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インド

作成年月日:2017年2月

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インド情報 2017年1月

労働力人口、20年までに1.7億人増加

インド国内の労働力人口は、2020年までに1億6,000万〜1億7,000万人増える見通しだ。インド商工会議所 協議会(ASSOCHAM)は、対照的に国内の雇用創出は弱含んでいると指摘し、「憂慮すべき状況」と警戒感を示している。1月20日に発表したASSOCHAMの「雇用創出&インドの再起動」と題する共同研究によると、労働人口の増加幅は1991年〜2013年の約22年間は1億5,100万人だった。

ASSOCHAMが懸念を強めるのは、高い経済成長率が維持されているにもかかわらず、国内では2005年を 境に雇用創出の動きが「急速に鈍化」したため。国内総生産(GDP)が1%増えた場合に雇用者数が何%増えるかを示す雇用弾性値は、2005年までの5年間は 0.5だったが、その後の5年間は0.04、近年は持ち直しの動きも見られるが、おおむね0.1〜0.2程度で推移しているという。

 

今後の雇用創出源として、ASSOCHAMは製造業を中心とする二次産業に期待をかけている。農業などの一次産業は元々雇用者数が多く、生産性の向上が失業者の増加につながりかねず、三次産業も技術の進歩でかつてのような雇用の受け皿としての役割は期待できないためだ。ASSOCHAMは、インドでは「製造業のGDPに占める比率が相対的に低くとどまり続けてきた」と指摘した上で、「二次産業を後押しし、雇用創出の回復につながるような政策が必要」と強調している。

[税制]GST法は寛大?脱税2,000万ルピーまでは保釈に

物品・サービス税(GST)の新税制では、脱税で逮捕された場合、金額が2,000万ルピーまでは直ちに保釈される見通しだ。政府関係者の話として1月19日付PTI通信が報じている。前回のGST委員会では、逮捕は文書偽造のほか、期限までに納付しなかった場合などに限られることが決まっている。これまで逮捕者の保釈は刑法の規定で裁判所への申請が必要となっていたが、GSTではこれを簡素化する。

また、税額控除などでの記載の誤りや書類の不備は、GST関連法の当初の草案では起訴されることになっていたが、これも逮捕せず、場合によって罰金を支払うことになった。

こうした逮捕や罰則の条項について専門家からは、「新税制では法律の理解に時間がかかるため当初2年は罰則を軽くすべき」といった指摘や「脱税の抑止になるかもしれないが、政府担当者の権限が強まり、裁量や主観の入る余地が広がると、乱用につながりかねない」とする声が出ている。

企業の採用活動、12月は7%低下=ナウクリ

インド最大の求人・求職サイト「ナウクリ・ドット・コム」によると、2016年12月の企業の採用活動を示す指数「ナウクリ・ジョブ・スピーク・インデックス」は1,659で、前年同月比で7%低下した。デリー首都圏(NCR)や西部マハラシュトラ州ムンバイ、南部カルナタカ州バンガロール(ベンガルール)などの主要都市で停滞したことが響いた。

PTI通信が18日伝えた。

産業別にみると、銀行・金融サービス・保険(BFSI)が堅調で、銀行が14%、保険が19%それぞれ上昇した。一方、建設・エンジニアリングが32%低下したほか、石油・ガス・電力・インフラストラクチャーが30%、通信が24%それぞれ落ち込んだ。

主要都市別では、NCRが 12%、ムンバイが2%、バ ンガロールが6%低下。南部テランガナ州とアンドラプ ラデシュ州の共通州都ハイデラバードは5%上昇、マハ ラシュトラ州プネは4%上昇だった。南部タミルナド州 チェンナイと東部・西ベンガル州コルカタは横ばいだった。

グジャラート州、固定給職の賃金引き上げ

インドの西部グジャラート州政府は、2月1日から固定給与職員の月収を63〜124%引き上げる。対象職員数は11万8,700人以上で、州政府にとっては130億ルピー(約220億円)の負担増となる。

ビジネス・ライン(電子版)が18日伝えた。 最も昇給するのは、各部署の責任者などの幹部職員 で、月収は124%増の3万8,090ルピーとなる。

看護師や会計士の次席クラスといった幹部職員は90%増の3万1,340ルピー、巡査職などは73%増の1万9,950ルピー、若手幹部職員は63%増の1万6,224ルピーとなる見通し。ニティン・パテル州副首相は「州政府は固定給与職員 の要望を受け入れる」とコメント。「家賃や交通費の補助といった手当も与える」と語った。グジャラート州政府は、モディ首相がトップを務めていた時期に、固定給与制度を導入。教育や警察、財務分野などで期間5年の固定給与職員を採用した。ただ、この制度には批判が強まっており、「労働の搾取」という声も上がっていた。最高裁判所も先に、グジャラート州 政府の取り組みに厳しい見方を示していた

通信業界の雇用創出、今年は200万人超

インドの通信業界では、2017年に200万人余りの雇用が創出される見通しだ。新規事業者の参入とデータ通信サービスの普及、製造業の振興や携帯端末を使った電子決済の利用促進を目指す政府の取り組みが追い風となる。

PTI通信が18日伝えた。 人事コンサルティング大手チームリース・サービシズとテレコム技能開発評議会(TSSC)が共同報告書で見通しを明らかにした。

2017年の雇用創出数の内訳は、端末メーカーが176万人、通信事業者が37万人。第5世代(5G)サービスの導入を前提に、長期的な雇用拡大も予測した。通信業界では2020/2021年度(2020年4月〜2021年3月)までに870万人の雇用が創出され、このうちの92万人はインフラ分野とも予想した。

一方、雇用拡大とは裏腹に、国内には十分な技術を持った人材が不足していることが課題と指摘した。特に人材育成が必要な分野としては、インフラ、モノのインターネット(IoT)、モビリティーソリューションズなどを挙げた。

●人材競争力、インドは118カ国中92位

仏ビジネススクール・経営大学院のインシアード(INSEAD)が1月16日に発表した人材競争力に関する国際調査(GTCI)で、インドは118カ国中92位だった。昨年から3ランク低下した。GTCIは、各国の人材の育成・誘致・維持に関する競争力を示した指標。

INSEADが、人材サービス世界大手のスイスのアデコとシンガポールの政府系人材育成機関ヒューマン・キャピタル・リーダーシップ・インスティチュート(HCLI)と共同で毎年作成している。インドの評価を項目別にみると、「人材の誘致」や「人材の維持」がそれぞれ114位、104位、政治面の安定性や規制状況、市場環境などを評価した「能力の発揮しやすさ」も94 位にとどまった。

報告書では「インドがより多くの人材を引き付けるには雇用環境を整備する必要がある」と指摘した。世界全体の首位はスイス。以下、シンガポール、英国、米国、スウェーデンと続いた。

日本からの投資促進、鍵は「おもてなし」の心

インドの地元紙ザ・ヒンドゥーは、このほど、日本からの投資流入を加速させるため、インドは「おもてなし」の心で迎え入れるべきとの主張を掲載した。鍵は汚職撲滅、脆弱(ぜいじゃく)なインフラの整備、事業の遅れの改善などと指摘。向こう10年間で日本から年250億米ドル(約2兆8,500億円)規模の外国直接投資(FDI)を実現させることを目標に、インドはビジネス環境を改善させるべきと指摘した。日印関係は19世紀に初めて結ばれた。その後、紆余(うよ)曲折を経て、両国は2国間関係を深化。日本は現在、米国、オーストラリアに加えて、インド政府と「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を結ぶまでになった。同紙は、複雑な規制や汚職、自治体レベルでの突然の介入に加えて、劣悪な物流環境や不十分な電力供給、インフラ事業の認可遅れなどが、日本企業が投資に二の足を踏んでいる要因とした。今後は、両国間の政府による後押しが、経済関係をさらに強固にするとも指摘した。2015/2016 年度(2015年4月〜2016年3月)の日本とインドの貿易総額は145億1,200万米ドルだったが、向こう10年で1,000億米ドルまで拡大できると強調。生産や研究・開発(R&D)拠点の設置で、両国の企業はもっと協力体制を築くべきとの見方も示した

インドの失業者数、向こう2年で30万人増加

国際労働機関(ILO)が1月12日に公表した報告書「世界の雇用および社会見通し 2017」によると、インドでは 失業者が2017年に10万人、2018年は20万人増える見通しだ。

PTI通信などが伝えた。

ILOによると、インドの失業者数は2016年時点で1,770万人。2017年は1,780万人、2018年は1,800万人となる。報告書からは、国内の雇用創出が停滞する可能性が示された格好。ただ、インドの状況は比較的良好で、失業率は2016年の3.5%から2017年は3.4%に低下する。ILOは、世界全体では2017年に失業者が340万人増え、失業率は 5.7%から 5.8%に上昇すると指摘している。ILOは、世界全体で雇用が低迷する原因として、「期待外れの低調な経済成長」を挙げている。2017 年は社会格差も拡大するとの立場だ。

人材派遣業の規制改革を 人材派遣業者団体

人材派遣会社の業界団体であるインド人材派遣業連盟(ISF)は、政府の高額紙幣使用停止は人材派遣業発展のチャンスであるとし、政府に対し、人材派遣会社の免許制度や課税など諸規制の改革を 訴えている。ISFのスチタ・ダッタ・エグゼクティブ・ディレクターは、「人材派遣会社は政府が進めているキャッシュレス決済の最前線にいる。我々は賃金を従業員年金や従業員国家保険などと共に銀行口座に振り込んでいる。

 

政府が、我々が求めながらも長い間保留になっている改革を行うことで、人材派遣業の成長を促進してくれるならば、政府の目標を進めることにもなる」と話す。ISFの顧客の多くは人材派遣業を規制する1970年雇用労働(規制および廃止)法に規定された多くの免許の取得を嫌うため、契約労働者の多くはインフォーマルなままで、違法請負業者による搾取を受けやすいという。ダッタ氏によると、こうした違法請負業者の下の労働者は高額紙幣使用停止後、 賃金を受け取っていない場合も多いという。インドにおける人材派遣業の普及率は労働者中の0.51%で、中国の3.60%はもちろん、世界平均の1.6%にも遠く及ばない。ダッタ氏によると、ISFは人材派遣業について、現在の産業別の免許から全分野にわたる一括免許制度に変更すること、人材派遣会社に適用される源泉徴収税の税率についての規則を明確化することの2点を政府に求めているという。

主要業種の雇用、昨年4月時点で2千万人超

インドの労働局の雇用調査で、2016年4月時点での主要8部門の雇用者数は2,052万 2,000人だったことが 分かった。雇用が最も多かったのは製造業で、1,011万7,000人と全体の49.3%を占有。教育が499万8,000人(24.4%)で続いた。商業は144万5,000人(7%)、保健医療関連が120万5,000人(5.9%)、IT・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が103万6,000人(5.1%)、宿泊・飲食業が77万4,000人(3.8%)、輸送が58万人(2.8%)、建設が36万7,000人(1.8%)だった。雇用形態別の比率は、正規雇用が全体の 81.6%、契約雇用が13.3%、臨時雇用が5.1%。男女比は男性が7割、女性が3割だった。

労働局は国内の1万600社を対象に調査を実施した。内訳は、民間企業が87.1%、国営企業が12.9%。労働局は調査を四半期ごとに実施している。

●2017年の昇給率予測は10.5%2桁増続く、

日系給与調査(NNA)がインドの日系企業を対象に実施した給与昇給動向調査で、2017年の昇給率見通しは平均10.5%だった。2016年実績の10.7%に続いて2桁を超える伸び率を維持している。人件費の上昇について、90%以上の企業が「高いと感じる」と回答。労務管理上の問題としても、賃金の上昇を挙げる企業が目立った。

2016年の昇給率の実績は、NNAが2015年に実施したアンケートにおける予測値10.6%を0.1ポイント上回る10.7%だった。「昇給した」と回答した企業は全体の94.6%に上った。2017年も昇給を「する」と答えた企業は全体の78.6%で、「未定」が21.4%となった。2017 年のインドの全国平均予測昇給率は10.5%となり、2桁を超える伸び率を依然維持しているという結果が 明らかになった。

●主要 8 部門の雇用者、約 2,052 万人16 年 4 月

インド政府の労働・雇用省が10日付で発表した「四半期雇用調査」によると、インドの主要8産業部門による雇用者(自営を含む)が、2016年4月時点で2,052万2千人を記録した(下表参照)。

製造業と建設、商業・貿易、運輸、宿泊・飲食、情報技術(IT)/外部業務受託(BPO)、教育、医療・健康の各業界に属し、10人以上が働く約1万600カ所の事業所を対象に調べたもの。結果を業界別に見ると、製造業が最多の1,011万7千人で、全体に占めるシェアは 49.3%だった。以下、教育の499万8千人(全体に占めるシェア:24.4%)、 商業・貿易の 144万5千人(同:7.0%)、医療・健康の120万5千人(同:5.9%)、 IT/BPO の103万 6千人(同:5.0%)、宿泊・飲食の77万4千人(同:3.8%)、運輸の58万人(同:2.8%)、建設の36万7千人(同:1.8%)と続いている。男女別で見ると、男性が1,480万7千人(全体に占めるシェア:72.15%)、女性が571万5千人(同:27.85%)。雇用形態別では、自営業者が55万6千人(同:2.7%)、被雇用者が1,996万6千人(同:97.3%)で、フル・タイム勤務が1,966万8千人(同:95.8%)、パート・タイム勤務が85万4千人(同:4.2%)となっており、被雇用者の内訳は、1,629万6千人が常用雇用者(被雇用者全体に占めるシェア:81.6%)、266万人が契約労働者(同:13.3%)、101万人が臨時労働者(同:5.1%)だった。また、雇用に占める女性の割合は教育が48.96%で最大。IT/BPOの31.27%が続いた。

●16年の採用活動、中間管理職の需要増

インド企業による2016年の採用活動は、中間管理職の需要が高かったようだ。IT・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や自動車、銀行・金融サー ビス・保険(BFSI)部門がけん引した。2016年12月単月でみると、職歴2〜5年の人材の採用が前年比11%増えた。10〜20年は10%増、20年以上は9%増だった。タイムズ・ビジネス・ソリューションズのニランジャン・ロイ氏は、「2〜5年の経験を持つ人材は新しい技術の習得に意欲的で、個人と会社の成長を加速させるとの見方が強い」と話した。2016年通年の全体の採用活動では、800社のうち60%が前年比で採用を増やしたと回答。ITやBFSIのほか、製造業やヘルスケア部門で採用活動が活発だった。ITとヘルスケア部門を中心に女性の雇用も増えてい るという。

以 上