通達」という題で文件を掲載した。「国定祝日及び記念日に関する規定」(国務院令第513号)に準拠して、市民が取得できる祭日数を10日から11日に増やした。したがって、職員及び工員の年間平均労働日及び賃金の案分比例計算方法がそれぞれ個別に改定された。さらに、2009年5月18日深圳市労働社会保障局は記者会見で、「深圳市フレックスタイム労働制とその労働時間の総合計算方式の管理と認可に関わる弁法」が同日施行されると発表した。この計算方式は、労働時間制度は企業にのみ適用されるという現状を変えて、政府機関、組織、社会団体、個人経済単位及び非政府・非営利団体にも適用されることになる。表2‐14より、週間労働時間が50時間を超えている分野には、卸売業、小売業、ホテル及び飲食業、人事及びその他サービス業等があることが見てとれる。ちなみに、これら分野は移動労働者が密集している分野である。しかし、ほとんどの分野で労働時間が昨年よりも短縮されていることが分かる。
| 産業分類 | 2005年11月 | 2006年11月 | 2007年11月 |
| 農業、林業、牧畜、漁業 | 42.9 | 41.9 | 38.2 |
| 鉱山業・採石業 | 47.5 | 47.8 | 46.1 |
| 製造業 | 51.1 | 50.4 | 49.4 |
| 電気、ガス、水道業 | 43.4 | 43.5 | 43.2 |
| 建設業 | 51.6 | 51.3 | 49.7 |
| 運輸、倉庫、通信業 | 49.9 | 50.0 | 49.1 |
| コンピュータサービス、ソフトウェア | 45.6 | 46.3 | 45.1 |
| 卸売・小売業 | 52.5 | 52.5 | 50.9 |
| ホテル、飲食業 | 53.9 | 54.4 | 52.1 |
| 金融仲介業 | 42.4 | 42.6 | 42.4 |
| 不動産 | 45.8 | 45.8 | 45.7 |
| 賃貸、その他サービス | 45.8 | 46.4 | 45.0 |
| 科学研究、地質探査 | 42.7 | 42.5 | 42.2 |
| 水資源保護、環境管理 | 45.3 | 44.3 | 44.4 |
| 人事、その他サービス | 52.3 | 52.1 | 50.2 |
| 教育 | 42.3 | 42.4 | 41.7 |
| 公衆衛生、社会保障 | 44.6 | 45.3 | 44.2 |
| 文化、スポーツ、娯楽 | 46.3 | 46.8 | 45.2 |
| 行政、社会組織 | 42.2 | 42.0 | 41.8 |
| 国際組織 | 43.4 | 47.8 | 40.0 |
中華全国総工会(ACFTU)は1925年5月1日に創設された。それは中国労働階級の自由意思に基づき組織された全国的な組織である。ACFTUの傘下組織には、31の省商工工会連盟(各省に1省商工工会)、10の産業別労働組合(教育・科学・文化・保健及びスポーツ組合、漁業・建設組合、エネルギー・化学組合、機械・金属・建築資材組合、防衛産業・郵務・通信組合、財務・商務・軽工業・繊維・たばこ組合、農林・水利組合、航空組合、鉄道組合、金融組合)及び132万4,000の各地の地元労働組合(275万3,000企業と機関で構成)がある。2008年10月にACFTU王兆国主席は、中国工会第15次全国代表大会の業務報告で、今後5年間に実行すべき中国工会の主要任務を発表した。
| 基層労働組合数 | 労働組合員数 | 専従幹部組合員(人) | 非専従幹部組合員(人) | 上層組合数(組合数) | 上層組合専従幹部数(人) | 上層組合非専従幹部(人) |
| 1,323,965 | 169,942,111 | 443,112 | 4,331,015 | 59,971 | 99,674 | 236,792 |
20世紀末以降、労働力の農村部から都市部への流入が一層加速されてきた。この労働力移動に応えて、ACFTUは移民労働者を労働組合に組織化する努力を始めた。ACFTU副主席によれば、移民労働者の労働組合員数は合計6,197万人に達し、これは現在の移民労働者の51%に当たるといわれる。ACFTUは2008年末までに組合員数を7,000万人に増やす計画である。このほかACFTUに近年課せられている重要な任務は、労働契約に関わる課題を進展させることである。2008年末までの労働契約締結件数は109万件で、これは183万の企業と1億4,000万人の労働者を結んでいる。そのほか、労働組合は労働争議の調停に積極的に関与している。
| 労働争議調停委員会の設置数 | 労働争議調停委員会委員(人) | 工会、従業員、労働者代表 | 労働争議調停委員会の受理件数(件) | 集団的労働争議 | 労働争議調停委員会の調停による和解件数(件) | 集団的労働争議 | |
| 全国 | 311,074 | 1,082,440 | 677,609 | 318,609 | 5,357 | 59,163 | 2,697 |
中国は1978年に始まった改革開放以来、労働争議の処理手法において顕著な成果を上げてきた。争議処理面での大きな進歩は、仲裁手続きの改善と仲裁人の専門能力の向上をもたらし、改革と発展の保全と安定化並びに調和のある社会の建設を促進する上で重要な役割を果たしている。伝統的な計画経済の下では、労使間の労働争議は労使双方への利益を保証することにより抑えられてきた。経済改革の深化につれて、労働争議もますます厳しさを増している。
| 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
| 受理件数 | 260,471 | 313,773 | 317,162 | 350,182 |
| 集団的労働争議件数 | 19,241 | 16,217 | 13,977 | 12,784 |
| 個人的労働争議件数 | 249,335 | 293,710 | 301,233 | 325,590 |
雇用形態の多様化や市場化・都市化・グローバリゼーションの進展に伴って、労使関係も非常に複雑になっている。最近の傾向として、労働争議件数は増え続け、かなりの数になっている。特に、2008年の世界金融危機の影響で、さまざまな段階の労働争議仲裁機関による争議処理件数は(前年からの持ち越し案件を含めて)96万4,000件に上った。このうち、69万3,000件は2009年度に提訴されたもので前年を98%上回っている。また関与した労働者数は121万4,000人で、23万7,000件は年度内に調停された。なお、2万2,000件の集団的労働争議があり、50万3,000人の労働者が関与している。争議件数が著しく増加する中で、62万3,000件が仲裁機関により結審された。結審に至った割合は2007年の97%から2008年の85%へと下がっている。未結審件数は2008年末の段階で10万4,000件に上っていた。仲裁機関に対する圧力はますます高まっており、多すぎる労働争議件数と少なすぎる仲裁人との際だった不均衡により、争議の結審率を短期間に急伸させることは困難である。このような状況で、労働者は自分たちの権利を守るためにより多くの時間を費やさねばならない。
労働争議が起こる主な原因は、労働報酬、労働契約終了、社会保険関連の問題であり、ほかの種類の争議に比べて急増している。また、集団的労働争議数と関与人数が増加している点にも注目したい。集団的労働争議では、双方の関係者がしばしば激しく衝突し、調停による争議解決は極めて困難となる。たとえ仲裁手続きが採られても、企業によっては経営が厳しい状況にあるため裁定どおりの履行が困難である。このような状況では、法によって労働者の正当な権益が保護されないという事態になる。国家統計局の統計によると、2008年に28万6,221件の争議が最高人民法院で結審したが、これは年率にして93.93%の増加である。中国では、2008年末には3,291の労働社会保障監察機構が設置されており、その機構組織率は94.8%であった。また各級労働社会保障部門で働く監察員は2万3,000人であった。2008年に中国政府は、農民工の賃金支払いの問題、労働市場秩序の改廃と調整、違法雇用の処罰と雇用契約法の順守状況等いくつかの問題に焦点を当て、全国的な調査を行った。
2008年に労働者保護措置の管理改善のために、中国の労働管理当局は、171万2,000件の書類審査を含め計180万8,000件の雇用者調査を行った。また48万1,000件に上る報告や苦情訴えを調査し、労働・社会保障に関わるさまざまな違法行為48万3,000件を厳しく処罰した。労働社会保障関連監察調査により、一部企業は1,561万7,000人との労働契約調印を命じられた。監査当局は更に一部企業に対して支払いが遅延となっている労働者の賃金や給与698万元の支払いを要求、また一部の企業に対して遅延している社会保険料総額49億元の支払いを督促し、12万6,000の雇用主に社会保険登記を指示、7,192件の不正規労働仲介業者を取締り、一部雇用者には合計8,900万元の労働者危険担保金の返還を命じた。
| 年 | 労働争議受理数 | 労働争議の原因 | 解決方法 | ||||
| 賃金/給与 | 社会保険 | 労働契約 | 調停 | 仲裁 | その他 | ||
| 2005 | 313,773 | 103,183 | 97,519 | 76,440 | 104,308 | 131,745 | 69,974 |
| 2006 | 317,162 | 103,887 | 100,342 | 71,324 | 104,435 | 141,465 | 64,880 |
| 2007 | 350,182 | 108,953 | 97,731 | 84,956 | 119,436 | 149,013 | 71,581 |
| 全国合計 | 北京市 | 上海市 | 江蘇省 | 浙江省 | 山東省 | 広東省 | 四川省 |
| 350,182 | 22,163 | 29,475 | 49,651 | 22,705 | 24,520 | 55,473 | 13,517 |
| 解決件数 | 労働者側勝訴 | 経営側勝訴 | 和解 |
| 340,030 | 156,955 | 49,211 | 133,864 |
募集には、政府による公的雇用サービス機関を利用する方法と民間の人材紹介会社を利用する方法の2種類がある。2008年、中国政府は、労働市場管理の強化、オンラインによる人材市場の標準化の調査、地域の発展や人材会社の成長に努め、2008年末の雇用サービス機関数は、24,410の公的斡旋機構を含み37,208社となった。2008年度に雇用された者の数は2,020万人で2007年比2%の増加であった。
| 雇用サービス機関数(件) | 雇用サービス機関の職員数 | 登録求人数 | 登録求職者数 | 就職した求職者数 | |
| 労働局による運営 | 24,806 | 8.1 | 3,614.5 | 3,494.0 | 1,980.9 |
| 県以上の運営 | 3,870 | 2.7 | 2,842.9 | 2,766.4 | 1,514.0 |
| 区による運営 | 6,171 | 1.9 | 334.2 | 286.0 | 160.0 |
| 小規模の町村による運営 | 14,765 | 3.4 | 437.4 | 441.7 | 306.8 |
| その他の機関による運営※5 | 2,926 | 1.2 | 302.6 | 276.6 | 127.4 |
| 民間による運営 | 10,165 | 3.6 | 1,523.5 | 1,168.0 | 540.3 |
| 合 計 | 37,897 | 12.9 | 5,440.6 | 4,938.6 | 2,648.6 |
| 合計 | 人材紹介会社での登録 | 友人・親戚等への依頼 | 募集相談会広告に応募参加 | 募集広告に応募、求職広告 | 自営業準備 | その他 |
| 100.0 | 13.6 | 53.1 | 9.8 | 1.9 | 6.9 | 14.7 |
表2‐21より、雇用サービスでは民間の人材紹介会社も重要な役割を果たしていることが分かる。統計では、雇用サービス機関のうち民間業者は全体の4分の1以上を占め、斡旋した労働者数では全体の約5分の1に達している。雇用サービス機関を利用する以外にも、多くの求職者はその他の方法で職を探しているが、その多くは友人や親戚に頼っている。
2008年に上海中智庫瑪市場研究公司(CIIC&COMR)が実施した調査によれば、民間企業の転職率は39.72%で、その他企業よりも高くなっている。同時に国有企業で転職しない職員の数はその他企業よりも大きく、55.56%であった。これらの転職者のほとんどは職歴の短い者で、職歴1~3年が約26.69%、3~5年が35.11%で、5年以上はわずか35.96%であった。これら転職者の割合は、都市によって異なっている。最も高いのは上海で26.76%に達し、次は北京で25.07%、その後に広州と深圳がそれぞれ24.79%、23.38%で続いている。この調査結果から、企業従業員の流動性は上海が最も高いことが分かる。総じて常に転職者が多い職は営業や特殊技能者などで、最近はメディア関係者の離職率も数年前に比べて高くなっている。
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