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台湾

作成年月日:2009年6月30日

雇用労働関係法令

1.1 雇用労働関係法令一覧

 行政院CLA(Council of Labor Affairs:労工委員会)によれば、雇用及び労働に関連した法令は8分野に分けることができる。すなわち労働基準(又は労働条件)、労働保険、労働福祉、労働安全衛生、労使関係、労働監査、職業訓練、雇用である。本報告においては労働条件、労働管理、労働保険、職業能力開発に区分けをして詳述する。(括弧内の日付は最終更新日である。)

  1. 労働条件
    1. 労働基準法(2009年4月20日)
      • 労働基準法施行規則(2009年2月27日)
      • 基本賃金制定に関する規定(2002年11月6日)
      • 未払い賃金債務の管理、返済、徴収、配当に関する規定(2007年8月29日)
      • 労働者の休暇取得に関する規定(2005年6月8日)
    2. 男女雇用機会均等法(2008年11月26日)
      • 男女雇用機会均等法施行規則(2008年7月11日)
      • 予防措置設立規定:職場でのセクシュアルハラスメントに対する苦情及び懲罰(2008年7月8日)
      • 男女雇用機会均等に関する苦情処理についての規定(2008年7月10日)
      • 育児無給休暇の施行規則(2008年7月7日)
      • 男女雇用機会均等に関する訴訟における法的援助提供についての規定(2008年7月8日)
    3. 労働安全衛生法(2002年6月12日)
      • 労働安全衛生法施行規則(2002年4月25日)
      • 危険有害性物質周知に関する規定(1999年6月29日)
    4. 労働監査法(2002年5月29日)
      • 労働監査法施行規則(2002年12月31日)
      • 労働監査法28条に規定されている労働上の危険性についての定義(2002年12月31日)
      • 危険のある作業場の点検及び監査規則(2005年6月10日)

  2. 労働管理(労使関係)
    1. 団体交渉法(2008年1月8日)
      • 労使会議の招集規定(2001年10月29日)
    2. 労働組合法(2000年7月19日)
    3. 労働争議解決法(2002年5月29日)
      • 労働訴訟援助規定(2001年10月17日)

  3. 労働保険
    1. 労働保険法(2009年4月22日)
      • 労働保険法施行規則(2003年5月14日)
      • 労災事故手当及び補助金に関する規定(2007年2月6日)
      • 労働保険適用者の就業に起因する傷害及び疾病の認定規定(2003年6月18日)
      • 労働保険に関する争議の調停規定(2002年12月4日)
      • 労災保険加入者による医療期間中の保険解約及び再加入に関する規定(2007年4月20日)
    2. 労働災害犠牲者保護法(2001年10月31日)
      • 労働災害犠牲者保護法施行規則(2002年4月26日)
    3. 雇用保険法(2009年5月13日)
      • 雇用保険法施行規則(2003年1月1日)
    4. 国民健康保険法(2005年5月18日)
      • 国民健康保険法施行規則(2007年2月27日)
    5. 労働年金法(2004年6月30日)
      • 労働年金法施行規則(2005年1月19日)
    6. 労働者福祉基金法(2003年1月29日)
      • 労働者福祉基金法施行規則(2003年4月9日)
    7. 国民年金法(2008年8月13日) ※1
      • 国民年金の老齢年金納付及び労災保険の老齢給付の組み合わせに関する規定(2008年3月27日)※2

  4. 職業能力開発
    1. 職業訓練法(2002年5月29日)
      • 職業訓練法施行規則(2000年12月30日)
      • 技能認定及び免許に関する規定(2005年12月30日)
    2. 専門職及び技能職試験法(2002年6月26日)
      • 専門職及び技能職試験法施行規則(2003年10月29日)

  5. 雇用、労働に関連したその他の法令
    1. 就業服務法(2009年5月13日)
      • 就業服務法施行規則(2004年1月13日)
      • 失業者雇用においての雇用主への補助金及び報奨金に関する規定(2008年9月29日)
      • 雇用促進奨励金支給規定(2009年4月24日)
      • 雇用許可及び外国人監督に関する基準(2001年11月7日)
      • 外国人が就業服務法第46条、第1項、第1〜6款に規定される仕事に従事する際の資格及び審査標準(2005年5月24日)
      • 民営雇用促進機関に対する許可及び監督に違反した外国人雇用事業所の取り消し及び廃止の決定基準に関する指示(2007年9月7日)
      • 外国人労働者雇用の許可及び管理規定(2008年12月28日)
    2. 被雇用者の大量一時解雇保護法(2008年5月23日)
      • 大量一時解雇中の労働者の訴訟費用及び生活費の援助規定(2009年3月26日)
      • 大量一時解雇中の労働者再雇用を事業所に奨励するための規定(2003年9月29日)
      • 大量一時解雇実施中事業所の取締役会会長及び実質的責任者の海外渡航禁止規定(2003年7月30日)
    3. (身体的・精神的)障害者の権利及び福利保護法(2007年7月11日)
    4. 自由貿易港設立及び管理法(2003年7月23日)
※1
国民年金法は2007年8月8日に制定され、2008年10月1日より施行。
※2
2008年10月1日より施行。

1.2 労働基準関係法令

1.2.1 労働契約

 労働契約についての法令は、民法第2部、義務の第7節、労働基準法第2章で規定されている。※3民法の重要原則の一つは、契約内容の自由である。民法第482条に規定されているように、労務提供に対する雇用契約とは、契約当事者の一方が一定又は不特定期間にわたって他方に労務を提供し、労務を受けた者がその報酬を支払う契約のことである。しかしながらこの契約が公序良俗に反したり、関連する法令を遵守していない場合は無効となる 。※4
 労働基準法第1条によれば、雇用主と労働者との間で締結される契約内容は、少なくとも労働基準法の最低基準に達していなければならない。労働契約には期限付きの契約、期限なしの契約がある。一時的、短期的労働、季節労働、特殊な労働のための契約はすべて期限付きの契約であり、継続的な労働のための契約は期限なしの契約である。※5
 一時的あるいは短期的労働とは予測不可能でかつ継続的ではない性質の労働をさしており、契約期間は6カ月を超えてはならない。
 また、季節労働は9カ月、特殊な労働は1年を超えてはならない。
 期限付きの契約が満了、又は期限なしの契約が何らかの理由により終了になった後、3カ月に満たないうちに新たな契約を締結するか本来の契約を継続することになる場合、その前の就労期間数は新たな契約下での就労期間数に加算される。※6

※3
台湾には労働契約法が存在するが、これは中華民国が中国大陸にあった1936年に制定されたものであり、政府による実質的な施行がなされたことはない。
※4
民法第72、73条
※5
労働基準法、第9条
※6
労働基準法、第10条

1.2.2 解雇規則

 特定の期限付き契約が3年以上である場合、労働者は3年の労働が満了した際に雇用主に30日の事前通知を出して契約を終了することができる。期限なしの労働者が契約を終了する場合、就労期間の長さによって必要な調整が行えるように事前通知の規定期間が異なる。※7連続で3カ月以上1年未満就業した者は10日前までに、1年以上3年未満の就業者は20日前までに、3年以上の就業者には30日の事前通知期間が定められている。※8
 前述で定められている期間に解雇通知を受けた労働者は、勤務時間であっても新たな仕事を見つけるための休暇を取ることができる。このような休暇は、週に2営業日を超えてはならないことになっている。これらの休暇に対する報酬は支払わなければならず、雇用主が上記の規定に従った事前通告をしなかった場合、定められている事前通告期間に相当する賃金を支払わなければならないことになっている。
 労働基準法第17条によれば、雇用主側が労働契約を終わらせる場合、労働者に対して各年毎の平均賃金の1カ月分に相当する退職手当を勤務年数分支払わなければならない。
 しかしながら2004年6月30日に施行された労働年金法のもとで年金を支払っていた雇用主が労働基準法に従って労働契約を終わらせる場合は、各年毎の平均賃金の半月分に相当する退職手当を支払えば済むのである。
  勤務期間が1年に満たない場合は、それに比例した退職手当を払う必要があるが、その額は6カ月の平均賃金を超えないものとする。
 こうした特別な決め事は労働基準法第17条の適用除外となっている。
 労働契約の終了が労働者側の都合である場合、また期限付きの契約が満期になった場合は、労働者は事前通告期間に相当する賃金及び解雇手当を要求することはできない。※9

※7
労働基準法第15条
※8
労働基準法第16条
※9
労働基準法第18条

1.2.3 賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の割増賃金

  1. 賃金
     賃金は労働者と雇用主の協議により決定される。ただしその金額は、基本賃金(最低賃金)※10を下回ってはならない。2007年7月1日に修正された基本賃金は月当たり1万7,280台湾ドル※11、時間当たり95台湾ドルである。2008年行政院財務統計局の調査によると被雇用者の月平均収入は4万4,424台湾ドルであった。

  2. 労働時間
    1. 通常労働時間
       被雇用者の通常労働時間は、1日8時間、2週間で84時間を超えてはならない。2002年末には、企業の運営上の都合で不規則な労働時間、交代制を採用する必要のため「2週変形労働時間」が修正され、「8週変形労働時間」が補足的に採用されることとなった※12。雇用主は労働組合(組合がない場合は労使会議)の承認を得て、2週間の内2日分の通常労働時間を別の日に振り分けることができる。しかしこの場合、1日当たりの振り分け時間は2時間以下、1週間当たりの労働時間が48時間を超えてはならない。また雇用主は、労働組合(組合がない場合は労使会議)の承認を得て、8週間内での労働時間の調整を行うことができる。この場合も労働時間が1日当たり8時間、1週間当たり48時間を超えてはならない。
       この2週間84時間制を採用することにより、労働者及び管理層は2週間後ごとに2日の休日、1週間ごとに2日の休日、あるいは連休という選択をすることができるようになった。そのため、企業体はその職種、業務上の必要に応じて融通性のある計画が立てられるようになった。2008年の月平均労働時間は179.7時間、週当たり41.47時間であった。
    2. 労働時間の延長
       雇用主は労働組合(組合がない場合は労使会議)の承認を得て、労働時間を延長することができる。この際、健康に影響がないことが条件で、男女を問わず労働時間は通常の労働時間を含めて1日当たり12時間を超えてはならず、月当たり46時間を超過してはならない。天災、事故、不測の事態等が発生して時間外労働が必要となる場合、雇用主は労働組合、被雇用者の事前の同意を得ることなく労働時間を延長することができる。ただしこの場合、時間外労働の開始より24時間以内に労働組合にその旨を通達しなければならない。労働組合がない場合は、当地の管轄機関に連絡して登録、承認を得る※13
    3. 時間外労働とその手当
       雇用主は残業手当として労働者に通常時間給にその3分の1を加えた時間給を支給する。これは2時間の残業までで、それを超える残業に対しては、通常時間給にその3分の2を加えた時間給が支給される。不測の事態のための残業に対しては通常の時給の2倍が支給される※14

  3. 有給休暇
     雇用主は、労働者が1週間のうち1日取る定期的な休日、祝祭日に対して賃金の支払いを行う。また労働者が同一雇用主又は同一事業所の下で行う連続勤務に対し、次の特別休暇が与えられる。すなわち、1年以上3年未満の者に対しては7日、3年以上5年未満の者に対しては10日、5年以上10年以下の者に対しては14日、10年以上の連続勤務者に対しては1年につき1日が加算される。ただし上限は30日となる。雇用主が労働者からの同意を得て、休日勤務を要請する場合、通常の2倍の賃金を支払う※15
     労働基準法第37条で言及されている祝祭日は、労働基準法施行規則第23条の中で詳述されており、次のとおりである。
    • 中華民国建国記念日(1月1日)
    • 平和記念日(2月28日)
    • 革命烈士記念日(3月29日)
    • 孔子生誕日(9月28日)
    • 国慶節(10月10日)
    • 蒋介石生誕日(10月31日)
    • 孫文生誕日(11月12日)
    • 憲法記念日(12月25日)
    • 労働記念日(5月1日)
    • 中華民国建国記念日の翌日(1月2日)
    • 春節(旧暦の正月の三日)
    • 婦人の日と子供の日(清明節の前日)
    • 清明節(旧暦の掃墓節)
    • 端午節(旧暦5月5日)
    • 中秋節(旧暦8月15日)
    • 旧暦の大晦日
    • 光復節(10月25日)
    ※注:
    は国民祝祭日である。国民祝祭日に関する規定は2001年に公務員の週休2日制が採用されるに伴い修正された。一部の祝祭日は休日とはならず、単なる記念日となった。しかしながら関連する労働法及び規定はその際変更されなかったため、その時から被雇用者の休日は増えることになった。

     業務上の必要、実際的な理由がある場合、雇用主は労働者と協議の上、上記の19日の休日を別の日に振り替えるか、割増賃金を支払うことにより時間外労働とすることができる。

  4. 休暇
      労働者は正当な理由がある場合に休暇を取ることができる。労働者のための休暇規定によれば、労働者が治療、休養を取る場合、病気休暇を申請できる。入院しない場合は1年間で30日未満、また入院の場合も1年を超えてはならず、両者を合計しても1年を超えてはならないことになっている。病気休暇が1年間で30日以下である場合、賃金の50%が支給される。労災保険の支払いが賃金の50%に満たない場合、雇用主がそれを補填する。
※10
労働基準法第21条。労働基準法の「基本賃金」とは、「最低賃金」のことである。中華民国時代の1936年に「最低賃金法」が制定されたが、これは一度も施行されたことがなく中華民国台湾により1986年に廃止された。労働基準法は1984年に施行されたが、その際、「最低賃金」ではなく「基本賃金」という語が使用されることになったのはこのような背景がある。
※11
1台湾ドル=2.8905円(2009年6月30日現在)
※12
労働基準法第30項、第30〜1条
※13
労働基準法第32条
※14
労働基準法第24条
※15
労働基準法第36条、第37条、第38条、第40条

1.2.4 年少者、女性、民族、外国人労働者、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務や派遣労働)

  1. 年少者
     雇用主は15歳に満たない労働者を雇用してはならない。15歳以上であっても16歳に満たない労働者は未成年労働者とみなされる。未成年労働者を重労働及び危険な労働に従事させてはならない。未成年労働者を1日8時間以上働かせてはならず、夜間及び休日労働をさせてもならない※16

  2. 女性労働者
     労働基準法第49条によれば、女性労働者を夜10時から朝6時までの間に働かせてはならないことになっている。しかしながら、雇用主が労働組合(組合がない場合は労使会議)の同意を得、必要な安全衛生措置を取った上で、交通手段を提供するか、公共交通手段がない場合は宿舎を提供するという条件で、女性労働者に夜勤を要請することができる。女性労働者が夜勤に同意した場合でも、健康上、またその他正当な理由がある場合は労働を強要してはならない。しかしながら、天災、事故、不測の事態等の理由により、女性労働者が夜10時から朝6時までの間に労働させられることがあった場合は、上記の夜間労働禁止条項は適用されない。女性労働者が妊娠及び授乳期間である場合は夜勤を行わせてはならない。

  3. 雇用上の男女平等
     性別に関係なく平等に働けるという権利を保護するために、男女間の差別を無くすという憲法上の要求を十分に実現した新しい男女雇用機会均等法が2008年1月16日に施行された。
     重要な条項としては、配偶者の出産のための休暇は3日に延長(第15条)、育児休暇がすべての企業に適用(第16条)、家族介護休暇が5人以上の従業員を雇用している企業すべてに適用(第20条)などを定めたものがある。
     男女差別を行った場合の罰金は2008年11月26日以降、従来の1〜10万台湾ドルから10〜50万台湾ドルに引き上げられた(第38条、38-1)。

  4. 育児休暇
     被雇用者30人以上の事業所で1年以上勤務した労働者が3歳以下の子供を持つ場合、無給の育児休暇を申請することができる。この休暇は子供が3歳になるまで適用されるが、2年以上取ることはできない。被雇用者が2人以上の子供を養育している場合、育児休暇は合計して計算される。被雇用者は、無給の育児休暇の間、引き続き社会保険に加入することができ、雇用主負担部分は免除となり、被雇用者負担部分は3年間の延期が認められる。育児休暇満了後、被雇用者は復職を申し出ることができる。

  5. 労働安全衛生
     労働災害を予防し、労働安全衛生を確かなものとするため、労働安全衛生法第5条は雇用主の責任として必要な安全衛生上の措置を講じるように求めている。その基準は次のとおりである。
    • 機械、工具、設備等による被害の予防。
    • 爆発又は可燃性原料による被害の予防。
    • 電気、熱、その他のエネルギー源による被害の予防。
    • 採掘、掘削、荷役、輸送、貯蔵、収集、伐採の過程で生じる被害の予防。
    • 作業場所における落下、倒壊による被害の予防。
    • 高圧気体による被害の予防。
    • 原材料、原料、気体、蒸気、塵芥、溶剤、化学物質、有害物質、酸欠気体、生物学的物質等による被害の予防。
    • 放射線、超高温、超低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による被害の予防。
    • 計測機器、精密機器の操作による被害の予防。
    • 廃棄物(気体・液体・固体)による被害の予防。
    • 水害、火災による被害の予防。
     雇用主は適正に安全衛生の管理を行い、労働安全衛生のための組織及び担当者を設置する。雇用主はまた、自己監査のための計画を作成し、機器、設備、またその操作に関する自己監査を実施する※17

  6. 派遣労務
     台湾では派遣労務に関して長期的な議論が交わされているが、現在のところこれに対する具体的な法制化はなされていない。一般的には、派遣雇用主、すなわち派遣会社が労働者を雇用し、その法的責任を負うというものである。派遣を受け入れる会社は顧客であり、派遣雇用主との間で契約を締結して人材を利用する。
※16
労働基準法第44条、第45条、第47条、第48条
※17
労働安全衛生法第14条

1.2.5 就業規則、労働協約

 労働基準法第70条によれば、被雇用者30人以上の事業所の雇用主は、その業種、形態に則した就業規則を制定し、関連政府機関に提出して認可及び登録を受けた上で、それを公開することになっている。規則には下記のような要点が明記されていなければならない。

  • 勤務時間、休憩、休日、特別休暇、連続操業のための交代制
  • 賃金基準、計算方法、支払日
  • 時間外勤務
  • 手当及び褒賞
  • 懲罰・処分
  • 出勤、休暇、賞罰、昇進、異動に関する規則
  • 採用、解雇、契約解除、契約終了、退職に関する規則
  • 事故、傷害、疾病に対する補償及び手当て
  • 福利の内容
  • 雇用主と労働者の双方が遵守すべき安全衛生規定
  • 雇用主と労働者間の意見交換、協力関係促進のための意志伝達方法
  • その他

1.2.6 その他

  1. 退職年齢
     2009年4月22日に新たに修正された労働基準法によれば、労働者は以下のうちどれか1つの条件を満たせば希望退職を申請できる。
    1. 15年以上勤務して55歳に達した場合
    2. 25年以上勤務した場合
    3. 10年以上勤務して60歳に達した場合
     2008年5月14日に修正された第54条によれば労働者が65歳に達するまでは、雇用主はその労働者に強制退職を強いてはならないとしている。

  2. 労働監査
     労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、またその他の労働関係法令の施行を徹底し、労使間の権益を守るために、労働監査制度を伴う労働監査法が施行された。同法第34条によれば、次の事実が認められた事業所は3年以上の懲役か15万台湾ドル以下の罰金(あるいはその双方)が科せられる。1) 第26条に違反して監査を受けていない作業場で労働者を働かせた、あるいは作業場が監査不合格である。2) 第27〜29条に規定されている業務停止命令に対する違反。事業所の責任者が上記の規定に違反した場合、事業所又は個人は関係者とともに同条項に記載された懲罰を受ける。

1.3 労使関係法令

 台湾で労働三法と呼ばれている労働組合法、団体交渉法、労働争議解決法は、労働者が組織し、集団交渉し、集団行動する権利を保障するためのもので、労働者の生活及び労働上の権利を守るために制定されている。これらの法を新たな経済環境に沿ったものとするため、2007年にその修正案が立法院に提出されたが、2007年12月14日に団体交渉法の修正案が可決されたのみで、これは2008年1月8日より施行されている。

1.3.1 労働組合

 組合組織は民主主義の原則に従って労働者が組織した機関であり、労働基準の維持及び改善を行い、経済的状態を改善するためのものである。労働組合法第1条には、労働組合の目的は労働者の権益を守り、労働者の知識と技能を向上させて企業をより生産性のあるものにすることにより労働者の生活をより良くすることであるとうたわれている。労働組合は草の根組合、連合組合に分けることができる。草の根組合とは産業組合及び職業組合のことである※18。連合組合とは同じ県、市にある産業あるいは職業組合が連合して県又は市の組合組織になったもので、より大きな地域で同種の組合が連合することもできる※19。国家単位での組合組織は、国内のすべての労働組合の連合体である。
 2008年12月現在での台湾の労働者数は1,035万4,000人で、このうち789万2,000人が被雇用者となっている。台湾には4,663の組合があり、304万3,200人が組合に加入している。職業組合がそのうちの最多数を占め、3,488の組合に251万9,900人の加入者がいる。

  1. 労働協約
     団体交渉法第1条によれば、労働協約とは法人としての雇用主又は雇用主のグループと法人としての労働者集団との間で締結された契約で、労使関係を明確にするために締結されたものである。労働協約には労働及び管理の両方に強制力を持つことに加え、権利及び義務を明確にする、争議を回避する、労使間の協力関係を促進する、生産手順を確立する等4つの機能がある。
     しかしながら、2008年末までに労働協約を締結したのは4,663組合中、60組合のみである。新たに修正された団体交渉法には少なくとも2つの画期的な特長がある。まず労働協約当事者の労働者側が組合であるという点である(同法第2条)。企業内に組合があれば双方の間で労働協約について協議する義務が生じ、正当な理由なく一方がそれを無視するということはない(同法第6条、第32条)※20

  2. 労使会議
     労使会議の招集規定第1条には、事業所は規定に従って労使会議を召集すべきであるとなっている。同事業所組織の支社が有する被雇用者が30人を超す場合、その支社のための別の会議が招集される。労使会議は少なくとも3カ月に1度開催し、必要時には緊急会議が開催される。労使会議の決定は、当地の所轄官庁に参考のため提出される※21。2008年末までに446の公営企業が2万1,649回の労使会議を開催した。
※18
労働組合法第6条
※19
労働組合法第8条
※20
行政院CLA広報2007年12月14日
※21
労使会議招集規定第18条、第22条

1.3.2 労働争議解決システムに関する法令

 労働争議解決法第4条によれば、労働争議は権利を争うものと、条件を調整するものに分けられる。前者は労働者と雇用主の労働協約、又は労働契約について争われる。後者は双方が労働条件を継続するか、それとも変更するかという点に関して同意が得られない場合に争われる。
 労働争議解決法では、労働争議の解決方法として調停及び仲裁を取り上げており、それぞれ同法第2、3章で説明されている。調停は政府介入の話し合いのみ、又は調停案による解決を指す。政府は、まず調停委員会を招集することなく解決するよう働きかけるが、それでも解決しない場合は、争議当事者のどちらかの申請により同委員会が招集される。調停委員会は争議当事者双方から各1名、所轄官庁から1〜3名、それぞれから任命された計3〜5名の委員によって構成される。委員長は政府の代表者が務める※22
 労働争議が調停により解決しない場合、双方の要望により仲裁委員会が問題を扱うことになる。仲裁委員会は争議当事者双方から各3〜4名、所轄官庁から3〜4名、それぞれから任命された計9〜12名の委員で構成される。委員長は政府機関の代表者が務める※23
 必要な場合には労働争議を裁決するための労働法廷が開かれる。調停又は仲裁により決着がついたにもかかわらず、当事者の一方が責任の履行を拒む場合、相手側は法廷に強制執行を要請することができる。その際の決定費用及び執行費用は無料である※24
 行政院の2009年労働年間報告によると、2008年には2万4,540件の労働争議が生じた。そのうち賃金に関する争議が最も多く9,186件で、次が解雇に関する争議で8,343件、契約に関するものが1,737件、年金関係が762件、労働時間関係が417件と続く。すべての争議は和解によって解決され、そのうち1万9,546件(79.65%)が仲介により和解した。

※22
労働争議解決法第13条
※23
労働争議解決法第24条、第29条
※24
労働争議解決法第5条、第37条

1.4 労働保険関係法令

 通常、被雇用者が事業所で働き、別の保険に加入していない場合、3種類の労働保険及び国民健康保険の保険料を支払うことになる。この3種類の保険とは、一般傷害保険、雇用保険及び労災保険である。このうち一般傷害保険及び労災保険は労災保険法の中で、雇用保険は雇用保険法の中で規定されている。
 一般傷害保険の保険料率は、2009年1月より毎月の固定賃金の6.5%、雇用保険は1%となった。労災保険の保険料率は職種により0.05〜2.97%と異なる。これは2008年1月1日に定められた「各職種の労災保険の適用保険料一覧表」で規定されている。この表はまた最低でも3年に1回の改訂がある。
 一定の雇用主の下で働く労働者が保険に加入する場合、一般傷害保険料及び雇用保険料の70%は雇用主が、20%は労働者本人が、そして10%は政府が支払うことになる。労災保険はその全額を雇用主が負担する。一定の雇用主を持たない労働者又は自営業者は保険料の60%を自己負担し、政府が40%を補助する。しかしながらこれは一般傷害保険及び労災保険にのみ適用され、雇用保険に加入することはできない。

1.4.1 労働者災害補償保険

 労災保険法によれば、一般傷害保険には5種類の給付対象がある。すなわち、出産、傷病、障害、老齢、死亡である。(表1−1を参照)

表1-1 労災保険法の定める一般傷害保険の給付対象
給付対象 内  容 参照条文
出産 保険加入から少なくとも280日後出産、又は少なくとも181日後に早産した者は出産給付金を申請できる。 第31条
傷病 被保険者が一般傷害、疾病により入院あるいは通院治療を受け、賃金の支払いを受けられなくなった場合、就労不能となった4日目から一般傷病給付金が支払われる。 第33条
障害 被保険者が一般傷害、疾病により治療を受けたにもかかわらず、その症状が安定し、これ以上の回復が見込めず、保険者専用の病院又は資格のある病院から永久的な障害との診断を受け、その障害が障害給付の通常規定に合致する場合、被保険者は平均保険月収と障害給付の基準に応じて障害給付金を請求することができる。 第53条
老齢
  1. 60歳以上で以下の条件のいずれかに該当する被保険者は高齢給付を受けることができる。
    1. 保険加入期間が15年以上で、高齢年金給付を請求する者
    2. 保険加入期間が15年未満で、高齢給付一時金を請求する者
  2. この法律の改正が公布、施行された2008年7月17日以前に既に保険加入期間を超えており、以下の規定のいずれかを満たす被保険者は高齢年金給付あるいは、高齢給付一時金のどちらかを請求することができる。ただし、被保険者が一時金の受け取りを選んだ場合は、その後の変更はできない。
    1. 60歳以上の男性あるいは55歳以上の女性で、1年以上保険に加入し、退職した者
    2. 55歳以上で15年以上保険に加入し、退職した者
    3. 25年以上同一保険単位に加入し、退職した者
    4. 肉体的重労働や所轄官庁が危険労働と認定した特殊な労働に5年以上従事し、55歳以上で退職した者
  3. 高齢年金給付は以下のどちらか有利な方法を選択できる。
    1. 毎月の年金給付額を保険期間中の各年度の平均保険月収の0.775%プラス3,000台湾ドルとして計算したもの
    2. 毎月の年金給付額を保険期間中の各年度の平均保険月収の1.55%として計算したもの
  4. 被保険者が高齢給付受給要件を満たしているにもかかわらず、その受給を延期した場合は、年金給付額の4%を各年度の年金給付額に上乗せすることができる。ただし上限は20%である。
  5. 高齢給付一時金を請求する被保険者は平均保険月収に基づいて算出された保険期間各年の1カ月分の高齢給付を受取ることができる。
    保険加入期間が15年を超える場合は超過する年度1年につき2カ月分の高齢給付を受取ることができる。ただし上限は平均保険月収の45カ月分である。
    もし被保険者が60歳以降も働く場合は保険支払い期間は5年を超えてはならない。その場合の高齢給付最高額は本人が60歳以前に受け取れる高齢給付を含めて平均保険月額給与の50カ月分である。
第58条
第58条-1
第58条-2
第59条
死亡 被保険者の父母、配偶者、子供の死亡に際して、葬儀補助金を申請できる。同法、第63条によれば、被保険者本人の死亡に際しては、配偶者、子供、父母、 祖父母又は扶養家族である孫、兄弟、姉妹が葬儀補助金及び遺族給付を受けられる。 第62条
※出典:
行政院CLA 労災保険法、http://laws.cla.gov.tw/Eng/FLAW/FLAWDAT0201.asp

  1. 労災保険料
     労災保険は一般傷害保険とともに扱われる。雇用主が労災保険料の支払いを行った場合、労働者は一般傷害保険及び労災保険の両方の給付を受けることができる。

  2. 給付
     労災傷害及び疾病保険には4種類の給付対象がある。すなわち、医療、傷病、永久障害、遺族である。また失踪手当もある。(表1−2を参照)

表1-2 労災保険法の定める労災保険の給付対象
給付対象 内  容 参照条文
医療 労災傷害や労災疾病により、通院あるいは入院治療が必要となった場合 第34条
傷病
  1. 被保険者が労災傷害又は労災疾病により、就労不能となり賃金が得られなくなった場合、就労不能となった日の4日目から給付が受けられる。

  2. 給付は2年間受けられる。1年目は平均保険月収の70%、2年目はその50%の給付が受けられる。
第36条
永久障害
  1. 被保険者が労災傷害や労災疾病となり、治療を受けたにもかかわらずその症状が安定し、これ以上の回復が見込めず、永久的な障害者との診断を受けた場合は、障害給付一時金の他に平均保険月収額と50%の追加給付を認める給付金支払い基準に従った障害補償を請求できる。

  2. もし被保険者が永久に働くことができないと診断された場合は、さらに平均保険月収額に基づいて計算される20カ月分の労災傷害や労災疾病による障害補償が支給される。
第54条
第54条-1
第54条-2
遺族
  1. 被保険者が労災傷害又は疾病で死亡した場合は、保険加入期間に関係なく平均保険月収額にしたがって5カ月分の葬儀手当が支給される。遺族がいる場合は、それに加えて40カ月の遺族給付が支給される。

  2. 被保険者が失踪して1年以上を経過したか、あるいは法的な死亡が宣告された場合は、死亡給付が得られる。失踪手当は平均保険月収額の70%で、戸籍登録の事務所に失踪が登録された時から給付が開始される。
第19条
第62条
第65条-5
※出典:
行政院CLA 労災保険法、http://laws.cla.gov.tw/Eng/FLAW/FLAWDAT0201.asp

1.4.2 雇用保険

 2009年4月22日に改定された雇用保険法第5条によれば、台湾国民も外国人も15〜60歳の労働者はすべて雇用保険に加入しなければならない。
 2人以上の雇用主を持つ被雇用者は、そのうちの1人を通して雇用保険に加入することができる。
 雇用保険の給付対象は次の5種類である。

  1. 失業給付
  2. 早期再雇用奨励
  3. 職業訓練生活手当
  4. 無給育児休暇への補助
  5. 失業被保険者及びその扶養家族の国民健康保険料補助

 しかしながら、被保険者が公の職業紹介所から仕事を斡旋されたにもかかわらず、それを拒む場合は、失業給付の申請をしても受理されない。
 失業給付の申請者は失業前6カ月間の平均保険月収の60%に当たる失業給付が支払われるが、労災保険制度からは退会しなければならない。
 給付期間の最高は6カ月間だが、障害を持つ人や45歳以上の人には9カ月間まで延長される。
 また、深刻な景気後退にあると中央政府が判断した場合は、この9カ月が12カ月に延長されることもありうる。
  失業給付を最高期間まで受取った場合は、本人の保険累積年数はゼロから再計算される。
 失業期間中に別の仕事に従事し、最低賃金を超える月収を得た被保険者は失業給付を受ける資格がない。

1.4.3 健康保険

 国民健康保険法は1994年8月に施行された。保険料の計算、拠出率は被保険者の職種によって異なっている。保険料率は4.55%である。拠出率は民間企業、被保険者本人、政府それぞれ30%、70%、10%となっている。
 低所得家族及び失業退役軍人の国民健康保険料は、政府がすべて負担する。

1.4.4 年金

 労働年金法は2004年6月30日に公布され、1年後に施行された。この労働年金法は被雇用者の年金口座制度を採用しており、この新たな制度では年金基金は移動可能となる。つまり被雇用者が離職しても口座は解消されず、保険年数は被雇用者の転職、事業所の休業及び廃業に影響されないことになる。
 新制度の導入に伴い、労働基準法の下にある被雇用者が旧制度を続けるか、新制度を採用するか選択できるようになっている。旧制度を選択すれば年金の金額は全く減らないことになる。新制度を選択すれば加入年数は保持される。退職の条件に合致する場合、労働基準法に従って年金の計算がなされる。新たな年金制度の要約は次のとおりである。

  1. 雇用主は被雇用者の個人年金基金に毎月振り込みを行い、労働保険局の個人年金口座に積み立てがなされる。
  2. 雇用主が労働年金基金に毎月行う積立金は、被雇用者の月給の最低6%以上とする。
  3. 被雇用者は毎月、月給の6%までの金額を自発的に個人年金口座に積み立てることができる。自発的に積み立てた金額は、その年の所得税対象額から控除される。
  4. 60歳以上で加入年数が15年以上の被雇用者は、年金の支給を受けることができる。加入年数が15年未満の被雇用者は、年金の一時金を受けることができる。
  5. 労働年金法による年金積み立ての結果で生じる利回りは、一般金融機関の2年定期預金の利回りより少なくなってはならない。何らかの損失が生じた場合は、国庫からの補填がなされる。

1.4.5 その他、独自の保険や基金に関する法令

  1. 国民年金
      国民年金法は2007年7月20日に制定され、2008年10月1日より施行された。同法第7条によれば、台湾に戸籍を持ち、別の社会保険による老齢年金の恩恵を享受しない25〜65歳までの者が国民年金に加入することができる。
     年金の積み立てにより、事業税率が1%増加することになった。労災保険を解約する者は、老齢年金のための保険加入期間を中断することなく国民年金に加入することになる。2008年3月27日には国民年金の老齢年金、労働保険の老齢給付の統合に関する規定が制定されたが、労働保険の老齢給付の適用時期、2つの制度をどう調和させるか、なお論議されている。

  2. 被雇用者福祉基金法
      被雇用者福祉基金の支給範囲、内容、比率は、被雇用者福祉基金法第2及び7条、また被雇用者福祉基金法施行規則で次のように定められている。
    1. 製造業、鉱業事業者及びその他の企業は、次の規定に従って被雇用者福祉基金を給付する。
      1. 企業創設時の総資本金額の1〜5%
      2. 月次営業総収入の0.05〜0.15%
      3. 各従業員又は労働者の月給の0.5%
      4. 廃物売却毎に得られる収益の20〜40%
    2. 支給範囲及び内容
      • 福祉給付
        結婚、葬儀、出産、傷害、疾病、緊急援助、貸付金、災害援助等
      • 教育費
        被雇用者本人の研修費用、子女の教育費等
      • 娯楽活動
        文化・保健活動、団体活動、旅行、娯楽施設等
      • その他の福利
        祝祭補助金、家屋購入貸付金利息補助金、被雇用者の保険積立金、
        被雇用者積立金による家屋購入、子女・配偶者養育費、退職給付金、その他

1.5 職業能力開発法令

 1983年に制定され、2002年に改訂された職業訓練法は、職業訓練により国民の技術的能力を開発し、労働者の能力を向上させることにより雇用を促進することを主眼としている。

1.5.1 職業能力開発制度

 行政院CLAが中央政府の所轄機関であると職業訓練法には規定されている。
 CLAによる職業訓練の主要財源は、雇用保険基金と雇用保障基金である。後者の基金は、未熟練外国人労働者を雇用する際に徴収される手数料を原資とする。
 雇用保険法実施規則第17条では、職業訓練のための基金は毎年集められる保険料予算の10%に加えてそれまでの累計余剰予算も取り込むことができるとしている。
 これにより失業中の被保険者に職業訓練を施し、台湾人を雇用した雇用主に対して奨励金を給付する。
 台湾政府は近年企業の人材投資を重要視しており、産業改革法第6条によれば、企業が職業訓練に使った費用は法人税から最大で35%控除することが可能としている。
 2009年4月16日、行政院は産業革新法の草案を承認した。これは、2009年末に産業向上法の失効に伴ってなくなる奨励策に代わって、税制上の優遇措置を提供することにより産業の発展と革新というニーズを満たすためである。

1.5.2 職業能力評価制度

台湾には次の4種の職能評価がある。

  1. 行政院CLAによる技能認定及び免許
      技能認定及び免許に関する規定は、職業訓練法第33条に従って設けられている。行政院CLAは技能認定に関する法規の草案作成、改訂、解釈の責を担っている。職業訓練法第35条には、技術面で公安と関連のある企業体は、ある一定の割合の技術者を雇用しなければならず、職種及び技術員の割合は行政院によって定められる。

  2. 専門職の資格
      専門職及び技能職試験法によれば、専門職者及び技能職者は、試験に合格して認定証を取得した上でそれらの職業に就くことができる。専門職及び技能職のための試験対象は考試院によって定められる。
     専門職及び技能職試験法施行規則第2条に定められている専門職及び技能職の試験対象は次のとおりである。
    • 弁護士、会計士
    • 建築士、種々の専門技術者
    • 医師、漢方医師、歯科医、薬剤師、医療検査専門家、看護専門家、助産専門家、臨床心理学者、カウンセリング心理学者、呼吸療法士、看護士、助産師、医療検査士
    • 獣医、獣医助手
    • 不動産鑑定士、不動産仲介士
    • 保険代理人、保険仲介士、保険公証人
    • 観光ガイド、観光引率者
    • 公証人
    • 医療用放射線専門家、栄養士、物理療法士、作業療法士、物理療法助手、作業療法助手
    • 航海士、船舶測量士、海員、船舶無線技術士、漁船船員
    • 防火施設検査士、防火施設二級検査士
    • 社会福祉指導員
    • 通関仲介士
    • その他、法令の規定により試験合格後、認定書の交付を得て従事できる専門職及び技能職

  3. 法の規定により特殊試験に合格しなければ従事できない職種
      証券会社の責任者及び関連人員に関する規定第6条によれば、証券会社に従事する者は、中華民国証券商業同業公会の要請により証券基金会が実施する試験に合格する必要がある。

  4. 多種の民営機関による認定
      IT関係の認定は民営企業によりなされており、国際的な企業及び機関によるものもある。

1.6 その他の雇用労働関係法令

1.6.1 職業紹介制度

 就業服務法は公共の雇用サービスを確立するための法令で、国民の労働の権利を偏見から保護し、雇用促進及び外国人雇用に関する規則を制定したものである。就業服務法第5章では、人種、階層、言語、思想、宗教、政党、出生、出生地、性別、性向、年齢、婚姻状況、外観、容貌、障害、労働組合への関与等により、雇用主が求職者及び被雇用者に対する偏見を持つことを禁じている。
 就業服務法の取り決めにより、行政院CLAの職業訓練雇用局は台湾各都市に職業紹介所を設けて無料の雇用紹介サービスを提供している。また同法第11条によれば、先住民族人口が2万人を超える市又は県には先住民族専門の職業紹介所を設けることになっている。
 職業訓練雇用局は職業訓練計画の実施を徹底し、一時雇用の機会提供、起業融資の利息補助、関連手当の支給、雇用促進のための給付金等の手立てを設けている※25
 働く意欲があり、職を探している次のような人々に関しては、政府は雇用促進計画を作成し、必要なら関連する手当や給付金を支給している。

  • 扶養家族のいる女性
  • 中・高年者
  • 障害者
  • 先住民族
  • 低所得家族出身で働く能力のある者
  • 長期失業者
  • 中央所轄官庁によりこの目的に合致すると認められた者
※25
就業服務法第23条

1.6.2 外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条件

 職業訓練雇用局は行政院の認可の下、2004年1月15日から外国人専門職者に対して1回のみ有効の許可制度を採用できるようになり、就業服務法第48条に基づいて外国人専門職者に労働許可証を発行してきた。
 外国人専門職者の労働許可証の審査と承認のために、就業服務法第46条第1項、第1〜6款に、雇用許可、外国人の監督及び資格、特殊労働に従事する外国人の資格基準が定められている。

  1. 労働許可に関する規定
    1. 基本原則
        雇用主による申請が承認されない限り、いかなる外国人も中華民国の区域内で労働に従事してはならない。(就業服務法第43条)
    2. 例外措置
      • 政府機関及びそれに付随する学術研究機関が顧問及び研究者を雇用する場合、承認申請を必要としない。(就業服務法第48条)
      • 中華民国の区域内に住む公民と婚姻関係にあり、台湾に居住することが許可された者は承認申請を必要としない。(就業服務法第48条)
    3. 外国人本人による申請が認められる場合
      (就業服務法第51条、第1項、第1、3、4款)
      • 台湾での居住を許された難民
      • 中華民国の区域内に居住する血族との同居が許可された者
      • 台湾での永住権を取得した者

  2. 職種
      台湾で雇用される外国人専門職者は次の職業にのみ従事できる。(就業服務法第46条)
    • 専門職又は技術職。
    • 華僑、外国人によって投資又は設立された企業の管理決定職者。
    • 公立学校又は認可された私立学校の教師。
    • 外国語クラスの教師
    • スポーツの指導者及び運動選手
    • 宗教家、芸術家
    • 船員

  3. 期限
      外国人専門職者の労働許可は最高3年である。この3年の満了後、必要であれば雇用主は延長を申請できる。(就業服務法第52条)

  4. 雇用主の変更
    • 被雇用者である外国人の雇用主が変更となる場合、あるいは労働許可証の有効期間内に2人以上の雇用主から雇用を受ける場合、新たな雇用主が申請を行う。
    • 雇用主の変更申請を行う場合、新たな雇用主は雇用外国人の辞職に関する証明資料を提出する。
    • 外国人専門職者を正当な理由なしで肉体労働者に変更してはならない。

  5. 健康試験
      外国語クラスの教師として3カ月以上雇用される外国人は、衛生部の承認を得て、3カ月の有効期間内の健康診断証明書を提出する。外国人が提出する健康診断証明書が外国人の母国で作成されたものである場合、中華民国の当該国における代表事務所による証明を得たものであることが必要となる。

  6. 不法就労
    1. 外国人による次のいずれかの行為も不法就労とみなされる。
      • 雇用主による労働許可の申請なく中華民国の区域内で労働に従事すること。
      • 労働許可の期限を過ぎても労働を続けること。
      • 許可された職種以外の労働に従事すること。
      • 認可を受けていない雇用主に雇用されること。
    2. 台湾で許可なく労働に従事する外国人は、合計3万台湾ドル以上15万台湾ドル以下の罰金を科される。
      • 中華民国の区域内で不法就労する外国人は国外退去となり、中華民国の区域内での労働が禁じられる。

1.6.3 海外から招聘され就労する者の加入義務のある制度

 海外から招聘される者が加入しなければならない制度に関する法及び規定はない。

1.6.4 その他雇用労働に関する法令

  1. 外国人労働者の国民待遇
      台湾では外国人労働者は法の下での平等、また法の定める平等な保護を受けることができる。これは世界人権宣言第47条及び国民待遇の原則に基づくものである。そのため、台湾の外国人労働者は台湾人と同様の法の保護、また労働基準、保険、福祉、労災からの保護等を享受することができる。
     このように外国人労働者は台湾人と同じ法の保護を受けられるが、政府は外国人労働者が日常生活で偏見を受けることなく生活できるよう、また新たな環境における不自由がないような特別な措置も設けている。

  2. 障害者雇用に関する最低要求
      身体的又は精神的障害者の権利及び福利保護法第38条によれば、被雇用者が67人以上いる特定の私立学校、協会、民間企業、組織、機構は、労働能力のある障害者を雇用しなければならないことになっている。雇用人数は、最低でも1人、また被雇用者総数の1%以上となっている。同法第43条によれば、定められた数の障害者を雇用しない事業所、機関は、定期的に障害者雇用基金に定額を払い込まなければならない。払い込み金額は、雇用されていない障害者の人数に毎月の基本賃金を掛けた額にしたがって算定される。

  3. 自由貿易港企業における雇用
      自由貿易港設立及び管理法第11条によれば、自由貿易港企業で雇用される台湾人の数は、雇用者総数の60%未満であってはならない。また同法第12条によれば、自由貿易港企業の外国人被雇用者の賃金は、労働基準法に定められた基本賃金の制約を受ける。また自由貿易港企業は全体雇用者数の5%の先住民族を雇用しなければならない。自由貿易港企業が雇用する先住民族の数が規定に満たない場合、毎月の基本賃金を基準に雇用されていない人数に応じた金額を定期的に特別雇用基金に振り込むことが求められる。この基金は同企業を管轄する政府機関が開設する。

参考文献

  1. Council of Labor Affairs. (n.d.). Bureau of employment and vocational training.
    http://www.evta.gov.tw/eng/content/content.asp?mfunc_id=95
  2. Council of Labor Affairs. (n.d.). Business themes.
    http://www.cla.gov.tw/cgi-bin/SM_theme?page=431d34d1
  3. Council of Labor Affairs. (n.d.). Industrial dispute resolved.
    http://statdb.cla.gov.tw/html/year/year98/
    33110.htm
  4. Council of Labor Affairs. (2009). Labor statistics.
    http://www.cla.gov.tw/cgi-bin/
    SM_theme?page=450f96e9
  5. Council of Labor Affairs. (n.d.). Law source retrieving system of labor laws and regulations.
    http://laws.cla.gov.tw/Eng/Default.asp
  6. Directorate General of Budget, Accounting and Statistics. (n.d.).
    http://win.dgbas.gov.tw/dgbas04/bc5/
    earning/ht456e.asp
  7. Ministry of Justice. (2009). Laws and regulations database of the Republic of China.
    http://law.moj.gov.tw/eng/

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