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フランスの近年の失業率は低下傾向にあり、2007年のOECD標準化失業率は8.3%(前年比0.9%減)となっている。しかしこれは、EU15カ国(2004年5月前の加盟国)の平均(7.0%)、OECD平均(5.6%)よりも依然として高い。中でも、若年(15~24歳)の失業率は19.6%と、OECD平均(12.1%)を大きく上回っている。OECDは、「あらゆる最終学歴レベルの若年者は雇用面での強力な障害に直面している」としている。*1
2007年5月に就任したサルコジ大統領は、雇用政策の重要な柱である職業能力開発(職業教育)制度について、改革の必要性をかねてから指摘してきた。*2
同年12月19日、2008年の社会的アジェンダ(agenda social)の中で、彼は次のように述べている。
「若年層のみならず、人生を通じての職業教育が必要であると考えている。求職者やもっとも技能資格のない者(les moins qualifies)に対する職業教育のための機関や資金の検討が優先課題の1つである。そのために国、社会的パートナー、地域圏議会がワーキンググループを構成し、職業教育についての改革案を(2008年)3月末までに作成する。」
これを受けて2008年に発足した職業教育の改革に関するワーキンググループは、同年7月10日、報告書(議長の名を取って「フェラッチ報告書」と呼ばれる)をまとめた。同報告書は、職業教育を雇用に結び付くものとすること、中小企業の労働者にも均等に訓練機会が与えられるようにすること、訓練の質と評価に重点を置くことをポイントとしている。報告書のとりまとめを受け、政府は同年末までの関連法案の採択を目指している。*3
| *1: | 詳細は下記のOECDウェブサイトを参照。なお、サルコジ大統領の就任直後(2007年6月)出されたOECDのフランス経済レポート(OECD Economic Surveys: France)では、近年の動きとして、見習い訓練制度(apprentissage)の促進による若年者のエンプロイアビリティ向上を評価しつつ、訓練税に基づく活動がOJTを促進しているかどうかは不透明と評価している。 http://www.oecd.org/dataoecd/42/35/40904315.pdf |
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| *2: | 大統領選挙における公約において、働くことの再評価として、労働者が真に必要な能力を身に付け、機会均等、経済の変化に適応できるよう、「能力開発に関する個人貯蓄口座」(compte individuel d’épargne de formation)の創設を提言していた。また、経済成長促進策を検討していた政府の特別審議会「経済阻害要因除去委員会(いわゆるアタリ委員会)」が2008年1月に公表した報告書においては、緊急に実現すべき基本的措置20項目の1つに「職業訓練を受ける失業者の所得増強」が位置づけられた。 |
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| *3: | 関連記事:Liaisons Sociales no. 15123(2008年5月22日付), no. 15145(6月23日付), no. 15157(7月11日付), no. 15158(7月15日付) Les Echos紙(6月16日付、7月9日付) Le Figaro紙(7月11日付) |
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次項参照。
ここでは1.在職者の職業訓練(継続的職業訓練、Formation Professionnelle Continue)と、2.見習い訓練制度(apprentissage)について見ることとする。
1. 在職者の職業訓練
労働者にとっての継続的職業訓練としては、大きく分けて以下の3つのイニシアティブがある。
さらに、労働者は、職業経験証明(VAE: validation des acquis de l’expérience)*4を得たり、職業面接(entretien professionnel)*5や能力評価(bilan de compétences)*6を通じて訓練の必要性を確認したり、その他の休暇制度を活用したりすることが可能である。
すべての企業(事業所)は、継続的職業訓練の財政負担に貢献する義務がある。2008年は、賃金総額の1.6%(企業(事業所)規模20人以上)、1.05%(同10人以上20人未満)、0.55%(同10人未満)をそれぞれ拠出することとなっている。
| *4: | 職業経験証明については、4.2 職業能力評価・資格実施制度及び実施状況を参照。 |
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| *5: | 事業所に少なくとも2年間在籍した場合に、2年に1回機会が与えられる(実施の詳細は、産業ごとの労使合意により決定される)。雇用主、労働者のいずれかのイニシアティブに基づく。労働者が、当該労働者のキャリアの希望及び適性、事業所のニーズに基づき、職業プロジェクトを構築することを可能とするものでなければならない。 |
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| *6: | 労働者が自らの専門能力、職業能力やモチベーションを分析し、プロフェッショナル・プロジェクト(必要な場合は訓練プロジェクト)を定義することを可能とするものである。雇用主のイニシアティブの場合は、職業訓練計画に規定されていること、対象となる労働者の合意、事業所の外部組織による評価であることが必要である。また、能力評価に必要な時間は、有給の就業時間としてカウントされる。労働者のイニシアティブの場合、少なくとも5年以上当該事業所に在籍していることを条件に、能力評価のための休暇(最長24時間)を取得する権利がある。費用は労働者が、職業訓練休暇管理機構(OPACIF: organisme paritaire de gestion du congé individuel de formation)に対して行う。労働者は、OPACIFによるリストの中からサービス提供者を選択しなければならない。 |
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(a) 職業訓練計画(plan de formation)
職業訓練計画は、雇用主の負担により行う労働者のために講じるあらゆる訓練に関連した活動を含むものである。
労働者との合意を条件として、訓練は、一定の制限内ではあるが、就業時間外に行われたり、就業時間を超えるものの時間外労働を適用することなしに行われたりすることが可能である。
(b) 有給職業訓練休暇(congé individuel de formation:CIF)
労働者が、より高いレベルの資格獲得、職業の変更、文化・社会生活やコミュニティにおける自発的な活動への参加、学位取得の準備等を目的として訓練コースに参加することを可能とする制度である。
労働者がこの休暇を取得するためには、1)少なくとも24カ月雇用されており(連続していなくても構わない)、そのうち12カ月は当該事業所に在籍していること、2)同一事業所においてこれまで CIFを取得していないこと(もし既に取得している場合は、次の取得を労働法典により規定された期間待つ必要がある)、3)雇用主に対して事前に休暇取得を要求することを満たさねばならない。雇用主は、これらの条件が満たされない場合に限り、拒否することが可能である。
訓練コースは、就業時間を活用して行われる(一部のみ活用の場合もある)。訓練に参加するために休暇を取得する権利と言える。
訓練コースの受講後、労働者が事業所に復帰した場合は、当該労働者の雇用契約に規定された資格・報酬に相当する仕事を得る。ただし、事業者は、当該労働者が訓練コース中に獲得した資格やスキルを認定することを義務付けられてはいない。
(c) 訓練を受ける個人の権利(droit individuel à la formation:DIF)
雇用主との合意の下、労働者のイニシアティブとして行われる。労働者には訓練時間が1年当たり20時間付与され、合計120時間(6年間)までストックすることが可能である。毎年、雇用主は労働者に対し、書面により、当該労働者が得ている訓練時間の合計を通知しなければならない。
原則として、訓練コースは就業時間外に提供される。その場合、事業所は労働者に対し、訓練手当(ネットで見た給与の50%)を支払う。就業時間内に提供される場合、事業所は給与の100%を支払う。事業所はまた、訓練コースの受講費用を支払うことになる。
2. 若年者を対象とする企業を活用した職業訓練:
見習い訓練制度(apprentissage)
見習い訓練制度は、学校コースと職業経験とを組み合わせたキャリア初期の専門的な職業訓練コースで、若年者に一般的、理論的または実践的な訓練機会を付与し、若年者が専門的な資格を得ることを目的に(労働法典第115-1)、地域圏(regions)の権限の下で行われる。
参加資格があるのは、原則として16歳以上25歳以下の者で、得たいと考えている学位が当該見習い訓練制度により準備されている場合である。
見習い訓練は、特別の時限的な契約(原則1年から3年、ただし短縮、延長の可能性がある)の下で行われる。雇用主は、給与の支払い、若年者に包括的な専門訓練を提供する。
訓練は、1)事業所における実践的な訓練(必要とされる資格と直接関係のある専門的な実践活動に基づく)、2)労働時間中の特別な組織(見習い員訓練センター(centre de formation des apprentis:CFA)や学校や大学機関の見習い訓練部門)における活動の組み合わせである。
見習い訓練生は、労働者としての地位を有し、最低賃金の一定割合として計算される給料を得る。
見習い訓練契約に基づく活動は、1)見習い訓練税(原則として賃金総額の0.5%)、2)見習い訓練の発展のための拠出金(同0.18%)により、主に企業負担で賄われる。
一方、見習い訓練生を雇用する雇用主は、地域評議会(conseil régional)により額が決定される請負補償手当(indemnité compensatrice forfaitaire)、見習い訓練税額控除(crédit d’impôt apprentissage)といった財政支援を得ることが可能となる。
経済産業雇用省調査統計局(DARES)によると、2005年の職業能力開発関係予算は259億ユーロ(前年比3.5%増)、GDPに占める割合は1.5%となっている。
この内訳を支出の対象別に見ると、1)被用者(105億ユーロ、このうち86億ユーロは雇用主拠出分)、2)見習い訓練生(40億ユーロ)、3)失業者(34億ユーロ)、4)若年者(25億ユーロ)、5)公務労働者(55億ユーロ)となっている。
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フランス-職業能力開発の政策とその実施状況のPDFファイル(255KB)
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