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ドイツ

作成年月日:2008年8月30日

雇用労働関係法令

ドイツでは民主主義に基づく連邦社会制国家であることが、憲法の基本事項とされているように、ここ数十年、この基本精神に則り、労働法及び社会保険法両面で法制度の整備に力が入れられ、その高度・充実化が進められてきている。
この2法の内、労働法は、多少の例外はあるが、一般に私法であり、個人との関係を律するのに対し、社会法は公法の位置付けになっている。すなわち労働問題であっても国家自体がこれ等の関係に直接介入し、当事者に対して影響を与え、また必要があれば政府が是正措置を取る事が法律で認められている。
ドイツの労働法は、基本的には労働者保護法である。個々の労働者及び集団での権利を守ることを目的としており、内容的には一般に、個人労働法と集団労働法の2分類に分けられる。これら2法の違いは、例えば解雇や雇用関係の中断を生じた場合に、個人との契約の問題の場合は、個人労働法による判断に主眼が置かれるが、これが労働管理からの問題となると集団労働法に重きを置いて判断が下される。

1.1 雇用労働関係法令一覧

雇用・労働に関する主要な法令一覧:

  1.  
    1. :子女養育費支給及び養育休暇法
    2. :Act on the Payment of Child Raising Benefit and Child raising leave
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  2.  
    1. :労働市場現代サービス法
    2. :Act on Modern Services of the Labour Market
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  3.  
    1. :人材の任務法
    2. :Act on the Posting of Workers (AEntG)
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  4.  
    1. :社会法第2巻/失業手当II/社会支援
    2. :Book/Volume II of the Social Code (SGB II) / Unemployment Benefit II/Social Assistance
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  5.  
    1. :社会法第3巻/雇用促進法
    2. :Book/Volume III of the Social Code (SGB III) / Employment Promotion Act
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  6.  
    1. :社会法第7巻/職業安全衛生法
    2. :Book/Volume VII of the Social Code (SGB VII) / Occupational Safety and Health Act
    3. :<http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語)
  7.  
    1. :民法
    2. :Civil Code (Bürgerliches Gesetzbuch)
    3. :<http://www.iuscomp.org/gla/>(最新ドイツ語版)
      <http://www.dejure.org/gesetze/BGB>(ドイツ語)
  8.  
    1. :共同決定法
    2. :Co-Determination Act (Mitbestimmungsgesetz)
    3. :<http://www.iuscomp.org/gla/statutes/biblstat8.htm>
      <http://www.llrx.com/features/
      german.htm#Business%20--%20Labor%20Law
      >
  9.  
    1. :団体交渉法・団体協約法
    2. :Collective Bargaining Act/Collective Agreements Act (Tarifvertragsgesetz)
    3. :<http://www.woerterbuch.info/?query=bargaining&s=dict>
      <http://www.iuscomp.org/gla/statutes/biblstat8.htm>
  10.  
    1. :賃金継続支払法
    2. :Continuation of Pay Act (Entgeltfortzahlungsgesetz)
    3. :<http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/
      info/termination/countries/germany.htm
      >
  11.  
    1. :連邦休暇法
    2. :Federal Holidays Act (Bundesurlaubsgesetz)
    3. :<http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/
      info/termination/countries/germany.htm
      >
  12.  
    1. 連邦有給休暇法
    2. Federal Paid Leave Act
  13.  
    1. :母性保護法
    2. :Maternity Protectin Act : MPA (Mutterschutzgesetz)
    3. :<http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/info/
      termination/countries/germany.htm
      >
  14.  
    1. :パートタイム/限定期間雇用法/パートタイム及び固定期間雇用法
    2. :Part-Time/Limited-term Employment Act/ Part-Time and Fixed- Term Employment Act (Teilzeit- und Befristungsgesetz)
    3. :<http://www.managementcircle.de/>(ドイツ語)
      <http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/info/
      termination/countries/germany.htm
      >
  15.  
    1. :不当解雇保護法
    2. :Protection against Unfair Dismissal Act (Kündigungsschutzgesetz)
    3. :<http://www.iuscomp.org/gla/statutes/biblstat8.htm>
      <http://www.managementcircle.de/>(ドイツ語)
  16.  
    1. :半定年法
    2. :Semi retirement Act/ Partial Retirement Act (Altersteilzeitgesetz)
  17.  
    1. :臨時雇用法
    2. :Temporary Employment Act (Arbeitnehmerüberlassungsgesetz)
    3. :<http://www.dict.cc/englisch-deutsch/
      Temporary+Employment+Act.html
      >
  18.  
    1. :職業訓練法
    2. :Vocational Training Act (Berufsbildungsgesetz)
    3. :<http://www.bmbf.de/pub/
      BBiG_englisch_050805.pdf
      >
  19.  
    1. :労働時間法
    2. :Working Time Act : WTA (Arbeitszeitgesetz)
    3. :<http://www.dewsbery.de/Glossar/gesetz.html>
  20.  
    1. :労働憲章
    2. :Works Constitution Act (Betriebsverfassungsgesetz)
    3. :<http://www.iuscomp.org/gla/statutes/biblstat8.htm>
      <http://mitbestimmung.verdi.de/>(ドイツ語)
  21.  
    1. :青年保護法
    2. :Youth Protection Act : YPT (Jugendarbeitsschutzgesetz)
    3. :<http://www.iuscomp.org/gla/statutes/
      JOeSchG.htm
      >
注:
(a):法令名
(b):法令(英語(ドイツ語))名
(c):参考ウェブサイト

労働法規の解釈は労働裁判所法にそって労働裁判所により行われる。ある事柄、特にストライキ法規の解釈は、部分的にまたは包括的に判例法に委ねられる。(1.3.2 参照)

※出典:
Federal Labour Court, <http://www.bundesarbeitsgericht.de/englisch/start.html> accessed on 30 August 2008

1.2 労働基準関係法令

個人労働法は被雇用者を保護する法規定に重点を置いている。労働時間の限度、有給休暇、公休日や病欠休暇の場合の賃金規定、雇用契約中止の予告期間や不当解雇に対する保護など被雇用者保護のための最低条件基準などを取り決めている。例として、労働法の下、被雇用者側の責によらない事由で病欠する場合、6週間を限度に賃金の支払を受けることができる。また、連邦休暇法の下、すべての被雇用者は年24日の年次有給休暇を受けることができる。
若年者と重度の障害者の被雇用者には特別な規定がある。この法的枠組みの中で、団体交渉関係者、労使協議会と雇用者、そして個人労働者とその雇用者は自発的に双方の法律関係の条件を合意して決定することができる。例えば有給休暇の増加や、クリスマスや祝日の手当て、解雇予告期間の延長等を決定することができる。
不当解雇と不当な解雇予告期間に対する保護も個人労働法に組み込まれている。不当で恣意的な解雇に対する保護は労働者とその家族にとってきわめて重要であり、そういった保護は労働者の仕事に対するやる気と傾注を促すので雇用者側の利益にもかなう。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.2.1 労働契約

  1. 固定期間の雇用契約
    原則として労働契約の期間は非限定である(参照:民法620章第2節)。雇用者と被雇用者は期間限定の契約を結ぶことも可能であるが、固定期間契約の場合は2001年1月1日施行のパートタイム労働及び固定期間雇用法を順守しなければならない。
    固定期間契約の場合、契約の終了日や特定の任務・イベントの完了などの客観的な条件での期間決定でなければならない。固定期間にする理由は、原則として仕事自体が臨時的な内容であること、より容易に専門的な仕事に入る一つのプロセスであること、病気の被雇用者の代替であること等、パートタイム労働及び固定期間雇用法14章1節の規定に明記されている理由でなければならない。しかし、次に示す二つの例外規定のうちのいずれかに該当すれば、固定期間契約は合法とされる。
    • 契約が2年を限度とし、同じ被雇用者とその後の契約を継続しない場合(パートタイム労働及び固定期間雇用法14章第2節)
    • 58歳以上の者との契約である場合。(通常契約の期間を限定する場合は特別な理由が必要だが、より容易に職に就けるように58歳以上の者との契約が例外となっている)。
    被雇用者が、期限を無効として訴訟に持ち込みたい場合は、雇用契約終了後、3週間以内に、法的行動を取る必要がある。
    また固定期間の被雇用者には同様な仕事に従事するフルタイムの被雇用者と同等に扱わなければならない(パートタイム労働及び固定期間雇用法4章2節、3章2節)
  2. 見習期間
    雇用契約においては6カ月を限度とする見習期間を設けることが法的に認められている。この期間内では、2週間の予告をもって解雇することができる(民法622章3節)。また、代わりに、6カ月を限度とする雇用契約を交わすこともできる。見習期間の必要性は、民法14章1節に規定されている。
  3. パートタイム労働
    パートタイム及び固定期間雇用関係法を基準法とし、その定義は週あたりの労働時間がフルタイム労働者より少ないこととされる(同法2章)。6カ月以上同じ機関でフルタイム勤務をした被雇用者は、パートタイムへの変更を要求することができる(同法8章1節)。雇用者は特に、この労働時間の減少が組織、作業の流れ、安全への悪影響及び過度なコストがない限り、この要求を受け入れなければならない。他に要求を拒否できる条件は団体協約で取り決めることができる。 一方、フルタイム勤務の空きがあれば、フルタイムへの変更を希望する社内のパートタイム被雇用者を優先されなければならない。勤務時間を変更したい被雇用者及び労働協議会に対してフルタイムやパートタイム勤務の空き及び社内の訓練の機会についての情報を提供しなければならない。法的に定められている事由がない限り、パートタイム被雇用者はフルタイム被雇用者と同等な扱いとされなければならない。(同法5章及び4章1節)
  4. 臨時雇用
    臨時雇用法で規定されているとおり、人材ビジネス機関(臨時雇用者エージェント)がパーマネント・ベースで人材を雇用し、これを他の雇用者(使用企業)に派遣する形態で臨時雇用が起こる。被派遣者はその期間中、派遣先企業の指導・監督に従い作業に従事する。
    派遣が一時的なものでなく長期的な場合、特に12カ月を超える派遣となる場合は営業的派遣とみなされ、労働者派遣法 (Act on the Commercial Transfer of Employees) の規定が厳格に適用される対象となり、この法の下でのみ認可される。規定は以下のとおりである。
    • 人材ビジネス機関は事業を行う場合に連邦機関の許可をとる。
    • 被派遣者に対し更新制のない固定期間契約が合法化されている場合を除き、パーマネント・ベースで雇用されなければならない。
    被派遣者は、母性保護と、育児休暇、病気の場合の継続賃金支払い、24日以上の休日(土曜日を含め)の社会保険及び法的解雇規定の適用資格が与えられる。
  5. 在宅労働
    1951年3月14日に施行され、最新では1997年12月16日改訂の在宅労働法 (Home Work Act) により、在宅労働者も一般労働者とほぼ同じ労働条件を享受することができる。労働当局から任命された議長、雇用者3名、在宅労働者3名からなる在宅労働者委員会があり、その在宅労働者委員会が団体協約を促進する。労働組合がない分野においては、この在宅労働者委員会が最低報酬や労働要件の設定役を務める(19章)。
※出典:
International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008

1.2.2 解雇規則

解雇についての主要法規は民法と不当解雇保護法であるが、不当解雇保護法は職業訓練生、基準外パートタイマーを除いた、常時10人以上のフルタイム就業者を有する組織体だけに適用される。またこの法律は、少なくとも6カ月間中断することなく働いた被雇用者のみに適用される(不当解雇保護法1章1節及び23節)。
ドイツ労働法では、定常的な契約終了、すなわち有期契約の期間完了に基づく予告解雇(民法622章)と予告なしに行う非正常的な契約中断(民法626章)とを明確に区分しており、いずれにおいても雇用者都合の契約中止には法により制限が加えられている。
雇用契約中止の予告期間は法律で規定されている。予告期間は最低4週間であるが、この予告期間は5年、8年、10年、12年、15年の勤務期間ごとに1カ月延長され、最高は20年勤務を終えた場合の7カ月である。ただし被雇用者が25歳になる前の年数はこの予告計算に入れられない。団体協約によっては更に長い又は短い期間を決めることもできるが個人との契約ではより長い予告期間にしか変えられない。2000年5月1日現在、予告は文書による通告でなければ法的効力は持たない。
重大な理由があって、雇用契約中止の予告期間完了日まで(固定期間契約の場合は契約終了日まで)雇用の継続を容認できない場合、臨時解雇は合法的である。臨時解雇の主たる例は重大な違法行為で、事実判明後2週間以内での通告を必要とし、訴訟の場合は契約解除の原因となる事実の証明を必要とする。
労働協議会がある場合は、労働憲章102章の規定に基づく手順が必要であり、すなわち雇用者は契約中断の根拠や解雇の性質(通常解雇か、臨時解雇か)を労働協議会に通告しなければならず、これを怠った場合の解雇は無効とされる。協議会は、102章2節規定の期間内に解雇に対し異議を提起できるが、契約中断の有効性自体は、この協議会の決定判断により左右されるものではない。ただし、被雇用者が労働憲章102章5節に基づき提訴を行った場合は、協議会の意義は該当の被雇用者に対してある種の権利を与える場合がある。
解雇においては、特定の被雇用者、例えば身体障害者、妊婦及び労働協議会メンバーに対する特別な保護が与えられている。
不正行為を理由とした臨時解雇は被雇用者の契約違反と、雇用関係への悪影響、雇用の継続が不可能という原因に基づいていなくてはならない。雇用者と被雇用者の利益を配慮して解雇が最善策という判断が必要である。被雇用者の不正行為に対する解雇については、その不正行為が秘密情報の漏えい、刑事的違反など被雇用者の行為是正を待つまでもなく雇用者にとって許容不可の場合は別として、通常は比例の原理を採用してその不正行為後、2週間以内に発せられる警告を踏んで行わなければならない。原則として、被雇用者の背任行為よりも被雇用者の不十分な業績が主な解雇原因である場合には事前の注意が特に重要である。
雇用者が解雇を行う場合は、不当解雇保護法1章3節に従い、自社の都合より先に、被雇用者の次の就職機会の難易さと社会的義務を考慮して、今までの雇用期間の長さ、年齢、扶養家族、重度障害などの状況にまず考慮を払い行わなければならない。被雇用者が雇用者の会社にとって必要不可欠である場合は上記のように考慮する必要がない。雇用者がこの不当解雇保護法1章3節を遵守しているかどうかは、被雇用者側がその証明義務を負う。

※出典:
International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.2.3 賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の割増賃金

  1. 賃金
    賃金は、団体協約で取り決めた額を下回らない範囲で、本人の自由意思に基づく各個人の雇用契約にて設定される。多くの欧州連合緒国と違ってドイツには包括的な法定最低賃金はないが、2年前から最低賃金に関する論争が続いており、2008年6月人材の任務法 (AEntG) の改定で、被雇用者の半数以下が団体協約で決められた賃金を受けている分野の職業に、最低賃金を将来的に導入することが可能となった。
    ドイツでは現在までに、下記の分野で最低賃金が決められている。
    • 建設業
    • 屋と骨組みの組み立て
    • 建物解体
    • 塗装業
    • 漆塗り業
    • 郵便配達
    雇用者は原則として、被雇用者が自分の賃金を自由に使えるような状態にしなければならない。
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
  2. 労働時間
    関連する主要法規は労働時間法 (WTA) 、母性保護法 (MPA) 及び若年労働者保護法 (YPA) であり、ホワイトカラー及びブルーカラーの労働者並びに職業訓練生に対して適用される。
    労働時間は休憩時間を除いた始業時刻から終業時刻までの時間と定義されている(労働時間法2章1節と若年労働者保護法4章1節)。法規定の労働時間は休息時間を除き1日8時間、日曜と法定休日は休日として除かれる(労働時間法3章及び9章)。法定の週あたりの労働時間は、従って48時間であるが、団体協約により更に短い時間も設定することができ、38.5時間から35時間が多い。禁止事項としては、妊婦や育児中の母親(母性保護法8章)、18歳以下の訓練生と労働者の1日8時間を超える労働及び土曜の就業(若年労働者保護法8章)である。1日8時間労働は、その後6カ月の平均労働時間が8時間を超さなければ10時間まで延長可能である。しかし11時間の中断されない休憩時間を保証しなければならない(労働時間法5章1節)。夜間作業は厳格な条件下ながら認められている(若年労働者保護法6章及び7章)。
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
  3. 有給休暇
    連邦休暇法及び団体協約の規定により、法定有給休暇は年当たり24日である(土曜は含み日曜祭日は含まない)(3章1及び2節)。団体協約によっては更に日数の追加も可能であり、この結果、通常、年歴日で合計4~6週間が認められている。1999年に決定された団体協約では西ドイツ地域では80%が、また東ドイツ地域では55%の被雇用者が6週間以上の有給休暇の取得が可能である。
  4. 病欠
    1998年12月19日改訂の賃金継続支払法の規定に従い、被雇用者は最低4週間の雇用関係があり、労働できない理由が本人の責任でない場合は、6週間までの継続した平均賃金の100%の支払いの要求が可能となる(3章1節と4章1節)。
  5. 育児休暇
    育児恩典支給及び育児休暇法により育児休暇は男女共に請求することができるが母性保護法で就業禁止の期間内なら受けられない。育児休暇では、この間の雇用契約は(法廷判例により)中断され無給となるが、休暇は子供が4歳になるまで与えられる。(15章)
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
  6. 半退職
    半退職法 (Altersteilzeitgesetz) により雇用者が65歳に至るまでの間、労働時間を徐々に減らすことが認められている。この法律は雇用者と被雇用者との間で自由に同意して決定することが想定されている。55歳以上の被雇用者は、雇用者との自由契約に基づき、65歳に至るまでの間、労働時間が18時間を下回らない範囲で、徐々に半分にまで減らすことができ、時間の配分は当事者間の契約により取り決める。
    現在、労働時間を10年まで配分し設定した就業モデルがあるが、これが有効なのは2009年までであり、以後は人口統計や年金構造により変わる可能性もあり、将来を通してのモデルとはいえない。
    ※出典:
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.2.4 年少者、女性、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務や派遣労働)

  1. 母性保護と育児休暇
    母性保護法 (MPA) 及びこれを補足する職場母性保護令により母性保護が規定されている。肉体的重労働や危険物取扱い禁止等の労働や作業場における妊婦と育児中の被雇用者の保護と優待が義務化されている(MPA2章1節、MPA4章1~3節並びに法令1章)。雇用者が被雇用者の妊娠の通告を受けてすぐこの保護が適用される。雇用者が違反すると刑事罰が課せられる(MPA21章1~4節)。非雇用者の妊娠は母性保護を監視する当該官庁に通告されなければならない。
    妊娠中及び出産後4カ月までの解雇は、解雇通告の有無を問わず防護されている(MPA9章)。この絶対的な保護は育児休暇期間にも適用される(育児恩典支給及び育児休暇法)。出産6週間前から出産後8週間までの期間は就業が禁じられ(未熟児や複数出産の場合は出産後12カ月が適用)、当期間は社会健康保険からの母性給付と雇用者からの補助金が支払われる。妊婦本人と胎内の子供の安全のため、医者が労働禁止の診断をした場合は、雇用者は、当人を出産6週間前よりも早く労働時間を減らすか完全に離職させなければならない。その場合従来の賃金の平均額が支払われる。
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
  2. 最低年齢及び若年労働者
    15歳以下の若年者の雇用は、若年労働者保護法により禁止されているが、この禁止は同年齢以上のフルタイムの就学者にも適用される(5章1~3節)。ただし事項として規定範囲の職業訓練の場合は除かれる(5章2節)が、これは極めて異例で、子供の年齢層に適した内容の訓練である事が条件であり、かつ各州の産業監査官の監査を必要とする。
    18歳以下の場合も職業訓練のための労働に就くことはできるが、労働は8時間以内とする制限や、就業中の充分な休息、(例外、特例はあるが)土曜・日曜の休日、そして夜間作業(20:00~6:00)や危険作業、出来高賃金制度と時間ベースの労働、地下鉱山作業の禁止等が若年労働者保護法に規定され、雇用者はこれを遵守しなければならない。
    ※出典:
    International Labour Organization, < http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
  3. 労働安全衛生規制
    雇用者は職場、機械、設備、システムなどに万全の配慮を払い組織全体での適正な体制を整え、被雇用者が危険にさらされないようにしなければならない。雇用者は職場での事故を回避し、健康上のリスクを防いで、人間にふさわしい職場を設計しなければならない。この義務は労働安全衛生の規定、中でも労働安全衛生法に依拠し、また事故保険機関の事故防止規定にも含まれている。
    職場の労働安全衛生規制は職場設計、労働時間体制、機械の安全性、科学物質及び病原体、騒音などの危険からの保護が対象となっている。職場の安全衛生は雇用者の責任であり、仕事内容が安全で、すべての被雇用者が正しい指示を受け、すべての被雇用者の労働安全衛生に関する意見を聞き入れなければならない。この義務は欧州の法規定に基づいた労働安全衛生法制に依拠している。子供や若者など特に保護を必要とする者には特別な規定がある。
    会社の労働安全衛生対策に関して労使協議会には共同決定の権利と、労働安全衛生対策の協議・情報を要請する権利がある。
    連邦政府は社会法規定 (SGBⅦ) の25章1節に基づき、国内の業務上の労働安全衛生、事故及び職業病の年次統計報告書を作成している。この統計報告書は事故保険機関と労働安全衛生の当局の年次報告書を集約したものである。
    ※出典:
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.2.5 就業規則、労働協約

就業規則及び労働協約は組合連盟と雇用者連盟との交渉に基づく共同合意または社内の協約のフレームワークによるものである。(1.3.1参照)

1.2.6 その他

【待遇の平等】

平等な待遇は憲法(第3条1~3節及び9条3節)に規定されている基本的な権利であり、性・人種・国籍・身体障害・宗教・政治的見解及び組合活動による差別は認められず、これを行うと違法行為とみなされる。この基本的権利は労働法の基本原理の一つとされ、労働法の下の平等待遇の原理と呼ばれている。被雇用者に対する不当な不平等待遇は違法である。

※出典:
International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008

1.3 労使関係法令

1.3.1 労働組合

集団労働法 (Collective Labour Law) という労働管理に関する法令は労働法を構成する下位範疇の一つである。集団労働法は均等な労働条件をもたらす役目を担っており、またその内容をみても労働管理に関係する結社の自由・団体交渉・調停・仲裁・労働争議・従業員代表・共同決定など各種法的事項を包含する内容になっている。

  1. 労働組合と雇用者連盟
    ドイツには労働組合法と称する法はない。労働組合と雇用者連盟の結社の自由はドイツの憲法で保障されている(ドイツ憲法9条3章)。労働組合は法的能力を有する組織体ではないが、団体交渉や訴訟・被訴訟は法的に認められている(団体協約に関する規定2章1節及び労働法廷法第10章)。また組合のメンバーの持つ義務と権利は関連する職業組合憲章の中にも規定されている。この憲章は労働組合により相違はあるが、伝統の中で築き上げられたその基本自体は類似している。組合員は、その賃金に応分して組合費を払わなければならないが、一方、紛争時には支援や法的助言が得られる。組合からの脱退は労働者の意思または組合の憲章に従った決定により行われる。
    雇用者連盟は法的能力を有する団体であり、元々は地域別・産業別の単位であったが、合併し広く連邦内にまたがる組織体になっている。この連邦レベルの組織は二つの中核連合体に連合しており、一つはドイツ雇用者BDA(Confederation of German Employers’ Associations:団体連合会)であり、もう一つはBDI(Federal Union of German Industry:ドイツ産業同盟)である。BDAは雇用者としての利益を代表し、BDIの方は企業の政治経済利益の追求を標榜している。
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
  2. 団体交渉法と協約法
    集団労働法の内容は、取締役会レベルでの共同決定権についての規定と、結社・団体交渉・抗議行動についての組織レベルの共同決定権についての規定の二つの面から構成されている。
    団体交渉は団体交渉法 (Act on Collective Agreements) に規定されているが、同法は具体的に団体交渉そのものの内容事項まで規定しているわけではない。交渉では当事者として法的資格を持つのは労働組合、個々の雇用者及び雇用者連盟である(2章1節)。交渉事項は賃金・給与のみならず週当たりの労働時間、有給休暇などの労働条件であり、結果は団体協約に折り込まれる。
    両交渉当事者の行動が憲法と法規定の枠内であれば政府の干渉を受けずにその決定は自己責任・自由裁量に委ねられている。協約法はその法律的基本となる。基本的に同法が規定するのは団体協約の様式や構成、協約の当事者の定義、協約の対象となる労働者である。
    交渉当事者が最も状況を深く洞察している故に、最も公正公平なバランス感覚をもって当たることができるというのがこの法律の基本的な理念である。当事者は実際の現場での問題を十分に認識し、また支所や地域の状況をタイムリーかつ的確に掌握することができる。
    ※出典:
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
    団体協約は二部分で構成される契約である(1章1節)。一部分は両当事者の権利及び義務についてであり、当事者は協約遵守のためにあらゆる手段を使う義務と当該産業での平和的関係である。仲裁合意(調査小項目1.3.2参照)もこれに含めることができる。もう一部分は、労働契約やその運営面で起こる問題、労働憲章関連事項に係るルールの設定であり、この二つの区分は協約書の有効期間の中で重要な意味を持つ。一般的に団体協約は協約の有効期限で終了するが協約は当事者いずれかによる申し出または双方の合意があれば途中でも終了できる。その場合には協約内容は当然終了となるが、その根底をなす法的な考え方・基準は、次なる個人契約または団体協約の労働契約が締結されるまで効力を保持する(4章5節)。
    締結した団体協約が有効な期間内では、被雇用者は協約で決められている賃金と労働条件に対し新たな要求を掲げてストライキを起こすことは禁じられている。一般的に協約は賃金水準、労働時間、休暇日数、解雇予告期間などの条件を規定する。
    ※出典:
    International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
  3. 企業内労働者代表(労働憲章による有期間の組織)と経営共同決定システム
    共同決定システム(組織形式、役員会参加形式)はドイツの民主的発展・文化の象徴として、欠かせない事項である。企業と労働協議会、職業組合と使用者連盟間の協調関係を制度化することにより、経済危機などの外的ショックを受けた場合、これを和らげるクッションの役割を果たしている。労働者の共同決定は会社レベルで労働協議会を通して行い、取締役会レベルでは監督委員会を通して行われる。
    [企業内の労働者代表]
    経営組織法は企業内にて労働者を直接に影響する物事を規定している。労働協議会は5人以上を雇用している企業で設置することができる(任期は4年)。職場での労働関係に関する法律のフレームワークの中で労働協議会は情報開示請求権や協議権など多様権と、社会福祉、人事的と経済的事項などに関する企業レベルの共同決定権を持っている。
    労働協議会は、5人以上を雇用している企業で設置することができるが、実際は中大規模企業での場合が多く、小企業では比較的稀である。同協議会は、その企業の労働者全員を代表するものとして雇用者と向かい合って労働者の利益を擁護しなければならない。同協議会は特別な参加資格と共同決定権を持ち、特にその協議では社会的、人事的、経済的事項が取り上げられる。雇用者と労働協議会は労働者と会社の利益のため、相互信頼の精神で協力し合わなければならない。
    企業形態が株式会社及び有限責任会社の法的能力を備え500人以上の規模の法人である場合は、取締役会レベルの共同決定権が認められている。その目的は労働者に根本的な企画と経済的方針に関する発言権を与えることである。労働者は企業の経営意思決定に参加する代表者を監査役会に選出する権利がある。
    国境を超え欧州内で操業する場合は欧州法が適用されるが、同法もまた、労働者の経営参加権を認めており、欧州労働協議会又は本企業の経営・監督機構の下で進められる。
    ※出典:
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.3.2 労働争議解決システムに関する法令

ストライキやロックアウト等の示威行為自体は被雇用者と雇用者双方に認められた権利であるが、法としては連邦法廷の判例に依拠しており、労働争議そのもののための法律があるわけではない。
被雇用者のストライキは一般的に承認されている示威行為である。ストライキは特定の企業や部門の中で限定的に起こされる場合とその産業全体に及ぶ場合があるが、対する雇用者側のロックアウトは、連邦法廷の判例では企業や部門の中に限定されたストライキに対しては認められるが、これ以外は非合法とされる。ストライキを指令できるのは労働組合のみである。ストライキはあくまで仲裁手続きが仲裁判断に至らずに終了した場合の最終手段として認められる組合権利である(通約可能性の原理)。通常は労働争議が起こる前に、労働組合と経営者団体が仲裁手続きに参加する義務を自主的に合意するケースがほとんどで、国の強制的仲裁は存在しない。仲裁では、両者が合意する中立的な第三者が指名され、これが仲裁役を務める。

  1. 労働法廷
    組合紛争などを含めた雇用法令事項は労働廷法に従う。労働法廷には地方法廷、地域法廷及び最終法廷としての連邦法廷の3つがある。地方法廷は議長役の専門裁判員及び労使各々からの無給の裁判員で構成されている。地域法廷は各部門別の裁判官室があり、各裁判官室の構成は地方法廷と同様である。
    事業所組織法に関連する争議はまた違った訴訟手続きを使用し、限定された和解の調停のみが裁判で承認される。個人の労使関係問題の場合または当事者のどちらかからの上訴があった場合は裁判判決で解決される。地方法廷の第一次概念は紛争解決であるため、法廷は和解の調停会議から始まり、法廷が事情を聴取し円満な解決に努める。解雇問題の解決もこの方法が第一とされている。(61a章)
※出典:
International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008

1.4 労働保険関係法令

ドイツでは、市民の社会的保護は大変長い歴史を持っており、鉱山労働者が始めた不測事態に備えての互助制度は17世紀にさかのぼる。当時の鉱山労働は極めて危険な職業で、互助制度が始まる前には、事故によって負傷した労働者とその家族の賃金の損失と医療費負担で悲惨な状況に陥った。さらにその後、商人・手工業者などの同業者組合が類似した制度を作り、その会員から集めたお金で会員の援助を行った。
現在、ドイツの込み入った複雑な社会保障制度は次の三分野に分けられている。

  1. 保険給付
    被保険者の拠出費と必要があれば政府の補助を財源とする。通常こういった給付は法定社会保険から提供される。
  2. 補助給付
    主に税収入からの拠出による。所得水準に関わらず無条件で支払われる給付で、戦争や犯罪被害者、病気や老齢の公務員などが対象で広義では子女補助、母性保護なども含まれる。
  3. 福祉給付
    税収入からの拠出によるものだが資力調査の必要性がこの給付の特徴である。通常こういった給付は窮地を乗り越えるために社会的支援を要する自活のできない対象者に最後の手段として与えられる。求職者給付や社会扶助、身体不自由者の社会的統合給付、住宅手当、難民などの補助支援などの給付がある。
※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.4.1 労働者災害補償保険

法定災害補償保険は社会保険の一部門で強制的な保険である。保険契約で指定されている活動を行った結果、被保険者が健康被害を受ければ補償を提供される。この保険は特に労働安全衛生法と社会保障法典労の第7巻 (SGBVII) に依拠している。
法定労働者災害補償保険の役目はあらゆる適切な手段を使って保険契約で指定されている出来事(業務上疾病と職場での事故)を防ぐこと、職場の健康上のリスクを減らすこと、保険契約で指定されている出来事が起こった場合は被保険者の健康と能力を回復させ、負傷者またはその遺族を補償することである。災害保険の補償を受けるのに保険契約で指定されている出来事の発生が前提条件である。保険契約で指定されている出来事は職場での事故と業務上疾病である。災害補償保険制度は雇用者のみの拠出で賄っており、対象者はすべての被雇用者と、訓練生、農家、保育園児、学童、学生、事故現場で救助活動を行う人々、民間防衛隊員、救助隊員である。経営者と自営業者は自主的に加入することができる。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.4.2 雇用保険

政府の労働市場政策では訓練・労働市場の需給バランスを保ち、失業者に社会保障を与えている。この社会保障は二段階システムである。最初の段階は連邦政府が管理する就職を促進する拠出制の失業保険制度である(SGBⅢ-就職促進社会法の第3巻で規定されている)。その次の段階は自活する能力を有しているが支援を必要する求職者とその家族に向けた基本的な補償給付である。求職者の基本的な社会保障給付の性質によって、給付を支払うのは連邦雇用局か市、地方当局である(SGBⅢ就職促進社会法の第3巻で規定されている)。

【雇用支援】

  1. 社会法第2の第3巻 (SGBⅢ)
    就職促進法は雇用水準の引き上げと絶えずに雇用構造の改善を狙いとしており、これに基づき失業問題の早期解決や失業期間の縮減を目的としている。失業手当給付金や失業扶助といった、いわゆる所得代替給付よりも訓練・就職の斡旋が優先される。就職促進法は特に労働市場の最新サービス法の第1から第3の法令によって根本的に改正され、この法律では雇用促進を図るための失業者または失業のリスクを持つ者に対する訓練など雇用促進策と物質的補償が規定されている。その方策の第1のポイントは雇用の需給のマッチングを行うことにより、できるだけ多数の失業者を復職させることであり、連邦雇用局がこれを含め社会法第3巻の推進の旗振り役となっている。
  2. 社会法第2巻 (SGBⅡ)
    現在の求職者の基本的社会保障給付はかつての失業扶助と社会扶助を一本化したものであり、社会法第2巻の給付規定が改定された2005年1月1日から施行されている。この改定により、自活する能力を有しているが失業しているか生活費を賄うに十分なお金を稼げないで支援を必要とする求職者のための社会保障給付が始めて一本化された。この社会法第2巻のポイントは下記の通りである。
    • 社会保障給付の支払いは連邦雇用局及び地方・市当局が行う
    • 市当局は主に宿舎、光熱費と児童保育の給付、債務と依存症・中毒症に関するアドバイスと精神面のケアを提供する責任がある。
    • 連邦雇用局は特に労働市場への復帰支援と生活費(含社会保険料支払)の支援業務を行う。
    • 試験的な試みとして公認された69の市のプロバイダーが連邦政府の業務代行を行う。
    ※出典:
    Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.4.3 健康保険

健康保険には人々の健康状態の維持、復活、また向上の役目がある。いわゆる第三者支払原理(つまり患者が現時点まで実際に支払った拠出金額に関わらず、完全なる受給資格を与えること)に基づいた給付の目録には疾病予防のための給付とサービス、発病した場合の給付、妊婦向けサービスと出産給付が含まれている。
現在、国民の約90%は健康保険に加入している。この保険は主に雇用と連結しており、雇用者と被雇用者の拠出を必要としているが、雇用者の配偶者と子女のための非拠出型の保険カバーもある。公的健康保険に支出される額はGDPの6.5%、さらに医療費の総計は個人保険と個人の出費を含めれば約11%に上る。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.4.4 年金

年金保険は労働生活を終えた者の経済的安定を保証するための制度である。年金制度の拠出額は雇用者と被雇用者が半分ずつ払っている。受け取る年金の金額は個人の生涯の収入額によって決まれられた拠出額に相応する。年金は毎年賃金の動向に従って調整される。
現在の年金制度は1957年に導入され、1970年代中頃まで給付額は徐々に引き上げられた。しかし、拠出者と受給者の均衡の変更に合わせて拠出額が上昇していて、どのようにしてこれからの世代が支払う拠出額を抑えるのかが現今の難問である。寿命が伸びており、出生率が低下しているという人口動態が社会保障制度に問題を生じさせている。
拠出型法定年金制度は依然としてドイツの高齢者社会保障制度の要である。現時点では、45年間の拠出歴の平均所得者は社会保障拠出額を控除した後の平均収入の52.4%を受給している。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.4.5 その他、独自の保険や基金に関する法令

【社会的補償】

ドイツ連邦共和国の社会的補償制度では社会的要因により健康障害を受けた被害者を少なくとも金銭的に償うために恩給が与えられる。
社会的補償の対象者は戦争被害者(依然として連邦年金の最大の求償者)、と暴力の被害者、負傷した軍人と退役軍人、予防接種の被害者、旧ソ連占領地域及びベルリン占領地区とドイツ連邦難民法 (Bundesvertriebenengesetz) の第1章2節3で規定された領土で政治犯として拘束された結果健康被害を受けた者、そして旧東側政府下の不正な政策で不当な拘束・迫害を被った要因により現在に至って続いている健康の被害を受けている者である。

※出典:
Federal Ministry of Education and Research, <http://www.bmbf.de/en/index.php> accessed on 30 August 2008

1.5 職業能力開発法令

1.5.1 職業能力開発制度

ドイツの職業訓練制度は、異なるレベルや内容の法規の法律制度に基づいている。企業内や学校以外の場所で行われる初期訓練は連邦の様々な法に規定されているが、職業訓練学校での初期訓練の方は州法の規定にされている。さらに継続した職業訓練となると連邦・州両方の規定が関係してくる。いずれにせよ憲法(12条 (1) )及び連邦学校外職業訓練政府能力法令(72条 (1) 、 (2) 及び74条 (1) )に規定されているように、職業選択の自由とその実行が学校外教育のフレームワークの最も重要な条件である。
職業能力開発に係わる重要な連邦法を挙げると次のとおりである。

  • 職業訓練法 (BBiG)
    職業の準備訓練、初期訓練、継続訓練、再訓練の基本的事項を規定している。
  • 社会法第3巻volumeⅢ (SGBIII)
    職業訓練 (VET) 、同再訓練及びVET準備コースの訓練を続けて行く場合の個人や団体の支援を受領できる資格について取り決めを行っている。
  • 向上訓練支援法 (Aufstiegsfortbildungsförderungsgesetz : AFBG)
    初期職業訓練を終了した熟練労働者が国の支援を得られる権利を規定している。
  • 遠隔地教育保護法 (Fernunterrichtsschutzgesetz : FernUSG)
    通信教育コースにおけるライセンスや契約形式を規定している。
※出典:
European Centre for the Development of Vocational Training, <http://www.trainingvillage.gr/etv/Information_resources/
Bookshop/publication_details.asp?pub_id=465
> accessed on 30 August 2008

【職業訓練法の改正】

2005年に改定された職業訓練法 (BBiG) は、どんなタイプの職業訓練が必要か、そのタイプを定義付けており、学校外の訓練機関にとっては大変重要な意味を持っている。さらに同法では、教えるべき職業のスキル、知識、能力が常に変化し続ける労働世界のニーズに合致したものであり、その教育方法も体系化された訓練プログラムを用いて、実際の職業に必要不可欠な経験を身に付けさせることを規定している。これは若年者に対するインハウスの職業訓練を常に一定の質的レベルに維持し、若年者の社会的地位を守ろうとの法的意図に基づくものである。改正職業訓練法は2005年4月1日から施行されているが、その目的は社会的背景と出身地に関わらず全て青年層の訓練機会の改善であり、その主なる狙いは次のとおりである。

  • より多くの青年に対し見習い研修の機会を与える。
  • 国際競争力の維持・向上を確実にする。
  • 地域の責任を促進する。
  • 教育と訓練サブシステム間の履修単位の移転を促進する。
  • 最大の訓練現場である企業と学校との間の協調を促進する。

さらに職業訓練法の大きな改正点を挙げると、ドイツ国外で修了した限定的受講期間の職業訓練も認定対象となること、訓練指針の法令化に係る基準設定が連邦職業教育訓練機構 (Federal Institute for Vocational Education and Training : BIBB) によって行うことができるようになったこと、訓練期間において以前の訓練で取得した履修単位が適用されるような改正などである。
この職業訓練法の規定25 (1) BBig及び25 (1) HwOに基づいて職業訓練の方針が設定されるが、その設定方法は、連邦経済技術省 (Federal Ministry of Economics and Technology : BMWi) またはその他当該訓練に関係する省が、連邦教育研究省 (Federal Ministry of Education and Research : BMBF) と連携又はその了解を取りながら、どのような職業を選びどのような訓練方法をとるか、訓練実施のあり方の設定・方向付けを行い、これを法令化することにより取り進められている。

※出典:
Federal Ministry of Education and Research, <http://www.bmbf.de/>, “Reform of Vocational Education and Training in Germany”
< http://www.bmbf.de/pub/
reform_vocational_education.pdf
> accessed on 30 August 2008

【VET準備過程】

VET準備過程はVETの独立した要素として職業訓練法 (BBIG) に据えられている。職業訓練法の定義ではVET準備過程は主として“資格モジュール”方式で形成され、この資格モジュールとは確定されている内容と期間で指導し学習させる学習単位の事をいう(1.6.2参照)。この資格モジュールはVET準備訓練を提供する企業と訓練団体によって、訓練規定に従い公認されている職業の学習すべき内容に基づいて開発される。若者がVET準備過程で取得した資格モジュールを記載した終了証を受け取る。
連邦政府の社会法 (SGBIII) の下で行われる継続した職業訓練の促進義務は連邦雇用局が担い、その職業には次の二種類がある。

  • 成人の職業補習教育:職業資格か適切な職業経験を有する者の知識とスキルを評価・維持・拡張するまたは順応させる。
  • 正式な訓練を必要とする公認されている職業に関連する資格を取得ための職業訓練:主に職業資格のない失業者を対象としている。

社会法Ⅲ (SGBIII) は2003年1月1日に労働市場現代サービス法によって改正され、継続訓練への公的資金の供給が教育クレジット券の発行と結び付けられるようになった。失業者または失業しそうな者と包括的な協議の上、必要と判断されたら、職業安定所は継続訓練の助成金を出すことができる。教育クレジット券には訓練の目的、終了するのに必要な期間、使用できる地域、有効期限(最長3カ月)、などが記載されている。利用者は継続教育の助成金を出せる公認機関を自ら選んで教育クレジット券を償還してもらえる。継続訓練機関は公認されるには有識機関からの認可が必要であり、2004年7月1日に継続訓練の認可・許可指令 (AZWV) で決められた方針で継続訓練を提供する機関は一連の法規定に従わなければならない。2006年に連邦雇用局が高齢労働者の資格を向上させるために開始した新企画では、社会法Ⅲで規定されている非熟練・高齢労働者への公的資金の投入手段をより活用することを決めた。

※出典:
Konsortium Bildungsberichtserstattung

2001年に改正された向上訓練支援法に基づいた向上訓練制度は若手起業家や専門家を支援する新しい制度である。この改正された向上訓練支援法は助成金を受領でき得る者の輪を広げ、助成金をさらに大きく増額している。
通信教育は就職している成人に仕事を続けながら柔軟な形式で継続教育を受ける機会を与える勉強法である。1979年の遠隔地教育保護法 (FernUSG) に規定されているように通信教育を提供する民間の機関は政府の認可が必要である。

※出典:
Hippach-Schneider, Ute; Krause, Martina; Woll, Christian (2007): Berufsbildung in Deutschland. Kurzbeschreibung (ドイツの職業教育、簡略解説) <http://www.trainingvillage.gr/etv/Upload/
Information_resources/Bookshop/465/5173_de.pdf
>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

1.5.2 職業能力評価制度

職業訓練評価制度に関する法規定は存在しないが、職業訓練法(86節)に述べられている通り、ドイツ連邦教育研究省が、職業訓練の進捗状況を常にフォローし、その結果を毎年4月1日にVET報告として政府当局に提出している。このレポートでは現状と今後の見込みが述べられており、地域またはセクターが実施する職業訓練 (VET) の供給のバランスに問題がある場合にはその改善策の提言も行われている。

※出典:
Federal Ministry of Education and Research : Vocational Training Act <http://www.bmbf.de/pub/BBiG_englisch_050805.pdf>, Reform of Vocational Education and Training in Germany, The 2005 Vocational Training Act
<http://www.bmbf.de/pub/ reform_vocational_education.pdf> accessed on 30 August 2008

職業教育・訓練の有効性と効率性を評価するには適切なデータが必要だが、初期VETの分野でVETの二重制度の構造と開発の分析は二つの異なった公式統計に基づいている。学校が提供する統計は一般的な学校の卒業生の人数を取り上げ、その人数から初期VETの講座に入る学生の想定入学者数が割り出される。
連邦雇用局が提供する訓練市場の統計は二重制度の本年度の入学者数を示す。職業安定所で見習いに関する情報を求める応募者の性別、卒業証の種類などの特徴が記録される。連邦雇用局の雇用統計は企業や企業の部門の規模を配慮して訓練機関の開発と照らし合わせ、社内訓練の動向を割り出せる。職業訓練法及び手工業法に従って、二重制度に関する二つの独立した調査で年内に新しく締結した訓練契約数と現在進行中の訓練契約数と構造的な統計が取られる。連邦職業教育訓練機構は9月30日の時点までに新しく締結した訓練契約数の調査を行い、連邦雇用局は12月31日までの職業訓練の統計を取る。これらの調査はVETに責任を有する機関(ドイツ商工会議所連合会、商業会議所、自由職業会議所)の統計のデータに基づいている。職業訓練法節34に規定されている通りこれらの機関は職業訓練関係の記録を取らなければならない。つまり、すべての若者(訓練生)と訓練機関の間に締結された訓練契約は当局に必ず提出され、当局は契約を記録しなければならない。
継続訓練に関しては継続訓練報告制度という連邦教育研究省が3年毎に実施される調査は職業能力評価制度と考えられる。継続訓練報告制度 (BSW) の主な特色は1970年代末に考案され、その時から次第に新しい要素、特に1980年代末には非定型学習の要素が取り入れられ拡張されてきた。その根本概念はドイツの継続訓練・教育に対する観念を反映している。
その根本概念は以下のとおりである。

  • 初期訓練と継続訓練の区別
  • 一般的と職業向けの継続訓練・教育の区別
  • 継続訓練・教育は講座、セミナール、講義、といった形で勉強する系統的な目的志向学習であるが、非定型学習も念頭に置かれている。
※出典:
ReferNet/BIBB (Ed), National ReferNet report on progress in the policy areas for Vocational Education and Training. Draft Version 2008, <http://www.bibb.de/de/index.htm> accessed on 30 August 2008

1.6 その他の雇用労働関係法令

1.6.1 職業紹介制度

職業の斡旋は社会法Ⅲ (SGBIII) に基づき連邦雇用局により行われるが、その方法はまず求職者の訓練状況、能力、潜在する雇用可能性を体系的に検討すること(プロファイリング)から始められる。このプロファイリングは該当職務で要求される能力レベル、これに対応する候補者のレベルと今後必要とされる努力との照合により行われる。この職業の斡旋は職業安定所ばかりでなく、職業安定所に委任を受けた民間企業でも進められる。訓練を希望する者と求職者のニーズに備えてカスタマーセンター(サービスセンター、受付、来客エリアの3部門から成り電話での応答も可能)が職業安定所に設けられている。受付では書類の記入と提出など手続きが行われる。自分の職業斡旋の担当者と相談したい場合は、サービスセンターにての面会を予約することができるので担当者も相談前に準備ができ、待ち時間が短縮される。これに加えて、条件に該当する者は就職バウチャーをもらい、自分で選んだ民間就職機関でこれが使用でき、この場合の費用は職業安定所または社会保障給付機関が負担する。一方、これ以外の求職者が民間就職機関を使用する場合の費用は自己負担とされる。就職が実現した場合のみに支払う費用は2,000ユーロまでが限度と法的に決められている。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmbf.de/en/index.php> accessed on 30 August 2008

1.6.2 外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条件

欧州企業導入法 (Act on the introduction of European Companies) が2004年12月28日に連邦法で公布され、その翌29日から施行されている。この欧州企業導入法は2001年制定の二つのEU法令(EU共同体ヨーロッパ企業規制法 (SE) と被雇用者参加追加指令)の替わりに制定された。本法の施行により、欧州内で広く事業を展開する企業にとっては、欧州の統一法人を設立すれば、高くて面倒な手続きを通して個々に子会社を作る必要がなく、国境を越えた事業がやりやすくなっている。

※出典:
Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmbf.de/en/index.php> accessed on 30 August 2008

1.6.3 海外から招聘され就労する者の加入義務のある制度

調査中

1.6.4 その他雇用労働に関する法令

調査中


参考文献

  1. Konsortium Bildungsberichtserstattung
  2. European Centre for the Development of Vocational Training, <http://www.trainingvillage.gr/etv/
    Information_resources/Bookshop/
    publication_details.asp?pub_id=465
    >
    accessed on 30 August 2008
  3. Federal Labour Court, <http://www.bundesarbeitsgericht.de/
    englisch/start.html
    > accessed on 30 August 2008
  4. Federal Ministry for Labour and Social Affairs, <http://www.bmas.de/portal/16702/startseite.html>,(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
  5. Federal Ministry of Education and Research, <http://www.bmbf.de/>, “Vocational Training Act” <http://www.bmbf.de/pub/
    BBiG_englisch_050805.pdf
    >, “Reform of Vocational Education and Training in Germany, The 2005 Vocational Training Act” <http://www.bmbf.de/pub/
    reform_vocational_education.pdf
    >, “Reform of Vocational Education and Training in Germany” <http://www.bmbf.de/pub/
    reform_vocational_education.pdf
    > accessed on 30 August 2008
  6. Hippach-Schneider, Ute; Krause, Martina; Woll, Christian (2007): Berufsbildung in Deutschland. Kurzbeschreibung <http://www.trainingvillage.gr/etv/Upload/
    Information_resources/Bookshop/465/5173_de.pdf
    >(ドイツ語) accessed on 30 August 2008
  7. International Labour Organization, <http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm> accessed on 30 August 2008
  8. ReferNet/BIBB (Ed), National ReferNet report on progress in the policy areas for Vocational Education and Training. Draft Version 2008, <http://www.bibb.de/de/index.htm>(ドイツ語) accessed on 30 August 2008

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