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インドネシア

作成年月日:2017年9月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2017年8月

今月のテーマ

「リッポーグループが手がける新たな都市開発」


インドネシアの大手財閥であるリッポーグループの大々的なセールスプロモーションが始まったのは、つい3ヶ月前くらいのこと。現地新聞各紙はおろか日本人向け新聞にさえも大きく一面を使った広告が何ページにもわたって連日掲載され、テレビやラジオをつけると必ずと言って良いほどCMが流れているばかりか、外出すれば至るところで旗や看板が掲げられ、あらゆるショッピングモールで販促ブースが構えられています。

リッポーグループが都市開発を手がける「メイカルタ」です。新しいプロジェクトが始まると通常広告や宣伝が盛んに行われますが、ここまで大規模なものは非常に珍しく、何らかのメディアに触れているとメイカルタの名前を見ない日はないと言っても過言ではありません。そのため、既にかなりの人々に周知されており、そのプロモーションの規模からメイカルタのプロジェクトに対するリッポーグループの意気込みが伝わってきます。

メイカルタはリッポーグループCEOであるジェームズ・リアディの母の名前であるメイとジャカルタから名付けられ、「インドネシア国内だけでなく東南アジアでもっとも美しい街」をコンセプトに掲げた、278兆ルピアを投資するリッポーグループ創業以来67年間で最大のプロジェクトと言われています。リッポーグループはこれまでにもリッポーチカラン、ブキットスントゥールボゴール、リッポーカラワチのように都市開発をしてきましたが、今回が9つ目の都市となります。

◆ロケーション

メイカルタはインドネシア経済の中心地であるジャカルタとバンドンの間に位置します。この地域には、周辺に6つの工業団地、4,000社の多国籍企業が存在し、実にインドネシア経済の60%に貢献していると言われ、さらにそのうちの80%がブカシ県チカランエリアに集中しています。メイカルタはまさにそのリッポーチカラン、ジャバベカ、デルタマスに囲まれた500ヘクタールにあたり、ジャカルタとバンドンを繋ぐチカンペック高速道路のチバトゥ出口を降りてすぐのところにあります。建設が進む現在は、高速道路を走るとメイカルタのロゴであるMという文字が書かれた色とりどりアドバルーンが無数に浮かび、建設現場の周りは完成イメージ図が書かれたフェンスで大きく囲まれているのを見ることができます。

 

◆交通アクセス・インフラ

周辺では多くの交通インフラに関わるプロジェクトが進行しています。どれも2020年前後の完成を目指して現在工事が進められていますが、メイカルタも2016年に建設が着工され、2019年の完成を予定しています。現在は複数のプロジェクトが重なり、慢性的な渋滞が大きな問題になっていますが、交通インフラが整備されれば、ジャカルタとのアクセスが大幅に改善され、首都機能がさらに広がると予想されます。

 

・パティンバン港(2019年開港、2022年完全操業予定)

・クルタジャティ国際空港(2019年開港予定)

・ジャカルタ−バンドン高速鉄道(2020年運行開始予定)

・チャワン−チカラン駅までのLRT(2019年運行開始予定)

・7箇所の工業団地を繋ぐ通勤鉄道(2020年運行開始予定)

・チカンペック第2高速鉄道(2019年開通予定)

 

◆都市構想

メイカルタはニューヨークや東京に学んだ世界水準のスマートシティの実現を目指しています。スマートシティの根幹となるのがグリッドシステム、セントラルパーク、市内公共交通機関の3つです。グリッドシステムとは、道路を区画に沿った格子状で整備することで、目的地までの分かりやすくシンプルな交通を可能にし、渋滞や通行止めが発生した場合もスムーズに移動できるためのものです。さらにメイカルタ内に100ヘクタールの敷地をもつセントラルパークは、人工池、遊歩道を備えることで市民の憩いの場になるだけでなく、雨季の洪水にも対応することができます。そして公共交通機関は各アパートや施設から徒歩5分以内(350メートル)で鉄道駅にアクセスできる利便性の高い移動手段となります。

 

◆発展のための5つの柱

都市として発展していくためには、他の都市の施設に頼らない独立した都市であることが求められます。メイカルタは、@インフラと交通の整備、Aハイテクビジネス集積地と研究機関、Bエコ環境、Cビジネス・商業拠点、D芸術・文化・教育・健康施設を5つの柱として捉え、発展のために必要な設備を整え、施設を誘致していく計画をしています。

・国内有名大学3校

・インドネシアのシリコンバレー

・産業研究センター

・100ヘクタールのセントラルパーク

・20万人を収容するコンベンションセンター

・5つ星ホテル

・国際金融センター

・30万平米のショッピングセンター

・ショッピングストリート

・10校の小学校、5校の中学校・高等学校

・オペラ・劇場

・国立図書館

・国営病院

 

◆販売状況

メイカルタはアパートを何百棟と販売する計画にしており、現在は、35階から46階建ての高層アパート200棟が建設中です。第1期の販売は50棟の売り出しが4月から始まり、現在までに117,797戸がすでに売れました。売上にして2.4兆ルピアにのぼります。これまでブカシエリアで建設されてきたアパートには高級なものが多かったのですが、1億ルピア代(日本円で100万円程度)から購入できるスタジオタイプの部屋の売れ行きがよいことから、メイカルタは中所得者層の購入が販売を牽引していると見られています。

 

◆メイカルタの問題

大々的なプロモーションと中所得者層からの関心の高さから販売が順調なメイカルタではありますが、建設許可や用地利用に関する一部の許可をまだ取得していないことが度々ニュースになり騒がれています。これが懸念となって購入を踏みとどまっている人たちも多くいるようです。西ジャワ州副知事のデディ・ミズワルは「国のなかに国を作るかのようだ」と非難しながら、建設や販売の一時差し止めを要求していますが、一向にメイカルタの勢いは止まりません。現在、メイカルタは許可申請の手続きを進めていると説明していますが、すべての許可が揃えばさらに勢いは増し、ジャカルタを超える都市がメイカルタに実現するかもしれません。

 

以 上