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作成年月日:2017年4月11日

海外情報プラス

海外情報−中国3月分

作成者:中国 上海 杉川 英哲
分野:人事・労務、その他

駐在員のライフプランについて

 

はじめに

日本の新年度となる4月を迎え、駐在員の帰任や着任が最も多くなる時期です。

3月に入ってから、筆者のもとにも送別会の案内メールが激増しました。 また、お仕事でお世話になった方が帰任される場合は御礼のご挨拶に伺ったり、一緒にお食事をさせて頂いたりしています。その際、参考までに可能な範囲で帰任後の配属や役職についてもお話を伺っています。(累計100名以上の方にヒアリングを実施しています。別の機会にヒアリング結果の分析をレポートさせて頂きたいと思います。)

 

先日も4月に帰任する30代前半の商社駐在員お二人から帰任に伴うお話を伺いましたのでご紹介したいと思います。

 

Aさん(商社、30代前半、既婚、子供一人)のケース

Aさんは20代後半から約7年間家族帯同で中国に駐在されました。中国駐在期間中にお子様が生まれ、現在は幼稚園に通っています。

中国法人ではプレイングマネージャーとして営業と部下の育成、管理を担当されました。駐在期間中も意識的に中国語学習を続けられ、現在では単独で商談ができるレベルにまで上達されています。取り扱う商品の特性上、現在は主に現地顧客の開拓と維持をメイン業務とされてきており、中国駐在中に十分な営業実績を残されました。

Aさんの帰任後の配属先は国内のある支店で、主に国内営業を担当される予定です。取扱い製品は駐在時と変わらず、仕入れ業務の関係上、今後も中国への出張が頻繁に発生するとのことです。(帰任前ですが既に帰任後の中国出張予定が決まっているそうです。)

帰任に際して、ご本人の関心が最も高いのは「お子様の教育」です。お子様は帰任後1年間は幼稚園に通い、帰任翌年に小学校に上がる計算です。

ご家族ともども中国での生活が名残惜しいところもあるようですが、どちらかというと帰任後の日本での生活を楽しみにされているようです。

Aさんの場合、世界各国に支店や現地法人のある商社に勤務されており、数年後に再び海外勤務となる可能性が非常に高い状況です。ご本人も海外勤務に対しては否定的な考えはありません。因みに従来から業務上のやり取りがある後輩が後任として赴任することが決まっており、業務引継ぎも非常にスムーズだということです。

駐在ローテーションにより社内の人材を育成し、ビジネスを継続的に拡大している商社の人材層の厚みを感じます。

 

Bさん(商社、30代前半、既婚、子供なし)のケース

Bさんも20代後半から奥様とふたりで約4年間中国に駐在されました。もともと大学で中国語を専攻しており、中国語は非常に流暢です。入社時より中国赴任を希望しており、入社後数年間の国内業務経験を経て中国に駐在されました。

中国法人では営業職として、主に日系企業との取引拡大を担当されました。駐在期間中の営業実績は堅調だったものの、取扱い製品の特性と中国経済成長スピードの鈍化が原因となり、大幅な業績拡大はできなかったそうです。

一方、真面目な性格で中国語も堪能なことから、現地の従業員からも慕われ、他部門の現地従業員からも様々な相談を受けていたとのことでした。中国語を解するが故に、現地従業員の会社に対する不満などもストレートに耳に届き、それが原因となり日本人上司との関係が悪化した時期もあったようです。現地従業員の声を会社運営に反映したいと考えつつ、現実的に自分の力が不足している部分でのジレンマを感じられていたそうです。

Bさんの帰任後の配属先は本社営業部門で、やはり国内営業を担当する予定です。取扱い製品も顧客群も新しくなり、中国関連業務は発生しない予定です。

帰任に際しては、やはりお子様が生まれ「新しい家族」が増えることを期待されているそうです。以前よりお子様は欲しかったものの、多忙を極める駐在生活において、日本とは異なる環境で奥様ひとりに負担をかけられないことから、そのタイミングをずるずると延期していたそうです。

Bさんの場合、ご本人は将来的に再び中国に駐在することを希望しています。当然、その頃には求められる役割や責任も今回の駐在業務とは異なっており、現地法人の総経理を目指したいとのことでした。営業だけではなく財務、人事、総務等、会社全般の運営について総合的な経験と能力を蓄積する必要があり、国内営業所で管理職になれるよう頑張りたいとのことでした。

駐在時期と家族を含めたライフプラン

今回ご紹介したAさんとBさんはともに30代前半の既婚者であり、駐在期間中にお子様の出産や就学のタイミングが重なっていました。

 

出産については、Bさんのケースの通りです。特に初産の場合は妊娠期間中のケアも含め、奥様は旦那さんにそばにいて欲しいはずですし、なによりも、お子様が生まれた幸せを一緒に共有したいはずです。

 

また、通常の生活でも環境の違いによる強いストレスを感じているのに、妊娠中や育児期間中にはこのストレスが更に強まる可能性が非常に高いと言えるでしょう。数年延期しても、帰任後に日本で出産したいと考えるのが一般的です。

 

別の状況ですが、駐在期間が長期化し、二人目のお子様を出産するタイミングを逃してしまったケースも多いはずです。

 

就学については、Aさんのケースのように小学校就学や中学校進学の1年前から日本で生活できるように帰任時期を希望するケースが多く、お子様が高校や大学への進学のために受験準備をする時期についても同様です。一方では、中国でも日本人の多い都市では日系の進学塾が開校しており、日本国内と同じカリキュラムで受験準備ができる環境になっていることも確かです。

また、就学前の幼稚園については、日本人の多い都市部では日本人専門或いはインターナショナルの幼稚園があります。

 

本社人事部門としては、できる限り出産や子女教育のタイミングを考慮して帰任時期を調整できることが理想です。子女が現地で就学する場合には、その費用についても考慮が必要です。ある企業では、毎年、駐在員に対し、自己状況申告アンケートを実施し、個々の駐在員の家庭状況を把握し、個別に本社の意見をフィードバックすることで駐在員とのコミュニケーションを図っています。これにより、駐在員も帰任後の生活設計を考えることができるようになり、更に安心して駐在業務に取り組むことができます。

 

業界や企業によってケースは異なりますが、ご参考にして頂ければと思います。

 

以 上