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フィリピン

作成年月日:2009年1月5日

労働力の国外送出について

フィリピンにおいて移民は、経済面のみならず社会的側面においても、極めて重要な役割を果たしている。POEA(Philippine Overseas Employment Agency:フィリピン海外雇用庁)によれば、2007年、107万7,623人のOFW(Overseas Filipino Workers:海外フィリピン人労働者)が世界の様々な国に送出された。

※出典:
Philippine Overseas Employment Administration, <http://www.poea.gov.ph/ar/ar2007.pdf> accessed on 5 January 2009

移民労働者は、フィリピンの経済的地位向上に大きなインパクトを与えているため、フィリピンの「新しいヒーロー (Bagong Bayani) 」とみなされている。2007年、フィリピン中央銀行の記録では、地上勤務及び海上勤務双方のOFWからの本国送金の合計額は、1,444万9,928米ドル※1にのぼっている。下表5-1は本国送金の概要である。

表5-1 地域別OFWからの本国送金(2006年、2007年)(単位:1,000米ドル)
世界の地域 OFWによる本国送金額 変化率(%)
2006年 2007年
アジア 1,496,120 1,543,180 3.10%
中東 1,909,208 2,172,417 13.80%
ヨーロッパ 2,061,067 2,351,691 14.10%
アメリカ 7,198,212 8,244,349 14.50%
アフリカ 10,272 16,027 56.00%
オセアニア 85,610 121,418 41.80%
その他 819 846 3.30%
地上勤務労働者合計額 10,812,018 12,213,565 13.00%
海上勤務労働者合計額 1,949,290 2,236,363 14.70%
総合計額 12,761,308 14,449,928 13.20%
平均月間送金額 1,063,442 1,204,161 13.20%
※注1:
データは、中央銀行に提出された商業銀行、貯蓄銀行、OBUs(オフショア銀行センターの各銀行)、及び外国為替会社からの報告を基にしている。
※注2:
表のデータは必ずしも送金した海外フィリピン人の就労国とは限らない。その理由は、送金はコルレス銀行を中継し、当該銀行の多くが米国にあるため多くの送金元が米国であるかのように表示される場合がある。
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf> accessed on 5 January 2009

データから見ると、OFWのなかで、地上勤務者による本国送金の金額が海上勤務者のそれより大きくなっている。また、2006年〜2007年にかけて、世界のあらゆる地域からの送金額に増加が見られる。両年とも、OFWからの最大の送金があったのはアメリカ大陸であり、それに続くのが欧州及び中東であった。一方、送金額が最低であったのは、アフリカであった。

※1
1米ドル=97.27円(2009年3月3日現在)

5.1 関係法令及び制度の概要

OFWの利益保護を目的として、「RA(Republic Act:共和国法)第8042号移民労働者及び海外在住フィリピン人法 (RA 8042 Migrant Workers and Overseas Filipinos Act) 」、「RA第9422号及び地上及び海上勤務者の改正POEA規則 (RA 9422 and Revised POEA rules for land based and sea farers) 」などの法律が公布されている。これらの特徴を以下で説明する。

【RA第8042号移民労働者及び海外在住フィリピン人法】
1995年に成立した「RA第8042号移民労働者及び海外在住フィリピン人法」は、その家族も含む移民労働者の福祉を保護するために制定された。本法では、労働者の送出、不法雇用、移民労働者に対するサービス、政府機関の役割、移民労働者問題に対する法的支援の機能及び責任、国別チームアプローチ、規制緩和及び規制の段階的廃止、海外在住フィリピン人専門家並びに高度技能取得者及びその他の規定など、移民労働者に係る政策の詳細が規定されている。
本法の規定は、国内外に居住する移民労働者の権利及び尊厳が守られることを保証するものである。また、国内外における労働者及び雇用機会の均等に対する完全な保護も提供される。また、十分でありかつ時宜を得た、社会・経済・法的なサービスがすべてのフィリピン人移民労働者に与えられることを保証している。
フィリピン人海外労働者が、フィリピンの経済発展に不可欠な役割を果たしていることは事実であるが、RA第8042号は、経済成長及び国家発展を支える手段としての海外におけるフィリピン人の雇用を促進してはいない。つまり、本法では、フィリピン政府が継続的にフィリピン人労働者の雇用を創出することを謳っている。
RA第8042号では平等性にも重点が置かれているが、この平等性は雇用へのアクセスの均等機会だけでなく、男女間における差別のない機会均等も強調されている。政策の策定は、男性及び女性移民労働者の異なるニーズを考慮に入れた、性差別に敏感なものであるべきであるとしている。
人権法に類似してRA第8042号は、法廷及び準司法組織への自由なアクセス及びフィリピン人移民労働者に対する十分な法的支援を重視している。
また本法では、国家は、技能を持つ移民労働者のみを国外に送出することを順守し、それにより移民労働者を保護することを規定している。さらに、政府は、フィリピン人移民の権利が保護される国にのみ労働者の送出を行うこととしている。これを確実に実施するため、国外に住むフィリピン人労働者の権利保護が常に維持されるよう、受入国に関して以下の事項が要請される。

  • 移民労働者の権利を保護する労働関連及び社会関連の法律が存在すること。
  • 移民労働者の保護に関連した多国間条約、宣言あるいは決議に調印すること。
  • 国外のフィリピン人労働者の権利を保護する2国間条約あるいは協定を政府が締結すること。
  • 移民労働者の権利を保護する前向きかつ確固たる手段をとること。

上述の条件が満たされない場合、政府は、当該国に対する移民労働者の送出の停止あるいは禁止を行う可能性がある。
不法雇用は、フィリピン人移民労働者が直面する問題の1つであるが、この問題は、RA第8042号でも取り扱われている。この法律では、不法雇用の場合に適用される規則を明確に説明している。たとえば、この法律で適用される罰則では、不法雇用で有罪判決が下された者は、6カ月と1日以上12年未満の懲役、及び20万ペソ※2以上50万ペソ未満の罰金が科される。さらに、不法雇用が経済的妨害活動を構成するか、あるいは組織的並びに大規模な不法雇用である場合は、無期懲役、及び50万ペソ以上100万ペソ未満の罰金が科される。不法雇用の被雇用者が18歳未満、あるいは不法移民を行った者が免許を持たないかあるいは権限を有していない場合には、上述の最大限の罰則が適用される。

※2
1ペソ=1.9983円(2009年3月3日現在)

以下は、フィリピン人移民労働者に提供されるサービスの例である。

  1. POEAの設立
    POEAは、フィリピン政府から、不法雇用、不正行為及び搾取あるいは虐待を防止するプログラム及びサービスを含むフィリピン人移民労働者のニーズの処理と解決を図る業務を課されている。また、渡航助言もPOEAを通じて発布されている。
    労働者の本国送還が必要となった場合、労働者の海外雇用及び送出を担当したPOEAが主たる責任を受け持つ。本国送還が労働者の過失によるものである場合は、主たる雇用者あるいはPOEAの責任とはならない。
  2. OWWA(Overseas Workers Welfare Administration:海外労働者福祉庁)の設立
    OWWAは、労働者が災難、感染症、災害その他に遭遇した場合、労働者の本国送還を担当するもう1つの政府機関である。1億ペソにのぼる緊急本国送還基金は、当初OWWAの監督下で設立された。
  3. 再雇用モニタリングセンターの設立
    当制度は、社会への再統合の面において帰国したフィリピン人移民労働者に対する支援を提供するために設立され、帰国者のフィリピン本国での雇用及び国家開発に彼らの技能を利用するための支援を行っている。このサービスの支援において、DOLE(Department of Labor and Employment:労働雇用省)及びOWWAは、帰国した移民労働者が社会へ再統合する際の多様な選択肢が得られるようなプログラムを立案する役割が指定されている。訓練の提供を実施しているTESDA(Technical Education and Skill Development Authority:技術教育技能開発庁)、TLRC(Technology Livelihood Resource Center:技術生計資源センター)及びその他の政府系機関は、帰国したフィリピン人移民労働者に対して優先的に対応することが要求されている。
    再雇用モニタリングセンターは、下記のサービスを提供している。
    • 民間セクターとの連携による、帰国したフィリピン人移民労働者のための生計プログラム及びプロジェクトの開発。
    • 帰国移民労働者の潜在能力の促進、開発、再雇用及び最大活用を考慮に入れた民間及び政府機関のコーディネーション。
    • 地元におけるすべての公共あるいは民間の人材関連企業(就職斡旋会社)及び雇用者がアクセスすることが可能な、技能を持つフィリピン人移民労働者に関するコンピュータベースの情報システムへのアクセス態勢。
    • 帰国移民労働者のための就職機会の調査及び評価の実施。
  4. 移民労働者及び他の海外在住フィリピン人資源センターの設立
    これらのセンターは、世界中の様々な国に居住する移民労働者の支援を行うため、彼らのニーズに応えるよう週末及び祝日を含み1日24時間開かれている。これと対をなすのは、調整を目的とした外務省における24時間オープンの情報及び支援センターである。当センターにより提供されるサービスは以下のとおりである。
    • カウンセリング及び法律相談
    • 福祉支援(医療及び入院サービス)
    • 到着後のオリエンテーション、定着及び社会的統合のための地域ネットワークサービスを通じた社会的統合の促進
    • 人的資源開発(訓練及び技能向上)
    • 女性移民労働者に特有なニーズの支援を行うための、性差別に敏感なプログラム及び活動
    • 帰国した労働者及びその他の移民のためのオリエンテーションプログラム
    • 移民労働者及びその他の海外在住フィリピン人に影響を及ぼす日々の状況、環境および活動のモニタリング
  5. 移民のための共有政府情報システムの設立
    このシステムでは、DFA(Department of Foreign Affairs:外務省)及びその付属機関、海外在住フィリピン人委員会、DOLE、POEA、OWWA、観光省、司法省、移民局、国家調査局、及び国立統計局のそれぞれの情報が共有されるが、その共有される情報は以下のとおりである。
    • 出国・帰国フィリピン人のオリジナルリスト
    • 服役中の者を含む、フィリピン人労働者及びその他のフィリピン国籍を有する者が関与する係争中の法律案件の一覧
    • フィリピン人移民労働者。海外在住フィリピン人・旅行者の統計プロフィール
    • 人的資源開発(訓練及び技能向上)
    • ブラックリスト掲載の外国人・好ましくない外国人
    • 特に大量のフィリピン人が移民する受入国における法律制度、移民政策、婚姻法及び民法ならびに刑法の基礎データ
    • 受入国が締結する労働及びその他人権関係の法律文書
    • 男性及び女性の移民労働者が関与した過去及び現在の性差別事案の追跡システム
    • 海外在住のフィリピン人に対する一般的な支援及び移民労働者に特定した支援を提供する海外の拠点
  6. 移民労働者貸付保証基金
    出発前準備ローン及び家族支援ローンの提供を目的としたOWWAからの1億ペソにのぼる基金が、移民労働者の支援のために用意されている。なお、政府系金融機関との連携でこの融資の促進が実行されている。
  7. 政府機関
    上述のとおり、フィリピン人移民労働者の権利及び福祉問題に対応する業務を課せられた複数の政府機関が存在するが、これらはすでに説明した政府機関が担当する業務に関しては概略の説明がされている。
    1. DFA:
      国際的及び地域における相互関係に係るすべての活動を所管する権限を与えられており、またフィリピン人移民労働者の権利に関して最重要課題として取り組むことが保証されている。
    2. DOLE:
      諸外国における労働・社会福祉法がフィリピン人移民労働者の権利を保護することに責任が課せられている。
    3. POEA:
      労働者の採用及び海外での就職斡旋業務への民間セクターの関与に係る規則を所管している。
    4. OWWA:
      フィリピン人移民労働者及びその家族のさまざまなニーズを支援する業務が課せられている。
  8. 移民労働者のための法律支援
    「移民労働者問題のための法律支援」は、フィリピン人移民労働者の必要とする法律支援サービスの提供に関し、主担当である外務省の所管として設立された。この移民労働者法律支援基金としては、1億ペソが用意されている。この基金は、大統領社会基金及び海外労働者のための福祉基金といった大統領の臨時基金を財源としている。この基金は「移民労働者問題のための法律支援」を通じた海外の法律家への支払いを含む法律サービスの提供目的で使用される。
  9. 国別チームアプローチ
    国別チームアプローチとは、外国に赴任したフィリピン政府関係のすべての幹部職員、代表者及び職員がその出身組織に捉われず、当該国駐在の大使のリーダーシップの下で国別チームアプローチとして行動することを意味している。
※出典:
REPUBLIC ACT NO. 8042 Migrant Workers and Overseas Filipinos Act of 1995 <http://www.poea.gov.ph/rules/ra8042.pdf> accessed on 5 January 2009

【RA第9422号POEAの規制機能強化に関する法律】
本法は、2006年7月24日の第13次国会の第3回通常国会において制定され、1995年に成立した「RA第8042号移民労働者及び海外在住フィリピン人法」の改正を実施しているが、これは当時からの時代の変化及びOFWのニーズの変化に対応したものである。改正の焦点は、特にPOEAの義務及び責任に当てられている。
本法を通じて、労働者及び人間としての権利に関する適切な情報を移民労働者に対して提供することに重点が置かれている。また移民労働者については、その自己の権利を主張することが奨励されている。また強調されているのは、移民労働者の送出先は、移民労働者に関する国際法及び基準を監視し、かつ順守する国にのみ限られることである。

※出典:
Republic Act No.9422, <http://www.poea.gov.ph/rules/RA_9422.pdf> accessed on 5 January 2009

【大統領令第442号海外雇用に関する労働法典規則】
当該命令は、雇用前、採用及び労働者の就職、採用に係る規則及び就職活動ならびにその他の規則を規定している。以下は、当該命令の主要な点の解説である。

  1. 雇用前
    フィリピン人労働者が、国内外で可能な限り最高の労働条件の仕事を自由に選択できるよう保証することが国家としての目的である。
  2. 雇用促進
    雇用促進条項は、多様な雇用機会情報の普及及び労働における可動性の規定が提供されることの重要性に重点が置かれている。
  3. 雇用サービス局 (Bureau of Employment Services)
    雇用サービス局は、包括的な雇用プログラムの開発及びモニタリングを担当している。包括的雇用プログラムには、国内外における労働者の採用に関する民間部門の関与を規制する登録及び免許制度が含まれる。雇用プログラムは、技能移民労働者に限らず、不利な立場にあるグループ及び地域社会を対象に企画されている。労働市場情報システムも、人材開発計画を支援することを目的として開発されている。外国人雇用に関する規制は、登録および労働許可証の確保を通じて行われている。船員以外の技能の登録は、雇用サービス局が管理している。
  4. 海外雇用開発委員会 (Overseas Employemnt Development Board)
    海外雇用開発委員会は、フィリピン人移民労働者の権利を保護するために創設された。労働者に最良の条件が確実に提供されるよう、海外でのフィリピン人の雇用を促進することが当委員会の責任となっている。フィリピン人労働者の海外での直接雇用は禁止されており、政府命令により明確化されている。
  5. 移民問題局 (Office of Emigrant Affairs)
    移民問題局は、フィリピン人移民労働者のコミュニティーの密接な関係を維持する責任が課せられているが、移民の社会への再統合にも重点が置かれている。また、フィリピン人移民の福祉を確保するための協力的連結(経済、政治及び文化)の強化も考慮に入れられる。
  6. 国立船員委員会 (National Seamen Board)
    当委員会は、船員に対する無料就職斡旋を提供するために創設された。船会社が船員に提供する条件が最良であることを保証するために、当委員会が監視を行っている。フィリピン人船員の完全な登録も、当委員会により維持管理されている。
  7. 外務省職員の役割及び参加
    労働担当外交官及び労働担当職員は、海外在住のフィリピン人労働者が搾取及び差別の対象とならないことを保証する。さまざまな面から見た就職市場及び雇用情勢ならびにその傾向に関する雇用情報について、その調査及び提言など重要情報が取得可能である。
  8. 獲得外貨の強制的送金
    労働長官が命ずる規則によれば、フィリピン人労働者は、外貨での所得の一部を家族に送金することが求められている。
  9. 国籍要件
    当該政令により、送出等に係る会社、パートナーシップあるいは事業体は、少なくとも持分の75%がフィリピン人に所有され、支配されなければならない。
  10. 労働者が支払う手数料
    求職者は、就職が決定するまでは、いかなる手数料も支払う必要がないことが規定に明記されている。
  11. 禁止行為
    政府命令によって禁止されている事項は以下のとおりである。
    • 直接、間接を問わず、労働省が規定した範囲の手数料率を超える金額の手数料の徴収あるいは支払いの受け取り、あるいは労働者からローンまたは前払い金として受け取った実際の金額を超える支払いを要求すること。
    • 採用・雇用に関する虚偽の通知、情報、文書を提供あるいは公表すること。
    • 当該規則の下で、免許あるいは権利を確保することを目的として、虚偽の通知、証明、情報、文書を提供または公表すること、あるいは不実告知を行うこと。
    • すでに就労している者に対し、他の職業を斡旋するために離職するよう誘導を試みること。ただし、転職が現在の過酷な雇用条件から労働者を解放することを目的とする場合はこの限りでない。
    • 自己の人材関連企業(就職斡旋会社)を通じた求職の申請をしていない者に関し、その者を採用しないよう、雇用者あるいは事業体に影響を及ぼす、または影響を及ぼそうと試みること。
    • 公衆の保健、公序良俗あるいはフィリピン共和国の威信に害を及ぼす職業に関する労働者の採用あるいは職業紹介の業務への従事。
    • 労働長官あるいはその権限を委譲された者による査察の妨害を試みること。
    • 雇用情勢、職業紹介の欠員、取得外貨の送金、離職、離脱等に関する報告、あるいは労働長官が要求する情報の報告の提出を怠ること。
    • 当事者により契約書への署名が実際に行われた後、契約の修了日までの間に、労働長官の認可を得ることなく労働省により認可及び確認された雇用契約を差し替え、あるいは変更すること。
    • 旅行業に従事するあらゆる企業の管理職、取締役になること。あるいは、直接、間接を問わず旅行業の経営に従事すること。
    • 出国以前に、旅行関係文書の申請をした労働者に対し、当該政例及びその施行令並びに規則に定められた以外の金銭を得ることを目的とし、旅行関係文書の保留あるいは引渡しを拒否すること。
    人材関連企業(就職斡旋会社)が法令及び規則に違反したことが判明した場合、その免許の停止あるいは取り消しが実行される可能性がある。
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration, <http://www.poea.gov.ph/rules/labcode.html> accessed on 5 January 2009

【船員の採用及び雇用を管理するPOEAの規則及び規定】
POEAは、フィリピン人移民船員のみを対象とした規則及び規定を公布している。そこで定められる政策は、RA第8042号に類似しているが、当該規則等では、フィリピン人移民船員に重点が置かれている。
フィリピン人船員の採用及び人材関連企業(就職斡旋会社)の資格は明確に規定されており、たとえば、最低資本金は200万ペソとなっている。旅行会社及び販売会社は、フィリピン人船員の採用及び就職斡旋業に従事する資格は認められない。以下でフィリピン人船員の採用業務のための免許取得の手続きを説明する。人材関連企業(採用、職業紹介、就職斡旋等の機能を有する企業)の検査(免許発行の事前、事務所移転、支店及びその他施設の開設、定期検査、立入検査)は、当該政策に沿った形で実施される。経営者に対し、必要書類、記録及び帳簿の提出が求められることがある。
予備免許は、申請者に対し1年間の有効期限を設けて交付され、申請者は新たな使用者に対して50人の船員を配備する必要がある。
人材関連企業及び船員による違反行為があった場合の懲罰は、下記のウェブサイトに詳細が記されている。

※参考:
POEA Rules and Regulations Governing the Recruitment and Employment of Seafarers, <http://www.poea.gov.ph/rules/SB%20Rules%202003.pdf>

【陸上勤務の海外労働者の採用及び雇用を管理するPOEAの規則及び規定】
当該規則は、船員に関する規則と類似しているが、いくつかの規定は陸上勤務者に特定されるものとなっている。
当該規則では、免許の申請を行うすべての人材関連企業は、免許交付後、1年以内に新規市場に対して100人以上の配備を行う必要がある。この免許は、船員の場合と同様に有効期限は1年である。
雇用者に対し請求される手数料は、サービス手数料、査証手数料、航空運賃、POEA処理費用及びOWWA会員費などが列挙されている。同様に、労働者に対し請求される手数料も明記されている。斡旋手数料は、1カ月分の給与に、パスポート申請取得費用、NBI・警察・バランガイ許可(居住地域移転)費用、本人確認、出生証明書、医療保険、職業検定(必要とされる場合)、予防接種(要求される場合)及び健康診断料が加算されたものである。
規則では、特別な採用許可証が交付されない限り、登録住所以外での採用活動が禁止されていることが強調されている。しかし、POEAは、いずれの特別採用許可証も取り消す権利を有している。また人材関連企業は、事業報告を提出しなければならないが、当該報告がPOEAに対して完了しない場合は、継続的な権限の交付は行われない。
適合しなければならない雇用基準に関しても規定されている。地上勤務の労働者の雇用契約において、最低限満たす必要のある要件は以下のとおりである。

  • 通常勤務時間及び時間外賃金における給与の保証。いずれも、受入国における法定最低賃金を下回ることは許されず、また2国間協定、あるいは受入国及びフィリピン両国で批准された国際条約で設定された最低賃金を下回ることは許されない。加えて、それらの最低賃金とフィリピンにおける最低賃金を比較して、高いほうの最低賃金を下回ることはできない。
  • 作業現場と宿舎の間の無料交通手段の提供あるいは同等額を支払うこと。
  • 無料の食事及び宿舎の提供あるいは同等額を支払うこと。
  • 正当な(公認された)事由あるいは受入国の慣行、伝統、規範、慣習、履行、企業政策及び労働法並びに社会立法労働者を考慮に入れた契約あるいはサービスを終了すること。
  • 管理者は、その他の契約規定の基礎として以下の事項も考慮に入れることが可能である。
    1. 受入国の現行の労働及び社会法
    2. 関連する協定、条約、代表あるいは決議
    3. 関連する2国間及び多国間条約あるいは受入国との取り決め
    4. 労働市場における一般的条件(現実の状況)

同様に、不法行為、罰則及び人材関連企業及び海外労働者に対する懲戒処分の種類が、当該規則に明確に規定されている。このなかには、採用規則の違反に関連した行政処分の根拠が含まれている。
規則の付属文書には、POEA検査マニュアルが含まれている。政府の最大の優先課題は、フィリピン人移民労働者の権利及び福祉の保護であるため、人材関連企業の採用活動は、検査活動を通じて監視されている。当マニュアルには、検査官の資格、検査の種類、検査手続き及び検査の実施などの項目が含まれている。

※出典:
POEA Rules and Regulations Governing the Recruitment and Employment of Land-based Overseas Workers, <http://www.poea.gov.ph/rules/POEA%20Rules.pdf> accessed on 5 January 2005

5.2 送り出しの所轄機関

上述のとおり、フィリピン人移民労働者の権利、福祉の保護、国内外における彼らの地位向上に向けた行動を協同で実施する複数の政府機関が存在する。フィリピン人移民労働者の福祉を担当する組織は、1) POEA、2) OWWA、3) DOLE、4) DFA、及び5) MTC(Maritime Training Council:海事訓練評議会)である。

  1. POEA
    POEAは、1982年に政府命令第797号により設立された。本法は、海外雇用開発委員会、国立船員委員会及び雇用サービス局の機能の統合を規定している。
    POEAの機能は、下記の命令を根拠としている。
    • 1982年に制定された大統領令第797号は、海外雇用プログラムの促進、開発、移民労働者の権利の保護に重点が置かれている。
    • 1987年に制定された政令第247号は、雇用及び海外就労のための登録技能の維持管理に関し、民間セクターが関与する場合の規程に重点が置かれている。また、海外に居住する外国人労働者の雇用条件の確保にも重点を置いている。
    • 1995年に制定された共和国法第8042号では、政労使の三者原則、完全公開、規制緩和、選別的送出、システム及び情報技術のダイナミズムに重点が置かれている。
    • 2007年に制定された共和国法第9422号は、POEAの規制機関としての機能を再強化し、労働者あるいは人間として、海外居住外国人労働者の権利保護に重点を置いている。
    POEAは、労働雇用長官が代表を務める運営委員会により統治されている。当委員会の他の構成員は、副委員長であり日常業務を監督するPOEA長官及び3人の副長官などである。3人の副長官とは、雇用事前サービス事務所及び福祉雇用事務所を監督する副長官、免許及び規則事務所及び裁定事務所を監督する裁定及び雇用規則担当副長官、及び一般事務管理及び管理サービス支援を担当する副長官である。その他に、民間部門、女性、海上及び陸上を基盤とする各セクターも運営委員会のメンバーである。
    POEAの本部では、毎日平均で3,000〜5,000人の顧客に対するサービスを提供している。サービスの対象となる主要な顧客は、OFWs、公認人材関連企業、外国雇用者・雇用申請者、労働者・労働申請予定者、NGO、マスコミ、及び一般民間人である。
    フィリピンの主要な3つの島に、3カ所の地方センターが設置されている。この3カ所とは、ルソン島のラ・ウニョン州、ビサヤ島のセブ市、及びミンダナオ島のダバオ市である。さらに、地方分室がバギオ山脈行政地域、イロイロ、カガヤン・デ・オロ及びサンボアンガの各地区に設けられており、出張所もパンパンガ、カランバ、ラグナ、レガスピ、バコロド及びタクロバンに設置されている。
    POEAには、1) 企業に関する規則、2) 雇用促進、3) 労働者保護、4) 一般管理及び支援サービスといった主要な業務がある。
    1. 企業に関する規則に含まれる事項:
      人材関連企業に対する免許交付、POEA規則の違反(金銭関係のクレームを除く)が報告された人材関連企業・外国雇用者・海外労働者に対する苦情及び訴訟の審問及び裁定、民間セクターからの関与者に対するインセンティブ及び罰則制度の実施、労働基準の設定、印刷物、放送及びテレビを利用した求人広告のモニタリング及び監督、反不法雇用プログラムの監督及び反不法雇用プログラムの強化である。
    2. 雇用促進に含まれる事項:
      フィリピン人労働者を雇用する外国人雇用主の認定および登録、外国人雇用主による求人要請の認可、雇用契約の評価及び処理、出国地点における出国する労働者に対する支援規定、市場調査を通じた市場の開発及びモニタリング、フィリピン人労働者の雇用に関する労働力の受入国との間の覚書の締結、マーケティングの実施、政府間の協定及び規定を通じた労働力送出の推進、及び労働者登録制度の維持管理である。
    3. 労働者保護に含まれる事項:
      公教育及び情報キャンペーンの強化、就労前オリエンテーション及び反不法雇用セミナーの全国的な実施、政府間協定を通じて雇用される労働者に対する、送出前オリエンテーションセミナー (Pre-Deployment Orientation Seminars:PDOS) の実施、被雇用者の指名、2国間及び多国間協定の草案作成における技術的支援規定、不法雇用の被害者に対する法的支援規定、POEAにより記録された労働者のデータベースの維持管理、OFWの国際的マッピング及びプロファイリングの準備、性差別に敏感なプログラムの実施、NGO、労働者組織などとのネットワーク構築、及び帰国支援規定である。
    4. 一般管理及び支援サービスに含まれる事項:
      人的資源開発、資産及び補給品管理、財務管理、情報通信技術、企画及び政策策定、及び品質管理システムである。

    2008年にPOEAは、以下のような企業に関する規則、雇用推進及び労働者保護の面で前進を見せている。
    • 企業に関する規則については、申請前オリエンテーションセミナー、労働市場フォーラム及び最良雇用慣行に関するセミナーを実施している。また、和解、裁定、上訴のモニタリング及び決定に関する執行を含む、包括的訴訟管理プログラムが実施された。
    • 雇用推進分野では、100万人の海外フィリピン人労働者の送出という目標が設定された。この目標の達成のため、技術的マーケティング使節団の派遣、マーケティング情報収集の強化、2国間及び多国間協定の履行、外国政府及び外国雇用主のフィリピン訪問促進、教育及び訓練セクターの連携強化、労働力受入国との協力強化、及び技能コンピテンシーに関する政策実施などが推進された。
    • フィリピン人移民労働者の保護は、POEAの最重要課題である。OFWの国際的マッピング及びプロファイリングには、世界中のOFWの労働現場、技能及び性別に関する情報が含まれている。2008年の対象国・地域は、サウジアラビア、日本、台湾、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、香港、レバノン、韓国、バーレーン、シンガポール、ヨルダン、イスラエル、オマーン、英国、米国、マレーシア、ブルネイ、キプロス、カナダ、オーストラリア、ロシア、アフガニスタン、アルジェリア、アンゴラ、イラン、イラク、ナイジェリア及びイエメンとなっている。AIR(Anti-Illegal Recruitment:反不法雇用)キャンペーンの強化には、予防措置及び救済措置が含まれている。予防措置に含まれるのは、雇用前オリエンテーションセミナー、地方政府事務所における不法雇用の根絶、マルチメディア情報及び教育プログラムなどである。救済措置には、不法雇用の被害者に対する法的支援、監視、おとり捜査、逮捕、告発及び不法人材関連企業の業務停止が含まれる。また、不法雇用の被害者及び目撃者に対する報奨プログラムも設定されている。POEA規則に違反した雇用主及びPOLO(Philippines Overseas Labor Office:フィリピン海外労働事務所)におけるフィリピン人採用会社に対する苦情の届出に関し、OFWに対する現場救済の規定の設置。
    ※出典:
    Philippine Overseas Employment Administration, <http://www.poea.gov.ph/html/aboutus.html> accessed on 5 January 2009
  2. OWWA
    OWWAは、DOLEの下に設立された組織で、OFW及びその家族の保護・福祉・福利を促進する業務が課せられている。
    OWWAは、福祉サービスの提供及び財源の蓄積並びに実現可能な資金計画が課せられている。同庁の目標は、1) OFWの利益及び福祉を保護すること、2) OFWの福利の促進及び保険、社会福祉支援、法的支援、文化活動サービス、及び送金サービスを含むOFWに対する社会福祉サービスの提供に関する政府の責任に係る労働法典の規定の施行促進、3) 健全かつ懸命な投資及び資金管理政策を通じた資金の効率的徴収及び実現可能かつ持続可能性の確保、4) OFWの社会、経済、文化的幸福の強化のための調査研究の実施、5) OFWの福祉を目的とした特別プロジェクトの支援及び資金提供である。
    なお、OWWAの資金源は、外国雇用主及び陸上及び海上を基盤とする労働者の会費25米ドル、投資及び金利収入、その他の資金源からの収入などから構成されている。
    ※出典:
    Overseas Workers Welfare Administration, <http://www.owwa.gov.ph/> accessed on 5 January 2009
  3. DOLE
    DOLEは、共和国法第4121号により創設された。その所管業務は、政策の策定、プログラム及びサービスの実施、労働及び雇用分野における行政機関として政策調整に関与することである。DOLEは、雇用機会の拡大促進、人的資源の開発、労働者の保護・その福利の促進、産業界の平和維持を主管する政府機関である。
    当省の組織は、16の地方事務所、34の海外駐在、6つの局、7つの業務機構、DOLEのために政策とプログラムの監視ならびに調整を行う11の機関から構成されている。
    DOLEのビジョンは、すべてのフィリピン人労働者に対する生産的な完全雇用の実現である。DOLEの目的とするのは、雇用機会の拡大促進、人的資源の開発、労働者の保護・その福利の促進、産業界の平和維持であるが、この目的達成のため戦略として、雇用創出の支援、雇用促進、雇用強化及び雇用維持が実行されている。
    民間セクターは、雇用創出のために重要な役割を担っており、DOLEは、国民に雇用を提供するために様々な民間セクターとの協調行動をとっている。雇用創出のために実施される主要プログラムは、雇用創出のための調査及び政策支援、特定セクターのための生産能力強化及び農村部と緊急雇用の促進である。このプログラムを完了させるためDOLEは、ILS(Institute for Labor Studies:労働研究機構)、BLE(Bureau of Local Employment:地方雇用局)、BRW(Bureau of Rural Workers:農村部労働者局)、及び地方事務所のWAWD(Workers Amelioration and Welfare Divisions:労働者改善福祉部門)のコーディネートを実施している。
    雇用創出を目的として、各機関の間で協同実施される重要プロジェクト及び活動は以下のとおりである。
    プロジェクト・活動 実施共同機関
    雇用政策の点検、開発及び支援 ILS、事務局
    雇用計画 BLE、地方事務所
    KasH(若年者向け雇用のための訓練)プログラム BLE、TESDA、地方事務所
    学生の雇用のための特別プログラム BLE、地方事務所
    労働評価プログラム BLE、地方事務所
    Tulong Alalay sa Taong May Kapansanan
    (身体障害者支援)プログラム
    BLE、地方事務所
    マニラ首都圏におけるOSY (Out of School Youths)・OWY (Out of Work Youths) のための緊急雇用 BLE、マニラ首都圏
    Aksyon ng Sambayanan Laban sa Kahirapan
    (非貧困地域の建設)
    BRW、地方事務所
    自営及び起業家開発を通した農村部の雇用促進
    (略称:PRESEED)
    BRW、地方事務所
    CARPのための自立組織 BRW、地方事務所
    失職の防止及び解雇労働者 地方事務所
    雇用促進には、国内外の技能を持つ労働者の供給サイドと求人のマッチングが含まれ、DOLEは、BLE(Bureau of Local Employment:地方雇用局)、DOLEのRO(Regional Offices:地方事務所)のEPD(Employment Promotion Division:雇用促進部門)、及びPOEAの活動をコーディネートする。
    雇用促進のため、複数の機関が協同して実施する重要なプロジェクト及び活動は、以下のとおりである。
    プロジェクト・活動 実施共同機関
    公共雇用サービス事務所 (Public Employment Service Office : PESO) BLE、地方事務所、LGU(地方自治体)、SUC(国立総合・単科大学)
    労働市場情報システム (LMIS)
    - Phil JOBNET
    BLE、地方事務所、PESO
    海外雇用 POEA
    雇用維持には、労働争議調停プログラム及び政労使三者権限委譲プログラムが含まれる。
    DOLEは、BLR(Bureau of Labor Relations:労働関係局)、三者構成産業平和評議会事務局、LRD(Labor Relations Divisions:労働関係部門)及び地方事務所の調停仲裁部署、法律サービス (Legal Service : LS) 、NCMB (National Conciliation and Mediation Board:全国和解調停評議会)、及びNLRC(National Labor Relations Commission:全国労働関係委員会)の活動をコーディネートする。
    雇用維持のため、複数の機関が協同して実施する重要なプロジェクト及び活動は、以下のとおりである。
    プロジェクト・活動 実施共同機関
    争議回避のための行政介入 OSEC
    労働争議調停及び防止策  
    和解及び調停 NCMB
    任意調停 NCMB
    強制的調停 NLRC
    労使協調促進及び苦情処理機関 NCMB
    労働者教育 BLR、地方事務所
    三者構成産業平和評議会  
    組合活動及び団体交渉の促進 BLR、地方事務所
    労働者組織及び開発プログラム
    (Workers Organization and Development Program : WODP)
    BLR、地方事務所
    雇用強化は、人的資源開発プログラム並びに保護及び福祉サービスを提供することを目標としている。雇用強化を目的として実施されているプログラムは、技術教育・技能訓練プログラム、基準設定・執行プログラム、生産性・賃金設定プログラム、社会保護・福祉プログラムである。
    DOLEは、雇用強化策を適切に提供するため、下記の各機関のコーディネートを行う。
    • TESDA及びその地方組織
    • NMP(National Maritime Polytechnic:国立海事ポリテクニック)
    • MTC
    • BWC(Bureau of Working Conditions:労働条件局)
    • BRW
    • BWYW(Bureau of Women and Young Workers:女性青年労働者局)
    • POLO
    • LSED(Labor Standards Enforcement Divisions:労働基準執行部門)及び地方事務所のWAWD
    • OSHC(Occupational Safety and Health Center:労働安全衛生センター)
    • ECC(Employee Compensation Commission:被雇用者補償委員会)
    • NWPC(National Wages and Productivity Commission:国家賃金生産性委員会)及び当委員会の地方賃金生産性評議会
    • OWWA
    雇用強化のために複数の機関が協同で実施している重要なプロジェクト及び活動は、以下のとおりである。
    プロジェクト・活動 実施共同機関
    人的資源開発 TESDA
    海事訓練 NMP、MTC
    労働基準執行 BWC、地方事務所
    労働安全衛生 OSHC
    賃金設定及び生産性の認識 NWPC、RTWPB
    被雇用者補償 ECC
    社会改善プログラム
    (Social Amelioration Program : SAP)
    BRW、地方事務所
    勤労青年センター
    (Working Youth Centers : WYC)
    BWYW、地方事務所
    証明手数料プロジェクトを含む、
    労働担当外交官サービス
    ILAS、POLO
    海外フィリピン人労働者のための福祉プログラム OWWA
    OFWのための再統合プログラム  
    女性労働者雇用・起業家開発
    (Women Workers Employment and
    Entrepreneurship Development:WEED)
    BWYW、地方事務所
    ジェンダー及び開発
    (Gender and Development:GAD)
    BWYW、他全機関
    他の機関と同様、DOLEの一般管理及び支援サービスには、以下の事項が含まれる。
    • 管理及び財務管理
    • 人的資源開発
    • 政策研究及び統計作成
    • 情報及び広報
    • 企画及び国際労働問題業務
    DOLEの一般管理及び支援サービスは、雇用労働省の様々な業務において全体的方向性を提供し、かつ長官室を支援する。また、全般的管理業務及び継続的なサービスの改善が鍵となる業務である。
  4. MTC
    フィリピンは1978年、IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)の「船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する」国際条約(78年STCW条約)に調印した。当該条約は1995年に改正され、現在では一般的にSTCW95年条約と呼ばれている。この条約を背景として、指令書第1404号の発効によりMTCが1984年5月1日に創設されている。
    MTCは、労働雇用省の付属機関であり、代表はMTCの議長を務めるDOLEの長官である。議長は、業務運営及び政策の管理に責任を持つ。一方、次官は、長官により任命され統括業務に携わる。評議会のメンバーは、MARINA(Maritime Industry Authority:海事産業庁)、PCG(Philippine Coast Guard:フィリピン沿岸警備隊)、CHED(Commission on Higher Education:高等教育局)(現在は高等教育委員に改編されている。)、POEA、福祉基金管理庁(現在のOWWA)及びPRC(Professional Regulation Commission:専門家規制委員会)の各長官により構成されている。また、民間部門からの代表(海運業者及び船員の双方の代表)も評議会のメンバーとなっている。当該機関の事務局は、副局長に補佐された事務局長が代表を務めており、MTCの日常業務を行っている。
    民間部門とのコーディネーションを通じ、MTCは、国際的な需要および基準に見合うようフィリピン人船員の知識及び技能の開発を目標としている。またMTCは、フィリピン人船員に対するより良いサービスのために、革新的な作業過程及び戦略が活用されることを保証している。
    ※出典:
    Maritime Training Council, <http://www.mtc.gov.ph/> accessed on 5 January 2009

5.3 送出労働力の属性

5.3.1 受入国

表5-2 OFWの世界送出先地域別新規雇用及び再雇用数
(2006年、2007年) (単位:人)  
地 域 OFWの展開 変化率 (%)
2006年 2007年
アジア 222,940 218,983 -1.8%
中東 462,545 487,878 5.5%
ヨーロッパ 59,313 45,613 -23.1%
アメリカ諸国 21,976 28,019 27.5%
信託統治地域 6,481 6,674 3.%
アフリカ 9,450 13,126 38.9%
オセアニア 5,126 10,691 108.6%
その他 88 77 -12.5%
特別出国許可労働者 231 79 -65.8%
陸上勤務者合計 788,070 811,070 2.9%
海上勤務者 274,497 266,553 -29%
総 計 1,062,567 1,077,623 1.4%
※注:
陸上勤務者には、雇用を前提とした移民制度を通じて出国した当同社が含まれている。
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf> accessed on 5 January 2009

上表5-2は、世界各国、各地域における海外フィリピン人労働者の送出状況を説明している。ここで示されるのは、OFWでは海上労働者より陸上勤務者が多数であることである。中東は、2006年、2007年ともにOFWの最大受入国である。2006年〜2007年にかけて、オセアニアがOFWの送出対象地域として最大の増加を見せ、それに続くのはアフリカ及びアジアである。一方、同期間において、OFWの減少が最大であったのは欧州である。

表5-3 OFWの送出国上位10カ国(2006年、2007年)(単位:人)
No. 送出先 2006年 2007年 変化率 (%)
1 サウジアラビア 223,459 238,419 6.7%
2 アラブ首長国連邦 99,212 120,657 21.6%
3 香港 96,929 59,169 -39%
4 カタール 45,795 56,277 22.9%
5 シンガポール 28,369 49,431 74.2%
6 台湾 39,025 37,136 -4.8%
7 クウェート 47,917 37,080 -22.6%
8 イタリア 25,413 17,855 -29.7%
9 ブルネイ 9,461 14,667 55%
10 韓国 13,984 14,265 2%
  その他 172,490 180,379 4.6%
  地上勤務総計 788,070 811,070 2.9%
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf> accessed on 5 January 2009

上表5-3は、地上勤務の海外フィリピン人労働者の送出先上位10カ国を示している。当該データによれば、2006年、2007年ともに1位のサウジアラビア及び2位のアラブ首長国連邦がOFWの受入国として最大となっている。同期間の増加率では、最大は74.2%増のシンガポールで、続いてブルネイの55%増である。一方香港は30%減少し、またイタリアも29.7%減少している。

5.3.2 職種

表5-4 職種別OFWの新規採用者送出数(2007年新規採用)  (単位:人)
職 種 男性 女性 合計
家政婦及び家事関連労働者 2,959 44,919 47,878
生産関連労働者 15,277 10,640 25,917
介護人及びヘルパー 1,070 13,329 14,399
サービス業労働者 5,026 5,294 10,320
ウェイター、バーテンダー、その他関連労働者 3,677 5,599 9,276
配管工 9,168 19 9,187
正規看護師 1,137 8,041 9,178
作業員、一般労働者 6,145 1,172 7,317
電気配線工 6,942 38 6,980
日雇雑役労働者、掃除人及び関連労働者 927 5,373 6,300
合 計 160,046 146,337 306,383
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf> accessed on 5 January 2009

上表では、2007年、海外に送出されたフィリピン人労働者の最多の職種は家政婦等であり、当カテゴリーの合計人数4万7,878人のうち女性は、4万4,919人であった。次に多い生産関連労働者では、合計2万5,917人が送出され、そのうち1万5,277人が男性であった。

5.3.3 年齢

フィリピン国家統計局によれば、2007年4月から9月の期間中、175万人の海外フィリピン人労働者のうち半数以上が35歳未満であり、OFWの最大の年齢層は25歳〜29歳であり、その年齢層が全体に占める割合は24.5%となっている。また、35歳未満の女性の構成比率は49.1%、男性は55.2%であった。女性の合計数のうち28.8%は、25歳〜29歳の年齢層に所属し、30歳〜34歳の年齢層では21.3%である。一方男性は、20.3%が25歳〜29歳の年齢層に所属し、30歳〜34歳の年齢層は20%、また22.8%は45歳以上の年齢層に所属している。

※出典:
2007 SURVEY ON OVERSEAS FILIPINOS <http://www.census.gov.ph/data/sectordata/
sr08353tx.html
>

5.3.4 技能水準

表5-5 保有技能別新規海外派遣労働者数(単位:人) 
技能分類 2006年 2007年
専門家及び技術労働者 41,258 43,225
管理職及び管理的労働者 817 1,139
事務労働者 7,912 13,662
営業職労働者 5,517 7,942
サービス職労働者 144,321 107,135
農業労働者 807 952
製造業労働者 103,584 121,715
再分類予定 3,906 10,613
合 計 308,122 306,383
※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf> accessed on 5 January 2009

上表5-5では、2007年の世界に送出されたフィリピン人移民労働者の最大数が製造業労働者であり、続いてサービス業労働者、専門家及び技術労働者となっていることが示されている。農業労働者の数は、海外送出労働力のうちで最小であった。

5.4 送出労働力の技能水準の評価制度

技能評価及び人材関連企業及び雇用主の信頼性は、フィリピン人海外労働者の福祉の実現を確保するために必須である。
POEAは、資本金及び預託金あるいは保証金の規制について、採用及び人材関連企業の順守状況を詳細に監視している。このような監視により、人材関連企業等の法令順守の割合は高くなっており、また、預託金の不足分を補充せずに免許停止となる企業数が減少している。
海外雇用庁の覚書回覧2007年第4号は、移民労働者の評価制度の事例である。当該回覧では、フィリピン人の直接雇用を希望する雇用者のためのガイドラインが対象となっている。この例では、雇用者の事前資格審査が実施され、被雇用者に対する扱いの問題の記録に関して一定の基準に合格すること及び書類の提出が求められている。同様に、フィリピン人労働者に対しても、保健省、技術教育技能開発庁などのフィリピン政府関係当局が交付する、当該労働者が必要な技能を有し労働に必要な健康を保持することの適切な証明書が要求される。
フィリピン人船員に関して、フィリピンは、「船員の訓練及び資格証明ならびに当直の基準に関する」国際条約(STCW条約)の規定が完全に効力を持つ優良国リストに加えられており、その事実は、IMOの加盟国に要求されるとおり、フィリピン人船員が有能であり、かつ現行の国際規則を順守した訓練及び資格証明制度により質が確保されていることを国際的な海運業界に対して証明するものである。
フィリピン政府は、民間セクターとの協力により、人材送出システムが国内及び国際的人材関連企業が要求する有資格の人材及び技能評価を生み出すことに重点を置いている。対象となる労働者は、身体的健康の保証のため、政府認定の医療クリニック及び病院にて厳格な雇用前健康診断を受けている。政策及び戦略の継続的な開発及び改正の方向性は、海事訓練の品質改善に向けられている。これは、訓練内容及び技術の向上、産業界における研究開発の強化及び船員の訓練及び開発の能力強化を通して実行される。

※出典:
Philippine Overseas Employment Administration : Filipino Workers : Moving the World Today, <http://www.poea.gov.ph/about/moving.htm>, accessed on 5 January 2009

5.5 労働力送出・受入に関する二国間・多国間協定

海外フィリピン人労働者の利益に資するため、様々な国との間で既に述べたような協定が締結されている。フィリピン人の利益は、フィリピン人の福祉の実現に関与する複数のフィリピン政府関係機関により確保されている。

2国間協定が持つ特徴は以下のとおりである。

  • 相互利益
    1. 経済的観点(社会的利益)
    2. 開発状況(専門的及び社会的)
    3. 財務的(民間の利益)
    4. 文化
    5. 保健制度
  • 平等及び効率性の達成
  • 政策的一貫性の促進
  • 保護及び保健安全衛生
※出典:
Asia-Pacific Action Alliance on Human Resource for Health, <http://www.aaahrh.org/> accessed on 5 January 2009

現在、3,267社の人材関連企業がPOEAに登録している。

5.6 送出労働力の技能水準 二国間・多国間協定

フィリピンが協定を締結した国としては、バーレーン、カナダのアルバータ州、マニトバ州、ブリティッシュ・コロンビア州、サスカチュワン州およびアラブ首長国連邦がある。

  1. バーレーン
    フィリピンとバーレーン王国との協定書は、保健サービスの協力に関するものである。協定の目的は、保健関連の有能な人的資源の供給及び質の向上の増大を目指す持続可能で国際的な教育訓練及び専門的・技術的開発プログラムを作成するため、フィリピンとバーレーンとの間で認定ヘルスケア及び教育機関の連携を生み出すことである。
    また当該協定は、労働者の権利及び採用手続きを明細に規定しており、労働者は、関係国際労働機関の協定により提供される権利及び責任を享受することが明記されている。また、奨学金制度、学術協力、投資、交換訪問制度、コンサルタント、追補協定、財務協定及び実施機関に関しても明記されている。
  2. アルバータ州、マニトバ州及びカナダ
    フィリピンとアルバータ州、マニトバ州及びカナダとの協定書も同様な形となっている。協定書には、両国における人的資源の送出及び開発に係る協力が規定されている。雇用基準の保証は、訓練及び信用認定活動を通じて達成されることが協定書に明記されている。雇用主及び派遣会社に係る情報の交換に関しても、協定書に明記されており、労働者の採用及び選別の基準も列挙されている。費用ならびに人的資源開発の重要性についても文書化されている。
  3. アラブ首長国連邦
    フィリピン政府及びアラブ首長国連邦との間の協定書の目的は、労働力の面での両国間の現行の関係を強化することである。協定書は、両国それぞれの現行の法令諸規則の尊重を認識している。協定書には、個別の契約は、労働者及び雇用者との間で合意され、フィリピン及びUAEの労働法及び規則に従い、労働者及び雇用者の権利及び義務を明確に規定すると明記されている。
    POEA及び雇用者との間の採用契約も調印されなければならない。契約では、雇用者とフィリピン人移民労働者の間の契約期間中の雇用者の責任が列挙されている。証明書が交付される選別された労働者に対し提供される、PDOS(Pre-Departure Orientation Seminar:出国前オリエンテーションセミナー)の規定など、POEAの責任についても記載されている。PDOSは、雇用契約の基本的理解、受入国のプロフィールに関する情報及び効果的な雇用のために必要となる価値観及び態度に関するオリエンテーションを提供することにより出国者の支援となっている。労働者の本国帰還、支払う必要のある手数料及び支払条件も協定書に含まれている。
    ※出典:
    Philippine Overseas Employment Administration, <http://www.poea.gov.ph/docs/mou_Alberta.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/
    mou_Manitoba_Canada.pdf
    >, <http://www.poea.gov.ph/docs/mou_BC_Canada.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/
    mou_Saskatchewan_Canada.pdf
    >, <http://www.poea.gov.ph/docs/uae_moa.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/moa_bahrain.pdf> All accessed on 5 January 2009

参考文献

  1. 2007 SURVEY ON OVERSEAS FILIPINOS <http://www.census.gov.ph/data/sectordata/
    sr08353tx.html
    >
  2. Asia-Pacific Action Alliance on Human Resource for Health, <http://www.aaahrh.org/> accessed on 5 January 2009
  3. Maritime Training Council, <http://www.mtc.gov.ph/> accessed on 5 January 2009
  4. Overseas Workers Welfare Administration, <http://www.owwa.gov.ph/> accessed on 5 January 2009
  5. Philippine Overseas Employment Administration : POEA Rules and Regulations Governing the Recruitment and Employment of Land-based Overseas Workers, <http://www.poea.gov.ph/rules/POEA%20Rules.pdf> accessed on 5 January 2005
  6. Philippine Overseas Employment Administration : Filipino Workers : Moving the World Today, <http://www.poea.gov.ph/about/moving.htm>, : Overseas Employment Statistics, <http://www.poea.gov.ph/stats/stats2007.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/rules/labcode.html>, <http://www.poea.gov.ph/docs/mou_Alberta.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/
    mou_Manitoba_Canada.pdf
    >, <http://www.poea.gov.ph/docs/mou_BC_Canada.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/
    mou_Saskatchewan_Canada.pdf
    >, <http://www.poea.gov.ph/docs/uae_moa.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/docs/moa_bahrain.pdf>, <http://www.poea.gov.ph/ar/ar2007.pdf> accessed on 5 January 2009
  7. REPUBLIC ACT NO. 8042 Migrant Workers and Overseas Filipinos Act of 1995 <http://www.poea.gov.ph/rules/ra8042.pdf> accessed on 5 January 2009
  8. Republic Act No.9422, <http://www.poea.gov.ph/rules/RA_9422.pdf> accessed on 5 January 2009

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