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ベトナム

作成年月日:2009年10月11日

雇用労働事情

2.1 労働市場の状況

2.1.1 過去3年間の労働力人口、就業者数、失業者数及び失業率

  1. 労働力人口
     ベトナムでは労働力人口とは、就業中、失業中を問わず15歳以上の者を指す。この定義に従うと、2008年のベトナムの労働力人口は4,772万人であり、2007年の4,671万人と比較し101万人(2.1%)の増加である。
     2008年の総労働力人口のうち、女性は2,306万6,670人で48.33%を占め、2000年の49.66%と比較すると若干減少している。これは2000〜2008年の総労働力人口の年間成長率(2.71%)と比較し、女性労働力人口の年間成長率(2.28%)が低下していることが要因である。

    表2‐1 労働力人口(2000〜2008年)
      2000年 2004年 2005年
    15歳以上人口(単位:千人) 54,284.48 60,556.74 62,441.45
     男 性 25,961.70 29,221.81 30,143.43
     女 性 28,322.78 31,334.93 32,298.01
    労働力人口(単位:千人) 39,253.33 43,242.04 44,382.09
     男 性 19,760.05 22,059.17 22,757.86
     女 性 19,493.28 21,182.87 21,624.23
    非労働力人口(単位:千人) 15,031.15 17,314.70 18,059.36
     男 性 6,201.65 7,162.64 7,385.57
     女 性 8,829.50 10,152.06 10,673.79
    労働力率(%) 72.31 71.41 71.08
     男 性 76.11 75.49 75.50
     女 性 68.83 67.60 66.95
      2006年 2007年 2008年
    15歳以上人口(単位:千人) 64,867.24 66,967.58 68,106.53
     男 性 31,367.51 32,401.79 33,290.47
     女 性 33,499.73 34,565.79 34,816.06
    労働力人口(単位:千人) 45,579.43 46,707.92 47,719.13
     男 性 23,430.19 24,096.61 24,652.46
     女 性 22,149.24 22,611.31 23,066.67
    非労働力人口(単位:千人) 19,287.82 20,259.65 20,387.40
     男 性 10,069.54 8,305.18 8,638.01
     女 性 11,350.79 11,954.48 11,749.39
    労働力率(%) 70.27 69.75 70.07
     男 性 69.94 74.37 74.05
     女 性 66.12 65.42 66.25
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

  2. 都市部及び農村部の労働力
     2008年の農業労働力人口は2000年と比べ、56万人増加の約3,558万人である。年間の平均労働者数は約70万7,000人増加し、2000年の77.43%から比べると減少しているものの、この期間における農村部の労働者数増加率は、全国の総労働力人口の58.02%を占める。
     労働力率は少しずつ減少してきている。経済の発展に伴い生活が改善され、多くの高齢労働者が働く必要がなくなってきたためだ。この傾向は農村部より都市部に明らかで、農村部の労働力率は72.9%、都市部では61.9%だった。

  3. 失業率
     ベトナムで失業者とは、働けるが職がなく、熱心に就職活動を行っている15歳以上の者を指す。経済成長に伴い、ここ数年間ベトナムの失業率は減少してきた。都市部の労働力の失業率は2006年には4.8%であったが、2007年においては2.42%、2008年においては2.20%までに減少した。

    図2‐1 失業率(2002〜2008年)
    図2‐1 失業率(2002〜2008年)

    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

     総失業率2.2%に対し、女性の失業率は2.27%と若干高い。失業者の大半は技術をほとんど持たない単純労働者で、失業者の中でも中等より低いレベルの資格者の割合が2004年には63.89%、2007年でも53.62%と大多数を占める。資格及び技術に分類すると、2003年では全体の88.20%、2008年では76.17%もの失業者が、中等技術学校より低いレベルの資格しか持たない。
     就職難は徐々に改善してきているが、農村部の失業率は都市部の失業率に比べると若干高く、失業者全体の85.4%が技術資格を持たない。

2.1.2 業種別労働者数

 2008年の就業者数は4,625万6,580人で、うち女性は48.23%を占める。2008年の労働力人口(15歳以上)の就業率は約3分の2である66.92%である。2000年の70.68%と2008年の67.92%を比較しても分かるように、この割合は過去10年間で減少してきている。

表2‐2 就業者数の推移
  2000年 2003年 2004年 2005年
就業者数(単位:千人) 38,367.59 41,175.72 42,315.62 43,452.40
 男 性 19,292.05 20,959.21 21,649.33 22,312.83
 女 性 19,075.54 20,216.52 20,666.29 21,139.57
就業率(単位:%) 70.68 70.39 69.88 69.59
 男 性 74.31 74.40 74.09 74.02
 女 性 67.35 66.66 65.95 65.45
  2006年 2007年 2008年
就業者数(単位:千人) 44,548.93 45,578.75 46,256.58
 男 性 22,893.51 23,525.30 23,949.33
 女 性 21,655.41 22,053.45 22,307.25
就業率(単位:%) 68.68 68.06 67.92
 男 性 68.34 72.60 71,94
 女 性 64.64 63.80 64.07
※出典:
Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

  1. 産業別雇用
     データによると農林水産部門における労働者数の割合は2005年の56.7%から2008年の52.5%へと減少し続けている。反対に、工業・建設部門は17.9%(2005年)から20.8%(2008年)、並びにサービス部門は25.4%(2005年)から26.%(2008年)とどちらも増加し続けている。
     雇用構造に関しては、各部門で大きな違いがある。雇用の割合では農林水産部門が常に一番大きく、サービス部門と工業・建設部門が追随する形となっている。しかし農林水産部門の雇用率は減少、サービス、工業・建設部門は増加するという傾向にあり、この傾向は雇用の産業化及び近代化、さらにはベトナムの経済改革の方向性にまで反映されている。

    表2‐3 産業別就業者数
      合計 部 門
    農林水産業 工業・建設 サービス
    2005年 人数 43,452,400 24,637,510 7,777,980 11,036,910
    % 100.0 56.70 17.90 25.40
    2006年 人数 44,548,930 24,368,260 8,152,450 12,028,210
    % 100.0 54.70 18.30 27.00
    2007年 人数 45,578,750 24,316,260 8,819,490 12,443,000
    % 100.0 53.35 19.35 27.30
    2008年 人数 46,256,460 24,284,640 9,621,340 12,350,470
    % 100.0 52.50 20.80 26.70
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

    表2‐4 産業別就業者割合(2000〜2008年)(単位:%)
    産 業 2000年 2004年 2005年
    農林業 62.46 55.37 53.61
    水産業 2.63 3.38 3.49
    鉱業、採石業 0.68 0.78 0.80
    製造 9.44 11.62 12.34
    電気、ガス、水道業 0.22 0.33 0.36
    建設業 2.77 4.62 4.70
    卸売業、小売業、
    自動車・オートバイ
    家庭用品等の修理業
    10.36 11.46 11.60
    ホテル、レストラン業 1.82 1.82 1.80
    運輸、倉庫、通信業 3.12 2.89 2.84
    金融仲介業 0.20 0.30 0.37
    その他 6.30 7.43 8.09
    産 業 2006年 2007年 2008年
    農林業 51.78 50.20 48.87
    水産業 3.59 3.70 3.75
    鉱業、採石業 0.85 0.90 0.96
    製造 13.05 13.50 14.04
    電気、ガス、水道業 0.40 0.45 0.50
    建設業 4.93 5.13 5.33
    卸売業、小売業、
    自動車・オートバイ
    家庭用品等の修理業
    11.80 11.98 11.96
    ホテル、レストラン業 1.81 1.84 1.85
    運輸、倉庫、通信業 2.80 2.76 2.72
    金融仲介業 0.42 0.48 0.49
    その他 8.57 9.06 9.53
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

  2. 従業上の地位別雇用
     ベトナムの労働力人口では就業者が大半を占めるが、そのほとんどが自営業者や家族経営での雇用によるものであり、特に農業や農村部ではその傾向が強い。この種の就業者は2005年に総就業者数の73.95%を占め、2008年では67.34%である。

    表2‐5 就業者の従業上の地位別割合(2000〜2008年)(単位:%)
      2000年 2005年 2006年 2007年 2008年
    賃金労働者 18.43 25.65 21.49 30.30 29.50
    会社経営者 0.21 0.40 0.91 3.20 3.08
    自営業者 43.02 40.96 39.16 53.50 48.25
    無給家族従業者 37.04 32.99 38.43 12.90 19.09
    その他 1.30 0.00 0.00 0.10 0.07
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

     表2‐5から緩やかとはいえ賃金労働者が増加し、自営業者と無給家族従業者が減少している傾向を見ることができる。

  3. 所有形態別雇用
     国営部門で働く労働者の割合は、2004年は9.9%であったのが2008年には9.0%に減少している。外国投資部門で働く労働者は同時期で1.5%から3.1%に増加している。

    表2‐6 所有形態別雇用構造(2004〜2008年)(単位:%)
      2004年 2006年 2007年 2008年
    国営部門 9.9 9.2 9.3 9.0
    民間部門 88.6 89.2 88.7 87.9
    外国投資部門 1.5 1.6 2.0 3.1
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

  4. 職種別雇用
     就業者のうち単純労働者が2005年には61.68%、2008年には61.50%と高い割合を占める。専門分野において高等、又は中等レベルの技術を持つ労働者は全体の7.9%(2008年には約350万人)である。これはベトナムの労働力がいまだ制限的であることを示し、現在のベトナム産業の技術水準にも反映している。2008年において総就業者数に対する熟練技術者の割合は11.5%である。

    表2‐7 職種別就業者割合(単位:%)
      2004年 2006年 2007年 2008年
    行政官 0.74 3.22 3.82 3.50
    高度レベルの専門技術者 3.49 3.90 4.02 4.10
    中等レベルの専門技術者 3.18 2.71 2.80 3.80
    専門職 0.99 0.89 0.90 1.00
    個人サービス・社会保障関係者 8.53 6.41 6.90 6.60
    農林業の技術者 6.29 4.60 4.62 4.30
    熟練技術者 12.38 12.14 11.05 11.50
    機械オペレータ 3.39 3.63 4.87 3.70
    単純労働者 61.01 62.51 61.02 61.50
    ※出典:
    Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
    Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

2.1.3 新規学卒者の就職状況

  1. 教育と訓練
     2008〜2009年に実施された全国統一高等学校卒業試験は、91万4,500人の中高等学校生と13万3,100人の補習生の計104万7,600人が受験した。合格率は中高等学生が83.7%、補習生は38.1%であった。
     教育訓練省によるとベトナム全国の2008〜2009学年度の大学生と短期大学生は前年度より4.5%増の167万5,700人、専門学校生は2.3%増の62万8,800人であった。1万人当たりの大学生・短期大学生の割合は2009年で194人であり、これは2010年の国家目標の97%に相当する。

  2. 職業訓練
     2008年末までに国は2,300もの職業訓練施設を設立した。それらは短期大学を93カ所、職業訓練中等学校を245カ所、職業訓練センターを757カ所、そして1,000カ所を超える職業訓練施設が含まれる。2007年9月27日付首相決定第157/2007/QD-TTgが公布されて以降、2008年末まで1年以上にわたって生徒や学生に予算を投入し、社会政策銀行も2007〜2008年度は5兆ドン※1、2008〜2009年度1学期(学年)は4.5兆ドンの計9.5兆ドンの支援を行った。
※1
1,000ドン=5.04円

2.1.4 離職者の現状

 ベトナムでの自発的離職者は経済活動に参加しない、又は労働力外というグループに分けられる。このグループは(1)15歳以上の学生、(2)主婦、(3)退職し働くことのできない年金受給者、(4)その他理由により自発的に離職した者が含まれる。
 非労働力人口は2005年に1,810万人、2008年は2,038万7,400人と年々増加の傾向にある。2008年の自発的離職者のうち女性は約11,749,390人で57.63%を占め、2007年の59.01%と比較すると1.38%減である。経済活動に参加していない理由としては、学生や主婦である、高齢である、障害を持つ、働けない、職を求めていない、その他等が挙げられ、2008年は学生が291万5,982人(14.30%)、主婦が736万3,929人(36.12%)、その他が1,010万8,070人(49.58%)となっている。

図2‐2 男女別15歳以上の非労働力人口(2008年)
図2‐2 男女別15歳以上の非労働力人口(2008年)

※出典:
Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

2.1.5 職種別技能労働者数

 ベトナムの労働者は、未熟練労働者と、職業訓練学校・専門教育・短期大学及び大学を卒業した訓練を受けた者の2つに分類できる。
 労働者の教育レベルは向上している。2008年、読み書きができない労働者の割合は3.7%に減少した。中等学校を卒業した労働者は2004年には19.6%であったのが2008年には23.6%となった。しかしベトナム労働力の中で中等学校教育を卒業した割合は45.2%と依然として低く、これは同時に労働者が職業訓練を受けるだけの専門教育レベルに達しておらず、訓練を受ける条件を満たしていないことを示す。
 労働者の技術資格レベルも向上している。2007年には訓練を受けた労働者割合は34.92%にも達し、職業訓練を受けた労働者は急激に増加し、年間約100万2,000人となった。統計によると、熟練労働者の割合は2003年には20.99%であったのが2008年には37.26%となっている。ここ1年で専門教育を受けた労働者が増加してきているとはいえ、全体の就業者の割合からみるとまだ少ない。

表2‐8 技能別労働者数
  就業者数
(単位:千人)
未熟練 熟練
(単位:千人) (単位:%) (単位:千人) (単位:%)
2003年 41,175.7 32,532.9 79.01 8,642.8 20.99
2004年 42,315.6 32,764.9 77.43 9,550.7 22.57
2005年 43,452.4 32,506.7 74.81 10,945.7 25.19
2006年 44,548.9 30,493.7 68.45 14,055.2 31.55
2007年 45,578.7 29,662.6 65.08 15,916.1 34.92
2008年 46,256.5 29,022.2 62.74 17,234.3 37.26
※出典:
Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006-
Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

 2008年の未熟練労働者全体のうち女性は52.32%、女性労働者全体の中では未熟練労働者は72.31%であった。つまり、訓練を受けた女性労働者は依然としてかなり少なく、全女性労働者の中で27.69%にとどまる。しかし、都市部での熟練労働者の割合は農村部と比べてとても多い。2008年の都市部の熟練労働者の割合が61.23%であるのに対し、農村部の割合はわずか23.91%である。

表2‐9 女性及び地域別技能労働者割合(2008年)(単位:%)
  2007年 2008年
未熟練 熟練 未熟練 熟練
女性 73.11 26.89 72.31 27.69
都市部 40.97 59.03 38.77 61.23
農村部 76.79 23.21 76.09 23.91
全体 65.08 34.92 62.74 37.26
※出典:
Statistical data of employment and unemployment in Viet Nam 1996-2006- Labour - Social Publishing House, 2006 and MOLISA 2007. Statistical data of employment and unemployment in Vietnam 0n 1/7/2007 and 1/7/2008, MOLISA, Vietnam, 2009.

2.2 賃金

2.2.1 法定最低賃金の最近の動向

  1. 一般最低賃金
     労働法により一般最低賃金はある一定期間の経済成長率、消費者物価指数、労働需給に応じて決定される。労働傷病兵社会福祉省がベトナム総労働連盟や雇用者の代表、関連省庁等と協議の上、政府に一般最低賃金の調整案を提出する。2009年4月6日付政令、第33/2009/ND-CPにより2009年5月1日からの最低賃金は月額65万ドンと規定された。

    表2‐10 一般最低賃金(1993〜2009年)
    有効期限 月額最低賃金(単位:ドン)
    1993年4月1日 120,000
    1997年1月1日 144,000
    2000年1月1日 180,000
    2001年1月1日 210,000
    2003年1月1日 290,000
    2005年1月1日 350,000
    2006年1月1日 450,000
    2008年1月1日 540,000
    2009年5月1日 650,000
    ※出典:
    Ministry of Labour, War Invalids and Social Affairs.

    表2‐11 地域別最低賃金
      文書 月額最低賃金(単位:ドン)
    外国投資
    部門
    2008年10月10日
    政令第111/2008/ND-CP
    地域I:1,200,000
    地域II:1,080,000
    地域III:950,000
    地域IV: 920,000
    国内ビジネス
    部門
    2008年10月10日
    政令第110/2008/ND-CP
    地域I: 800,000
    地域II:740,000
    地域III:690,000
    地域IV:650,000
    ※出典:
    Ministry of Labour, War Invalids and Social Affairs.

  2. 地域別賃金の基準
     地域別賃金の区分は、当初は経済成長と外国投資の誘致能力を重要な指標としていたが、最低賃金決定において各地域の違いは完全には考慮に入れられていない。投資を呼び込む企業密度により分けられる3つの賃金地域は、生活水準による賃金地域とは異なる。したがって実際の生活水準の違いや地域ごとの消費者物価指数は反映されていない。

  3. 部門別最低賃金
     ベトナムでは現在、部門別最低賃金の規定は特にない。しかし、特有の産業において特定の仕事に従事する労働者ための優遇手当ガイドラインが一部で反映されている。労働傷病兵社会福祉省の2005年1月5日付省令、第04/2005TT-BLDTBXH号により国営企業では有害・危険手当ガイドラインを導入した。この中で0.1、0.2、0.3、0.4の4段階の係数を設け、各労働者の仕事の危険度に応じて一般最低賃金に乗じる。
     手当は有害で危険物質に関わる場所での実労働時間を基準に支払われる。毒性や危険度が高い状況下での作業に4時間従事した場合には標準的な労働の半日、4時間以上従事した場合には標準的な労働の1日と同等とされる。有害や危険、厳しいとされる作業や職業の暫定リストは労働傷病兵社会福祉省の2003年9月18日付議定、第1152/2003/QD-BLDTBXH号で明記されている。

2.2.2 賃金もしくは給与の実態調査結果

 ベトナム統計局の調査によると政策改革とともに労働者の給与や賃金は増加する傾向にある。2006年時点で2002〜2006年の賃金増加率は年間約19.3%、国営企業に至っては年間約16.98%、外資系企業は15.12%だった。1997〜1998年における専門知識のない労働者の賃金は時給2,600ドン、熟練労働者の場合は時給2,920ドン、専門知識を有する労働者は未熟練労働者の1.7倍の時給4,440ドンであった。

表2‐12 賃金労働者の平均月収(2002、2004、2006年)(単位:千ドン/月)
  2002年
  全体 女性 男性
全国 725.788 651.012 769.052
部門別
自営 596.213 466.071 651.681
民間 1,030.418 828.678 1,165.352
団体 760.661 664.415 812.304
国営 1,029.747 902.263 1,137.460
外国企業 1,109.721 996.343 1,296.624
職種別
行政官 890.898 831.188 905.263
高度専門技術者 1,491.119 1,280.847 1,640.166
中等専門技術者 902.577 829.050 1,032.894
専門家 1,083.894 1,025.561 1,143.987
個人サービス、社会保障関連 843.913 884.336 821.545
農林業技術者 713.051 760.806 695.712
熟練職人 727.614 633.276 773.699
機械操作 1,267.682 1,086.840 1,298.730
単純労働者 502.606 435.054 540.507
軍人 1,138.803 965.340 1,163.732
地域別
農村 534.591 474.381 566.124
都市 1,085.500 929.994 1,193.301
資格別
未熟練 605.088 531.322 644.832
技術専門(短期) - - -
技術専門(長期) 1,083.092 827.491 1,156.387
職業訓練 931.307 874.537 1,008.867
短期大学、大学以上 1,411.091 1,216.062 1,544.017
  2004年
  全体 女性 男性
全国 994.541 913.109 1,043.977
部門別
自営 712.364 560.291 780.356
民間 1,115.594 1,011.140 1,184.167
団体 828.581 488.624 1,023.679
国営 1,315.398 1,206.307 1,401.656
外国企業 1,451.637 1,245.100 1,766.559
職種別
行政官 1,109.219 1,055.766 1,121.448
高度専門技術者 1,873.395 1,662.361 2,051.585
中等専門技術者 1,213.430 1,153.162 1,305.444
専門家 1,435.033 1,434.549 1,435.606
個人サービス、社会保障関連 1,019.052 1,003.804 1,028.250
農林業技術者 1,133.207 1,245.731 1,030.709
熟練職人 938.956 779.415 1,019.395
機械操作 1,408.521 1,123.869 1,470.442
単純労働者 714.433 623.820 766.536
軍人 1,535.564 1,196.393 1,574.951
地域別
農村 770.928 684.496 815.676
都市 1,358.274 1,203.152 1,478.853
資格別
未熟練 821.874 745.312 865.053
技術専門(短期) 1,121.247 980.304 1,199.642
技術専門(長期) 1,378.482 1,033.013 1,459.069
職業訓練 1,204.757 1,140.541 1,270.257
短期大学、大学以上 1,750.472 1,523.508 1,926.603
  2006年
  全体 女性 男性
全国 1,284.579 1,180.829 1,350.135
部門別
自営 930.435 736.644 1,019.575
民間 1,401.411 1,290.114 1,476.342
団体 1,184.288 1,271.261 1,115.297
国営 1,728.138 1,563.524 1,864.002
外国企業 1,780.931 1,488.425 2,256.690
職種別
行政官 1,579.152 1,371.497 1,646.245
高度専門技術者 2,549.550 2,288.500 2,759.246
中等専門技術者 1,679.875 1,529.980 1,914.256
専門家 1,667.142 1,620.378 1,721.967
個人サービス、社会保障関連 1,119.325 1,057.798 1,165.118
農林業技術者 1,482.573 1,347.483 1,551.045
熟練職人 1,137.165 1,057.600 1,176.464
機械操作 1,693.712 1,191.579 1,784.887
単純労働者 919.971 820.509 983.735
軍人 2,443.888 2,025.340 2,479.914
地域別
農村 1,030.644 917.380 1,095.323
都市 1,709.638 1,556.283 1,823.882
資格別
未熟練 1,031.393 936.853 1,087.208
技術専門(短期) 1,463.896 1,232.050 1,571.172
技術専門(長期) 1,621.811 1,590.615 1,631.151
職業訓練 1,490.622 1,314.254 1,673.376
短期大学、大学以上 2,395.963 2,132.269 2,612.099
※注
勤務時間が128時間/月以上の賃金労働者のみを対象とした。
※出典:
Calculating from Viet Nam household Living Standards Survey,
General Statistical Office 2002, 2004 and 2006.

表2‐13 産業別賃金労働者の平均月収(2002、2004、2006年)(単位:千ドン/月)
  2002年
合計 女性 男性
全国 725.788 651.012 769.052
産業別      
農林業 376.923 323.559 414.309
水産業 718.532 529.023 745.904
鉱業、採石業 779.150 656.018 808.701
製造 764.791 666.086 859.054
電気、ガス、水道 1,025.648 800.921 1,065.936
建設 654.798 523.175 666.966
サービス 1,004.310 849.441 1,099.447
教育・医療 909.364 823.969 1,092.380
行政 798.895 777.685 805.774
社会保障・個人サービス 796.410 846.731 744.803
  2004年
合計 女性 男性
全国 994.541 913.109 1,043.977
産業別      
農林業 608.968 533.143 661.148
水産業 936.156 1,061.858 915.481
鉱業、採石業 1,266.091 888.055 1,365.930
製造 951.839 840.425 1,064.296
電気、ガス、水道 1,403.905 1,657.161 1,347.989
建設 869.980 760.485 883.303
サービス 1,262.555 1,042.534 1,409.862
教育・医療 1,236.186 1,205.114 1,299.364
行政 1,038.759 1,001.205 1,049.732
社会保障・個人サービス 977.092 932.687 1,018.113
  2006年
合計 女性 男性
全国 1,284.579 1,180.829 1,350.135
産業別      
農林業 829.140 757.476 884.817
水産業 1,252.239 871.034 1,295.262
鉱業、採石業 1,680.728 1,448.093 1,722.462
製造 1,233.647 1,071.509 1,396.135
電気、ガス、水道 1,992.475 1,824.408 2,053.436
建設 1,085.203 902.902 1,101.611
サービス 1,546.017 1,375.703 1,666.304
教育・医療 1,618.366 1,505.879 1,871.094
行政 1,476.612 1,376.495 1,513.412
社会保障・個人サービス 1,087.391 1,023.823 1,193.510
※注
勤務時間が128時間/月以上の賃金労働者のみを対象とした。
※出典:
Calculating from Viet Nam household Living Standards Survey,
General Statistical Office 2002, 2004 and 2006.

 企業形態により労働者の賃金や給与はさまざまである。国営企業の月給は2003年には1993年の2.75倍の137万5,000ドンで2000年28.25%増であった。2006年には182万9,900ドンとなり平均年間上昇率は7.17%である。ビジネスに強みを持つ一流企業では、従業員の賃金や収入は1993年と比べると4〜5倍となった。2006年の国営企業に勤務する労働者の月給は2000年と比較すると2.15倍であった。企業法に従い運営している企業では、従業員の月給は1993年の3倍となる95万ドンで、2000年と比較すると30%の上昇、年間平均上昇率は7.23%となった。高度な専門技術を持つ労働者の収入は平均収入の5〜6倍にもなる。2004年の労働者の平均賃金は7.23%上昇の約101万9,000ドンであった。外国直接投資企業(FDI)は、2003年の従業員の平均月給は195万ドンで1993年の3倍、2000年と比較すると10.36%の上昇、年間平均上昇率は2.6%となった。管理職レベルの収入は平均収入の50〜70倍にもなる。2004年の月収は2.6%上昇の200万700ドンであった。
 非公式な労働市場の賃金は都市、農村、デルタ、山岳部等、地域によって大きく異なり、2003年の調査では1万5,000〜4万5,000ドン/日と幅があった。農村部は都市部に比べ15〜20%低く、山岳部はさらに低い。ベトナム統計局の2004年世帯の生活水準に関する調査によると、現在のベトナムでの一般的な1人当たりの平均月収は48万4,400ドン、都市部では81万5,400ドンで農村部の2.15倍となる。ベトナムは全土が8地域に分けられており、そのうち、1人当たりの平均月収が一番高額であったのが南東部の83万3,000ドン、次いで高かったのが紅河デルタの48万8,200ドンである。北東部の月収は37万9,900ドン、最低であった北西部は26万5,700ドンであった。地域による最高月収と最低月収の格差割合は3.1対1である。
 国営企業の従業員1人当たりの平均月収は142万1,400ドンであった2004年から2006年には1.29倍上昇し182万9,900ドンとなった。国家経済部門と関連する国営部門での従業員1人当たりの最高平均月収は200万〜389万4,300ドンであった。産業部門の月収は176万100〜356万9,000ドン、最低月収は農業部門の120万5,800〜123万2,800ドンであった。部門による最高月収と最低月収の格差割合は3.3対1である。

表2‐14 国営企業の産業別従業員1人当たりの平均月収(単位:千ドン)
産 業 2002年 2004年 2006年
農林業 1,250.4 1,126.1 1,232.8
水産業 929.1 1,142.0 1,205.8
鉱業、採石業 3,108.7 3,504.0 3,569.0
製造業 1,544.7 1,739.3 1,973.1
建設業 1,361.4 1,566.9 1,760.1
金融仲介業 2,790.6 3,352.9 3,894.3
卸売、小売業 1,467.9 1,811.4 1,917.0
ホテル、レストラン業 1,518.1 1,852.5 2,009.7
全産業の平均 1,421.4 1,639.5 1,829.9
※出典:
Statistical Yearbook of Viet Nam 2006. Statistical Publishing House, Hanoi, 2007.

 一般に、都市部と農村部、性別、地域、経済部門や職種によって賃金労働者の平均月収に格差はあるが、その差は決して重要ではない。賃金労働者の収入は明らかに平等主義の性格を持ち、賃金や給与は労働市場の供給と需要の関係を調整する役割を果たしていない。年々、従業員の収入や給与は増えつつある。しかし、未熟練労働者の平均月収は依然として低く、当然ながら熟練労働者より低い。労働傷病兵社会福祉省が2006年に行った調査によると、1998年には49万3,000ドンであった未熟練労働者の平均月収も2004年には1.3倍の64万3,000ドンと増加はしている。
 経済活動別でみると、フォーマルセクターにおける未熟練労働者1人当たりの平均月収は2004年には1998年の1.46倍の72万ドンであった。インフォーマルセクターにおける未熟練労働者1人当たりの平均月収は62万3,000ドンで、フォーマルセクターの方がインフォーマルセクターと比較すると1.15倍多い。
 所有形態別では、国営部門が最も高く、未熟練労働者1人当たりの最高平均月収は1998年に51万7,000ドン、2004年には77万2,000ドンであった。一方、民間部門の平均月収は1998年に49万4,000ドン、2004年には70万1,000ドンであった。最低月収は1998年に49万3,000ドン、2004年には62万3,000ドンとなった自営業部門であった。2004年の最高月収の国営部門と最低月収の自営部門の格差割合は1.23対1である。

表2‐15 部門別未熟練労働者1人当たりの平均月収(単位:千ドン)
  1998年 2002年 2004年
全未熟練労働者 493 521 643
経済活動別 フォーマル 492 647 720
インフォーマル 494 502 623
所有形態別 国営 517 699 772
団体 398 705 647
民間 494 640 701
自営 494 502 623
外資 409 681 717
※出典:
Report of Level and Trend of minimum wage in Viet Nam
by ILSSA of MOLISA, August 2006.

 経済地域別では、未熟練労働者の最高平均月収は南東部で1998年に48万8,000ドン、2004年は71万3,000ドン(ホーチミン市を除く)であった。1998年に41万ドンであった紅河デルタ地域は2004年には60万7,000ドン(ハノイ市を除く)となり、最低は1998年で32万7,000ドン、2004年に57万5,000ドンであった北西部である。2004年における南東部と北西部の格差割合は1.24対1である。
 ハノイ市の未熟練労働者の平均月収は1998年の54万2,000ドンから2004年には69万ドンとなり1.27倍増加、ホーチミン市では1998年の63万3,000ドンから2004年には1998年の1.31倍の83万ドンに増え、ハノイ市と比べると1.2倍となった。男女別未熟練労働者の平均月収は、男性が女性より1.26倍高い69万5,000ドンであった。

表2‐16 経済地域別未熟練労働者1人当たりの平均月収(単位:千ドン)
地 域 1998年 2002年 2004年
紅河デルタ(ハノイ市を除く) 410 506 607
北東部 427 390 581
北西部 327 226 575
北部沿海部 385 479 590
南部沿海部 469 532 640
中央高原 600 301 620
南東部(ホーチミン市を除く) 488 611 713
メコンデルタ 515 538 645
ハノイ市 542 627 690
ホーチミン市 633 763 830
※出典:
Report of Level and Trend of minimum wage in Viet nam by ILSSA of MOLISA, August 2006.

表2‐17 男女別未熟練労働者1人当たりの平均月収(単位:千ドン)
  1998年 2002年 2004年
男性 536 567 695
女性 430 449 551
※出典:
Report of Level and Trend of minimum wage in Viet nam by ILSSA of MOLISA, August 2006.

 以上のように、労働者の賃金は過去上昇してきているとはいえ、一般的には以下の理由によりまだ低い水準にある。

  1. 労働の質と生産性が十分に高くない。
  2. 労働供給が需要を上回っている。
  3. 大多数の企業が低品質の製品を生産している
  4. 技術が低く、単純労働者や低水準の技術者が必要となっている。

 労働市場が企業に与える影響が異なるため、地域や企業形態によって賃金水準には差がある。同じ仕事に対し、雇用主と労働者双方が納得できる賃金水準は、地域単位でも国全体でも見られない。労働市場において基本的な賃金・給与の水準を確立するための良い条件や環境を作り出せないのは、企業形態や職業の優位性が障害となっているからではなく、賃金・給与を調整するマクロ政策の役割が依然として限定的なことによる。

2.3 労働時間の現状

 ベトナムの労働法の規定によれば、1日当たりの労働時間は8時間、1週間の労働日数は6日である。1997年から、法律で規定された週当たりの労働日数は企業によって異なるが、通常5〜6日である。国家管理組織の週当たりの労働日数は5日、労働時間は40〜48時間となる。週当たりの労働時間は1996年には52時間であったが、2005年には43時間と、減少する傾向にある。 男性の労働時間は多くの場合、女性に比べて週当たり約1時間長く、2006年の平均労働時間は都市部の労働者が週当たり46時間、農村部が42時間であった。

表2‐18 性別、都市部、農村部ごとの週当たりの平均労働時間(単位:時間)
  1996年 2004年 2005年 2006年
男 性 52 44 43 43
女 性 52 43 42 43
都市部 52 46 46 46
農村部 52 42 42 42
全 体 52 43 43 43
※出典:
Statistical Data of Employment and Unemployment in Viet Nam 1996-2005.
Labour Social Publishing House, Hanoi 2006 and MOLISA 2007.

 雇用主の週当たり労働時間は平均49時間である。民間企業の週当たりの平均労働時間は48時間、国営企業は44時間である。女性雇用主は週当たり約48〜50時間と、男性雇用主よりも多い。その他の役職では女性よりも男性の方が週当たり1〜2時間長く働いている。1997年から法律により週当たりの労働日数が企業によって5〜6日(年間260〜312日)と定められ、実際の年間労働日数は262〜279日となっている。2006年に労働者の実際の年間平均労働日数は男性が224日、女性が227日で、全体平均は225日であった。
 都市部に失業問題があるとすれば、農村部でも同様にある。問題の根底は労働者が実際に働いている労働時間である。調査結果によると、農村部における労働者の労働日数が増加しているとはいえ、年間たった224日間と多くはない。
 2006年、農林水産業に従事する労働者の年間労働日数はわずか179日であった。一方、サービス業に従事する労働者の年間労働日数は256日であった。

表2‐19 年間勤務日数(2002、2004、2006年)(単位:日)
  2002年 2004年 2006年
合計 女性 男性 合計 女性 男性 合計 女性 男性
全 国 225 227 224 235 238 233 241 242 240
産業別 農林水産業 180 170 187 173 155 185 179 168 186
建設業 234 249 227 238 248 233 244 251 240
サービス業 256 259 254 257 261 255 259 256 262
地域別 農村部 209 209 210 218 216 220 224 225 224
都市部 262 265 260 261 266 257 265 264 266
地域別
詳細
紅河デルタ 232 239 229 239 245 236 244 247 242
北東部 226 234 222 236 237 235 241 239 242
北西部 224 235 219 222 226 219 234 240 230
北部沿海部 228 241 223 235 237 234 226 234 223
南部沿海部 228 232 226 234 239 231 243 249 240
中央高原部 198 195 201 218 213 222 225 223 227
南西部 258 260 257 265 270 261 267 265 269
メコンデルタ 197 191 201 204 199 207 217 214 220
所有
形態別
自営 213 207 216 206 200 208 215 215 216
民間 276 279 274 258 262 255 257 254 259
共同組合 250 263 243 249 239 250 262 263 262
国営 263 259 266 259 259 259 262 256 267
外国企業 282 278 287 282 279 286 270 266 276
※注
主要な職業の賃金労働者(女性15〜55歳、男性15〜60歳)のみを対象としている。
※出典:
Calculating from Viet Nam Household Living Standard Survey 2002, 2004,2006 by General Statistical Office.

2.4 労使関係の現状

2.4.1 労働組合の現状

 【ベトナム労働総連合(Vietnam General Federation of Labour:VGCL)】
 2007年時点でVGCLは690万人の労働者で構成されている。VCGLの加入者はベトナム全体の労働者数の20%にあたり、全雇用労働者の約45%に相当する。VCGLによると、連合への加入率は部門ごとによって大きく異なり、公営部門では95%、国営企業では90%、外国投資企業では55%、民間企業で35%となっている。

2.4.2 労働争議の現状

 大抵の場合、争議は給与に関するもので、交渉は行われずすぐにストライキに入ることが多い。外資系企業、次いで民間企業に多く、1995年から現在に至るまで全国で3,000回ものストライキが行われた。

表2‐20 所有形態別ストライキ数(2001〜2005年)
  2001年 2002年 2003年 2004年 2005年
国営 12 6 3 2 8
外資系 40 49 81 74 105
民間 21 23 35 27 39
合 計 73 78 119 103 152
※出典:
Ministry of Labour, War Invalids and Social Affairs,
http://www.molisa.gov.vn/

 ストライキは8割以上が残業代、ボーナス、賃上げ要求が原因である。未だ賃金決定過程は労使間の交渉ではなく、政府による最低賃金の規定に依存しているためストライキが起きやすい。企業が採用する政府決定の最低賃金は確かに合法的ではあるが、必ずしも適切な給与ではない。給与は雇用者と従業員との間での公平な交渉によって定められるべきである。本来、政府は労使間の給与交渉を行う際の手助けとなるよう、最低賃金を定めた。しかし、最低賃金は企業の種類によってさまざまであり、外国直接投資企業と国内投資企業ではそれぞれに最低賃金が設定されている。むしろ、企業での賃金決定過程が最低賃金に基づいて行われることにより、同一地域、同一分野の仕事に就く労働者間の賃金に格差をもたらし、この問題は一層複雑になった。
 企業の種類による賃金の差は市場細分化につながり、地域や企業に大幅な変化を引き起こす圧力ともなる。緩和労働市場における最低賃金による賃金基準の差により、労働者は実質賃金基準の平等性を要求してストライキに突入する。

表2‐21 地域別ストライキ数(2001〜2005年)
  2001年 2002年 2003年 2004年 2005年
ホーチミン市 36 39 57 41 52
ドンナイ省 6 13 24 27 41
ビンズオン省 21 11 12 10 7
その他 10 15 26 25 52
合 計 73 78 119 103 152
※出典:
Ministry of Labour, War Invalids and Social Affairs,
http://www.molisa.gov.vn/

2.5 募集、採用、雇用、解雇の現状

  1. 採用、雇用、解雇に与える世界的経済危機の影響
     国内外の不況を背景に国内の労働市場では人員削減が進み、2008年の雇用目標は困難を極めると同時にベトナムの労働力送出規模も縮小した。労働科学・社会問題研究所(ILSSA)の調査によれば、生産を減少した企業は2008年には24.8%、2009年初めでも38.2%に上った。生産縮小が原因で雇用主は従業員の削減を迫られ、2008年に人員削減を行った企業は22.3%であるのに対し、2009年は24.8%に上昇した。2009年5月のベトナム政府の報告書によると、2008年に職を失った労働者は6万7,000人、労働力全体の16.3%であった。2009年は第1四半期だけで6万5,000人が失業し、さらに3万9,000人が短縮労働を強いられた。
     人員削減の理由は、雇用主の逃亡と企業の破綻、又は企業の生産縮小にある。2009年初頭における工業団地企業の労働需要は、過去同時期の年間平均成長率14〜15%と比べると10%減少した。ホーチミン市労働局は71社もの企業が閉鎖し、結果1万人の現地労働者が失業したことを発表した。ビンズオン省では衣料品と履物産業に携わる企業43社に勤めていた現地労働者1万人が失業した。
     ハノイ市の外資系企業は世界危機により業績が悪化したとして、2008年9月から2009年3月にかけて大量の雇用削減を発表した。その中にはキャノンベトナム社の2,000人、ニッセイベトナム社の300人の削減も含まれる。
     農業部門では主要天然産物や農産物の輸出が落ち込み、2008年11、12月にかけて国の輸出収入が減少した。商工省(Ministry of Industry and Trade:MoIT)所管のベトナム産業・貿易情報センター(Vietnam Industry and Trade Information Centre:VITIC)では、ベトナムの輸出収入は2008年11、12月の2カ月間で前年同期比1.3%減の94億ドルになると推定している。世界的な低価格と需要の低下がこの2カ月におけるベトナム農作物の輸出減少の原因といわれている。コーヒー、ゴム、米、カシュー、水産物の輸出も減少した。農民の収入もひどく影響を受けた。農産物の減産、価格の下落、投入原価の増加により多くの農民は農水産物の生産を中止し、そのために生じた食品の不足により食品加工会社やその従業員にも困難をもたらした。
     衣料や繊維、履物産業を始めとする工業製品の輸出も世界経済の混乱により打撃を受けた。海外バイヤーからの注文はあるが、小口注文ばかりである。この分野の約20〜30%の企業は不況と海外取引先の赤字により外注契約が中止となり困難な状況に陥り、多くは生産ラインを一時的に止めざるを得なくなっている。
     手工業の労働者も同様に世界的不況の影響を受けている。全国2,790の手工業村には傷病兵、身体障害者、未成年者や農業の余暇を使って働く農民を含めた1,100万人の労働者を抱えていたが、手工業市場の縮小に伴い収入も減少した結果、多くの労働契約が打ち切られた。市場の需要により製品価格も下落し、手工業村は多くの困難に直面している。政府発表の資料によると、2009年の第1四半期だけで3万500人(内女性は48.6%)もの労働者が手工業村で解雇された。手工業は通常、農業部門と比較し3〜4倍の収入がある。失業者の多くは農村部へ戻り親族と農作業に従事した結果、農村部での不完全就業(半失業)はより深刻な問題となった。
     2009年1〜4月の4カ月間で出稼ぎ労働者全体の21.7%が失業のため地元に戻らなくてはならなかった。予定より早く帰国した海外労働者は全体の21.7%で、そのうち工業地区、輸出加工区、都市部の労働者は36.9%であった。帰国した労働者で再就職先が見つかったのは11.3%にとどまり、5.3%は農業部門、6%は工業及びサービス部門での雇用であった。7万人以上のベトナム人海外労働者が働く台湾から、最近多くのベトナム人労働者が失業して帰国した。マレーシアでも同様の状況で、マレーシアの雇用主は人員削減を計画している兆しがありベトナム人労働者は厳しい状況に直面している。
  2. 技能、男女別等による影響の違い
     技能別では、労働市場において熟練労働者は未熟練労働者に比べ、より優位な立場にある。熟練労働者は失業してもすぐに次の職に就くことができる。これと対照的に未熟連労働者は一度失業すると新たに職を探すことは困難で、その多くが地元に戻って失業者となる。出稼ぎ労働者の約90%は技術を持たない女性労働者である。
  3. 産業別による違い
     民間企業は国営企業と比べて影響を受けやすい。国営企業に勤める労働者は、法によって定められた社会保険や健康保険への加入、その他福祉手当の受給等、雇用保障が高い。民間企業ではそのような規則がきちんと守られておらず、労働者は解雇された際に企業が支払わなければならない諸手当の請求ができない。
  4. 産業別による違い
     世界経済の混乱は衣類、繊維、履物、水産物、電子機器組立を始めとする輸出関連産業に悪影響を与えた。この産業に従事する労働者の約80%は女性である。
     農産物の世界的な低価格と需要の低下によりベトナムの農家は雇用、収入、生活に打撃を受け続けている。ベトナムの全労働力人口の約70%は農民で、その半数は女性である。
     つまりは未熟連労働者、女性、輸出関連企業に従事する出稼ぎ労働者をはじめとする労働者が最も世界経済危機による影響に苦しんでいる。
  5. 採用について
     2008年後半に従業員を解雇せざるを得ない状況に陥った多くの企業があった一方で、熟練労働者の採用を続けた企業もあり、熟練労働者には依然として雇用のチャンスがあった。この時を労働力再構築のチャンスとする企業もあり、そういった企業にとって失業中の熟練労働者を雇用するのには絶好のタイミングであった。 この危機の中で生産を維持又は増加し、労働増加の需要がある企業も多くあった。2008年には29.8%、2009年には28.4%の企業が労働規模を拡大した。
  6. 政府による経済対策
     インフレの進行を抑制するため、政府は2008年第3四半期から2009年初めにかけて解決策を投じた。
     政府は景気後退、マクロ経済の安定維持、そして社会保障の確保のために緊急解決策として2008年12月11日付で決議第30/2008/NQ-CPを公布した。2009年1月23日に政府は最初の17兆ドンの短期的緊急経済対策を導入した。
     景気後退の大打撃を受け、仕事を縮小した企業支援のため、政府は2009年2月23日付で決定第30/2009/QD-TTgにて以下のとおりの政策を公布した。
    • 経済危機により経営状況が悪化し2009年の従業員への給与、社会保険、解雇支援の支払いが困難な企業に対し、政府はその支払いのための融資を12カ月の返済期限付で行う。融資額は失業者への支払いのための貯蓄額と同額、利子は0%となりベトナム開発銀行が窓口となる。
    • 経営破綻した企業で働いていた労働者へは、地方自治体が給与を先払いする。その費用は地方予算から支出され、後に法で定められた企業の資産整理に応じて企業から回収する。回収額が労働者への支払額に満たない場合には政府に決議を仰ぐ。
    • スケジュール終了前に帰国した海外労働者を含め、失業者は国家目標プログラムに基づき自分達で雇用を見つけるため国家基金より優先的に出来高ベースで融資を受けられる。また、2007年9月27日付首相決定、第157/2007/QD-TTgにより、失業日から12カ月以内であれば職業訓練生は訓練を受けるための費用の融資を受けられる。海外労働者に関しては、2004年4月13日付決定、第365/2004/QD-NHNNでは、失業日、もしくは帰省日から12カ月以内であればベトナム国家銀行から貸付を受けられるという規定に基づき、社会政策の一環として銀行から優遇金利でローンを借りる権利が与えられる。
     同時に政府は農村部に対し2009年4月末に145兆ドン(国内総生産の10%に相当)の中長期的な経済対策を導入した。 過去数カ月にわたる政府の政策や決定は世界的経済危機に直面する企業や労働者の援助となった。しかしその政策が本当に成果となるかどうか判断するには時間がかかる。

2.6 転職の現状

 過去20年間、貧困発生率の削減に有益でベトナム経済成長の要因であった新たな雇用を生み出す力が縮小してきている。ベトナムの成長は、雇用創出が少ない活動に資本を集約的に投資することで一層促進した。したがって、年間平均成長率が7.5%の国営部門も2005年と2006年に人員削減を行った。これは国営企業での産業構造改革の兆しとも受け取れるが、実際には単に企業の再編ではなく分散投資が行われていたことが示唆されている。
 主に農業が要因となり民間部門もこの下落傾向の影響を受けているが、その原動力はベトナムでの農業の変遷と経済発展の過程の一部と考えられている。この状況下において過去10年は外国投資が雇用創出の主要な原動力となり、雇用水準の年間平均成長率は2000年から2007年の間で21.7%となった。
 ベトナムの雇用による貧困削減の成功は、多くの雇用を創出する産業の確立と促進の結果というほどではない。むしろ雇用創出の点では、業績が平凡な産業において生産量の伸びが極めて高いことから総合的に多くの雇用を生み出したといえる。しかし、ベトナムが今後も過去10年間と同様に成長率8%以上を維持し続けていけるか分からないため、これは憂慮すべき状況にある。 結果として、特に現行の雇用と人口増加に関する部門間の交換がうまくいっており、雇用成長率ゼロという状況を避けたければ、高いレベルの雇用を創出する部門や産業へ移行することも考えなければならない。
 経済において生産量の伸びと雇用創出の関係を捉える簡単な方法は、労働弾力性の成長を分析することである。労働弾力性は、ある一定期間においての国内総生産の条件に基づいて算出された経済の生産量の伸び率と、同時期に創出された雇用数の関連を示すものである。

表2‐22 雇用予測(2008〜2010年)
  成長予測 労働弾力性 労働力
2008年 2009年 2010年 2005〜
2007年
2007年
(万人)
ベトナム政府、
世界銀行
6.75% 6.50% 6.50% 0.242 4,417.2
国際通貨基金
(IMF)
6.25% 5.00% 6.00% 0.242 4,417.2
EIU 6.11% 3.21% ‐  4.14% 4,417.2
農業 3.53% 2.94% 3.08% -0.233 2,381.1
工業 8.20% 2.49% 4.49% 0.658 882.5
サービス 5.10% 4.09% 4.22% 0.600 1,153.6
  雇用創出(単位:百万人)
2008年 2009年 2010年
ベトナム政府、
世界銀行
0.722 0.695 0.695
国際通貨基金
(IMF)
0.622 0.535 0.642
EIU 0.634 0.265 0.382
農業 -0.195 -0.163 -0.171
工業 0.476 0.145 0.261
サービス 0.353 0.283 0.292
  1. 農業
     経済発展の初期の段階では、農業の成長は一般に農業生産の水準の維持及び、向上を可能にした制度改革と生産技術の導入によって可能となった生産性上昇と関連していた。同時に農村部の自給自足を基本とした小規模の農業労働者を都市部、農村部において非農業活動に従事させた。
  2. 製造・建設部門
     過去20年間、この2つの部門がベトナムでは主要な雇用創出の役割を担っていた。他の発展途上国の過去においても、農業から他の仕事に転職しようとする際の主な就職先の受け口は労働集約的な仕事となる傾向がある。
  3. 衛生・教育部門
     政府とベトナムの国際ドナー・コミュニティーは過去20年間においてこの2部門へ多大な感心を寄せた。この部門におけるサービス提供の改善と国内の衛生・教育基準の向上を目指し、さらには衛生・教育分野での雇用拡大も恐らく視野に入れて、両部門に関わる分野へのかなりの公共投資の拡大を行った。
  4. 工業・公共事業部門
     この分野は国営による独占企業が多く、主要な事業目標の一つとして雇用創出を掲げることが可能である。政党、行政、防衛活動等、国内総生産への貢献は少ないものの雇用弾力性の成長は著しい。
  5. その他
     ベトナムにおける過去10年の雇用成長は、典型的な成功モデルではあるが、懸念材料の方が多い。
    • ベトナムの雇用創出力に陰りが見えている。
    • 他国と比べ特に目覚しい雇用創出結果がなく、ベトナムの成功の要因がそもそも成長力の早さにあり、雇用を拡大する産業を発展させたわけではない。
    • 現在までの雇用創出のほとんどは不安定な職種や厳しい規制のある国営企業等の非生産部門によって生み出されたものである。
    • いずれの部門も石油を始めとする枯渇性の自然資源の抽出事業や、公共事業等の成長が期待できない部門であるという点から長期の安定した成長、つまりは雇用の提供は難しい。

参考文献

  1. General Statistical Office. (2008). Statistical data of labour and employment in Viet nam 2004, 2005, 2006 and 2007. Ha Noi: Statistical Publishing House.
  2. Institute of Labour Science and Social Affairs (ILSSA) of MOLISA. (2006, August). Report of level and trend of minimum wage in Viet nam.
  3. Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs. (2006). Statistical data of employment and unemployment in Viet nam 1996-2005. Ha Noi: Labour - Social Publishing House.
  4. Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs. (2007). Statistical data of employment and unemployment in Viet nam in 2006. Ha Noi: Labour - Social Publishing House.
  5. Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs. (2008). Statistical data of employment and unemployment in Viet nam in 2007. Ha Noi: Labour - Social Publishing House.
  6. Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs. (2009). Statistical data of employment and unemployment in Viet nam in 2008. Ha Noi: Labour - Social Publishing House.
  7. Ministry of Labour, War Invalids and Social Affairs.
    http://www.molisa.gov.vn/
  8. National Committee for Population and Family. (n.d.). Population strategy up to 2010.
  9. Weekly Labour magazine No.1, 6 January 2008.
  10. Institute of Labour Science and Social Affairs (ILSSA), Ministry level project Code CB 2008-01-02.
  11. Institute of Labour Science and Social Affairs (ILSSA) of MOLISA. (2006, August). Report of level and trend of minimum wage in Viet nam.
  12. Institute of Labour Science and Social Affairs (ILSSA) of MOLISA. (2009). Results of preliminary investigation of rapid assessment of "the impact of financial crisis to global enterprises and employees".
  13. Institute of Policies and Strategies on Agriculture and Rural Development (06/05/2009), the reference Report No. 1.
  14. Luu Duy Tran, Vice President-general secretary of Handicraft village Association of Vietnam, about 5 million workers will lose the village of 2009.
    http://www.vtc.vn/

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