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作成年月日:2018年10月12日

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海外情報-中国9月分

作成者:中国 上海 杉川 英哲
分野:人事・労務、法務・税務

個人所得税法修正について

個人所得税法の修正

ご存知の方も多いかと思いますが、今年8月31日に《中華人民共和国個人所得税法》の修正が決定し、2019年1月1日から施行されることになりました。また、先行するかたちで10月1日より基礎控除額の引き上げが実施されます。

2000年以降では、2005年、2008年、2011年に続き、今回で4回目の基礎控除額の引き上げとなります。ご参考までに、現時点における基本的なポイントをご説明します。

修正の意義

今回の個人所得税法修正は、中国が2013年から進めてきた個人所得税改革が具体化されたもので、現行の個人所得税制の諸課題の解決が図られています。近年、急速に収入が増加している中国において、低~中所得者層の個人所得税負担を更に軽減する税制へと修正されています。

過渡期における政策

前述の通り、今年10月1日からは基礎控除額が引き上げられます。基礎控除額が従来の3,500元から5,000元へと引き上げられることにより大部分の納税者は減税となり、特に低~中所得者層は減税幅が大きくなります。対象となるのは予め10月中に支給されるべき給与となります。(減税対象とするために給与支給日を変動させることは認められません。)

納税者にとっては、減税の恩恵を事前に享受できることとなり、企業も事前に修正後の納税額で給与計算をスタートすることができます。収入レベルによる減税比率の違いは次の表の通りです。(参考数値)

 

単位:元
三険一金控除後
月収入額
現行税制
納税月額
(対象3,500元~)
改正後
納税月額
(5,000元~)※
月当たり減税額 減税比率
5,000 45 0 45 100.0%
6,000 145 30 115 79.3%
7,000 245 60 185 75.5%
8,000 345 90 255 73.9%
9,000 545 190 355 65.1%
10,000 745 290 455 61.1%
15,000 1,870 790 1,080 57.8%
20,000 3,120 1,590 1,530 49.0%
30,000 5,620 3,590 2,030 36.1%
40,000 8,195 6,090 2,105 25.7%
50,000 11,195 9,090 2,105 18.8%
100,000 29,920 27,590 2,330 7.8%
※ 改正後納税月額は専門項目付加控除を考慮せず算出。

修正における変化点

一般的な納税者の課税対象項目として、給与・賃金所得、労務報酬所得、著作による所得、特許権使用費による所得の4項目が総合課税範囲にまとめられ、月、年或いは発生ごとに納税する仕組みとなりました。

また、子女教育、継続教育、重大疾病医療、住宅ローン利子、住宅賃借料、老人介護等の6項目について、新たに付加控除の対象となりました。社会の変化に対応し、個人所得税納税者の生活を考慮した減税措置と言えるでしょう。

給与所得者の所得税率については、次の表の通りです。現行の3~45%の7等級の累進課税率を土台に3%、10%、20%の比較的低い税率の等級を拡大し、25%の等級を縮小、税率の高い30%、35%、45%の等級はほぼ維持されており、低~中所得者層の個人所得税負担の軽減を目的としていることがはっきりとあらわれています。

 

単位:元
等級 月次所得額 税率(%) 速算控除額
1 ~3,000 3% 0
2 3,000~12,000 10% 210
3 12,000~25,000 20% 1,410
4 25,000~35,000 25% 2,660
5 35,000~55,000 30% 4,410
6 55,000~80,000 35% 7,160
7 80,000~ 45% 15,160

企業としての対応準備

10月1日からは基礎控除額が引き上げられ、予め10月に支給する予定の給与所得には修正後の個人所得税率が適用されます。特に、システムにより自動で給与・所得税を計算している企業は修正後税率への変更が必要となりますので、くれぐれもお気を付け下さい。 また、第4四半期に入り、年度評価に基づく昇給査定の時期も近づいています。エクセル等で昇給のシミュレーションを行う企業も多いかと思いますが、同様に修正後の税率への変更が必要です。

なお、本レポートは国家税務総局発表の情報を参考に作成しています。 実際の個人所得税法修正への対応については

《关于修改《中华人民共和国个人所得税法》的决定》、
《关于2018年第四季度个人所得税减除费用和税率适用问题的通知》等に基づき、ご対応下さい。

 

以 上


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