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作成年月日:2019年1月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2018年12月

今月のテーマ

「課題は公共交通機関の統合」


世界でもっとも人口が集中している都市のひとつに数えられるジャカルタは、およそ1,000万人、ジャボデタベックとよばれる首都圏では、およそ3,000万人もの人口を擁しています。その人口に対する道路面積が小さすぎるために慢性的に深刻な渋滞が発生しており、いまや渋滞はジャカルタを揶揄する代名詞になってしまいました。これまでジャカルタではスリー・イン・ワンと呼ばれた車一台につき乗車人数が3人以上でないと通行できない区間を設けたり、アジア大会が開催後はナンバープレートの最後の数字が偶数なのか奇数なのかによってその車両の通行できる日に制限がある区間を設けたりなどし、渋滞対策を打ってきましたが根本的な解決には繋がっておらず、移動時間が読めないで無駄に時間を使ったり、前述の交通規制のために移動自体が制約される事態になってしまっています。今年1月に、ジャカルタ州のアニス・バスウェダン知事が、「渋滞による経済損失は年間で100兆ルピアに達する」と発表しましたが、それほど緊急性の高い社会問題となっています。

 

現在、インドネシア各地で公共交通機関や高速道路、橋梁などインフラの整備が進められていますが、ジャカルタでも車に代わる公共交通機関の拡充を進めています。

これまでジャカルタにあった公共交通機関としてはオランダ統治地時代に整備された鉄道がありましたが、首都圏をカバーしきれておらず、かなり限られた場所での移動しかできません。2004年からはトランスジャカルタと呼ばれるバスウェイが整備されました。このトランスジャカルタは現在まで13路線が敷かれ、ジャカルタ州内の広範な地域がカバーされたため利用しやすくなりましたが、乗車可能人数の制約や渋滞の影響を受けてしまうため、十分な移動手段とはまだ言えません。

 

ですが、ここ数年でようやくスカルノ・ハッタ国際空港と都市部をつなぐジャカルタ空港鉄道が運行開始し、そのほかのMRTとばれる一部地下鉄を含めたジャカルタ都市高速鉄道やLRTと呼ばれるモノレールのような高架型鉄道という以前から計画されていた輸送手段の建設が進んできました。MRTは次期大統領選を目前とした今年3月から運行が開始されることになっています。

 

そもそも渋滞の問題は、公共交通機関計画と都市計画が一体化していないことにありました。そのため他国のように大きな駅前に人が集まる商業施設やオフィス、マンションが並ぶ光景がジャカルタにはなく、公共交通機関を利用しても駅からの移動手段が別に必要になってしまっています。まず、インドネシア鉄道、トランスジャカルタ、ジャカルタ空港鉄道、MRT、LRTをうまく連携させ、首都圏の移動を公共交通機関でカバーしないことには利用者は伸びず、渋滞の解決には繋がらないのです。しかし、ジャカルタ首都圏における公共交通機関の管理には運輸省だけでなく、ジャカルタ特別州やその周辺の州政府も関わっているため、権限が集中しておらず、そのため統合に向けた調整が進まないことが最大の課題となっています。

 

インドネシア鉄道、トランスジャカルタ、ジャカルタ空港鉄道、MRT、LRTを連携させるためには、「運賃」、「路線網」、「駅」の管理を統合する必要があると政府は考えています。それぞれの運賃をバランスよく設定し、支払いシステムも統一しなくてはなりません。また、それぞれの公共交通機関が交わる場所では、スムーズな乗り換えができるようにすることも不可欠なため、インドネシア鉄道、トランスジャカルタ、ジャカルタ空港鉄道、MRT、LRTの駅が集まるドゥク・アタスなどでは駅間の移動がスムーズになるように工事が進められています。

 

現在、ジャカルタ特別州における公共交通機関の利用率は20%程度だと言われています。アニス州知事はジャカルタ特別州内の90%以上の地域に公共交通機関でアクセスできるようにしたいと話しており、利用者が増えれば車両数も増やしたい意向です。利用者を増やすためにはそれぞれの公共交通機関の統合が鍵になるため、ジャカルタ特別州政府を中心として統合に向けた権限をもつ新たな組織の形成も検討されています。

 

○トランスジャカルタ

路線数 :13路線

総営業距離 :251,2キロメートル

停留所数 :260箇所

平均乗車人数 :65万〜67万人/日

○KRTジャボタベック(首都圏コミューターライン)

駅数 :79駅

総営業距離 :418,5キロメートル

車両数 :900車両

平均乗車人数 :100万人/日

○ジャカルタ空港鉄道

総営業距離 :36,4キロメートル

駅数 :5駅

平均乗車人数 :2,600〜2,700人

乗車料金 :70,000ルピア

○LRTジャボデタベック第1区

総営業距離 :43キロメートル

駅数 :16駅

営業開始予定 :2019年中旬

工事進捗率 :ジャカルタ 90%

ジャボデベック 50%

乗車運賃(予定) :12,000ルピア(最長区間料金)

○MRTジャカルタ・第一フェーズ

総営業距離 :15,7キロメートル

駅数 :13駅

営業開始予定 :2019年3月

工事進捗率 :98%

予定乗車人数 :173,400人/日

乗車運賃(予定) :8,500〜10,000ルピア

 

以 上

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