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国際労働機関(ILO)の報告から、ロシアには雇用と労働に関連する669個の様々な法令から成る巨大かつ複雑な法体系があることが分かる。この法体系は、ロシアのほとんどについて規制しているが、現在の世界経済危機でこの法体系の弱さが浮き彫りとなった。弱さの根源は、政府の法規制活動と現実の雇用労働環境の間での連動性の欠如にある。例えば、通常の労働市場においては、春から夏にかけての状況は良く、8月をピークに秋に向かい失業者の間に緊張感が漂い始める。その頃になると多くの失業者は雇用が増えることのみを願うのだが、2008年は5月から悪化し始めた。2008年8月にロシア政府は「2008〜2010年における労働市場に関する活動計画」を打ち出したが、この決議では向こう3年間の失業の増減幅は大きくないとしていた。このように、政府は労働市場の状況が悪くなる可能性をまったく無視して、国や民間そして外国の企業による投資の拡大とそれに伴う労働力の需要の増加を期待した。この政府案の具体的な内容は以下のとおりである。
図1-1 2007〜2008年の失業率

政府は、ロシアの労働市場にこの政策を適用する方法を3カ月にわたって実際に話し合い、この計画をロシア連邦健康管理社会発展省に引き継ぎ、地方自治体はこの計画に従うことを義務付けた。しかしながら、労働市場の緊張は高まり続け、産業が衰退し始めた秋以降はこの計画が現状の労働市場ガイドラインにはなりえないことが明らかになった。その結果、政府は労働力需要が落ち込む中で早急に新しい政策を作るという緊急課題に直面し、ほとんどの法基準が成長状態に着目して作られたもので、下降状態の場合については何も示されていないことが明らかになってきた。例えば、それまでロシアの労働市場にとって、とても重要な問題は、外国人労働力の誘引であった。それはさまざまな産業や地域での外国人労働者の増加予測も含めて、特別なルールを設定していたが、縮小に対処する方法は存在しなかったのである。そこで、2008年の秋に政府はロシアの労働市場における外国人労働者の数を制限するとあわてて宣言し、2006年12月22日付政府決議No.783「政府機関による外国人労働者採用の需要算定に関する規定について」に、2008年12月8日付政府決議No.916「政府機関による外国人労働者採用の需要算定に関する規定の変更」で成長状況の意味には“縮小”の選択まで入るという付記をつけることで対応した。
別の例としては、ある地方の労働市場での緊急状況がある。現在のロシア政府は過度に中央集権化傾向があり、地方自治体は労働市場に関しては何の決定権も持たない。厳しい産業停滞以降、地方労働市場の多くはほとんど崩壊しかかっていたが、当時そのような状況下でも、政府には地方財政に対する十分で迅速なサポートを提供する仕組みがなかった。そこでそういった仕組みが緊急に計画され、政府決議の中で「地方労働市場の緊張緩和策を目的とした、連邦予算から地方予算への補助金について」として宣言された。この決議には、労働市場問題に対する計画を練った地方当局の提案も含まれている。すなわち、評価と提案選択の余地、政府と地方自治体双方合意の原則、計画実行の結果についての定期的な報告システムである。437億ルーブル※1(ロシア中央銀行の公式両替レートによれば15億米ドル※2以上)という相当な額の基金がこの決議で採択された。実際にロシアの労働市場の危機に対して最初の対策が実行されたのは2008年の半ばであったが、いくつかの対策は2009年の初めに機能し始め、またいくつかは危機の最も厳しい時期が過ぎた2009年の半ば近くになってやっと機能し始めた。この修正の遅れは、現実と政府対応の連動性の弱さを如実に表したものであった。
ロシアでは労働市場の発展に対して、不利な選択肢に関する議論の不在も含めて、労働政策に関する議論の欠如や、労働と雇用のトラブルに対する政府の準備不足のせいで、管理体制は悪くなる一方である。政府は混乱の中、2008年11月10日に2009年度の失業者手当の最低額上限を850〜3,400ルーブルに設定した。さらに12月18日には上限を4,900ルーブルまで引き上げた新決議を発布した。
2008年に新しく14の重要な法律が発布されたものの、労働規範のシステムを革新的には変えるものではなく、今回の金融危機を受けて多少追記された程度にすぎなかった。実際にこのシステムはかなり厳格かつ複雑で、これまで質の高さと長期にわたって公平なシステムとして高水準の労働生産性を支えてきた。むしろ、ロシアにおいての主要な問題点は、これら新制度の実施状況にある。新しい規制は、現在のロシアの社会経済状況にとってあまりにもコスト負担が大きいため、ほんの一部しか実行されていないからである。例えば、企業は賃金に関する多くの規制に従えず、賃金の大部分が税金を免れるため現金で支払われるケースが多くなった。
2008年に発布された、新たな重要法令は以下のとおりである。
| 法 律 名 | ウェブサイト |
| 2008年12月25日付連邦法No.287-FZ ロシア連邦の雇用に関する連邦法の変更について(労働市場分野における連邦政府の政策決定の拡大) |
http://www.rg.ru/2008/12/30/ zanyatost-fz-dok.html |
| 2008年7月22日付連邦法No.146-FZ 労働年金に関するロシア連邦法の変更について |
http://www.rg.ru/2008/07/25/ trud-pensii-dok.html |
| 2008年8月15日付政府決議No.1393-p 2008〜2010年の労働市場政策 |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=47503&PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年12月31日付政府決議No.1089 地方労働市場における緊張を抑制する新たな方策施行のための連邦予算から地方予算への補助金 |
http://www.rostrud.info/download/ postanovlenia/postanovlenie%20 1089_311208.doc |
| 2008年12月8日付政府決議No.916 政府機関による外国人労働者採用の需要算定に関する規定の変更について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=49424 |
| 2008年11月20日付政府決議No.870 労働時間、追加有給休暇、及び過酷な労働条件下の労働者に対する賃上げ制限について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=49112 &PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年11月30日付政府決議No.1660-p 連邦独立共和国からの労働移住者とその家族の法的立場に関する協議会署名について(この協議会は移住者の外国における権利と機会を確立し、それに関連する保護を保障した重要な規定である) |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=48913 &PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年11月13日付政府決議No.1657-p 1997年1月17日付「成人学習及び成人教育の普及支援の同意」の変更に関する報告書の署名について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=48911 &PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年10月27日付政府決議No.1543-p 不法移住者取り締まり協力に関するロシア政府とベトナム社会主義共和国との協定の署名について (ベトナムからの不法移住者に対するロシア政府当局の活動を支える重要文書) |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=48599 &PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年8月25日付政府決議No.638 教育における外国との協力について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=47586 &PSC=1&PT=3&Page=1 |
| 2008年8月22日付政府決議No.630 労働移住者の権利における相互保護と労働に関するロシア政府とウズベキスタン共和国政府との協定批准について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=47550 |
| 2008年11月10日付政府決議No.842 2009年の失業手当の最低額と上限について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=48814 |
| 2008年12月8日付政府決議No.915 2009年の失業手当の最低額と上限について |
http://gov.consultant.ru/doc.asp?ID=49394 |
雇用と労働を規制する基本的な法律はいまだに機能している。その細目は以下のとおりである。
ロシア連邦の憲法は、労働法規制度にとっては原則を示す役割を果たしている。第37条の労働法規についての記述は以下のとおり。
「労働は自由であるべきであり、すべての人は自分の労働技術を自由に使い、活動の方法や職業を選ぶ権利がある。強制労働は禁止されるべきである。」
憲法によれば、人々は安全で衛生的な条件で働き、労働に対する報酬は差別されてはならず、連邦法で確立された最低賃金以上の額が保障される権利がある。失業に対する保護の権利も同様に憲法で保障されている。労働者はまた、連邦法によって認められたさまざまな解決手段を使った、個人的あるいは集団による労働争議の権利がある。これにはストライキ権も含まれている。上記に述べられた原則はロシア連邦の労働規約にも反映している。これは労働と雇用の規定にとっては侵すべからざる条項であり、採用と解雇の手順、労働契約、社会保障、賃金、労働時間、休暇、保証と報酬、労働規律、職業訓練、労働安全、労働争議の解決といった法令にも適用される。
もう1つの重要な法律は、ロシア連邦国民の雇用に関する法律である。とりわけ、就労に関する指導や訓練、職業的地位に関連する資格、雇用の促進活動の財源、職業訓練中の市民に支払われるべき奨学金のレベル、失業手当の条件や打ち切り、失業者への報酬などについての法律は重要である。
労働法典第63条によれば、労働契約を結ぶことが認められているのは16歳からである。ただし、基本的な総合教育を終了したかあるいは連邦法による総合教育機関を中退した場合は、15歳から労働契約を結ぶ資格があるとされる。ロシアには、無期か有期か、又は仕事範囲が明らかに定められているか否かを含めて、さまざまな労働契約の形態が存在する。ほとんどの労働者は無期雇用契約であるが、通常5年以内の有期契約を結ぶ者もいる。しかしながら有期契約労働者数は、減少傾向にある。有期労働契約は、仕事の危険性や条件を考慮した上で、労働関係が無期限では成り立たない場合に結ばれる。
労働契約の期間が明記されない場合、この契約は無期限で結ばれたと考えられる。有期労働契約の期間満了時に当事者双方が終了を要求せず労働者がその後も働き続けた場合、このような労働契約は無期限として結ばれたと考える。無期契約労働者に認めた権利と保証を回避するために、有期労働者として契約することは禁止されている。労働法典では有期労働契約の締結条件を特定している。
労働契約は書面で結ばれる。労働契約書は2部作成し、雇用者、労働者がそれぞれに署名する。1部は労働者側が、もう一部は雇用者側が保管する(労働法典第67条)。雇用は雇用者の辞令で公的に結ばれ、労働契約の締結として有効となる。この辞令の中身は結ばれた労働契約の条件と一致しなければならない。採用辞令は雇用が発行し、労働契約の締結日から3日以内に労働者に伝達して、書面で確認がされなければならない。雇用者は労働者の要求によりこの辞令の公式書類を提供しなければならない。
雇用者は労働者が従事する職務に適する技術や能力があるかを判断するため、労働契約に試用期間を定めることができる。試用期間に関する条件は、労働契約に定めなければならない。労働契約の中に試用期間に関する条件が規定されていない場合は、労働者が試用期間なしで採用されたことを意味している。特定のカテゴリーの労働者に対しては試用期間を設けることを禁止している。例えば、法の規制に沿って行われた競争の後に採用された者、妊婦、18歳未満の若年者、新卒者、選挙を必要とする有償の職場に選ばれた者、派遣社員などである。
組織の最高責任者とその補佐、会計部門責任者とその補佐、支店及び代表事務所の最高責任者などの場合を除き、試用期間は3カ月以内とされている。雇用者が試用期間中の労働者の仕事に満足しない場合、雇用者は労働者に解雇の3日以上前に書面で労働契約の終了を通知しなければならない。また、雇用者はこの通知の中で試用期間の結果が否定的であった理由を明記しなければならない。雇用者の決定に不満がある場合、労働者は法廷で争う権利がある。
労働法典において、雇用者による労働者の解雇が認められているのは次のとおりである。
雇用者は解雇の原因となった要因が取り除かれるまでの期間、労働者を解雇状態とする。いくつかの例外を除き、解雇期間の賃金は支払われない。
労働法典によれば労働契約の双方合意の場合を除き、労働契約の終了には次のような場合がある。
雇用者主導による労働者の解雇は、労働者が一時的に就労不能の場合や休暇中で職場を離れている場合は認められない。組織リストラの経営判断や、労働者との労働契約終了の必要性が具体化した場合は、雇用者はこの決断について書面で計画実行の2カ月前までに労働組合の代表者に通告しなければならない。もしリストラの経営判断が労働者の大量解雇へとつながる場合は、開始の3カ月前までに通告しなければならない。大量解雇の基準は、産業別あるいは地域別の協定に定められている。
労働組合員の解雇は、当該労働組合幹部の承認があれば可能である。専門家による解雇の正当性の証明には、証明委員会のメンバーに労働組合の代表を1人以上含めなければならない。組織の解散あるいは常勤労働者数の削減に伴う労働契約の取り消しに関しては、解雇の日から次の仕事が見つかるまで最長2カ月間、平均月給と同等の解雇手当が支払われる。例外として、労働者が解雇から2週間以内に雇用局に申請し、雇用局が新たな仕事を提供できない場合、雇用局は解雇の日から3カ月目まで解雇手当を保障する。
労働者が健康上の理由で職位、又は職務の遂行が困難となる場合、労働者が兵役、又はそれに代わる公共の任務の命令を受けた場合、労働者が以前就業した職場に復帰する場合、雇用者の転地に対して労働者が転勤を断った場合は、契約の破棄に対して2週間分の平均賃金の合計額が解雇手当として支給される。
現在のロシアの法律には、年少者や女性、障害者、危険で有害な条件下の労働者に関する特別な基準がある。例えば、労働法典では通常の労働時間を次のように短縮している。
すべての労働者の労働安全衛生を守るための規定もある。労働安全衛生は労働法典、1999年7月17日付労働安全衛生の原則に関する連邦法No.181-FZ、1993年7月22日付国民の健康保護に関する原則No.5487-Iで規定している。これらの条項の目的は、労働保護の必要条件と一致する条件下で働く労働者の権利の保障と権利そのものの保全である。また、労働保護の法律を尊重し、国の監督と管理、労働保護要求が侵害された場合の責任の所在を明確にすることにある。
ロシア連邦労働法典により、就業規則は労使協定で策定される(2001年12月30日付連邦法No.197-FZ)。この協定は連邦別、地域別、産業別の労使間で締結される。協定には以下の事項が含まれる。
当事者として関係する者の数により、二者協定あるいは三者協定が締結される。協定書の有効期限は3年以内とし、当事者間で定めなければならない。協定書は、協定を締結した雇用者連合に属するすべての雇用者に適用される。労働者は複数の労使協定の中から最も有利な条項が適用される。 団体契約、労働協約は雇用者の代表者が署名後7日以内に、登録のため情報をしかるべき労働関係機関に送らなければならない。
労使関係における団体活動と組織の規制については主に2つの条項ある。
14歳以上で労働活動に従事する者は、自己の利益を守るため自らの裁量で労働組合の結成、労働組合への参加、労働組合の脱退することができる。この権利はあらかじめ許可を得る必要もなく、自由に行使できる。
労働組合の法人としての法的効力は、ロシア連邦司法省(又はその地域機関)に登録した時点から有効となる。労働報酬制度、物質的な報酬の形態、賃金料率、労働基準は、労働組合との合意によって規定し、団体契約と協定書に明記しなければならない。労働組合は、国家機関、地方自治体、雇用者やその他の公的機関との話し合いに参加する権利を持つ。
労働争議については、労働法典、1995年11月の連邦法No.175-FZ「労働争議解決の規制に関する法令」、1999年5月1日付連邦法No.92-FZ「社会及び職業関係解決のためのロシア三者委員会に関する法令」の中で定められている。これらの法は政府を調停者として、労働組合と雇用者団体が平和的に交渉し解決するための協力関係を確立することを目的としている。主な内容は次のとおりである。
ロシアではさまざまなレベルにおいて、社会的パートナーシップ制度が存在する。連邦レベルでは全ロシア労働組合連合、全ロシア雇用者連合、ロシア連邦政府の代表者たちからなる、労使関係を規定する三者委員会が常設されている。三者委員会はロシア連邦の法規に則り、ロシア連邦全体の問題について取り組む。地域レベルでも三者委員会は形成され、ロシア連邦の法規及び地方自治体の代表が承認する委員会法に従って運営されている。また、産業レベルの委員会は、団体交渉に従事するために設立され、産業(産業間)協約の立案、締結する役割を担う。いくつかの産業においては、連邦レベル、自治体レベルの双方で三者委員会が設置されている。組織レベルでも委員会は設置され、団体交渉に従事し、団体協約の立案、締結を行う。ほとんどの労働争議は交渉段階で解決するが、それ以外は法廷に持ち込まれる。ロシア連邦には特別な労働裁判所が存在しないため、集団あるいは個人の労働争議は一般法廷で裁かれる。
組織の中で労働安全を徹底させる義務は雇用者に課せられている。雇用者は、労働者の労働災害や職業病に対する強制社会保険を保証しなければならない(労働法典)。この種の保険の保証については、1998年7月24日付連邦法125-FZ「労働災害や職業病に対する強制社会保険に関する法令」に規定されている。雇用者はロシア連邦の社会保険基金の地域支局に登録し、労働者に代わって定期的に保険料を支払わなければならない。保険料は事故や職業病の危険度によって賃金に対する比率が定められている。
雇用保険は、1991年4月19日付連邦法No.1032-1-FZ「ロシア連邦国民の雇用に関する法令」によって定められている。
http://www.inpravo.ru/data/base885/
text88v661i464.htm
2001年まで、雇用者は失業者が賃金の45〜80%の支払いが受けられるよう、賃金の1.5%を保険料として国家雇用基金に支払わなければならなかった。国家雇用基金が廃止され統一社会税が導入されてから、失業者は保険制度を利用せず国家予算から手当が支給されている。
ロシア連邦には、健康保険を規定する主要な法律が6つある。
ロシアの健康保険制度には強制保険と任意保険の2種類がある。強制健康保険は労働者を含めて国内のほとんどすべての国民に適用される。強制健康保険は、国が保障した基本的な医療サービスを提供する。医療サービスの費用を賄う強制医療保険の特別連邦基金があり、雇用者と国家予算がこの基金を主に支えている。労働者が病気で仕事を中断し病院へ搬送された場合、その労働者は適切な費用を負担するために強制健康保険を使うことができる。
もう1つは個人と民間保険会社との契約による任意健康保険である。ただし、ほとんどの国民にとって経済的負担となるため、ごくわずかしかこの種の保険を利用していない。ごくまれに財務的に余力のある企業が労働者のために法人契約をして任意健康保険を提供している場合もある。
現在ロシアの年金制度には、以下の3種類の基本法がある。
現在の労働者の年金納付額と将来の年金受給額を連動させるため、現在、年金制度を保険基金に移行中である。この新しいシステムの下で、雇用者は労働者に代わって年金を納付する責任を負うことになる。納付した年金はロシア連邦年金基金に積み立てられ、退職者に支給される。現在、基金は赤字で国家予算から補填されている。
強制年金制度は、すべての労働者が選択できる任意年金プランで補完することができる。その場合、個人は自己の判断に基づき民間会社と年金に関する契約を結ぶことになる。現時点では、ほんの一部の労働者が任意年金制度を利用しているにすぎない。
2007年に年金に関する以下の4つの法律が発布された。
これらの法律はロシアの向こう3年間の労働年金の増加と経済成長を予測し作成された。しかし、潜在的に財政制度の不均衡が存在するため、高齢者の割合が徐々に増加している状況では年金の増額は難しい課題である。
職業能力開発については、1992年7月10日付「ロシア連邦教育法」No.3266-1に定められている。ロシアの職業能力開発システムは現在教育改革の一部として審議中である。例えば、ロシア議会は、高等教育について大学生(4年制)と大学院生(2年制)の2つの教育レベルに分けるなど、ヨーロッパ型の教育制度を採択した。高等教育は政府の関心を集める重要課題であり、資金投入と分析が行われた。この制度は2009年9月1日に導入される。基本となる法規は1996年8月22日付連邦法No.125-FZ「高等教育及び職業教育について」である。同法では、国家政策、教育機関の自主性、教育制度(構造、基準、レベル)、制度の種類、設立及び組織の手続き、入学条件及び予備教育、施設、学生、大学院生、アシスタント、職員、財政システム、職員の賃金及び国際活動などを定めている。
一方、高等教育ほど関心は向けられなかったが、初級、上級職業教育にもいくつかの対策を講じた。政府は、1997年7月21日付政令No.908「初級職業教育制度改革の原則について」において、現行制度が抱える問題点を挙げ、構造、内容、財務などについての改革を打ち出した。ロシアの職業訓練制度には次のようなものがある。
訓練を修了し教育機関を卒業した学生は、特定の職業活動を行うことが認められる免許を取得できる。これは、免許を発行する機関が実施する試験を通過してから授与される。
現在、ロシアには2つのタイプの職業紹介所がある。1つは、正式に失業中の労働者に対して仕事を紹介する国の雇用センターであり、もう1つは、市場環境の中で運営している民間職業紹介会社である。国の雇用センターの活動は、1991年4月19日付連邦法「国民の雇用に関して」によって規制されている。民間の職業紹介会社は営利を目的として、市場で別の役割を果たしている。
外国人を誘致し就労させるためには、以下の手続きが必要である。
企業は申請のために、以下のような書類を提出しなければならない。
労働許可の有効期間は1年であり、期限が切れた場合は、新たに外国人労働者を雇用するための許可と労働許可を取らなければならない。
招聘された外国人労働者の地位と条件を規制する重要な法律は以下のとおりである。
外国人労働者の招聘、許可、職業紹介、登録、契約満了に関しては、法的手続きが定められている。また、外国人の労働活動についてはいくつかの制限がある。例えば、小売業のある特定の役職に外国人労働者が就くことは禁じられている。一方、2006年に新しい規則を含む新出入国政策が発布され、2007年1月15日から施行された。それは上述の2006年7月18日付連邦法No.109-FZ「のロシア連邦における外国人と市民権のない者の入国責任について」と、2002年7月25日付連邦法No.115-FZ「外国人の法的立場に関する法律」に対する修正となっている。この新法と一連の法改正(2007年1月6日施行の2006年7月18日付No.110-FZ、2006年7月18日付No.121-FZ、2006年12月29日付No258-FZ)はロシアにおける移民政策の自由化をもたらした。これにより外国人がロシアで一時滞在許可及び労働許可を取得するのが容易になった。招聘された外国人が就労するには次の手続きが必要である。
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