韓国
作成年月日:2009年9月16日

4.1 職業能力基準
4.1.1 制度概要
韓国の職業能力制度は長い間、政府によって管理されてきた。職業能力制度は、学位とは異なり、個人の職業能力を評価し特定するための手段である。資格と学位は、生涯学習を促進するために関連付けられている。韓国の生涯学習認定とは、単位の積み重ねや自己学習及びそれに対する教育評価によって行われる。国家の資格、公認された民間資格、又は民間認定の資格を得ると、同時に学位を取得するのに必要な単位の免除が得られる。つまり、韓国の国家の資格制度は学位制度、職業上の資格制度、及び他の認定制度から成る。
- 沿革
1958年以来、韓国の職業上の資格制度は韓国の工業化に関連し4段階の変化を経てきた。韓国の経済は1960年代から急速な成長を経験し、その産業構造は農業分野によって支配されるものから製造業部門主導へと発展した。以下、各段階の概要である。
- 第1段階(1958〜1972年)「分散管理の時代」
1950年代終盤以来、事務系管理資格試験は民間部門によって管理され、一方の技術的な資格は各産業によって管理されていた。1967年に技術的な資格の統合が始まり、職業訓練法(Vocational Training Act)に沿って技術試験制度が設立された。
- 第2段階(1973〜1981)「統合管理の時代」
1973年の国家技術資格法(National Technical Qualification Act)の制定により、すべての技術的な資格の統一管理が可能となった。当時の科学技術部の管轄下にあった韓国技術試験公団(Korea Technical Examination Corporation)は、技術的な資格試験を管理した。この制度に基づき資格を改善したことで、技術者に自信を持たせ、社会的地位を向上させ、技術的労働力の有効性拡大を成功させた。さらに、技術教育と職業訓練制度の改善により、産業界の需要を満たすことができた。最終的に韓国政府は、1980年代の高度工業化政策を効果的に支持する、有資格技術労働人口を増加させることができた。
- 第3段階(1982〜1996年)「拡大と再強化の時代」
1981年の国家技術資格法の改正で、技術的な資格を管理する責任は科学技術部から労働部へと移管され、韓国技術試験公団は韓国職業訓練管理公団(Korea Vocational Training Management Corporation)へ併合された。また、技術資格制度審議委員会が設立され、民間での技術資格交付が禁止され、類似の試験は制約を受け、法定の技術資格保持者が優遇された。また、不正行為を行った者はその後3年間受験することが許されないなど、資格制度に関連する罰則が増やされた。
1983年には、サービス関連の資格が既存の制度に追加された。さらに、補完的な教育が提供され、特定の場合においては試験が免除される科目が許可され、一定期間が経過した後は再登録を強制とし、技術的な資格を持つ者の開業時には優遇を与え、適用範囲が拡大された。1995年には、国家技術資格法の施行令に沿って多技能技術者のための19の技術的な資格が新たに創設された。
- 第4段階(1997〜現在)「役割分担の時代」
1997年3月の職業資格基本法(Basic Act on Vocational Qualifications)の制定により、公認の民間資格制度が導入されたことで、職業上の資格制度は多角化を続けている。国家技術資格制度は8つのレベルを5つに簡素化すると同時に、工学と技術者分野を統合した。また、学術的学位より実務経験に重点を置くため、申請要件として必要な実務経験の年数が減らされた。さらに、国家と類似の試験を実施した民間団体に課せられる罰金を増額した。
中・長期的展望に立って体系的に国家技術資格試験制度を運用するため、2006年12月に「国家技術資格検定制度改善のための第1次基本計画2007〜2009」が制定された。産業界の需要の変化と技術進歩に適応するために、国家技術資格取得者の職業能力強化訓練プログラムや、実施団体と施設の管理費用を負担する補助制度の導入による、資格の実用性と使用の向上を狙った施策が実施された。
- 職業上の資格システムの総合的な分類
韓国の職業資格制度は、国家の職業資格と民間の職業資格に分けられる。国家の職業資格は、労働部によって国家技術資格法に基づき管理される「国家技術資格」と、関連法に基づき各部庁によって管理される「国家資格」に分類される。現在、586の国家技術資格と128の国家資格がある。
図4‐1 韓国の資格制度の構造

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- ※出典:
- Ministry of Labor,
http://www.molab.go.kr/Source:
http://www.molab.go.kr/oneclick/work12/sub06.jsp
民間資格は、公認の民間資格(67の項目)と、民間団体によって治められる民間資格(約600の項目)に分割される。民間資格は企業内資格を含む(資格は雇用主によって労働者に与えられる)。現在、78の企業内資格が労働部によって支持・承認されている。
- 国家資格の管理
国家技術資格は、合計43の政府部庁の中の該当する部によって管理されている。合計586の国家資格の項目があり、17の政府部庁と委員会によって運営管理されている。国家資格は専門職務を対象とする。新たな項目は、政府部庁に必要と認められると加えられる。
- 国家資格の運営
国家資格制度の一般運用は、国家技術資格法に従って労働部によって行われる一方、試験問題作成、試験実施管理、受験者登録管理、補完的な教育など資格試験に関連する事柄は、有効な法令に従って、韓国人的資源開発サービスと韓国商工会議所及び産業界により取り扱われる。
韓国人的資源開発サービスは、工学、技術関連、及びその他数種のサービス分野の試験を管理し、韓国商工会議所は、商業サービス分野の試験を管理する。しかし、現役の軍人と軍に携わる民間人のための試験は国防部によって管理され、一方、無線通信技術者、無線通信産業技術者、無線通信技師などの受験登録、証明書配布、受験登録データ変更は情報通信部に取り扱われる。
国家技術資格制度の運営に関すること、例えば、資格と階級の追加・統合・廃止、試験の基準や方法論、試験項目、試験運営の調整、有資格者のための優遇措置の開発、試験制度の開発、合否判定の例外基準、技術資格試験の民間委託、民間技術資格の認可などの事項は、技術資格制度審議委員会(労働大臣の諮問委員会)によって検討される。委員会は、関係部庁と専門家の公務員で構成され、国の技術的な資格制度に関する運営方針を反映させる。
- 民間資格の運営
民間資格は、特定の法的裏付けがなく民間部門によって管理されてきた。珠算、簿記、タイプライティングなどの事務管理資格は、当初は民間部門によって付与されていたが、後に国家技術資格制度に統合された。1997年の資格基本法により、公共の意識が高まり始めた。今日では推定約800の民間資格が存在する。
1997年に資格基本法が施行・公布されたことに伴い、韓国政府は、政府が資格の質を保証する公認の民間資格制度を管理している。この制度の下では、韓国政府は韓国職業教育訓練研究所(Korea Research Institute for Vocational Education and Training:KRIVET)の調査と研究の結果に基づき、民間組織によって管理された民間資格を認可する。下図は、この制度がどのように運営されているかを示す。現在、合計70の民間資格が認可されている。
図4‐2 公認民間資格制度の運営構造

- 企業内資格の特徴
企業内資格とは、雇用主か雇用主グループ(雇用主の協会か提携の場合もある)により、その事業分野に従事する労働者の能力を開発し向上する目的で、決められた手順に則って査定され承認される職業上の資格のことである。企業内資格は、企業が労働者の生産性を改善し、労働者が職務遂行能力を身につけることを補助できる点で非常に重要である。また、企業は、職務遂行能力の評価を人事管理上の意思決定に反映させることによって、労働力の増強に企業内資格を利用できる。企業内資格の国庫補助の拠出は、1999年2月4日に制定された企業内資格試験補助規則に基づく。これらの規則は労働者の職業能力と技能を開発するために、雇用主によって管理された企業内資格試験の基準と援助範囲を指定する。現在、これらの規則に沿って78の資格項目が承認されている。
4.1.2 整備状況
- 資格制度の分類
現在の国家技術資格制度は5つの異なった階級に分類される。下から、技能士(Craftsman:CR)、産業技師(Technician:TE)、技師(Engineer:EN)、技能長(Master Craftsman:MCR)、技術士(Professional Engineer:PE)である。サービス区分は、経営管理と専門職に分けられる。経営管理には3つの階級があり、専門職下には2つの階級がある。
図4‐3 国家技術資格の分類

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- 資格の種別と項目
技術分野には、機械、金属、化学工学及びセラミクス、電気、エレクトロニクス、通信、造船、航空、土木工学、建築、繊維、鉱物資源、情報処理、土地開発、農業・林業、工業デザイン、エネルギー、安全管理、環境、応用産業、輸送、陶器、食物、衛生、労務分野以下の業務管理諸分野26分野がある。
施行令の改正に基づき、586種類の資格があり、それらは565の技術・技能グループと18のサービス区分へと分けられる。
表4‐1 国家技術資格の技術分野における資格項目数
階級
職業区分 |
合計 |
技術士 |
技能長 |
技師 |
産業技師 |
技能士 |
専門職 |
機械
金属
化学工学・セラミックス
電気
エレクトロニクス |
113
44
16
18
18 |
9
6
2
5
3 |
9
6
1
1
1 |
15
9
3
4
4 |
27
7
3
5
6 |
53
16
7
3
4 |
|
通信
造船
航空
土木工学
建築 |
20
6
8
30
32 |
1
1
2
11
4 |
1
-
0
-
2 |
5
1
1
5
3 |
6
1
1
5
6 |
7
3
4
9
17 |
|
繊維
鉱物資源
情報処理
土地開発
農業・林業 |
21
17
7
12
37 |
4
3
2
4
5 |
0
-
-
-
1 |
3
3
2
4
11 |
7
3
2
2
9 |
7
8
1
2
11 |
|
漁業
工業デザイン
エネルギー
安全管理
環境 |
23
10
5
23
20 |
4
1
2
8
6 |
-
-
-
1
- |
9
3
2
7
8 |
6
3
1
6
5 |
4
3
-
1
1 |
|
応用産業
輸送
陶器
食物
衛生
サービス |
31
3
15 |
5
1
- |
-
-
1 |
9
1
- |
7
1
1
5
-
|
10
-
13
8
5
|
16 |
| 合 計 |
565 |
87 |
28 |
111 |
125 |
197 |
16 |
- ※出典:
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea),
“The Guide for National Technical Qualification Testing (2009)”.
サービス区分は業務管理と専門職に分割される。業務管理のカテゴリにはワープロ、コンピュータ操作技能、コンピュータ経理、韓国語速記、及び秘書業務の5つの項目がある。業務管理分野の資格レベルはレベル1、2、3に分類される。専門職の分野には、2つの項目、電子商取引コンサルタント、及び電子商取引マネージャーがある。
表4‐2 国家技術資格制度のサービス区分
| 職業区分 |
項目 |
階級 |
| 業務管理 |
ワープロ |
レベル1、2、3 |
| コンピュータ操作技能 |
レベル1、2、3 |
| コンピュータ経理 |
レベル1、2、3 |
| 韓国語速記 |
レベル1、2、3 |
| 秘書業務 |
レベル1、2、3 |
| 電子商取引コンサルタント |
レベル1 |
| 電子商取引マネージャー |
レベル1、2 |
| 計 |
|
18階級 |
- ※出典:
- Korea Chamber of Commerce and Industry (KCCI),
http://license.korcham.net/eximinfo/guide/
guide.jsp?it_smenu=7100#
4.2 職業能力評価・資格制度及び実施状況
4.2.1 制度概要
- 検定基準
表4‐3 区分別の検定基準
| 区分 |
検定基準 |
| 技術士 |
高度な専門的知識と実用的な経験に基づき、計画、研究、デザイン、分析、点検、試験、組立て、指揮、査定、プロジェクト管理、及び技術管理に関する任務を実行できる |
| 技能長 |
産業現場で、熟練労働者を教育又は監督する、実地訓練を与える、現場を監督する、管理職と熟練労働者を有機的な方法で結びつけるなど、事業管理に関する任務が実行できる |
| 技師 |
工学知識に基づき、デザイン、組立て、分析などの技術的技能を実行できる |
| 産業技師 |
基本的技術知識と技能に基づき、基本的技術と技能を発揮できる |
| 技能士 |
生産、製造、取り扱い、操作、修理、保守、抽出、点検と、プロジェクト管理及びプロジェクト管理に関連する任務を実行できる |
- ※出典:
- Human Resource Development Service of Korea,
http://www.q-net.or.kr/
韓国商工会議所によって実行されるサービス区分に属する業務管理資格の認証基準は以下のとおりである。
表4‐4 業務管理の検定基準(サービス区分)
| レベル |
検定基準 |
| 1 |
専門階級相当の技能を持ち、関連する任務を効率的かつ正確に実行できる能力 |
| 2 |
中級階級相当の技能を持ち、関連する任務を効率的かつ正確に実行できる能力 |
| 3 |
初心者階級相当の技能を持ち、関連する任務を効率的かつ正確に実行できる能力 |
- ※出典:
- Ministry of Labor,
http://www.molab.go.kr/oneclick/work12/
sub07_01.jsp?smenu=12_060101&gb=1
- 資格試験の受験資格
技術士資格の受験資格は、技師、産業技師、技能士の資格所持者がその業界でそれぞれ4年、6年、8年間働いた場合、大学・短大卒業後それぞれ7年、9年間評価対象の業界で働いた場合、エンジニアもしくは産業技師としての教育を完了した後それぞれ7年、9年間もしくは正規の教育を受けていない者が11年間、実務を経験した場合、そして、同等の資格と等級を海外で取得した個人に与えられる。
図4‐4 国家技術資格の受験資格

- ※出典:
- Human Resource Development Service of Korea,
http://www.q-net.or.kr/english/page/
category.htm#
- 検定手順
それぞれの技術的な資格分野に従った検定手順は施行令の第15条で規定されている。検定の手順は、筆記試験、実技試験、面接の順に行われる。試験の各段階は前の段階の合格を必要とするが、実技試験が筆記試験で実施される場合は、両方を同時に行うこともある。技術士の資格は筆記試験と面接を必要とし、技師、技能長、及び産業技師の区分は、筆記試験と実技試験を受ける必要がある。
表4‐5 技術部門の検定手続き
| 分野 |
区分 |
筆記試験 |
実技試験もしくは面接 |
| 技術・専門 |
技術士 |
短文回答もしくは小論文
100点中60点以上 |
口頭試験100点中60点以上 |
| 技能長 |
多項選択式試験
100点中60点以上 |
筆記試験もしくは
実技試験100点中60点以上 |
技師
産業技師 |
多項選択式試験
各科目100点中40点以上、
合計平均60点以上 |
筆記試験もしくは
実技試験100点中60点以上 |
| 技能士 |
多項選択式試験
100点中60点以上 |
筆記試験もしくは
実技試験100点中60点以上 |
サービス
及び事務 |
レベル1、2 |
多項選択式試験
各科目100点中40点以上、
合計平均60点以上 |
筆記試験もしくは
実技試験100点中60点以上 |
- ※出典:
- Human Resource Development Service of Korea,
http://www.q-net.or.kr/crf006.do?id=crf00615&
gSite=Q&gld=
筆記試験は論文式と選択問題があり、技術士受験者には短答記述試験と論文試験で行われ、他階級の受験者には選択問題で実施される。合否基準は、技術士、技能長と技能士は100点中60点、技師と産業技師は、各科目で40点以上、平均が60点以上でなければならない。
実技試験には面接、実技、筆記回答、そしてそれらの混合の4種類ある。面接試験は技術士にのみ適用される。実技では、受験者が指示に従い適切な設備と道具を使用して設計、製造、操作、修理、抜粋、分析、点検する必要がある。筆記試験とは短答記述試験を指し、混合試験は実技と筆記両方を含む。筆記試験のみ実施する資格試験は、資格取得者の実用技術を高めるために、複合もしくは技能タイプに変更されつつある。
技術部門の資格とその他サービスの資格の、実技試験と面接試験の合格点は100点満点中60点である。サービス区分の、業務管理分野の検定手順は表4‐6に示す。秘書業務、文書処理、コンピュータアプリケーション、及び会計では筆記と実技両方の試験が必要であり、速記は実技試験のみ必要である。この試験には、混合タイプにより近づけるため、理論的知識だけではなく実際の能力も必要とする質問が出題される。
表4‐6 業務管理分野(サービス区分)の検定手順
| 資格項目 |
検定手順 |
| 韓国語速記 |
実技試験 |
ワープロ
コンピュータ操作能力
コンピュータ経理
秘書業務
電子商取引コンサルタント
電子商取引マネージャー |
筆記試験及び実技試験 |
- ※出典:
- Korea Chamber of Commerce and Industry (KCCI),
http://license.korcham.net/index.html
- 検定の運営
現在、国家技術資格は15の異なる政府機関の管理の下にあるが、運営総括は国家技術資格法に基づき労働部によって行われている。試験問題の作成、検定手続きと登録は同じ条例の施行令に基づき韓国産業人力公団(Human Resources Development Service of Korea:HRD韓国)と韓国商工会議所に委託されている。HRD韓国は、サービス区分のその他のサービス分野と共に技術分野も担当し、韓国商工会議所はサービス区分の業務管理分野を担当する。現役兵と軍人の資格は国防部によって検定され、電波技術者、産業技師、及び技能士の登録、証明、変更通知、及び資格制度の管理は、韓国情報通信部によって検定される。
国家技術資格制度の運営に関する事項、例えば、資格の追加・統合・廃止や、各階級の申請資格、検定手順、資格試験項目、試験時期の調整、有資格者のための優遇措置の開発方法、資格制度の改善、免除条件、技術資格試験の民間委託、民間技術資格の承認などは、公務員と専門家で構成された労働大臣の諮問委員会である技術資格制度審議委員会によって検査され、国の技術資格制度の運営方針に反映される。
技術資格制度審議委員会は、レベル3以上の政府官僚もしくは労働大臣によって推薦された専門家による33人未満のメンバーで構成される。また、委員会は資格の追加と廃止、試験科目、申請要件、試験機関における調整、有資格者のための優遇措置の設立方法、及び国家技術資格制度を改善する方法全般について検討する。
図4‐5 国家技術資格の運営システム

- ※出典:
- Ministry of Labor, “Employment and Labor Policy in Korea”.
労働部が、国家技術資格制度を担当し、各当局へその統括と調整に関する方針を指示する主たる組織である。また労働部は、機械安全技師、化学工学安全技師、産業安全技師を含む269種の技術資格の担当でもあり、それらの資格区分や試験科目の新設と廃止、申請要件の決定、資格費用などの様々な基準の決定、資格試験の管理計画の承認、そして、有資格者のための優遇を促進・資格管理の改善・有資格者教育などによる国家技術資格制度の運営や、改善方法の模索等の作業を行う。15の関連当局には、試験実行の立案、合格者決定、登録と取消し、有資格者教育を行う権利がある。さらにこれら当局は、贈収賄か他の不正な方法で合格した有資格者の資格を取り消す権限を持つ。
表4‐7 試験管理手順
| 試験区分の管理 |
新しい技能タイプの創造、技能区分の統合、改名、中止などの技術的で職業上の技能における変化が調査される。労働部は、韓国産業人力公団(HRD韓国)へ現在の技能区分の分析を委託
→HRD韓国は調査をし、結果を労働部へ提出
→労働部により最終結論が出される |
| 技術的技能基準の決定 |
適用時期に必要な最小限の基準と必要条件が審査される。現場の業務審査→試験問題用の基準確立
→基準が関連部庁で審査される
→専門委員会が基準を審査し、最終的な基準をまとめる |
| 技術士階級向けの試験問題の作成と管理 |
試験問題開発委員の任命
- 試験問題作成のために、技術資格制度審議委員会の技術士から3〜5人の専門家を選択する。試験の度に異なる専門家を選ぶ
試験問題作成
- 質問種類:筆記試験もしくは複数の短答記述式(各100分を4時限)
- 試験問題開発委員会は試験問題作成開始前夜に終結し秘密裏に行う
- 試験問題は試験翌日に一般公開する
|
| 技能長、技師、産業技師及び技能士階級向けの試験問題の作成と管理 |
作成と秘密保持
- 筆記試験:問題開発に委員会会員が任命される→問題が仕様に基づき起草される→問題が審査される→問題が清書され、問題データベースに登録される
- 実技試験:問題開発に委員会会員が任命される→問題が仕様に基づき起草される→問題が審査される→問題が清書され、問題データベースに登録される
問題の選択と編集
- 選択問題試験:問題はコンピュータにより問題データベースから無作為に選択され、試験冊子に印刷される書式に整えられる
- 筆記試験と実技試験:問題は人的に選択され、試験冊子に印刷される書式に整えられる(現在コンピュータ用のプログラム開発中)
|
- 資格取得後の登録手続き
資格試験に合格した場合、申請者は合格発表後15日間以内に関連政府部庁へ名前を登録しなくてはならない。証明書は、小冊子の形で交付される。1976年12月31日の施行令の改正で、登録期間は、60日まで延長された。何らかの理由で、試験合格者が60日以内に登録することができない場合、1年以内に正当な理由を申し出ることで、証明書を申し込むことができる。
1982年に、韓国職業訓練庁(Korea Vocational Training Administration Agency)が、登録任務を担当するために創立された。1983年12月20日に、職業管理分野の登録任務と同分野の資格試験の管理担当は、韓国商工会議所(KCCI)に委託された。1991年10月31日の改正を受けて、無線装置クラス1、クラス2技師とクラス2技能士の登録と試験管理はKOMAに委託された。
- 実施プロセス
資格試験が発表された後、申込書が配信され、回収される。試験会場と試験監督が確保されたら、筆記と実技試験が実施される。その後、合格者リストが発表され、登録することを要求される。
- 民間資格
民間資格とは、非政府民間団体や個人を含む民間団体によって管理運営された資格制度を指す。民間資格制度を活発化させるために、韓国政府は、1997年3月27日に資格基本法を制定した。この法律に従い、評価手順を介して重要かつ必要な民間資格を認識する目的のために起草された、国家公認の民間資格制度が導入された。1999年に全面的に開始された、政府認可のための民間資格申込書の評価任務は、韓国職業教育訓練研究所(KRIVET)が担った。現在、検定の実施の側面を補完するために、資格基本法の構造と内容を修正する予定である。
民間資格に合格するために各個人は、資格基本法に定められた資格制度の基本的な要件に沿った適切な技能を持っている必要がある。また、申込者は、少なくとも3つ以上の、過去1年以上有効であった資格の証明書を保持していなければならない。ただし、それら民間資格申込者からの証明書のうち、最も組織的な運営で重要なもののみが採用される。類似の国家資格が存在する場合には、民間資格の資格標準、種目と認定範囲は国家資格の基準と同等かそれに類似した水準でなくてはならない。
国家資格の詳細を規定する法律に記載されているとおり、民間資格を持つ労働者は、国家資格を持つ労働者と同様の扱いを受ける。さらに、職業教育訓練機関の責任者は、入学選考の参照として、国家資格と民間資格のいずれかの証明書を利用することができる。加えて、単位認定法に基づき、高卒の公認民間資格を持つ労働者は大学と短大の単位を、短大卒の労働者は大学の単位を取得することができる。
- 単位累積制度
単位累積制度は、生涯学習を追求する人々の願望を実現させる方法の1つである。単位累積制度では、政府が認定した証明書を通して単位を取得することができる。これらの方法で保証された単位は、アカデミックな信任状と卒業証書のために累積加算もできる。単位累積制度は1998年に制定された単位認定法(Act on the Recognition of Credits)で規定された。
国家技術有資格者は各階級に見合った単位を得ることができる。それぞれ、技術士45、技能長39、技師30、及び産業技師24単位となっている。国家資格と公認民間資格(46種の証明書が利用可能である)で所得する単位は学力の到達度と同等に定められている。
表4‐8 国家資格の単位制度
| 等級 |
単位 |
学力到達度との比較 |
| 1 |
45 |
修士課程修了と実務経験 |
| 2 |
42 |
| 3 |
39 |
修士もしくは学士課程修了と実務経験 |
| 4 |
34 |
| 5 |
30 |
学士もしくは短期大学課程修了と実務経験 |
| 6 |
27 |
| 7 |
24 |
短期大学課程修了 |
| 8 |
18 |
| 9 |
12 |
短期大学1年次修了 |
| 10 |
9 |
| 11 |
8 |
| 12 |
6 |
| 13 |
4 |
| 14 |
3 |
| 15 |
2 |
4.2.2 評価の実施状況
2006〜2008年の国家技術資格試験から、技術的な国家資格制度の現状に対する洞察をする。2006〜2008年まで、5つの異なる階級の合格率は、表4‐9のとおりである。技能士、産業技師と技師が、国家技術資格制度の大部分を占めた。しかし、他の階級が一定の合格率を維持する中、技師と技巧者の合格率はそれぞれ10.88%から7.54%及び11.97%から9.92%に減少している。5つの資格取得階級の中で、技術士の合格率が3.08%で最も低く、技能長と技能士の合格率が最も高かった。
表4‐9 試験実施結果概要(2006〜2008年)
| 階級 |
2006年 |
2007年 |
| 受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
| 技術士 |
56,640 |
1,676 |
2.96% |
63,658 |
1,806 |
2.84% |
| 技能長 |
15,206 |
1,671 |
10.99% |
15,958 |
1,751 |
10.97% |
| 技師 |
1,097,174 |
119,351 |
10.88% |
965,718 |
80,477 |
8.33% |
| 産業技師 |
984,874 |
117,913 |
11.97% |
788,412 |
90,548 |
11.48% |
| 技能士 |
1,600,176 |
332,870 |
20.80% |
1,507,368 |
328,325 |
21.78% |
| 階級 |
2008年 |
| 受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
| 技術士 |
61,494 |
1,896 |
3.08% |
| 技能長 |
15,924 |
1,654 |
10.39% |
| 技師 |
881,850 |
66,486 |
7.54% |
| 産業技師 |
740,158 |
73,426 |
9.92% |
| 技能士 |
1,623,442 |
344,232 |
21.20% |
- ※出典:
- Human Resource Development Service of Korea,
http://www.q-net.or.krより再編集
4.3 相互認証
- APECエンジニア
1995年、WTO(世界貿易機関)はGATT(関税及び貿易に関する一般協定)を発展的に解消して設立された。WTOはサービス貿易※1を管理するGATS(General Agreement on Trade in Service:サービス貿易に関する一般協定)を制定した。
非熟練労働者と移民の越境移動性を制限するGATSによると、技能が国際的に認識される専門家の技術者にとって国境は無意味になった。専門家のための国境開放の傾向がたちまち広まったため、現在、専門技術労働力の取引自由化に向かった動きが起こっている。GATSは現在、すべてのサービス部門を規定する妥当で透明な規則を設定しようとしている。WTOに提言として提出されるそれらの規則は、「資格条件、資格審査手順、専門家を対象とする基準又は要件がサービス貿易の障害であってはならない」といった一般的ガイドラインに基づいている。
GATSの対象とされる専門家はエンジニアだけではなく、弁護士、公認会計士、医師、建築家などのように国の特有の免許を必要とする専門家も含まれる。各職業の特性が異なるため、相互認証のための条件は職業ごとに異なる。しかしながら、エンジニアの相互認証がその特定の職業にとどまる問題ではなく、WTOとGATSの普遍的傾向の一部であることを理解する必要がある。
2001年10月現在、韓国は、韓国人エンジニアの資格の国際的な認証を促進している。エンジニアの国際的な移動性について検討するチャンネルであるEMF(Engineers Mobility Forum:エンジニアの流動化に関するフォーラム)に参加して、韓国は技術士の資格を国際的に承認させるための取り組みを加速している。また、さらに、韓国はAPEC HRDWG(APEC Human Resource Development Working Group:APEC人材養成作業部会)によって導入された「APECエンジニアプロジェクト」に参加している。プロジェクトはオーストラリアの主導で、各地域のエンジニアを「APECのエンジニア」として相互認証する手段の開発を目指している。
IEAust(Institute of Engineers、Australia、オーストラリア技術者協会)のリーダーシップの下で、APEC HRDWGは互いにAPEC加盟国のエンジニアを認識する方法に取り組んでいる。APECエンジニアプロジェクトは最初のAPEC HRD運営委員会がシドニーで開かれた1996年5月まで遡る。
2005年時点で、APECエンジニア調整委員会の正規会員は韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、カナダ、香港、マレーシア、米国、インドネシア、フィリピン、及びタイの11カ国である。APECエンジニアプロジェクトの現在の範囲は、民間、構造、地質工学、電気、機械、環境、採掘、工業、化学、情報技術、バイオテクノロジー、建築設備工学、石油工学、宇宙工学、火災工学の、15のエンジニアリング分野を対象としている。より多くのエンジニアリング分野を網羅するために範囲が広がると予想される。
SEA(Substantial Equivalence Agreement:実質同等性協定)によれば、登録を完了したエンジニアは、APEC内のどの国でも仕事を開始することができる。以下5つが、「APECエンジニア」として登録されるための候補者に課される詳細条件である。
- 認可されているプログラムのエンジニアリング教育コース卒業者であること
- 独立して仕事をするのに十分な実務経験があることを証明すること
- 大学卒業後、7年以上の実務経験があること
- 7年間のうち2年以上、責任技術職での実務経験があること
- 専門的技能向上のため質の高い訓練を継続して受けていること
韓国は、韓国APEC技術者監視委員会やAPEC技術者登録機関を設立した。これらの組織は、APECエンジニアに関連する業務を行うために不可欠である。2005年時点で、韓国のAPECエンジニアの登録数は、登録済みAPECエンジニア554人、登録予定者547人の合計1,101人に達した。
- ※1
- サービス貿易とは、金融、運輸、通信、建設、流通等のサービスの国際取引をいう。
- 韓国と日本・中国の間のIT資格の相互認証
2000年9月に、韓国と日本の2人のリーダーは「「IT協力構想宣言」を採択し、その中で、電子商取引に関しての協力とIT労働力の交流を含む、8つの内容について合意した。2001年7月時点で、合意8項目の中の1つ「IT関連人材の交流促進」に基づいて、2つの国が、相互にIT資格を承認する方法に取り組んでいる。
2001年4月、韓国の代表団は、日本のIT検定を管理する主要な組織であるJITEC(Japan Information Technology Engineers Examination Center:情報処理技術者試験センター)を訪問し、どのようにIT資格の相互認証を追求するかについて日本側と実務的な協議を行った。議論を通じて、代表団は資格制度の調査及び、両国の制度の内容といくつかの詳細な特徴の調査を終えた。2001年12月21日、2つのIT資格に関する覚書が韓国HRDとJITECによって作成され両国政府によって認可された。2006年1月には、HRD韓国と中国電子教育センターは、2つのIT資格の相互認証に関し、双方の政府を代表して合意した。
2005〜2006年には、日本で就業している韓国IT技術者が大幅に増加した。協定締結以降、日本で働いている韓国IT技術者の累積総数は667人である。
図4‐6 日韓のIT資格の相互認証

図4‐7 IT資格の相互認証により日本で就業する韓国IT技術者の数 (単位:人)

- ※出典:
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea).
- 国家技術資格の試験免除
海外の資格取得者は、該当の国家技術資格試験に関し、全部又は一部を免除される。
表4‐10 海外の資格による国家技術資格の試験免除
| 国 |
海外の資格 |
対象法(発行者) |
国家技術資格の免除 |
| ドイツ |
マイスター |
職業教育訓練法 |
技能長の筆記試験免除 |
| 米国 |
C.L.(Cosmetologist License:美容師) |
各州のC.L.法 |
美容師試験の筆記及び実技試験免除 |
| 日本 |
美容師 |
美容師法(労働部) |
美容師試験の筆記及び実技試験免除 |
| 調理師 |
調理司法(労働部) |
技能士階級の調理師の筆記試験免除
日本食/西洋食 |
参考文献
- Cho, Jeong-yoon. (2001). Mutual recognition of IT qualification between Korea and Japan. Vocation and Human resource development. Vol.4, No.4
- Cho, Jeong-yoon. (2001). Reform of national technical qualification items and system.
- Department of Science and Technology. (1999). The policy improvement of professional engineers status based on globalization strategies.
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea). (n.d.).
http://www.q-net.or.kr/
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea). (n.d.).
http://www.q-net.or.kr/crf006.do?id=crf00615&gSite=Q&gld=
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea). (n.d.).
http://www.q-net.or.kr/english/page/category.htm#
- Human Resources Development Service of Korea (HRD Korea). (2009). The guide for national technical qualification testing.
- Korea Chamber of Commerce and Industry (KCCI). (n.d.).
http://license.korcham.net/index.html
- Korea Chamber of Commerce and Industry (KCCI). (n.d.).
http://license.korcham.net/eximinfo/guide/
guide.jsp?it_smenu=7100#
- Ministry of Labor. (n.d.).
http://www.molab.go.kr/oneclick/work12/
sub07_01.jsp?smenu=12_060101&gb=1
- Ministry of Labor. (n.d.).
http://www.molab.go.kr/Source:
http://www.molab.go.kr/oneclick/work12/sub06.jsp
- Ministry of Labor. (n.d.). Employment and labor policy in Korea.
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