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作成年月:2018年12月

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2018年11月度 ベトナム報告書

作成者:浅野 栄治

(1)2019年の最低賃金

ベトナムでは毎年1月から最低賃金が改定される。2019年1月からの最低賃金は、5.3%の上昇と過去最も低い上昇率となった。2017年以降の最低賃金の推移は以下のとおりである。

              (単位:ドン) 

  2017年 2018年 2019年 (前年比%)
第一地域 3,750,000 3,980,000 (6.1%) 4,180,000 (5.0%)
第二地域 3,320,000 3,530,000 (6.3%) 3,710,000 (5.1%)
第三地域 2,900,000 3,090,000 (6.5%) 3,250,000 (5.2%)
第四地域 2,580,000 2,760,000 (6.9%) 2,920,000 (5.8%)

ベトナムの最低賃金は、各地域の経済状況に応じて第一から第四の地域に分類され、ハノイ、ホーチミンなどは第一地域に指定され最低賃金が最も高くなっている。第一地域では、約2万円の水準である。しかし、日系企業の賃金水準は、最低賃金よりも高く、ワーカークラスでは2万5千円程度となっており、大卒の初任給は3万5千円程度となっている(語学能力によって大きく異なっており、日本語検定N2級以上になると5万円程度が初任給の水準である)。

最低賃金が毎年数パーセントのペースで上昇しているなかで、管理職などの水準の賃金も、ほぼ同じペースかそれ以上のペースで上昇しているのが現状である。ただ、対米ドルでのベトナムドン為替レートがドン安方向に進んでいることから、米ドルで見た場合の賃金の上昇ペースは、ベトナムドンで見た場合の上昇率を下回っている。

 

(2)離職率の低減策

近年の労働市場の傾向として、南部はやや人材不足、北部はほぼ充足されている傾向にある。北部では離職率はほぼ0%であるのに対して、南部は離職率が高くなっており、日系企業の中では1年間で30%から50%もの人材が入れ替わっているケースも見られている。日本への実習生の送り出し数も年々増加していることから、メコンデルタなどからホーチミン市周辺部の工業団地に出てきていたワーカーの確保が年々難しくなっているのが現状である。

離職率を下げるための努力が必要となってきており、給与水準の引き上げだけでなく、福利厚生の充実、ミスコミュニケーションによる離職を防ぐためのコミュニケーション機会の充実などが必要となっている。 

ベトナムでは福利厚生の一環として社員旅行を行うことが一般的です。北部ではハロン湾、南部ではブンタウなどの海辺へ1泊で旅行に行くのが定番です。近年では、LCCによるフライトの増加などで、飛行機を利用して中部のダナンやニャチャンなどのリゾート地やバンコクやシンガポールなどアセアンの周辺国へ旅行に行くケースも出ています。日本の感覚では熱海や、和歌山県の白浜温泉などに、社員全員で訪問する感覚でしょうか。

 

 

こうした社員旅行を社員全員で行うことにより、結束力を高めることやその内容の充実により離職率を低減させる要因にもなります。

(3)環境問題の深刻化

経済成長に伴い、ベトナムの環境汚染も年々深刻になってきています。特にハノイではWHO(世界保健機関)の基準値を上回る大気汚染を記録しており、日本人駐在員の中でも喘息などにかかっている方も出ています。ハノイ市には500万台ものバイクがあるといわれており、バイクから出る排ガスなどが大気汚染の主要な原因の一つです。

また、2017年世界経済フォーラムでは、空気汚染度が132か国中123位にランクされワースト10に入っているなど、ハノイに限らずホーチミンなど大都市圏では大気汚染が深刻化しています。  

大都市圏では二輪車・四輪車が急速に増加しており、電気自動車や電動バイクの普及は極めて低い状況です。環境対策の一環として、ハノイ市政府は、2017年7月4日に「2030年までにハノイ市へのバイクの乗り入れを禁止する」という内容の条例案を可決しています。また、ホーチミン市を上回るペースで鉄道の整備も進められていることから、バイクから徐々に公共交通機関の利用を促しているものと思われます。  ただ、排ガスだけが大気汚染の原因ではなく、ごみの野焼きなどが普通に行われていることも大気汚染の要因の一つです。

 

 

こうした野焼きの禁止やごみ処理場の拡充なども今後早急に求められますが、ベトナム独自に投資をすすることができず、海外からの投資やODAなどが必要となってきます。ただし、ベトナムは対外債務が多く、これ以上の大型のODAなどが難しい状況にあるのも現実です。民間投資をこうした公共部門に誘導する施策や優遇策が必要となってきます。

 

以 上


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