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インド

作成年月日:2017年3月

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インド情報 2017年3月

企業の採用活動、日本からの求人が増加

インドの名門大学やビジネススクールで、海外からの求人状況に変化が生じ、欧米の企業が減少し、日本などアジア系企業が増加傾向にある。これは欧米各国の保護主義的政策や低迷が、採用活動にも影響している。インド経営大学院(IIM)バンガロール校のキャリア開発部門の責任者は過去5年間の動向について日本のほか、シンガポールや香港など東アジアからの求人が増加していると指摘している。インド工科大学(IIT)カラグプール校(東部・西 ベンガル州)のデバシス・デブキャリア開発センター長も、「日本や台湾からの求人が増加している」とコメント。今年の卒業生に関しては、これまでに海外企業からの求人が18件あり、うち3件が日本企業であることを 明らかにした。IITマドラス校も同様で、15 件中3件の求人が日本からだった。

女性従業員の産休期間、2倍の6カ月に延長

インド政府は、女性従業員の産休期間を従来の3カ月から6カ月に延長することを決定した。上院で2016年8月に出産給付金法の改正案を可決しており、下院での最終可決を前倒しで承認した。

給付は、被雇用者国家保険(ESI)に加入し、月々の給与から保険料を支払っている女性が対象となる。ESIの加入者数は約2,000 万人で、うち女性は15%に当たる290万人。ESIの保険料率は、被雇用者が月収の1.75%、雇用者が同4.75%となる。 産休のほか、育休についても、養子を含め乳児の養育期間として3カ月を認める方針だ。

民間企業の退職金、最大200万ルピーに増額へ

インドの民間企業勤務者の退職金が200万ルピー(約340万円)と、現行比で最大2倍に増える見通しだ。政府が2016年7月に承認した第7次公務員給与・年金の引き上げ額に準じるためだ。雇用労働省は先に、各産業界の代表や企業の労働組合、州政府関係者を招聘し、会合を開いた。雇用労働の閣外相の1人は、「退職金の上限は、退職金支払法に基づき決定される」とした上で、「インフレ上昇率や賃金上昇を加味し、たとえ民間企業であっても改定されるべきだ」と語った。民間企業では勤続年数が5年以上の従業員に対して、退職金が支払われることになっている。退職金の改定は、2010年の第6次公務員給与・年金引き上げで国家公務員を対象に、35万ルピーから現在の100万ルピーに引き上げられて以降、見直しされていない

技能訓練センター、ハイデラバードに設立へ エアバス

欧州旅客機メーカーのエアバスは2月15日、航空業界向け技能訓練センターをハイデラバードに設立するため、テランガナ州政府と覚書(MOU)を締結した。同社がインド国内でヘリコプターと固定 翼機の組立を計画する中、必要な人材を育成するとともに、エアバスに部品を供給する印サプライヤーの数を現在の45社からさらに増やす狙い。

同センターはハイデラバードのベグンペット空港内に置かれ、高等学校の新卒者から航空業界の経験者までを対象として、航空機の製造やロジスティックス、機体整備・補修(MRO)、地上業務などに関する研修を行う予定だ。新設の技能訓練センターは短期と長期の両コースを提供し、短期のコースは2017年中に開始の見通し。エアバスとしては、同センターを5年以内に大学へ昇格させる方針だ。

工場法の適用範囲縮小に反対  労働組合

ダッタトレヤ労働・雇用相は、2月15日、中央労働組合連合12団体の代表と会談し、政府が進めている労働関連法規の改正などについて話し合った。労働組合側は、工場での労働条件を規定する工場法の適用範囲を縮小する改正に強く反対した。

現行の工場法では、同法の適用対象となる「工場」は、電力を用いる施設の場合10人以上、電力を用いない施設の場合は20人以上の労働者を雇用する施設と定義されている。政府はこの基準をそれぞれ20人および40人に引き上げる権限を州政府に付与することで、同法の適用範囲を縮小することを提案している。中央労働組合連合12団体が共同で同大臣に提出した覚書は、「中央労働組合連合は、『工場』の下限を、電力を使用する工場および使用しない工場でそれぞれ20人および40人に引き上げることに強く反対する」としている。労働組合側はまた、工場の設立を現在の免許制からオンラインでの登録制に変更することにも反対した。

●企業の採用活動、大半で携帯活用―分析・機械学習ツールも

国内企業の85%が採用活動で携帯電話を活用していることが、人材派遣サービス大手チームリース・サービシズの調査で明らかになった。2月13日付PTI通信が報じている。

同社によると、採用活動におけるテクノロジーの導入は携帯電話の使用にとどまらず、 分析や機械学習といったツールの需要にまで広がりつつあるという。

同社の共同創業者のリトゥパルナ・チャクラボルティ氏は「採用でデジタル化への依存が急速に進みつつあり、企業がそこから得る価値も大きい」と語った。

中小企業の44%余りが採用に携帯電話を用いており、小規模の企業の方が携帯電話利用に前向きなことも明らかになった。採用担当者は、コスト削減のほか採用前の時間短縮、面接から内定につながる率の改善を利点として挙げているという。

ホワイトカラー求人数、10〜12月は7%減

人材紹介大手JACリクルートメントは、インドの2016年10〜12月のホワイトカラー求人数が前四半期比7%減だったと発表した。インド政府が2016年11月に発表した高額紙幣の刷新で国内経済は一時的に混乱したが、企業の採用活動には影響がなかったと分析した。

LIC、退職金増額でエージェントの離職防止へ

インド生命保険公社(LIC)は、100万人余りいるエージェントの高い離職率を改善するため、退職金を30万ルピーに増額する。LICは、110万人超のエージェントを通じて保険料収入の94%を得ており、その割合は半分程度がエージェント経由とされる民間保険会社より高い。これまでの規定では、LICのエージェントは勤続15年で辞職した場合、10万ルピーの退職金が支払われることになっていた。同社は2月2日、規定を改正し、退職金の最高額を30万ルピーとした。

2016年3月時点で106万人だったエージェントは、今年1月末には110万5,000人に増えたとされ、LIC職員はPTI通信に「今年度は27万人を採用し、22万5,000人が辞め、4万5,000人の純増となった」と説明した。 LICは2015年度、24万5,000人のエージェントを採用したが、34万人の雇用契約が満了もしくは、自主退職している。

人口ボーナスは今後5年がピーク、経済白書

インド政府は1月 31 日に発表した「経済白書」の 2017 年版の中で、生産年齢人口の急増による経済成長への後押し、いわゆる「人口ボーナス」は向こう5年間にピークを迎える可能性が高いと指摘した。

民放NDTVが同日に伝えた。白書によると、人口ボーナスの効果が弱まるのは、若年の生産年齢人口が20年にピークを迎えるとみられるため。総人口に占める「生産年齢人口は横ばいになる」という。ただ、白書は一方で、中国やブラジルといった他の新興国と比べた場合、経済成長に対する影響は小さいと指摘した。

インドでは、生産年齢人口と非生産年齢人口の比率が最大でも1対1.7と低い水準で推移し続けるためだ。白書によると、人口ボーナスの効果はインド全体では ピークを迎えるが、東部ビハール州や北部ジャム・カシ ミール州、西部マハラシュトラ州などでは高い効果が持続する。政府は、効果の偏在が就労希望者に移動を促 し、人口の偏在の解消につながるとみているようだ。

人材育成でプサ工科大と提携  ヒュンダイ

印乗用車販売台数で第2位のヒュンダイ・モーター・インディア(HMIL)は1月30日、人材育成でニューデリーのプサ工科大学と提携し、同校のキャンパス内に「ヒュンダイ・プロフェッシナル・ デベロップメント・センター」を開設したと発表した。企業の社会的責任(CSR)活動の一環。自動車について学ぶ学生を対象として、最新の関連技術を紹介する狙いだ。HMILは特別なカリキュラムを編成するとともに、教材や自動車、エンジン、ギア・ボックスなどを提供。学生が自動車業界で雇用機会を得られるよう支援する方針だ。

CSR規定の違反、14/15年度は530社

インドの会社登記局(ROC)が企業省に提出した資料で、2014/15年度(2014年4月〜2015年3月)は530社以上がCSR(企業の社会的貢献)活動に対する拠出規定に違反していたことが分かった。インドは、2013 年の会社法改正で一定規模以上の会社に対し、直近3年間の平均純利益の2%以上を社会貢献に使うよう定めた。2014 年4月に発効し、2014/15 年度が初年度だった。530社は規定の金額をCSRに使っていないか、もしくは非開示にしている企業だった。違反企業に対しては何らかの罰則が科される見通し。

地方の昇給堅調、現金不足解消で消費改善も

野村証券は、2016年11月の地方の賃金上昇率が前年同月比で 7.3%だったと発表した。10月の同6.9%に続いて、過去12カ月の平均4.8%を上回った。11月は高額紙幣の刷新による現金不足から、地方を中心に消費者の購買意欲が鈍ったものの、10〜11月の賃金上昇は堅調だったことになる。このため、野村証券は、現金決済が多い地方で現金不足が解消されれば、落ち込 んだ消費が大きく回復する可能性があると指摘してい る。

米就労規制強化を懸念、IT人材の供給源

米IT業界に多数の技術者を送り込むインドで、トランプ米政権が就労ビザ(査証)の発給要件を変更し、外国人労働者への規制を強めるのではないかとの懸念が広がっている。インドでは、米国を含む海外向けのITサービス産業が1,000億ドル(約11兆3,000億円)規模の巨大産業になっており、業界は米政権の対応を注視している。

「米国第一」を掲げるトランプ氏は1月27日、難民受け入れ凍結やイスラム圏7カ国からの入国禁止を盛り込んだ大統領令に署名し、排外主義的な姿勢を強めている。

米国は、ITなどの専門技術を持つ外国人を対象に「H1B」と呼ばれる就労ビザを発給。インド企業はH1Bを活用し米国人より安価な賃金で、米国の現地法人や提携先の企業にIT技術者を派遣してきた。インド経済紙ミントによると、インドのITサービス産業は売上高の約6割を米国ではじき出す。

トランプ氏は大統領選の選挙運動で、H1Bは米国人の雇用を奪うと批判し、見直しに言及していた。H1Bを廃止するか、発給条件となっている年収の最低額を現行の6万ドルから大幅に引き上げる案を検討するとみられる。見直しが決まれば、インド企業には大きなコスト増となる。

ITサービス大手インフォシスのビシャル・シッカ最高経営責任者(CEO)は、現地メディアとの会見で、H1Bの取り扱いについて「(新政権の)状況を見なくてはならない」と指摘。業界内では廃止への危機感がくすぶる。金融関係者は「トランプ氏の経済政策は米国最優先で、インドのITサービス業界には決してプラスにならないだろう」と話している。

以 上