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ベトナム

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作成年月:2018年11月

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2018年10月度 ベトナム報告書

作成者:浅野 栄治

(1)ベトナムにおける上水道事情

途上国では一般に水質に問題があり、水道水を飲むことはできないといわれている。ベトナムでも、他の途上国と同様、水道水をそのまま飲料水として用いることはできない。しかし、近年、ベトナムの南部ホーチミン市や北部ハノイ市など大都市では、浄水場や配管が整備されてきたため、上水道からの水の供給率が高まり、ホーチミン市で100%、ハノイ市で96%にまでに達している。他方、これらの大都市圏を除いては、浄水関連のインフラ整備が遅れており、浄水による供給率は依然として低いままである。

 

ホーチミン市やハノイ市においても、水源は市内を流れる河川からが中心で、地下水をくみ上げて利用している地域は少なくなっている。ベトナムの河川は、大量の土砂や下水道整備が遅れていることもあり、土砂などを大量に含んだ水が河川から取り込まれ、浄水場で浄化されたのち供給されているのが現状である。これの土砂などの不純物は、濾過の過程などを通じて取り除かれるだけでは不十分であり、大量の水処理剤(PAC)が投入されることより、スレッジとして沈殿させることにより取り除かれている。沈殿物が大量に生じ、その沈殿物の処理が十分にできていないのが現状である。また、大量の水処理剤により処理が行われているが、水処理剤(PAC)にはアルミニウムが含まれているが、大量の水処理剤の投入により、水道水にアルミニウムが溶け出し、摂取する人体に影響を与える可能性もある。

 

大都市圏では大型の浄水場が整備されており、ホーチミン市内にある浄水場では、1日当たり150万立方メートルと東京都の金町浄水場に匹敵する規模の大型浄水場もある。現状、浄水の供給は需要を十分に満たしている状況であるが、今後の人口増加や経済成長による水需要の増加には、さらなる浄水場の整備が必要となる。また、漏水率はホーチミン市、ハノイ市いずれも20%程度と極めて高い水準であり、老朽化した配管網の更新による漏水率の改善も今後必要となっている。

 

浄水場のポンプなど一部の設備には日本製品も導入されるようになっている。これまで日本製品は価格が高いとのことから敬遠される傾向にあったが、徐々にではあるが、品質を求めて日本製品が導入される余地も拡大し始めている。

 

 

また、日本では、大雨時など大量の土砂が河川に流入した際には給水を止めるなどの処置により、土砂を多く含んだ水の取り込みを減らし、ひいては水処理剤の使用量の増加を防ぐなどの運用がなされているが、ベトナムでは常時、同じペースで水が河川から取り込まれており、こうした浄水場運営の効率化への日本からの支援も今後、必要となる。


(2)技能実習生送り出し機関における教育

日本国内での急速な人手不足が生じる中で、ベトナムからの技能実習生の受け入れは年々拡大してきています。ベトナム全土に約200の送り出し機関がありますが、日本語などの教育を数か月から半年程度実施して送り出しを行っている機関もあれば、単純に右から左に流しているだけの機関もあります。

実習生の増加は、いかにベトナムの若年層が豊富にいるといっても、限界に近付きつつあり、北部ではまだ豊富に実習生の候補生はいるようですが、南部では実習生を集めることが難しくなりつつあるとの声も聞こえるようになってきています。南部の実習生の多くは、ホーチミン市周辺だけでなく、100万人都市であるカントー市を中心とするメコンデルタの出身者が増加しています。

実習生に技能を教える教育機関では、日本人教師の増加や日本からの設備の寄付などがあり、実習生の訓練設備は年々、充実してきています。また、多くの教育機関には寮などの宿泊施設も併設されており、昼夜を問わず日本や技能を勉強する環境は年々改善されています。

 

 

 

日本に来る実習生は日本語検定N5級の資格を得て来日しますが、実際N5級では日常会話でもほとんどコミュニケーションをとることができず、ましてや技術の習得に必要となる水準の日本語とは到底いうことができません。実際、N5級の実習生を受け入れたのち、日本国内で半年程度、作業時間以外に日本語の教育を別途行っている日系企業も少なくありません。また、日本の習慣や作法などの教育を十分に受けてくる実習生は少なく、日本語に加えて、こうした異文化コミュニケーションを教える教育機関へのニーズが高まり、また、投資への期待も高まってきています。

 

これまでの制度の場合、実習生として3年間日本で実習を行ったのち、ベトナムへ帰国することとなりました。帰国したのち、日本で学んだ技能を生かして就職をしているベトナム人はまれであり、せっかくの人材育成の制度としてはほとんど機能しておらず、日本の人手不足解消の担い手となっているのが現状です。実際、ベトナムに帰国した後の実習生を見ると、日本語を生かして、和食店や日系の小売店で働くなどのケースが多くみられ、技能よりも滞在期間中に身に着け、N3級もしくはN2級までに上達した日本語を生かした仕事についているケースが一般的と言ってよいでしょう。

 

こうした、ベトナムに帰国した後の、人材のミスマッチの改善も、今後ベトナムの工業生産の拡大、経済成長には必要となってきます。

 

以 上


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