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インドネシア

作成年月日:2017年8月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2017年7月

今月のテーマ

「渋滞が深刻化するチカンペック高速」


首都ジャカルタから東方面に向かって73キロメートル先まで延びるチカンペック高速道路。1988年の開通以来、郊外の住宅街、港湾、工業団地、さらには中部ジャワや東ジャワとの移動を結んできました。ジャボデタベックと呼ばれるジャカルタ首都圏の拡大と車台数の急激な増加、工業団地の拡大によって最近は慢性的な渋滞に見舞われるようになりました。現在、1日にジャカルタに向かう車の台数は140万台、そのうち、チカンペック高速道路を利用する車が60万9千台と言われています。ジャカルタはすでに飽和状態であり、郊外エリアの開発が進められていますが、このような交通インフラは大きな課題です。そこで、以前から計画されていた交通インフラを改善するプロジェクトがようやく開始されました。チカンペック第2高速道路、ジャカルタ−東ブカシを結ぶLRT、ジャカルタ−バンドゥン高速鉄道の3つです。これらのインフラが整えば、慢性的な交通渋滞の改善も見込まれるものの、この3つのプロジェクトが同時に進行するため、現在、チカンペック高速道路はこれまでよりもさらに深刻な渋滞に陥っています。ジャカルタから工業団地へ向かうための40キロの移動に3時間かかることも当たり前になりつつあります。今回は、それぞれのプロジェクトと渋滞について紹介したいと思います。

◆チカンペック第2高速道路

チカンペック第2高速道路は、既存のチカンペック高速道路のチクニール(ジャカルタ)から西カラワンまでの36.84キロメートルに及ぶ区間を2階層にし、既存の高速道路の上層に新たに建設される高架道のことです。高速道路の中央分離帯に橋梁を建て、その上に道路を通し、上り2車線、下り2車線が建設される計画になっています。高速道路の上層で車線増設を行うため、新たに土地収用を行う必要がなく早期にプロジェクトが開始できる一方で、交通量が非常に多いチカンペック高速道路の中央分離帯で作業を行うため、建設中は1車線を封鎖してしまいます。交通に与える影響を抑えるため拡幅工事を行い、外側に1車線を増やし進められています。ですが、高架道を通すにあたり34箇所で既存のチカンペック高速道路の上を横切る道路があるほか、中央分離帯が大きくずれるチカランウタマ料金所、グランドウィサタ吊橋のケーブル、電灯、標識、配線、ガス管など、障害物が多くあります。2017年7月6日に開始されたプロジェクトは24ヶ月で完成させ、2019年の運用を目指していますが、一刻も早い完成が強く望まれています。

 

チカンペック第2高速道路が建設されるのは以下の9区間

・チクニール−西ブカシ区間(2.99キロメートル)

・西ブカシ−東ブカシ区間(3.63キロメートル)

・東ブカシ−タンブン区間(4.34キロメートル)

・タンブン−チビトゥン区間(3.30キロメートル)

・チビトゥン−北チカラン区間(4.46キロメートル)

・北チカラン−西チカラン区間(2.72キロメートル)

・西チカラン−チバトゥ区間(3.16キロメートル)

・チバトゥ−東チカラン区間(2.45キロメートル)

・東チカラン−西カラワン区間(9.79キロメートル)

 

◆LRTジャカルタ−東ブカシ間

LRT(Light Rail Transit)は、モノレールのような形をした高架式の次世代型交通システムのことです。ジョコウィドド大統領がアジアンゲームズの開催に向けて意欲的に推し進めているプロジェクトであり、2018年の運行を目指しています。計画としては、スカルノハッタ国際空港からクラパガディン、ボゴール、ブカシまで繋がれ、市内で建設が進められているMRT(Mass Rapid Transit)にも乗り継げるようになります。建設は段階的に行われますが、その1区が以下のようになっています。

 

・チャワン−チブブール(14.6キロメートル)

・チャワン−ドゥクアタス(10.5キロメートル)

・チャワン−東ブカシ(18.5キロメートル)

 

このなかでチカンペック高速道路の渋滞に影響を与えているのがチャワン−東ブカシ区間で、高速道路の北側に建設されています。すでに多くの橋梁が建てられ、橋桁が繋げられている箇所も増えてきています。チャワン駅から、ハリム空港前駅、ジャティブニン駅、チクニール駅、西ブカシ駅、東ブカシ駅と6駅が設けられます。今後は、さらにチカランまで路線を延ばす計画もあり、まだしばらくは渋滞の要因になりそうです。

◆ジャカルタ−バンドゥン高速鉄道

まだ、皆さんの記憶にも新しい、あの中国が受注したバンドゥン高速鉄道。土地の収容問題が長引き、これまで大きな進展はありませんでしたが、ワリニ(プルワカルタ)で2017年7月7日、ようやく工事が開始されました。まだ、40%近い土地の収用が解決されておらず、路線の大部分が通る西ジャワ州の副知事は8月上旬にはプロジェクトに必要な土地の選定を終え、早々に土地収容問題を解決すると話しています。路線は142.3キロメートルでガンビル駅(ジャカルタ)からハリム駅、カラワン駅、ワリニ駅、トゥガルアル駅(バンドゥン)、グデバゲ駅(バンドゥン)の6駅を36分繋ぐ計画です。ハリムからカラワンにかけては、チカンペック高速道路の近くを通る計画になっており、第2高速道路やLRTのプロジェクトに影響を与えることが懸念されています。当初の2019年完成予定から訂正され、2020年の運行を目指しています。

 

上記で説明したように、3つの大きなプロジェクトが早くても2019年ごろまでは続き、残念ながらプロジェクトが終わるまでは、現在の渋滞がさらに悪化することがあっても、改善されることは考えにくい状況です。チカンペック高速道路の利用が多い方は、どのようにして渋滞と付き合っているのでしょうか。いくつかご紹介したいと思います。

 

@高速道路の渋滞を避けるため一般道を利用する。

・カリマラン通り、ナロゴン通り、ジュアンダ・スディルマン通りなど

A移動前に交通アプリで渋滞状況を確認する。

・Google Map、Wazeなど

B交通量が多い時間を避ける。

・午前6時〜10時、午後4時〜9時

 

その他、ジャカルタから工業団地へ毎日通勤する方では、チカランエリアに転居する方も増えています。最近はチカランエリアの開発も目を見張るものがあり、アパートやレストランも充実しています。転居して1日の移動時間が4時間から30分に縮まった、という話も聞きました。今の状況では、渋滞対策を練ることが一番の業務効率化に繋がると言っても過言ではないかもしれません。出来る限り渋滞を避けて、効率的に時間を利用できるように渋滞事情を理解し、工夫することが求められています。

 

以 上