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作成年月日:2017年1月13日

海外情報プラス

海外情報−中国12月分

作成者:中国 上海 杉川 英哲
分野:人事・労務、異文化、その他(企業経営)

目標管理面談について

目標管理制度に不可欠な面談

目標管理制度を導入している日系企業にとって、この時期、今年度目標の達成度を評価と次年度の昇格・昇給・賞与等の考課が一段落しているところだと思います。

目標管理制度の導入は、通常、年初の目標設定時からスタートすることが一般的です。年度目標は設定したものの、年度中間での達成状況の確認や設定目標の変更、年度末の目標管理面談を行っていないというケースもあるようですが、目標管理制度においては面談=コミュニケーションが非常に重要です。

面談を実施しなければ、目標管理制度の効果は半減してしまうと言っても過言ではありません。各社によって面談の実施方法や内容は異なりますが、従業員に評価されていると感じさせるために、面談という「制度化されたコミュニケーション」が不可欠です。

面談を実施せず、従業員が「目標達成状況が評価(昇給・賞与)に反映されていない」と感じるような一方通行の目標管理制度では、導入・実施する意味が薄れてしまいます。

目標達成状況の確認と共通認識

目標管理面談における最も重要なポイントは、年度目標の達成状況を確認し、会社と従業員が共通の認識を持つことです。当然のことですが、個々の目標達成状況に応じて面談の方向性が決まります。

実際、従業員は目標を達成できていると自己評価をしている場合でも、会社の評価としては目標を達成できていないというケースも多いのではないでしょうか。

前述の通り、目標管理面談は制度化されたコミュニケーションであり、会社として個々の従業員に伝えたいことを正式に伝えてゆく重要な機会です。特に、目標を達成できなかった従業員に対しては、会社の評価をはっきりと伝えながら、なぜ目標が達成できなかったについての共通認識を持つことが重要です。

目標を達成し、貢献度の高い従業員に対しては、ただ評価や感謝をするだけでなく、なぜ目標が達成できたのかについて、具体的な共通認識を持つことが必要です。

いずれも、共通認識を持ったうえで、次年度の目標を設定してゆくための基盤となります。また、共通認識が持てなければ、認識のギャップが後日の昇給や賞与に対する不満や疑問の原因となってゆきます。

従業員は目標管理面談をどう見ているか

一方、従業員は目標管理面談をどう見ているのでしょうか。勿論、個々の目標達成状況により、目標管理面談に臨む気持ちは変わってきますが、共通しているのは上司との貴重なコミュニケーションの機会であると同時に、自分の考えを主張する場となっていることです。

ご経験のある方も多いと思いますが、面談内容から派生して、従業員から会社への不満や要望、疑問や提案が出されることも多く、これらの内容は会社運営にとって大変参考になる情報です。

特に、普段はなかなかコミュニケーションが取れない従業員に対しては、何を考えながら仕事をしているのかを知ることができる絶好の機会ですので、可能な範囲で傾聴に徹することも必要でしょう。

ケーススタディ

先日、ある日系メーカーの目標管理面談にオブザーバー兼通訳として参加しました。面談に先立ち、総経理からは、今年の面談では目標評価のほかに各従業員の家庭や生活の状況についても聞いておきたいが問題はないかというご相談がありました。

総経理は、普段から積極的に従業員と業務上のコミュニケーションを取られていますが、個々の従業員のモチベーションを更に高められるような仕事の与え方をしてゆきたいという考えから、できるだけ従業員の家庭や生活の状況も把握しておきたいとのことでした。

いずれも一定の社歴を有する従業員であることから、可能な範囲で話してくれればよいという前提条件を付け、面談で家庭や生活の状況もヒアリングすることになりました。

実際の面談では、例年よりも時間を長く設定し、従業員が話しをする比率を高めました。全般的に従業員の反応は良く、会社と従業員のコミュニケーションが更に深まったと感じられる面談でした。

ご参考までに、うち2名の従業員の面談記録をご紹介させて頂きます。

 

【Aさん】製造主管/女性/30代前半

・2016年は私個人や家庭、子供にとって良い1年でした。

・最も印象に残った仕事は●●様の案件です。●●様に対し、初めて単独で見積もりを作り、一定の利益を確保しながらお客様にも受け入れられました。自分たちだけでもできる仕事でしたが、念のため外注を使い確実に納期に完成させることを優先しました。

・最近は技術的にあまり難しくない仕事はお客様が自社内で解決しようとする傾向があり、私たちは技術レベルを向上させる必要があります。社外講習に参加し、体系的に技術を学ぶのがベストですが、費用もかかるので、できるだけ実際の業務において外注先から技術を学んだり、同じ業界の知人に聞いたり、WEBで調べながら勉強しています。

・新しい技術や知識を習得することは自分のモチベーションの原動力になっています。

・社内のコミュニケーションも非常に良いと感じています。総経理とは、何かあればすぐに相談するようにしていますが、総経理もお忙しいので、できるだけ自分たちで解決するようにしています。

・退職者の発生により様々な業務を兼任していますが、在庫についてはシステムで十分に管理できており問題はありません。

・新規顧客の開拓は思うように進みませんでした。来年も継続してゆきます。

・今後の個人的な課題は、技術レベルの向上により顧客と直接コミュニケーションできるようになり、ビジネスチャンスを拡げることです。そのためにはうまく外注を使っていく必要があります。もちろん、自社で技術レベルの高い社員を雇用することがベストですが、人件費コストの問題もあると思います。

・総じて、公司の業績が良ければ私自身の生活や気持ちも更に安定、発展させることができます。来年も引き続き頑張ります。

 

【Bさん】製造スタッフ/男性/20代前半

・今年はロス削減を意識して仕事をしてきましたが、全体の業務量が減少したため、ロスの削減では大きな効果はありませんでした。

・技術面において私自身が不足しており、2017年は成人教育(●●大学)で●●を学び始める予定です。また「●●上崗証」も取得する予定です。

・個人的には公司の周辺エリアにもビジネスのニーズはあると思います。先日、退勤後に●●にある会社に勤務している友人に会い行き、現場を見せてもらいました。そこに●●があったのを見て、自分たちの会社の近くにも●●のニーズがあることを意識しました。公司の技術力と営業力を高めてゆけば、ビジネスチャンスを掴めると思います。そのためには営業人員を増強する必要があると思います。

・私生活では今年は自動車教習に通い、もうすぐ免許証を取得できる見込みです。既に車も買ってあります。前からカッコいいと思っていた●●社の●●を買いました。来週からは車で通勤できると思います。

 

総じて、目標管理制度における面談は会社と従業員の貴重なコミュニケーションの機会であり、個別の従業員に対して柔軟に活用できる人事施策のひとつです。既に目標管理制度を導入している場合でも、目標管理ツールや面談項目に変更を加えることで、新たな活用価値を見出せるでしょう。

業界や企業によってケースは異なりますが、ご参考にして頂ければと思います。

以 上