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インドネシア

作成年月日:2018年6月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2018年5月

今月のテーマ

「西ジャワの新たな玄関口 クルタジャティ国際空港」


2018年5月24日、大統領専用機に乗ってジョコ・ウィドド大統領が完成したばかりの新空港の開港式典に駆けつけました。西ジャワ州のマジャレンカ県に建設された新空港の名前はクルタジャティ国際空港、またの名を西ジャワ国際空港(Bandaraudara International Jawa Barat)といいます。ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港とバンドゥンのフセイン・サストラネガラ国際空港に集中していた機能を拡張し、西ジャワ州の経済促進の火付け役になることが期待されています。今回は開港したばかりのクルタジャティ国際空港についての現状と今後についてお話したいと思います。


クルタジャティ国際空港があるマジャレンカ県は、ジャカルタから東方向の日系企業が集積するブカシ、カラワン、プルワカルタよりもさらに先にある棚田や湖などの自然に恵まれた地域です。ジャカルタからはおよそ150キロメートル、バンドゥンから100キロメートルほどの距離です。4,300万人もの人口を擁する西ジャワ州からアクセスできる空港は、これまでジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港、ハリム・プルダナクスマ国際空港、バンドゥンのフセイン・サストラネガラ国際空港がありましたが、慢性的な渋滞のために移動時間が読みづらく、渋滞がひどい日には5時間以上かかっても到着できないことさえあります。本来、空港は交通インフラの機能を果たし、移動を容易するためにあるのですが、その空港までの交通環境が問題になっていました。そのため、クルタジャティ国際空港のプロジェクトが立ち上がり、2009年に土地収用、2013年に建設が始ると、渋滞の深刻なジャカルタ方向とは反対側にできるクルタジャティ国際空港に日系企業も注目したのです。


クルタジャティ国際空港は、5,000ヘクタールの土地に、長さ2,500メートル、幅60メートルの滑走路が1本、96,000平方メートル3階建てのチレボン特有のバティック柄で装飾された乗客ターミナルが備えられました。現在のところ、空港内のファシリティやテナントはまだ準備中ですが、年間利用者数は500万人を見込んでおり、段階的に滑走路を延長、増設し、設備を整えながら、年間で6,000万人を受けられるようにする計画です。


ジョコウィ大統領の開港宣言を終えて、6月8日に商用利用が開始されました。記念すべき最初のフライトはガルーダ・インドネシア航空の子会社であるシティリンクでした。スラバヤから80人乗りの飛行機が到着すると、伝統的に新機体、新空路、新空港の祝福で行われる水掛けの儀式で迎え、はじめての乗客がクルタジャティ空港に降り立つと、空港職員らが花のリースを乗客の首にかけて歓迎しました。その後、シティリンクの飛行機は120人の乗客を乗せてジュアンダ国際空港へ再び戻りました。


現在、フライトが開始しているのはシティリンクのみで、レバランの帰省需要に応えるためにいち早く追加便として就航を開始しました。レバランの期間中は1日1便のみ、クルタジャティとスラバヤのジュアンダ国際空港間に限って就航していますが、帰省のための交通手段としての関心を集めています。すでにオンライン航空券販売サイトのトラベロカで航空券が購入できるようになっており、6月8日からクルタジャティ−スラバヤ間の航フライトを組み合わせた航空券が販売開始されています。航路によっては2度のトランジットが必用になるところもありますが、以下がトラベロカで確認できるフライトと料金です。クルタジャティ−スラバヤ間は、70万〜80万ルピアするジャカルタ−スラバヤ便よりも安く利用できるようです。


1. ジャカルタ−クルタジャティ(170万〜310万ルピア)

2. ジョグジャカルタ−クルタジャティ(93.3万〜300万ルピア)

3. スラバヤ−クルタジャティ(52.6万ルピア)

4. バリ−クルタジャティ(100万〜360万ルピア)

5. メダン−クルタジャティ(270万〜310万ルピア)

6. ランプン−クルタジャティ(150万〜250万ルピア)

7. バリックパパン−クルタジャティ(300万〜430万ルピア)

8. ロンボク−クルタジャティ(110万〜480万ルピア)

9. バンドゥン−クルタジャティ(240万ルピア)

10. マカサール−クルタジャティ(200万〜420万ルピア)


帰省需要に対応するためインドネシア国内で392便を増便するシティリンクのほかにも、西ジャワ州の潜在力に期待するライオンエアー、ウィングスエアーもクルタジャティからメダン、マッカサル、スラバヤ、バリ、バリックパパンの5都市をつなぐ空路でレバラン期間のフライト枠の申請をしています。また、ガルーダ・インドネシアもクルタジャティ空港への就航に向けて準備を進めています。7月1日以降レバランが終わり、レギュラー便に戻るあたりから、ますます航空会社も空路も増えていきます。さらに政府はマジャレンカ周辺から出発するメッカへの巡礼団もクルタジャティ空港で対応できるようにしたい考えがあり、2019年の国家予算で巡礼団のための宿舎建設する計画のようです。現在の滑走路ではサウジアラビアまで飛ぶボーイング777が利用できないため、年内を目標に滑走路を3,000メートルまで延長することになっています。


クルタジャティ空港までは、まだ電車が繋がっていませんが、アクセスの良い空港を目指し、すでに国営バス会社のダムリがフライトスケジュールに合わせてバンドゥン、チレボン、クニンガン、ブカシまで毎日バスの運行を開始しています。路線によって一人当たり4万〜7.5万ルピアで利用でき、他のバス会社も運行を開始するようになると、周辺の地域への運行路線も増え、バス会社のサービスもますます良くなってくるでしょう。現在のところ、東西のブカシ方面やチレボン方面からはチコポ−パリマナン(チパリ)高速道路のクルタジャティ降り口から一般道でアクセスできるほか、南のバンドゥン方面から空港までを繋ぐチレウニ−スメダン−ダウアン(チスマダウ)高速道路が建設中です。まだ少し先になってしまいますが、2020年にチスマダウ高速道路が完成し、チパリ高速道路も中部ジャワ州まで連結されると、一層空港までのアクセスは良くなると期待されています。

 

クルタジャティ空港の開港をきっかけに高速道路が建設され、西ジャワ州の各地への交通網が改善されると、周辺地域に大きな経済効果がもたらされると見られています。経済拠点としてのチレボンや観光拠点としてのクニンガンへの空港や高速道路を利用した移動が増えると、空港や高速道路の利用者に向けてホテル、レストラン、その他の施設が増えるでしょう。また、同じく西ジャワ州のスバン県には、パティンバン港という国際港が建設される計画があります。パティンバン港はクルタジャティ空港から40キロメートルほどの距離にあり、高速道路で100キロメートル圏内にはブカシ、カラワン、プルワカルタの工業団地があります。空港の近くにはあらたに3,000ヘクタールほどの工業団地も建設される予定で、四輪をはじめとする様々な商品の輸出入の拠点として、ジャカルタのタンジュンプリオク港の負担を軽減し、人と物の移動がますます活発になるでしょう。インドネシア国内の各地でインフラ整備が進み、たくさんのプロジェクトが進んでいますが、特に人口が集中するジャカルタ、西ジャワ地域にクルタジャティ国際空港が誕生することにより、利用者が分散され、経済圏がより広範なエリアに広がり発展していくきっかけになると期待されています。

 

以 上