OVTAは企業と国際化と人づくりを応援します。
![]()
韓国の職業訓練制度は、1967年の職業訓練法の制定により正式に導入された。職業訓練政策の枠組みは、雇用者に労働者への職業訓練を義務付ける1976年の職業訓練基本法の制定と施行で確立した。義務的な職業訓練の主要目的は、産業界に技能労働者を供給することであった。高等教育へ進学しない若年者を主要産業の専門技術者に育成することで、職業訓練制度は韓国の経済発展に大きく貢献した。
1995年の雇用保険制度の導入に伴い、産業構造の急激な変化に対応する必要性が増し、より高度な訓練及び在職者の配置転換のための訓練が重要になってきた。こうして職業訓練の中心は、“技術者育成”から“生涯職業能力開発”へと転換する必要に迫られた。これを受けて政府は職業訓練基本法に替えて、1999年1月に勤労者職業訓練促進法を施行した。同法の導入により、義務的な職業訓練制度は廃止され、雇用保険制度の下で統合された職業能力開発制度が実施された。
知識集約型の経済及び生涯学習社会への転換に対応して、労働者は、その一生を通じてその職業能力を開発しなければならない。この必要性を認識して、2004年12月31日、政府は既存の勤労者職業訓練促進法を全面的に改正し、勤労者職業能力開発法と名称を変更した。改正法の下で、2005年4月職業能力開発のための技術革新イニシアチブ及び2006年5月生涯職業能力開発のための技術革新イニシアチブが積極的に実施された。2008年12月、勤労者職業能力開発法の一部が改正され、職業能力開発記録制度が新たに導入された。職業能力開発記録制度は、個人の職業訓練と訓練履歴を包括的に管理することにより、訓練の効果と効率が高まると期待されている。
リストラの影響により失業率が上昇し、政府は職業訓練による労働者の雇用可能性の強化に取り組み、社会的セーフティネットの拡大と密接に関係する人材開発に全力を注いだ。1998年以降、人材開発政策の焦点は、技能労働者の訓練から失業中の労働者の再雇用促進及び労働者の職業能力向上に向けた訓練に移行した。それに伴い、失業者の再雇用訓練及び就業中の労働者に対しては、失業防止のための技能向上訓練を提供する大規模プログラムが実施された。経済停滞及び労働市場における変化により、2001年には、新規大学卒業者及び在職者に対する職業能力開発訓練により一層の重点が置かれた。
21世紀の知識労働者に対する需要の拡大を満たすため、政府は、知識基盤産業の需要に合致するような訓練カリキュラムの再編を実施し、国家資格制度の改革及び民間訓練機関への援助を強化している。同時に政府は、労働者が初めて仕事に就いてから退職に至るあらゆる段階での労働者の職業能力開発強化に焦点を当てている。2012年までに10万人の国際的人材を養成する新政権の計画では、その内訳が、3万人を海外でのインターンシップ、5万人を海外での就業、2万人を海外ボランティアサービスへの派遣となっている。この目的のために労働部は、産業界、大学及び政府との緊密な協力のためのネットワークを構築し、競争力のある民間部門の潜在能力を最大限に活用している。
女性の雇用を促進するために、労働部は、1)パートタイム雇用データベースの構築、2)育児あるいは学習のための労働時間短縮要請に関する権利の導入、3)有期雇用労働者の雇用期間制限の適用外とされるパートタイム雇用の拡大等の現行制度の改善を計画している。特に主婦を対象として、2012年までに訓練、就職及び育児センター情報に関するワンストップサービスを提供する「女性の職場復帰センター」を全国に約100カ所設置する方針である。
能力開発に関与する組織は、労働部、職業訓練実施者及び企業である。
| 種 類 | 特 徴 | |
| 公共訓練実施者 | 公的組織 |
|
| 地方政府 |
|
|
| 政府機関 |
|
|
| 民間訓練実施者 | 訓練組織 | 技能開発プログラムとして労働部から認可を受けたNPOにより運営される訓練施設 |
| 女性人的資源開発センター | 女性の能力開発に関する枠組み法に沿った、女性の職業能力開発を目指すセンターの設立及び運営 | |
| 労働部指定の訓練実施者 |
|
|
| 労働部の指定のない訓練実施者 | 雇用主、雇用主組織及び学校等で高等教育法の下で設立されたもの。指定を受けていないが職業能力開発訓練の認定カリキュラムを提供 | |
| 実施機関 | 特 徴 |
| KPU | 技術者等の中級技能労働力の養成(6カ月〜1年)及び多種技能を持つ技術者の養成(2年間)。全国に11大学29キャンパス。 |
| KUT | 理論及び実務両面の専門能力を持つ職業訓練指導員の養成(4年コース)。 |
| 韓国HRD | 短期訓練の提供。資格試験の実施及び技能促進。6カ所の地域本部及び17カ所の支部。 |
| KCCI管轄の職業教育訓練センター | 高等教育に進学しない若年者の訓練。目的は、労働力不足にあるセクターに対する技能労働力の提供。現在、全国で8カ所の訓練センターを運営。 |
図3‐2 総合的な制度に関与する組織

| 分 野 | 訓練の種類 | 対象グループ |
| 在職者訓練 |
|
現在雇用されている者 |
| 離職者訓練 |
|
失業者 |
| 雇用促進訓練 |
|
農民、漁民の貧困層及び低所得層の者 |
| 人材育成訓練 |
|
高等教育に進学しない若年者 |
失業給付、職業能力開発事業及び雇用安定事業から構成される雇用保険制度は、労働者のための主要な財政資源として機能している。失業給付の保険料は、雇用主及び労働者がそれぞれ50%負担することになっている。一方、職業能力開発事業及び雇用安定事業に関する費用は、雇用主のみが負担する。
労働部は、毎年韓国の職業能力開発の実施状況に関する統計を公表している。訓練参加者の総数は増加しているが、在職者訓練の増加が主な要因である。
| 項 目 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | |||
| 人数 | 金額 | 人数 | 金額 | 人数 | 金額 | |
| 合 計 | 3,086 | 10,794 | 4,085 | 12,431 | 4,464 | 12,761 |
| 失業者及び障害者 | 84 | 1,910 | 93 | 2,165 | 94 | 2,166 |
| 在職者 | 2,942 | 4,628 | 3,930 | 5,898 | 4,313 | 6,411 |
| 技能不足分野 | 60 | 4,256 | 62 | 4,368 | 57 | 4,184 |
ここ数年、職業訓練に支出される費用はあまり増加していない。2008年に民間企業が従業員者1人当たりに支出した訓練費用は3万ウォンであるが、職業訓練支出の割合は総労務費のわずか0.8%である。
| 項 目 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 |
| 費用(ウォン) | 27,000 | 27,000 | 30,000 | 30,000 |
| 割合(%) | 0.8 | 0.8 | 0.8 | 0.8 |
韓国は、1970〜80年代にかけて外国及び国際機関から職業訓練分野での援助を受け、この援助は韓国の経済発展に貢献した。しかし、1980年代末以降、韓国は職業訓練分野の国際協力に参加し始めている。この協力事業の1つとして、1989年、韓国HRD(Human Resources Development Service of Korea:韓国産業人力公団)は、技能労働者のための職業訓練実施及び最新の情報の相互交換を通した高度技術の導入を目的とし、またアジア大洋州地域における経済社会開発促進のため、国際協力プログラムとしてソウル高度技術職業訓練機関(Seoul Institute for Vocational Training in Advanced Technology:SIVAT)を設立した。SIVATの主要な機能は、1)APSDEP(Asia and Pacific Skill Development Programme:アジア大洋州技能開発プログラム)の参加国への高度訓練、2)開発途上国のための向上訓練、3)協力プロジェクトの実施、4)国外勤務のための専門訓練、5)研究開発を通した職業訓練情報の交換、6)カリキュラム、教育方法及び訓練教材の開発、7)最先端技術の導入である。1989〜2007年の間にSIVATは、3,167人に対して訓練を実施している。2003年、SIVATは、ASPDEP参加国を含む20カ国からの269名の参加者に対し、技能向上訓練を提供した。
韓国の職業能力開発プログラムは、1960以降経済の発展と産業の要請に大いに貢献してきた。近年、企業における職業能力開発費用の支出額は増加している。しかしながら、大企業と中小企業における従業員の職業能力開発にかける支出額の差は拡大してきている。2004年では、3万9,800ウォンであったが2007年には4万9,800ウォンとなっている。大企業において、従業員の訓練をより多く実施している傾向を表している。
| 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
| 中小企業(10〜299人) | 7.7 | 7.7 | 8.0 | 8.3 |
| 大企業 (300人以上) | 47.5 | 55.4 | 57.4 | 58.1 |
韓国ポリテクニック大学(Korea Polytechnic Colleges:KOPO)は、韓国で最大の公共職業教育訓練機関である。韓国労働部の傘下にあり、11のポリテクニック大学と29のキャンパスがある。1982年の設立以降、KOPOは、国の社会経済開発に多大な貢献をしている。教員の23%が博士合を取得しており、1クラスの平均学生数は30人である。
KOPOは、科学、工学、研究、及び技術教育における優れた人的資源である。KOPOは、IT、機械、電子のような広範囲の分野で労働部に認定された学位の授与を行っている。KOPOは、最新の物理学やコンピュータのインフラを保有し、実験施設や実習設備も完備している。毎年20万人以上の学生がKOPOに通学している。学資援助を受ける学生の割合は高いが、そうした学生の大半は卒業後6カ月以内に就職している。
KOPOでは、変化する労働市場の需要を満たすため市場指向の教育に専念している。KOPOにおいて、学生たちは専門職に就くための能力、あるいは、職務遂行レベルを向上させる能力を修得している。KOPOは、人的資源と専門的知識を使って国の開発の取り組みを支援するために、労働力開発プログラムとサービスを企業及び産業界に提供している。
KOPOは、世界中の数多くの学術機関と協力的な関係を持ち、これら国際組織と共有している知識と経験によって、KOPOの卒業者を国際的労働市場に適応させている。KOPOは、韓国国際協力団(Korea International Cooperation Agency:KOICA)のコンサルタント派遣プログラムや韓国輸出入銀行(Eximbank)支援のプロジェクトにも定期的に参加しており、国家開発に関する技術教育分野において数十年にわたって得た貴重な経験も取り込んでいる。過去に、モロッコ、スリランカ、コスタリカ、ニカラグアへ専門家を派遣している。
【組織構造】
KOPOは、全国の7つの地域ポリテクニック大学と4つの専門ポリテクニック大学の共同体である。専門ポリテクニックには、いずれもアソシエイト(准学士)キャンパスはないが、各地域ポリテクニックには、多くのアソシエイト・キャンパスがある。アソシエイト・キャンパスは、ポリテクニック・カレッジ(PC)又は職業訓練協会(VTI)のどちらかである。全部で29のアソシエイト・キャンパスがあり、このうち13がPCであり16がVTIである。共同体の構造と構成する組織の指導スタッフは図3‐3に示す。
図3‐3 韓国ポリテクニック大学(KOPO)の組織

会長/CEOはKOPOの最高経営幹部でありソウルに設置されているKOPOの本部にいる。会長/CEOは評議委員会に報告を行い、計画・管理・技術革新局の長が彼を補佐する。監査局の長は、評議会に対して直接報告する。地域/専門ポリテクニック及びアソシエイト・キャンパスは、それぞれ学長及び副学長が指揮を執る。計画・大学・企業関連部の長及び総務管理部長、学部長が各学長を補佐する。また、組織図に示されているチーム調整員や学部長が副学長やアソシエイトPC及びVTIの長を補佐する。
図3‐4 指導者人員組織図

【提供プログラム】
KOPOは、定期コース及び短期コース向けに多種のプログラムを提供している。下記は多技能技術者向け及びマスター技能者向けコースのリストである。
| 機械工学 | オートメーション学科 | デザイン工学 |
| - コンピュータ応用機械 - コンピュータ応用機械設計 - ナノテクノロジー - 工業装置の自動化 - 建設の自動化 - CAD & モデル化 - 先進新材料の利用 - 建設機械の自動化 - 鋳物成型 - コンピュータ応用金型及び鋳型 |
- システム制御 - 自動システム - メカトロニクス - 自動ロボット - ロボットシステム - 半導体システム |
- 宝飾工芸 - 工業デザイン - 視覚デザイン |
| 建築工学 | 繊維ファッション工学 | 航空工学 |
| - 建築・リフォーム - インテリア・デザイン |
- テキスタイル・カラー - テキスタイル・デザイン - ファッション・デザイン - ファッション・メーク - ファッション・マーケティング - ニット・デザイン - 織物デザイン |
- 航空技術 - 航空電子 - 航空メンテナンス技術 - 航空メカトロニクス - 航空電気技術 - 航空情報及びデータ通信 |
| 電気工学科 | 情報メディア学科 | バイオ学科 |
| 電子 - 電気学 - エレクトロニクス - 情報通信システム - 光電子 - デジタル設計 - 通信及び電子 - 電気計測と制御 - デジタル・ディスプレイ 電子 - モバイル情報通信 - ユビキタスシステム - 情報通信及びホームネットワーク |
- マルチメディア - デジタル放送 - インターネット・メディア - コンピュータ・ゲーム - コンピュータ情報 - デジタル情報 - 視覚メディア - コンピュータ・アニメーション - ゲームコンテンツ |
- バイオ文化進捗状況 - バイオ・フード - バイオ品質管理 - バイオ技術 - 実験動物医学 |
| 自動車工学 | その他 | |
| エンジニアリング - 自動車 - 自動車力学 - 自動車メンテナンスと試験 - 自動車チューニング |
- 環境化学 - ダイビング産業 |
このページの内容をプリントアウトしたい方は、以下のPDFファイルをクリックしてください。
韓国−職業能力開発の政策とその実施状況のPDFファイル(88KB)
掲載されている内容をご利用になる際は、こちらを一読いただきますようお願いいたします。
各国の情報はPDFファイルでも作成されています。PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されています。ダウンロード・インストールする場合には、下のアイコンをクリックしてください。
![]()