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インドネシア

作成年月日:2017年2月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2017年1月

今月のテーマ

インドネシアのイスラム教について


イスラム教

インドネシアは国民の約9割がイスラム教徒で、世界最大のムスリム人口を誇るとされています。巨大な人口と広大な国土を持つインドネシアは宗教的な多様性があり、政府は各宗教を尊重する政策をとっています。

そういった信仰心からか、インドネシア人は温厚で女性や子供にやさしい気持ちを持つといいます。ただし、インドネシア人ムスリムの信仰実践は人それぞれです。厳格なムスリムもいれば、あまりこだわらないムスリムもいます。

テロに対する懸念

インドネシアでは最近シリアやイラクに渡り、いわゆるイスラム国(IS)などのイスラム過激派組織に参加する人が出ており、政府はテロなどの取り締まりを強化しています。しかし、残念ながら2016年1月にジャカルタ市内で爆発テロが起こりました。事件後まもなくしてISを名乗る集団が犯行声明を発表し、これは東南アジアで初となるISによるテロ行為とみなされ世間の注目を浴びました。 しかし、インドネシアの大多数のムスリムは、平和を愛する温厚な人々でテロなどとは無関係です。インドネシアからISに参加するムスリムも全体からみればごく少数で、テロとイスラム教を単純に結びつけるのはできないでしょう。ただし、ISに参加するインドネシア人の数は増えているうえ、テロ事件がおこってしまった現状に対し、インドネシア政府や国際社会がこれを警戒していることは事実です。私達、ジャカルタ在住邦人もこうったテロに対する危機感と安全管理について常に意識しておくことが重要です。

◆ お祈り(サラート・礼拝)

ムスリムは一日5回お祈りをします。(早朝4時半、正午、12時、18時、19時)街中のいたる所から大音量のアザーン(礼拝の時を知らせる集合の呼びかけのこと)が聞こえてきます。 夜も明けない早朝からの大音量でのため、駐在の際の日本人の住居選びではモスクの近くは避けることが鉄則となっています。就業中でも仕事の合間にオフィスビル内にあるモスクでお祈りをする人は多いです。そのため仕事や休憩時間は、あらかじめ考慮しておく必要があります。

◆金曜日の礼拝(ジュマタン)

毎週金曜日の正午前後(11:50〜12:45位)にはジュマタンと呼ばれる男性のみの金曜礼拝があり、金曜日はバティック姿の男性が多く見られます(バティックの着用を推奨しています)。多くの会社では金曜日は11時半から1時間半が休憩時間になっており、オフィスや工場で働く男性たちは一斉にムショラ(礼拝スペース)へ向かいます。そのため、インドネシアに進出する外資企業は敷地内にムショラ(礼拝スペース)を設けたり、金曜の昼休憩は通常より長くするなど宗教的な理解が必要となります。 身近なところでは、運転手のお祈りタイムを確保するため出発時間を早めたり、お昼のジュマタンの時間に移動が差しかからないように考慮している邦人も多いようです。このようにイスラム教に対して理解を持ち、立場を超えて配慮することが、お互いの信頼関係を醸成し仕事を円滑にすすめることにつながります。ただし、どうしても礼拝時間にお祈りの時間が取れない場合は、予め伝えておけば問題ない場合が多いようです。

◆女性のファッション

インドネシアでは「ジルバブ(多くの若い女性はヒジャブと呼ぶ)」と呼ばれるスカーフ着用した女性を多く見かけますが、ジルバブを着けない女性も少なくありません。これは女性がジルバブを被るかどうかは本人の意思に任されているためです。 最近では、流行のデザインのワンピースやハイヒールにジルバブを合わせるなどファッションとして受け入れられています。ジルバブにも流行の柄や巻き方があったり、アクセサリーで飾りをつけたり、メイクもジルバブの色とアイカラーやリップの色を合わせたり、ジルバブでのおしゃれを楽しんでいる女性も多く見られます。 若い女性は、宗教観としてジルバブを被っている人とファッションとして被っている人がいるようです。

◆ ハラール

ムスリムの人々は、イスラム法の教義に沿った形で処理された食べ物を食するということが戒律のひとつでもあります。イスラム法の教えで「許されている」という意味のアラビア語が「ハラール」です。逆に教義に乗っ取っていない事やものを「ハラーム」と言い、禁忌とされます。この「ハラール」「ハラーム」は食べ物だけをさす概念ではありません。 コーランの下では豚肉を食べること・触ること、アルコール摂取も禁じられています。その他の肉でも屠殺が正しい手順に従ったものでなければ「ハラーム」となり、食べることができません。このため、単純に材料表示だけを見て判断することができないので、正しい作法で処理されたかどうかを示す「ハラール」の表示が必要となるわけです。 ところが、インドネシアの人々は個人差もありますが「ハラールフード」に対するこだわりがそれほど強くありません。ジャカルタ市内のレストランでは、国外からきたチェーン店(例えば吉野屋)などでは「ハラール認証」マークが掲げられていることがありますが、他のお店ではそんなマークはあまり見られません。 豚肉を普通に調理して出している外国料理レストランも多数あります。地元の人々と外国人がそれぞれに食べられるものを注文する、といった光景もめずらしくはありません。しかし、なかには敬虔なムスリムで「豚肉を扱っている店には絶対行かない」「豚肉を食べる人とは一緒に食事をしない」という人もいます。どこまで厳密かは個人差がありますので注意が必要です。 また、気持ちや考え方のハラールも存在します。個人差は大きいですが、自分の心の中で「やってはいけない線」を持っている人がいます。信仰心が強い人ほど明確に持っている場合が多いので、難しい依頼をする場合は「あなたのハラール的に問題はないか?」と聞いてみると良いでしょう。インドネシア人の多くは、引き受けるときには意見を言わないが、ある日突然退職をしたりする場合がなどがありますので、注意が必要となります。

◆ ラマダン(断食月)

イスラム暦第9の月、ラマダンは断食(プアサ)の期間です。日本人には馴染みのない習慣ですがこの時期は運転手、メイド、会社で一緒に働いてる人など周りでも多くの人が断食をします。2017年は、5月27日から6月24日までの約1ヶ月間となる予定です。 この期間は日の出から日没までの間、イスラム教徒は飲食、喫煙、性交等を慎みます。断食月の開始日は毎年11日ずつ早くなっており、イスラム暦第8の月が終わった後の新月を確認し宗教省が発表します。 断食期間中は日の出前(午前3時頃)に朝食を取り、それから日没時(午後6時まで)飲食、喫煙等は禁止となります。午後6時以降、断食明け(ブカ・プアサ)となり飲食がOKとなります。道路や公共交通機関は帰路を急ぐ人で大渋滞になるので、モールには友人と食事をして渋滞を回避する人が多くいます。インドネシアのイスラムは中近東と違いかなり柔軟です。ムスリムでも断食をしない人もいます。 この断食期間中は、睡眠不足になりがちで交通事故も増加します。社員やドライバーなどなるべく残業しなくて済むよう配慮が必要です。また、日中は暑い中、水分も摂らず断食をしているのでいろいろな行動には充分な配慮が必要となります。なお、ラマダン期間中の勤務時間を1時間程度短縮したり、出社時間を早めたりしている日本企業も多くあります。

◆断食あけ大祭(レバラン)

イスラム教徒にとって最大のイベントはラマダン終了を祝う断食明け大祭(レバラン)です。2017年は6月25日と26日になる予定です。 日本でいうと盆と正月が一度に来たようなもので、この時期にレバランボーナス(THRと呼ばれる)の支給があります。通常1か月分ほどの給料です。THRに加えレバラン用の新しい衣服や土産用セット(食料品・日用品などの詰め合わせ)などを渡すこともあります。 通常レバラン休暇が1〜2週間ほどあり、学校も会社もほとんど休みとなります。レバランにあわせてほとんどの人が地方に帰省します。そのためこの時期のジャカルタ市内は車もバイクもほとんどなく道路はいつもとは違い、渋滞もなく静かです。 使用人(運転手やメイド)にもレバランボーナスと休暇を与えることが一般的です。店も閉まる所が多く学校もお休みとなります。ジャカルタに残っていても不便なだけという事あり、多くの駐在邦人はこの時期にバリ島や近隣のアジア諸国へ旅行に行く人が多いです。Idul Fitri(断食あけ大祭)の夜には街中で盛大に花火があがり、モールなど様々な場所がお祝いモード一色となります。

以 上