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2008年末のマレーシアの人口は2,770万人である。2007年よりも2.0%増加しており、さまざまな人種から構成されているが、ブミプトラと呼ばれるマレー系など従来からこの地に住んでいる人たちが60%を占め、中国系が約4分の1、インド系が約7%いる。人口構成は非常に若く、2008年では15歳以下が人口の32.0%を占め、65歳以上は4.5%しかいない。
マレーシアでは、統計局と人材資源省が労働力人口についてのデータを集めているが、必要な数字を補足するために首相府経済計画局やマレーシア中央銀行(バンク・ネガラ・マレーシア)の数字も利用しているので、複数の資料から引用された数字の一部に若干の差異が生じている場合がある。
人口2,770万人のうち、15〜64歳の生産年齢人口は1,760万人であるが、労働力人口は1,100万人で、労働力率は62.6%、男女別では男性79.0%、女性45.7%となっている。2007年に比べると男女ともやや減少しているが、世界的な経済危機のためマレーシアの輸出が減少したことよる景気の悪化が原因と考えられる。労働力人口の年齢構成は比較的若く、2008年では15〜24歳が17.%、25〜44歳が56.9%であり、45〜54歳は18.7%、55〜64歳は6.9%となっている。
2004〜2008年の間に人口の増加とともに労働力人口も着実に増加しており、就業者数も失業者数も増加している。ただし、失業率は比較的低く推移しており、4年間の平均は3.38%である。失業率は3.5%から下がり、過去3年間は3.3%で安定しており、低下傾向にあるといえる。産業構造の変化による、雇用の移動に要する時間のギャップを考慮すると、過去数年間の低い失業率は、完全雇用に近い状態にあることを示している。ただし、世界経済危機の影響で、マレーシアでも失業率はやや上昇気味である。
完全雇用に近い状態とはいいながら、特定の分野や地域では非熟練労働者の不足という構造的な問題がある。また、高等教育修了者が増加しているにもかかわらず、高い能力を要する職業機会がそれに対応して増えないために、高等教育修了者の失業者は増加している。そのため、政府もこの問題をよく認識しており、2001年に学卒者訓練計画(SLG)を創設し、大学卒業者に就業機会を与えると同時に、労働市場に質の高い労働者の供給を図っている。
| 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年(推定) | |
| 人口 | 25,581 | 26,127 | 26,640 | 27,174 | 27,700 |
| 労働力人口 | 10,846 | 11,290 | 11,544 | 11,775 | 11,028 |
| 就業者数 | 10,463 | 10,892 | 11,159 | 11,391 | 10,659 |
| 失業者数 | 367 | 381 | 385 | 383 | 368.5 |
| 失業率(%) | 3.5 | 3.5 | 3.3 | 3.3 | 3.4 |
| 業 種 | 就労者数 (千人) |
全体に 占める割合 (%) |
|
| 1 | 農業、狩猟、林業 | 1,365.6 | 12.8 |
| 2 | 漁業 | 122.1 | 1.2 |
| 3 | 鉱業、採石業 | 54.5 | 0.5 |
| 4 | 製造業 | 1,944.7 | 18.2 |
| 5 | 電気、ガス、水道業 | 60.5 | 0.6 |
| 6 | 建設業 | 998.0 | 9.4 |
| 7 | 卸売、小売、自動車・オートバイ及び 家庭用品の修理 |
1,729.4 | 16.2 |
| 8 | ホテル、レストラン業 | 783.6 | 7.4 |
| 9 | 運輸、倉庫、通信 | 583.4 | 5.5 |
| 10 | 金融仲介業 | 276.0 | 2.6 |
| 11 | 不動産、レンタル業 | 553.2 | 5.2 |
| 12 | 行政、国防、社会保障 | 751.1 | 7.1 |
| 13 | 教育 | 656.5 | 6.2 |
| 14 | 健康産業、社会事業 | 252.6 | 2.4 |
| 15 | その他の地域、社会、個人サービス業 | 274.2 | 2.6 |
| 16 | 自営業(従業員雇用) | 253.0 | 2.4 |
| 17 | その他の地域組織及び団体 | 1.1 | - |
| 合 計 | 10,659.6 | 100 | |
17業種のうち、製造業と農業の就労者が最多であり、それぞれ16.2%と12.8%である。しかし、農業、製造業、サービス業の3つに分けた場合、サービス業(5、7〜17)での就業者数が一番多く、過半数を占めている。サービス産業の中でも、ホテル、レストラン業は78万3,600人、全就業者の7.4%が働いている。それに公的サービスと教育産業が続き、全体の13.3%が従事している。2007年に製造業では18.2%が働き、建設業は9.4%、第一次産業(農業、漁業、鉱業、採石業)は14.5%である。
主要3産業セクター(第一次、第二次、第三次産業)それぞれの寄与度は、マレーシア経済の変化を示している。経済構造は第一次産業(主として農業と鉱業)主体から製造業やサービス業へと移行してきている。第一次産業の就業者数の比率の縮小は、マレーシア経済の発展を表している。2008年に農業、林業、狩猟、漁業の雇用は、1980年の37.2%から、2008年の14.5%へと大幅に減少した。同時期に製造業では、雇用の16.1%から18.2%へと拡大している。サービス産業の雇用のシェアについても、製造業と同様の拡大傾向にある。
2008年の就業者人口1,065万9,600人のうち、過半数が中等教育を受けている。595万6,000人(55.9%)が高校を卒業し、高等教育修了者は225万人で21.1%であり、合わせて全体の約4分の3(77.0%)を占めている。初等教育の修了者は198万人で18.6%、正式に教育を受けていないものは47万4,700人で4.5%にすぎなかった。
現在、17〜23歳の32%程度が大学に在籍している。「国家教育計画2006〜2010」によると、この年齢層での在学率を2010年までに40%とすることを目標としている。つまり、近い将来に高学歴で高い教育を受けた者が労働力人口のさらに大きな割合を占めることになる。この目標を達成するためには現存の高等教育機関への入学者を増やすだけでなく、新しい高等教育施設を整備する必要があり、ここ数年でダルル・イマン・マレーシア大学、マレーシア・クランタン大学、プルタハナン・ナショナル・マレーシア大学(マレーシア国防大学)の3大学が創設されている。そのことにより、大学入学者が2007年の82万9,831人から、2010年には134万9,978人になる予定である。うち、35%を専門学校卒業者、大学卒業者が33%となる予定である(マレーシア第9次計画)。
ただし、高等教育修了者の失業率は大きな問題である。2001年に高等教育修了者の失業率は14.8%であったが、2008年には24.9%まで増加している。マレーシアの高等教育修了者たちは厳しい就職難に直面している。
先進国に比べると、高等教育への進学率は低い。マレーシア政府は2010年までに17〜23歳の大学進学率を40%にするための施策を進めている。第9次マレーシア計画における中間見通しでは、公立学校への進学数が2005年は39万828人であったのが、2007年には46万5,094人に増加している。私立校では、2005年の25万8,825人が、2007年には36万4,737人に増加している。公立大学院への進学は2005年に3万6,516人であったものが、2007年には4万573人に増加しているが、私立大学院に関しては、若干減少している(5,447人から5,338人)。全体では、2007年における大学院進学者は12%に達している。
給料に関しては、マレーシア製造業者連盟(Federation of Malaysian Manufactures:FMM)の調査によると、2007年は専門学校卒と大卒との間では27%の給料差が見受けられた。調査対象の43の職場での専門学校卒の平均基本給は1,558リンギであったが、大卒新入社員の基本給は1,985リンギ※1あった。
希望退職は大きく2つに分けることができる。1つは転職するための退職(ジョブ・ホッピング)であり、もう一方は会社の規模や従業員数の縮小による希望退職の募集である。ここでは両方とも検証していく。
まず、転職(ジョブ・ホッピング)であるが、経営者にとって転職は常に大きな懸念材料である。マレーシアでは労働者が高い賃金や、昇進または環境の変化を求めて、職を転々とするのが通常であるといわれている。しかし、そのような経営者側の懸念に反して、統計から見るとマレーシアではそのような傾向は見えない。日本貿易機構アジア経済研究所(IDE-JETRO)、社会経済環境研究機構(SERI)の合同調査によると、マレーシアは中国に比べれば給料の急上昇や頻繁な転職による混乱は見受けられない。マレーシア技能資格(MSC)によるとマレーシアにおける転職率は5%という低率であった。国際経済学者の浦田氏が1996年に行った日本企業に対する調査によると、役員クラス以上の転職はわずか0.6%にすぎず、中間管理職(部長クラス)でも4.1%未満であった。この調査結果でも、ジョブ・ホッピングなどによる高い離職率という通念は誤りであるといえる。Mason氏によると、労働市場の失業及び求人に関するビバリッジ曲線は、2003年には下方並びに内側に移動しており、労働移動率の低下と求人・求職のマッチングが効果をあげていることを示している。マレーシア製造業者連盟(FMM)による製造業における給与・福利厚生・職場環境調査によると月平均労働移動率が2003年は1.76%(2002年は4.1%)であり、マレーシア雇用主連合(MEF)が行った製造業以外も含めた調査では、2003年の月平均労働移動率は1.76%(2002年は1.66%)となっている。
もう一方、希望退職制度(VSS)による離職であるが、これを調査する際マレーシアではいくつかの難しい点がある。まず1つに、希望退職優遇制度(VSS)がその場限りでしか発表されないこと、2つ目が、企業側が提示したVSSの内容を公開したがらないことが挙げられる。その結果、個別の記事や、疑心暗鬼になった当事者である労働者が流す噂が流布することになる。下記の報告は最近インターネットのニュースからとったものであるが、ここにはエッジ&マレーシアン・リザーブ及びスターといった2紙を含む信頼できる新聞情報から紹介する。スター紙は最大の発行部数の英字日刊紙である。
表2‐3は2007年末における就労者の職種と技能をカテゴリー分けし、第9次マレーシア計画※2において2010年に予想されている人数と比較した。雇用形態というものは、ある意味で社会に必要とされる技能のレベルを反映しているといえる。この職種のカテゴリーから判断すると、一般論としては、マレーシアでは労働力に特別に高い技能を要求していないと考えられる。技能面から表を見ると、マレーシアの労働者は主にサービス業や店員、販売職であることが読み取れ、実際、170万人、全就労人口の16.2%がこの職種に属する。12.8%は工場、機械操作・組立工に属するが、これもまた高度な技能を必要としているものではなく、未熟練の労働集約型産業で働く労働者も含まれている。前記2つの業種は、2007年には労働力人口の27%を占めている。
専門職に属する者は5.7%しかいない。専門職は技能職と見なされるが、そのうちの29%が中等教育レベルの教員である。技術職・準専門職も専門職に分類されるが、2000年の11.9%から2007年には13.3%にやや増加している。このうち15.3%が、この時期に成長産業であった電機・電子及び通信分野の技術者である。
農業や漁業従事者は、2000年に15%であったのが、2007年には12.9%と減少した。これは植林地が住宅地になったり、多くの従業員を必要とするゴム農園から少人数でも運営できるパーム農園へと変更されたという要因が影響している。この分野の36%が野菜や作物農家であり、30%がゴムやパーム農園の労働者である。2007年は建設関連事業が好調だったため、手工業関連の職種が10.8%となっている。
単純作業に従事する労働者は2020年までに、120万2,000人から112万4,100人に減少することになっているが、このこと自体は重要な変化とは言い難い。しかし、高官・幹部職員、専門職、技術職が、285万8,900人から334万8,300人へと、若干増加する見込みであることは、特筆すべきことであろう。ただし、この増加分は2010年の全労働力人口27.8%という比率の中の1ポイント分にしか相当しない。
| 職種 | 2007年 | 2010年(推定) |
| 国会議員、高官、幹部職員 | 748.8 | |
| 専門職 | 613.7 | |
| 技術職、準専門職 | 1,496.4 | |
| 小計: | 2,858.9 | 3,348.3 |
| 事務職 | 1,053.4 | |
| サービス、販売職 | 1,776.1 | |
| 小計: | 2,829.5 | 2,957.6 |
| 熟練農民、熟練漁民 | 1,271.3 | |
| 小計: | 1,271.3 | 1,430.7 |
| 手工業関連 | 1,153.8 | |
| 工場、機械操作・組立工 | 1,344.7 | |
| 小計: | 2,498.5 | 3,162.0 |
| 単純作業員 | 1,202.0 | 1,124.1 |
| 総計: | 10,659.6 | 12,022.7 |
マレーシアにおける基本賃金は、場所と職種によって決まっている。また、多くの会社は賃金の他に医療費や保険、交通費、年間ボーナス、退職金や従業員ファンドなども提供している。これらの付与の内容は、会社によって異なる。
マレーシア労働組合評議会や他の関連組織が何十年間にもわたり、要求しているにもかかわらず、マレーシアには包括的な法定最低賃金制度は存在しない。しかしながら、特定の職種に対しては、最低賃金などを想定した法律がある。実際、最低賃金制度で保護されるべきと考える従業員は賃金協議会の招集を要求することができる。1947年の賃金評議会法(Act 195)は、特定職種の従業員に対する報酬と雇用条件を定めた法律である。ただし、この特定職種というのは、主として肉体労働者である。
従来から、映画館の従業員、店員、ホテルの従業員やケータリングを行う者、ペナンの港湾作業員という4つの職種に、この法律が適用されている。1982年に導入された店員の最低賃金は250リンギである。映画館の従業員は1989年に導入され、155リンギである。ホテルとケータリングに関しては1982年に制定され、月185リンギで、港湾作業員には1981年に700リンギと政府が決定している。しかしながら、現実には新たな労働市場がタイトであり、賃金の上昇圧力が強く、ほとんどの経営者は最低賃金以上の給料を提示せざるをえなくなっている。つまり、現在の最低賃金法はほんの一部の職種のみを対象としている。さらに、賃金評議会で策定された最低賃金はかなり時間が経過しており、現実にそぐわなくなっている。20年以上前に策定された最低賃金は、市場の給与水準がはるかに上がったため、意味をなさなくなっている。
政府は最近新しい最低賃金評議会を設立し、マレーシアの警備員、マレー半島部及びサバ州の病院補助従業員、サバ州及びサラワク州の農業従事者たちの賃金を調査するよう指示をした。最低賃金評議会は2005年に設立され、2008年2月に調査を終え、勧告書を提出した(例えば警備員の最低賃金を700リンギとするなど)が、政府はこれを承認していない。人材資源省の最新調査報告は2009年4月2日堤出されているが、警備員の最低賃金は諸手当を除いて1,200リンギとされている。
最低賃金の議論は、2009年に入り、外国人労働者の出身国政府による新たな展開を見せている。報道によると、インドネシアは自国のメイドたちには最低月800リンギを要求しており、駐マレーシアのインドネシア大使は、インドネシア政府はさらに高い賃金を要求すると述べた(2009年9月6日付ザ・スター紙)。これに対し、マレーシアの労働大臣と女性・家族大臣は、メイドという職業を限定して最低賃金を設定することは、他の職業にも影響を及ぼすので行わないと述べている。官公労連会議(CUEPACS)の会長は、公務員で初任給が600リンギしかもらえない者もいるのにかかわらず、外国人メイドが800リンギももらうのは不公平であり、550リンギ以下にとどめるべきであると発言している。その後数日間マレーシアの労働組合組織は、この問題をきっかけに全労働者に適用される最低賃金についての要求を始めた。2009年9月10日付のザ・マレーシアン・インサイダー紙によると、マレーシア労働組合会議(Malaysian Trade Union Congress:MTUC)が民間企業で働く1,000万人の従業員の最低賃金を月900リンギにすることを要求し、その根拠として、政府が引退した公務員の年金を月720リンギ支払ったことを取り上げた。
マレーシアの大手人材派遣会社ケリーサービスが、毎年行っている給与報告書を2カ月前に出版した(Malaysia Employment Outlook and Salary Guide 09/10)。ここに業種別、職種別賃金の最低額と最高額の一部を抜粋する。抜粋はマレーシア中央部に関するもののみであるが、その他の地域についても報告書には記載されている。
| 役職 | 資格 | 必要経験 (年数) |
最低額 (リンギ) |
最高額 (リンギ) |
| 事務や補佐全般 | ||||
| データ入力 | 高卒 | 1〜2 | 1,000 | 1,400 |
| 個別運転手 | 高卒 | 2〜3 | 1,200 | 1,800 |
| 受付 | 高卒 | 1〜2 | 1,200 | 2,000 |
| アシスタント | 高卒・アドミ認定 | 1〜2 | 1,200 | 1,800 |
| 担当 | 専門学校卒・大卒 | 2〜3 | 2,200 | 2,800 |
| 秘書 | 秘書検定・専門学校卒 | 2〜3 | 2,500 | 3,500 |
| 上級秘書・アシスタント | 秘書認定・専門学校卒 | 3〜5 | 3,500 | 5,500 |
| セールス、マーケティング、広告 | ||||
| セールス担当 | 高卒・専門学校卒・大学卒 | 2〜3 | 1,800 | 3,000 |
| マーケティング担当 | 高等専門学校卒・ 大学 | 2〜4 | 2,300 | 3,500 |
| マーケティング責任者 | 高等専門学校卒・ 学士 | 4〜5 | 4,500 | 7,000 |
| ブランド・商品 責任者 | 高等専門学校卒・ 学士 | 3〜4 | 4,000 | 6,000 |
| 人事 | ||||
| 給与担当 | 人事認定・ 専門学校卒 | 1〜2 | 1,200 | 1,500 |
| アシスタント | 高卒・専門学校卒 | 1〜2 | 1,500 | 2,000 |
| 人事部長、役員 | 専門学校卒・大卒 | 2〜3 | 2,500 | 3,500 |
| マネージャー | 専門学校卒・大卒 | 3〜4 | 4,500 | 6,000 |
| シニアマネージャー | 大卒・専門学士・ 特定学士・修士 | 5〜8 | 9,000 | 12,000 |
| IT | ||||
| 役員 | 高等専門学校卒・ 大卒 | 2 | 2,800 | 3,300 |
| プログラマー | 大卒 | 1〜2 | 2,800 | 3,500 |
| ソフトウエアエンジニア | ||||
| システムアナリスト | 大卒 | 3〜5 | 3,600 | 5,500 |
| マネージャー | 大卒 | 4〜6 | 400 | 7,500 |
| 情報処理 | ||||
| マネージャー | 大卒 | 3〜5 | 4,500 | 6,500 |
| 情報処理担当役員 ・IT担当役員 |
大卒・修士 | 12〜18 | 15,000 | 30,000 |
| セールス担当役員 | 大卒・修士 | 12〜18 | 10,000 | 20,000 |
| 物流、倉庫 | ||||
| 配達アシスタント | 高卒 | 1〜2 | 900 | 1,300 |
| 梱包アシスタント | 高卒 | 1〜2 | 1,200 | 1,500 |
| 倉庫管理者 | 大卒 | 2〜3 | 2,500 | 3,000 |
従業員給与の総額には他の国々と同様に付加給付金が含まれているが、マレーシア雇用主連合(MEF)の給与及び付加給付金調査によるとマレーシアでは、勤続年数によって付与日数が変わる有給休暇が役員以外の従業員に与えられている。調査に回答した企業の半数が、2年未満の従業員には10〜14日間の有給休暇を与え、2年以上5年未満勤務の者には14〜16日間付与している。また回答した企業の98.2%が従業員に医療手当を与え、38.7%がその家族にも与えていた。88.3%の会社が個人の災害保険を用意している。ほとんどの企業がシフト手当を支給している。シフト手当は日額で、第1シフトは2.00リンギまで、第2シフトは2.01から4.00リンギ、第3シフトは4.01から6.00リンギとなっている。2007年には全企業で全社員もしくは一部の社員を、主として業績を評価して昇給しており、平均で5.77%アップしている。
MEFの同調査では、2007年の昇給の程度についても報告されている。調査対象の製造業(159社が回答)の88%が昇給し、昇給率は従業員で5.62%、役員で5.52%であり、役員は2006年に比べると昇給率が低下している。75.4%の企業が2007年にボーナスを支給し、役員は1.89カ月、従業員は1.7カ月であった。先に述べたように大学卒業生の初任給の平均は1,985リンギで、専門学校卒は1,558リンギであった。
マレーシア公務員の管理部門職員は、専門職及びマネージメントに分類され、給料体系はN41、N44、N48、N52、N54の等級に区分される。管理部門公務員資格は大学卒であり、給与はN41:P1T1から始まり、優秀な成績で大学を卒業した場合、3段階上のN41:P1T3から始まる。法学士の給与は、N41:P1T4から始まる。
表2‐5のとおり、N41の給料体系は、3×27のマトリックスである。3レベル、P1、P2、P3とあり、各レベルに昇給ポイントが27、T1〜T27まである。例えば、新卒者であれば、前述のとおりN41のP1T1に属し、給与は月1,469.81リンギとなる。しっかり働いていれば、P1T2に昇格し、約100リンギの昇給がある。P1で最高のP1T27の給与は4,035.01リンギである。もし社員が、特筆すべき結果を出した場合、いつでもP2(2番目のレベル)に昇格し、P2でT1からT27まで上がっていく。P2の給与水準は、もちろんP1よりも高い。N44への昇格には、空席があることが前提であると同時に、いくつかの条件を満たす必要がある。1)仕事ぶりが認められている、2)特定のレベルの仕事ができる、3)効率性に関する査定を合格している、4)所属長からの推薦があることが条件である。この職掌になると、基本給に加えて住宅手当が250リンギ、公務員手当が300リンギ支給される。
| N41: | P1T1 | 1,469.81 | - | P1T27 | 4,035.01 |
| P2T1 | 1,552.09 | - | P2T27 | 4,277.01 | |
| P3T1 | 1,638.00 | - | P3T27 | 4,539.58 |
| N44: | P1T1 | 2,587.85 | - | P1T14 | 4,286.69 |
| P2T1 | 2,864.94 | - | P2T14 | 4,705.35 |
マレーシアでは労働時間は1日8時間、週に48時間が通常である。企業によって勤務が週5日間であったり、週6日間の場合もある。製造業、小売業、ホテル業、飲食業、娯楽施設など業種によってはシフト制を採用しているために、勤務時間が長くなっていることもある。週間ベースの統計では、大多数の従業員が週に40時間以上働いている。2007年に週30時間以下の労働時間の労働者は、全労働人口の5%しかいない12.4%が30〜39時間働き、82.6%という圧倒的多数が40時間以上働いている。この割合は2001年からほとんど変わっておらず、2001年にも81.4%が40時間以上働いている。性別で見ると、女性の方が労働時間は短い。2007年には男性の84.7%が40時間以上働いているのに対し、女性は78.8%であった。女性が家事や子供のために時間を費やさなければならないことを考慮すると、この労働時間の差は実際にはもっと少なくなるはずである。
マレーシアにおける労使関係を一般化することは難しい。少数の大企業では労働組合があり、労働者の代表として経営者側と労働環境や給与問題を議論している。伝統的に航空業界や金融機関には組合が存在し、政府や公共機関にも組合があり、政府は他の業界でも企業内組合を組織するよう奨励している。
人材資源省の労働組合局によると、労働組合数は、2002年の581から2008年には659に増加している。しかし、同時期に組合員数は、80万7,260人から80万5,565人に減少している。2008年の659組合のうち、民間企業の組合は421、政府機関が132、公共機関・地方自治体が92、残り14は雇用主の組合である。業種別で見ると、サービス業が303(47%)、製造業の組合が159(24%)である。他の業種の労働組合は比較的少なく、運送・通信業界は63、農業、林業、漁業が合わせて58である。
各組合は、通常民間企業もしくは公的機関の労働組合全国組織に所属している。マレーシア労働組合会議(MTUC)が多くの民間企業の労働組合の代表組織であり、官公労連組合(CUEPACS)にはほぼすべての公的機関の組合が参加している。
2004〜2008年の間に産業省に報告された労働争議の数は減少傾向にある。同省の統計によると、労働争議は2004年には323件、翌年は381件に増加したが、その後2007年には302件、2008年は267件と着実に減少している。産業別では、製造業が常に最多で、2008年に114件発生しており、運送、通信業界は38件、農業、林業、漁業は32件であった。
全体的に労働争議の数は減少傾向にあるが、参加している従業員の数は逆に増加している。2004年は323件の労働争議に3万7,738人が参加したが、2008年には267件だが参加者は5万1,410人と大幅に増加している。労働争議の主な原因は、団体交渉の決裂と、団体交渉による条件闘争によるものの2種類がある。前者は69件で1万7,012人が参加しており、後者は92件で1万6,841人が参加している。この2つの理由で全体の60.3%が発生し、参加労働者の65.8%を占めている。
2008年には、希望退職に関する労働争議が3,816件あり、ほとんどが和解したが、うち254件は退職に応じ、1,165件は補償金を受け取ることで解決している。和解金の合計は、672万1,555リンギであった。他の551件は、仲裁により取り下げられている。3,816件中939件は産業裁判所に提訴され、533件は却下された。
労働争議が解決しない場合、ストライキに突入することがある。マレーシアではストライキはまれであり、産業関係局に報告されたストライキは、2004年から2008年の間の各年に、3件、3件、1件、2件、2件しか発生していない。2008年には2件で参加者170人規模のストライキが発生し、1日当たり273人の損失が発生したが、直接交渉で解決した。これは2004年に3件、参加者279人、それによる損失1日当たり3,262人、2005年には3件、参加者1,020人、それによる損失1日当たり4,793人であったことと比べると比較的容易に解決したといえる。
労働条件に関する最も重要な法律は、1955年雇用法であり、詳細については「雇用労働関係法令」のページ(http://www.global-hrd.jp/info/asia/malaysia/05laborlaw.html)を参照願いたいが、雇用主はこの法律に規定されているよりも悪い条件で、労働者を雇用することはできない。その他すべての労働者に適用される個別の法令がある。
これらの法令は、従業員が老齢もしくは労働災害により退職する場合に、社会保障、給付金などを付与するためのものである。最後の法令は、企業が提供する住宅の施設についてのものである。
1994年労働安全衛生法は、名前からも分かるように、労働者の職場における安全や健康を増進するための法律である。これに関連する規則がいくつかある。
工場及び従業員の環境については、1967年工場・設備法に基づき、次の17件の規則を定めている。
石油工場に勤務している労働者には下記の法令がある。
マレーシアの携帯電話市場で大きなシェアを持つデジ社は、就業規則をインターネットで公開している数少ない企業の1つである。詳細は下記のウェブサイトを参照のこと。
社会全体としての観点からすると、労働者が会社を移動すると彼らの持っている技術が広まるので、転職は有益といえる。しかし、企業側にとっては、転職した者の穴を埋めるために、新たに人材を育成しなければならず、あまりメリットは感じられないようである。
当時副首相であったナジブ・ラザク首相は、ある工場での開所式典で、従業員たちに会社に対して忠誠心を持つことを促すような内容のスピーチを行った。また、従業員が高給を求めて転職することが投資家たちから問題として指摘されていることに言及し、企業家たちに他社で教育を受けた従業員の引き抜きを控えるよう促した。これに対し、マレーシア雇用主連合(MEF)は、国家及び業双方にとって転職は有益であり、労働の流動化は必要であると反論している。また、幹部社員転職斡旋会社の社長は、企業側も育てたらすぐに転職されないよう工夫をすべきであると述べている。また、ザ・スター紙の取材に応えたコンサルタントによると、人は給与だけでなく、キャリアを積むことや、職場環境などによっても転職するという。
Gross氏がアジア諸国を対象に行った調査(1999年)によると、高い経済成長率とタイトな労働市場という条件下で、アジア通貨危機前(1997〜98年)にはジョブ・ホッピングは一般的であった。しかし、通貨危機と共に失業率が上昇し、この転職現象は終わった。1999年までには銀行員、電子産業及び化学産業など一部の職種にジョブ・ホッピングが少し見られるようになった。熟練労働者と技術者の不足は、先進的な製造技術事業を展開する上で障害となってきている。人材不足は多くの製造関連企業、とりわけ中小企業にとって従業員の採用、教育、選別が大きな負担となっている。こうした企業は熟練労働者の不足に直面し、高い給与が払えないために、人材が不足し、離職率が高くなり、その結果として従業員育成費が高騰するという悪循環に陥っている。
また、Hobday氏が行った信越半導体マレーシアでの調査では、賃金の上昇及び転職のため、新規採用や従業員の継続的な雇用が非常に難しくなっていることが分かった。同様に、マレーシアも含むアジア全域で2006年にMISアジア社が実施したIT業界の給与に関する調査では、IT業界産業の従業員はジョブ・ホッピングが自分たちの報酬を引き上げるために役立つと考えているとされている。Hooi氏が行った調査(2001年)によると、マレーシアでは採用後の教育があまり必要でないことから、経験者を雇用することを好むとしている。さらに、必要な場合に、その場限りの採用を行う会社もあるとしている。一部の雇用主によるこのようなやり方は、たしかに従業員の転職を助長しているといえる。Hooi氏は新期卒業生の定期的な採用と長期雇用を行うことが、マレーシアの教育と職業訓練を責任あるものにするために必要であると述べている。
2006年に日本貿易振興機構(JETRO)が行った調査によるとマレーシアの日系企業が労務に関して直面する問題の4番目に、労働者の離職率が高いことが挙げられた。JETROは日本からの投資を誘致するための環境整備と、日系企業の経営を改善するために、2つの対策を提案している。1つは、政府及び機関は外国語の教育や職業訓練を行い、優秀な人材を豊富に輩出すべく、産業界や実業界、また教育機関と協力すべきであるとしている。このような施策により、労働市場の需給のミスマッチやジョブ・ホッピングも、長期的に減少していくであろう。また、政府は従業員の社内教育を促進するために、税額控除などの特典を設けることも考えられる。2つ目は、アジアの経済統合の進展にともない、より透明性の高い労働関係システムが必要であるとしている。
ペナンにあるシンクタンクの報告書(SERI2001)では、労働者と企業の要望をマッチングすることは非常に難しいとしている。労働者は、仕事の種類、仕事のペース、同僚との関係、OJTの機会、給料、活気などを重要視している。一方、採用する側は、生産性の低い労働者を雇用してしまうことへの懸念や、採用及び訓練のコストがかかることを心配している。そのような従業員と雇用主側の関係性についても、解明される必要がある。
従業員の離職率を軽減する方法として、総合的品質経営(TQM)の導入も提唱されている。Ooi氏他(2005年)は特定のTQMの採用が、従業員の定着傾向の助長に好影響を与えているとして、組織の経営者は新入社員全員に公式のTQMプログラムの研修を受けさせると同時に、全従業員に継続的な公式訓練プログラム(職場内および職場外教育)を受けさせるべきとしている。そうすることにより、従業員の責任感を醸成し、結果として離職率を低下させることができるとしている。
Hilma&Sha'ri氏の調査(2006年)によると、TQMを導入した企業では従業員の満足度や参加意識が向上し、離職率が減小した。求められている仕事とそれが全体の業績にどう影響するかなどをはっきりと説明し理解させることで、従業員の満足度と参加意識をさらに向上させることができる。
一般的にマレーシアの労働者は給与だけでなく、その他の付加給付も重要だと考えており、企業は現金もしくはその他の総合的な条件を提示することで労働者を確保し、定着させようとしている。ただ、1955年雇用法によって、給与とは基本給とその他すべての現金による支払いであると規定しているが、下記は雇用法上の給与には含まれない。
これらの雇用慣行は法令化されていないため、各企業によって差はあるが、3つのグループに分類することができる。まず、雇用法の対象にはなっていないが、法律で規定されており、企業は従業員に供与しなければならないものがある。従業員積立基金(EPF)と従業員社会保障基金(SOCSO)の2つがこれに該当する。次に、仕事の性格や業務に関連して通常供与される、例えば、社外で販売を行う従業員に支払われる出張手当のようなものがある。さらに、全く自由裁量で供与されるものがあり、これは企業によって異なるものである。例えば、歯科治療費の会社負担や、従業員の扶養家族に対する医療費補助の範囲などは、企業ごとに異なっている。上記3グループについても、同じ会社であっても、業務区分、専門性、職制などによって対応が異なる場合もある。有給休暇の権利が、勤続年数に従って増加するのは、こうした例といえる。
従業員に対する企業慣行についての詳細は、世界的経済危機の後もほとんどこれまでどおりに行われているようであるが、いくつかの企業では追加付与部分は削減される傾向にあるとの話もある。以下概略である。
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