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米国

作成年月日:2009年11月2日

職業能力基準、職業能力評価制度

4.1 職業能力基準

 職業能力を評価する基準には、職業資格や認定資格、職場での認定証明などがある。1990年代は技能検定が流行ったが、今はそれほど主流でない。また、徒弟訓練制度(Apprenticeship Program)を利用した技能検定方法もある。一般に、企業は技能レベルの判断に学歴や職業資格、認定資格、経験の有無等を用いている。
 職業資格(License)は法律上定められていて、ある職業に必要な知識と能力を持っていることを示す公的な証明である。米国では、職業資格の取得条件や規定が州によって異なる場合が多い。認定資格(Certification)は専門的な知識や経験、技能を持っていることを検定試験に合格後認める制度である。徒弟訓練制度は技術教育に加え、熟練技術者の指導の下で実地訓練を経験する教育制度である。学位や修了証明も多くの職種で認定資格として認められている。技能を身につけるのに役立つのは、実地訓練や職業体験(Internship)、ボランティア、アルバイトなどがある。例えば、軍教育や兵役の経験があれば、軍への正式入隊や民間企業への就職に有利な取り扱いを受けることができる。
 認定資格を得ることは、自らの知識や技術を磨く上で、また自分の市場価値を高め収入の増加をもたらすという意味でも重要な手段である。米国には、職業資格や認定資格が合わせて数百種類もあるが、自らのキャリアに必要な資格などを持っていると、一生役に立つものである。しかし、持っているからといって職が見つかる保証はない。職業資格や認定資格保持者は企業にとっては魅力的である。企業は社員に資格取得費用を補助したり、資格保持者が資格を更新するのに必要な教育の費用を負担したりしているが、それは資格保持者を会社に引き止めておく効果と将来の見返りを期待しているからである。資格を取得するとその分野の専門家と見なされ、信用を得るので、コンサルティングなどの仕事を頼まれる可能性が出てくる。職業資格や認定資格を取得することが社内昇進の条件となっている場合もある。認定資格にもよるが、職種によっては1,000ドル※1から5,000ドルの価値があると言われており、転職するときにはその分が給与に上乗せされるが、既に雇用されている場合は、取得しても給与に反映されるかどうか分からない。
 ITの仕事に就く者にとって、大学での4年間の学問は実用的でないと思うかもしれないが、企業はIT技術の認定資格だけを持っている人よりも、大学でビジネス知識などを身に付けたオールラウンドな人材を求めている。したがって、コミュニティカレッジ(2年間の短期大学)で認定資格を取得し、専門職を目指す人たちもいる。認定資格を持っていると仕事は見つけやすいが、長く雇用され続けるためには全般的な基礎学問も必要である。労働省の統計調査によれば、2016年まではデータ通信・ネットワーク技術が最も成長が高い職種になっている。IT職を希望する人たちには朗報であるが、仕事を得るには上手く対応する必要がある。
 今の経済不況状態でも、適切な資格を持った人材が不足しているため、求人が埋まらない業種も多くある。4年制大学に行けない学生にとっては、コミュニティカレッジの専門技術と基礎的な学問を教える2年制プログラムは選択肢の1つである。実際、経済不況が始まった2007年12月以降、コミュニティカレッジの通信ネットワークコースへの入学者が15%も増えた。

※1
1米ドル=90.35円(2009年11月2日現在)

4.1.1 制度概要

 認定資格は、ある業務に必要な教育、実務経験、知識や能力などについて、ある一定基準を満たすかそれ以上であることを社会的に認める制度であり、合格者には、資格認定機関から認定証が授与される。資格認定機関は公的な監査を受けるが、その監査内容には検定試験内容、試験の採点方法、機関の運営状況、運営規定の公正さなどがある。公的な監査を行うのは、全米資格認定評価機関(National Organization for Competency Assurance:NOCA)である。認定資格は民間機関が個人を対象に専門知識や技術を保持していることを自主的に認定するものである。職業資格や学位とは別のものであり、それぞれは異なった検定や評価方法があるため、用語は明確に区別されなければならない。
 職業資格は法律に基づいて公の機関が、ある職業を監督するために交付するもので、その職業に就くためには、必ず必要な資格である。つまり、職業資格は公的な機関が公衆衛生、安全、社会福祉に従事する個人を対象に、適正な職業能力を保持していることを法的に認定するものである。職業資格には法的効力があり、職業資格がなければその職業に就くことは違法となる。医療関係の職業資格は米国では一般的に連邦政府でなく州政府が交付する。州政府が交付するものには、州認定資格(認定資格とは別)と登録型の2つがある。職業資格ほど厳しく規定されてはいないが、それぞれの定義は州によって異なっている。
 認定資格は職業資格と異なって主に民間機関が交付している。法律上の規制がなく任意であるため、その職業に就くために必須のものではない。ただし、公に使ったり、ロゴを使用したりする場合は認定資格者でなくてはならない。それに対し、職業資格は法律上その職に従事する場合には職業資格証を取得しておくことが義務付けられている。つまり、職業資格を持たない者はその職業に就けない。
 適格認定(Accreditation)は個人でなく、専門学校、大学など機関や教育プログラムなどを評価認定するもので、民間が行うものである。適格認定方法は機関の自己評価報告や専門家による定期的な実地検査や第三者委員会などによる定期的な評価によって行われる。

表4‐1 資格の交付元、交付先
資格等の種類
(Credential)
対象 交付・発行元 交付・発行元の位置付け
職業資格・州の資格
(Licensure/State Certification)
個人 政府
(Government Agency)
法律で規定
(Involuntary/Required)
認定資格
(Certification)
個人 協会
(Association/
Agency)
任意
(Voluntary)
適格認定
(Accreditation)
機関、 プログラム 協会
(Association/
Agency)
任意
(Voluntary)

 職業資格の取得条件は州や連邦政府の監督省庁によって違いがあり、交付元に確認する必要がある。中には、受験や実務経験、単位の取得を条件にしているのもあれば、全くこれらを条件にしていないものもある。職業資格交付に関しては、連邦政府の監督省庁や州政府に職業資格交付部門が設置されていたり、政府の特別な専門機関が直接の窓口になっていたりしている。例えば、医師や看護師は一般の職業資格交付委員会でなく、各州の医師職業資格委員会が交付する場合もある。職業資格の取得に、「所定の教育を修了すること」という条件があれば、受験申請時に修了証明書を提出する必要がある。職業資格の取得を目指すのに専門学校に通う方法もある。試験対策や受験申請への助言をしてくれるため、申請手続きが複雑で面倒だという人には、かかる時間と授業料を考えると、賢い選択であるといえる。ただし、学校を選ぶには、その学校が職業資格委員会からの認定を受けていることを確認することが重要である。職業資格は永久に効力があるのでなく、ほとんどは更新のために継続教育が課せられている。したがって、職業資格取得者は更新条件を理解し、更新期日までに所定の教育を終えておく必要がある。職業資格によっては、実務に携わっていることの証明が必要な場合もある。
 他に、職業能力を評価する基準として、徒弟訓練プログラムがある。実地訓練と座学を組み合わせ、実務と理論の両面を学べるプログラムで、主に企業経営者協会や労働者団体等が主催する熟練を要する職種の教育プログラムである。

4.1.2 整備状況

 1990年代に官民が定めた技能基準(Skill Standards)と呼ばれる職業能力の評価基準がある。職業資格や認定資格と違って一般的ではないが、今でも製造業などの業界で引き続き使われている。以下、製造業界での技能の向上を促進している金属加工技術研究所(National Institute for Metalworking Skills:NIMS)について記述する。
 NIMSの技能基準は金属加工の仕事内容とその仕事を行うのに必要な基礎知識や技能などを定めており、管理者や労働者、教育教官によって2つの観点から基準書が作成されている。1つ目の観点は、業界が求める労働者の知識と技能、2つ目は業界の技能教育プログラムの体系についてである。
 NIMSは、米国規格協会(American National Standards Institute:ANSI)から技能基準制定機関の認定を受けており、この協会が定める技能基準は明文化され業界から有効性が認められている。産業界はこのような技能基準制定へ総額750万ドルを拠出している。NIMS技能基準は個人の技能を認定するための基準になっていて、1つの職種の中にいろいろな技能があり、それぞれに複数の認定資格が存在する。筆記と実技試験に合格すると、認定資格が与えられる。NIMS認定のNIMS技能基準をカリキュラムに盛り込んだ教育プログラムの数は136ある。NIMSは職種に必要な知識や技能を公表しているので、労働者や訓練生は何を習得すべきかが分かる。学校は企業が求める技能を教育できるし、労働者は将来のキャリアパスを描け、企業は人材の採用や育成に明確な方針を打ち出すことができる。
 NIMSは労働省の雇用訓練局傘下のOATELS (Office of Apprenticeship Training, Employment and Labor Services)と共同で、新しい徒弟訓練制度(Apprenticeship Program)を開発中である。検定内容は部品の製造、組み立て、機械操作や特殊部品の製造プログラム作成などがある。NIMSの認定資格は職種技能に応じて授与される。例えば、機械加工レベル1には11種、NIMSすべてで50種の認定資格がある。従って、企業は必要な認定資格の保持者を募集でき、教育機関は企業が求める技能(認定資格)に沿った教育プログラムを導入できる。
 企業は人事管理に認定資格を取り入れることで、労働者の技能を推測して査定したり、また採用したりすることを避けることができている。求人にはある特定の技能や認定資格を持った者を求むと募集することができる。例えばノースカロライナ州のある企業ではレベル1機械加工プログラムの2つの認定資格保持を採用の条件としている。また、ミズリー州の企業は、NIMS認定資格保有者の給与引き上げなどを行っている。教育機関もNIMS認定資格取得を奨励しており、ペンシルベニア州は機械科の学生すべてに受験を、また、米国陸軍の機械科訓練生には取得を課している。ロバートバイヤード教育学校では、機械工学の準学士取得にNIMS認定資格を条件としている。また、高校生や社会人へ認定資格を取得した場合に大学の単位を授与する大学が増えている。
 NIMS適格認定の目的は、技能教育プログラムの促進及び労働者のキャリア開発の機会提供であり、そのことがひいては国際競争力の維持強化につながると考えられている。企業や教育機関、業界がNIMSの教育プログラムを実施するには事前に適格認定を受ける必要がある。適格認定を受ければ、企業内教育プログラム(労働者や新入社員対象)や学校内教育プログラム(公・私立問わず高校や大学の学生対象)及び業界内教育プログラム(関係協会や労働組合・団体、加盟企業対象)などとして実施できる。

教育プログラムの適格認定を得るには以下の3つの手続きが必要である。

  1. NIMSへの登録
  2. 自己査定(Self-Study)
     教育事務局の役割、教育方法、受け入れ可能人数、カリキュラム内容、装置・工具類、アドバイザーによる指導内容、安全管理などについて、自己査定を行う。
  3. オンサイト審査(On-Site Audit)
     業界と教育機関から選ばれた3人が自己査定報告書などを審査する。事務職員、指導教官、履修者・労働者、アドバイザーなどへのインタビューと教育機器の設備や安全性について実地審査をする。

 指導教官はNIMS認定資格を取得していること、受講者は受講条件を満たしていることなどがプログラム認定の条件である。認定の有効期間は5年間で、再審査の上更新が可能である。NIMS適格認定プログラムは全米で認知されているため、州政府や産業界、教育機関にとって認定を得ることは、大きな意義がある。
 金属加工業界のNIMS徒弟訓練制度は第三者による客観的な検定制度である。NIMS認定の金属加工者、工具製作者、コンピュータ精密機械プログラマー(CNC)、ジャーニーワーカー(Journey Worker)※2になるためには、職場での徒弟訓練による実地訓練に加えNIMSの検定試験に合格する必要がある。企業側は掛けた時間でなく、取得した技能を見ることによって教育効果を管理でき、個人の自主性と到達度に報奨を出すことができるようになっている。また、企業は自社のニーズに応じた教育内容を取り入れることもできる。
 労働省は、徒弟訓練制度にNIMSガイドラインを設定しており、機械加工技術プログラムには28の必須教育科目が決められている。加工技術認定資格を取得するにはNIMS認定資格検定の12認定資格を取得する必要がある。その他の職種も同様に必須科目を中心とした構成になっている。企業によっては業務に必要な能力の検定を付け加えることも認められている。NIMS加盟機関には製造技術協会、米国機械工具流通協会、全米工具協会、精密機械工業会、精密機器協会、プラスチック工業協会、プラスチック技術者協会、工具製作工業会などがある。NIMS徒弟訓練プログラムには、これらの加盟機関から750万ドルが、また労働省から190万ドルが拠出されている。

※2
ジャーニーワーカーとは、技術を持って会社を渡り歩く専門家をいう。

4.1.3 利用状況

 認定資格を実際に活用している人数についてのデータは見当たらないが、例えば、NIMS認定資格に関しては、6,000社を超える関係企業がNIMSに加盟し、1,000社以上が適格認定を受け認定資格授与に関わっている。NIMS認定資格取得者は2006年12月現在で、1万3,383人である。また、162の教育機関がプログラムを運営しており、86の教育機関が適格認定の最終段階にある。現在、NIMSオンサイト審査資格を持つ審査官は105名いる。
 NIMSが開発している新しい徒弟訓練制度について、300社の企業が協議や教育プログラムの検討に参画している。認定資格者が何人いるか発表しているところもある。例えばマイクロソフトはMCP認定資格(Microsoft Certified Professionals)を241万2,679人に発行したとHP上で発表している。また、シスコ認定資格(ネットワーク技術資格)は40万人いるといわれているが、この人数は世界中の資格者数であるため、米国人の資格保持者の人数ではない。他に、CompTIAという認定資格がある。CompTIAは、有名なIT認定資格発行団体(メンバー企業は102カ国、2万社)で、業界最大規模の認定資格試験を実施している。この認定資格はマイクロソフトやシスコのようなIT企業の製品の技術認定資格ではなく、1993年の導入以降、世界中で認められ百万人を超える認定資格者を出している。

4.2 職業能力評価・資格制度及び実施状況

 職業資格や認定資格の種類によって、検定方法や評価制度は異なっている。以下、コンピュータ業界で最も知られている認定資格を紹介する。
 マイクロソフト社は自社ソフトの技術認定資格を幅広く提供している会社で、そのほとんどの認定資格はオンラインで検定される。最も世の中で認知されているのはMCSE(Microsoft Certified System Engineer)である。この認定資格は制度設計や分析を目指す人のための最上位認定資格で、数年の実務経験が求められ、7科目の合格が条件である。その他のマイクロソフト認定資格を人気順に述べる。

  1. Microsoft Certified Professional(MCP)
     初級レベルの認定資格(受験科目は1科目)で、MCSAや最上位レベルのMCSEへのステップと見なされている。
  2. Microsoft Certified Systems Administrator(MCSA)
     IT専門職としての中級レベルの認定資格(受験科目は4科目)で、マイクロソフトサーバーやネットワークを管理できる技能を証明するものである。
  3. Microsoft Certified Solutions Developer(MCSD)
     プログラマーやソフト開発者の上級レベルの認定資格(受験科目は5科目)で、マイクロソフトの開発基盤やC言語、Visual Studioや.NETを習熟していることが必要である。
  4. Microsoft Certified Database Administration(MCDBA)
     データベースやSQLサーバーに関する認定資格(受験科目は4科目、うち、3科目は必須で1科目は選択)であり、オラクル社、IMBのDB2など他社製のデータベースにも実務経験があることが望ましい。データーベースアドミニストレータは特殊な分野であるため、ネットワーク、サーバー及びソフト開発には携わることはない。

 米国では他に大きなコンピュータ製造企業のシスコ社(Cisco)の発行する技術認定資格がある。この資格所持者への求人は高い。以下、シスコ社の認定資格について記す。

  1. Cisco Certified Internetwork Expert(CCIE)
     最上位の認定資格であり、Storage Networking、Voice、Service provider、Security、Routing and Switchingの5つ技術範囲を含んでいる。Storage Networkingは最近追加された技術である。
  2. Cisco Certified Voice Professional(CCVP)
     IP Telephony/VOIP Networks and applicationsに関する上級レベルの認定資格であり、給与が最も高い資格の1つである。
  3. Cisco Certified Network Professional(CCNP)
     端末数が100-500程度の中規模ネットワーク構築に関する認定資格であり、給与が最も高い資格の1つである。

 他にオラクル社(Oracle)の認定資格がある。オラクル大学(Oracle University)と呼ばれる教育機関を備えている。Oracle Database Administrator Certificationはオラクル社のデータベース管理の資格であり、他に次のレベルのOracle Database 11g Administrator certificationやOracle Certified Associate(受験科目は2科目)、Oracle Certified Professional(OCA取得が条件)、Coracle Certified Master(OCP取得と他に2科目修了及び実施プログラム終了が条件)などがある。

 ネットワークのセキュリティ技術者への求人数は最近急激に増えてきており、高給を取れる職種の一つでもある。Certified Information Systems Security Professional(CISSP)は、ゴールドスタンダードと呼ばれるこの技術分野の代表的な認定資格である。国際情報セキュリティ資格団体(International Information Systems Security Certification Consortium:ISC2)が運営しており、国防総省や国家安全保障局も認めている認定資格である。この認定資格を受験するにはセキュリティ分野での最低5年間の勤務経験が必要で、情報セキュリティの学士か修士を持っている場合、又はISC以外の機関の資格を持っている場合には、1年分免除され4年間の実務経験が必要である。職歴証明、他のCISSP認定資格保持者の保証人及び無犯罪証明も必要である。筆記試験は6時間で250問に対して700点以上が合格ラインである。また、他にセキュリティに関連して、次の3つの専門認定資格がある。

  • Information Systems Security Architecture(ISSAP)
  • Information Systems Security Engineering Professional(ISSEP)
  • Information Systems Security Management Professional(ISSMP)

 他にIT関連の専門職としては、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute:PMI)が交付するProject Management Professional(PMP)という認定資格がある。これはプロジェクトを管理する能力を示す認定資格で、4時間の検定試験がある。この資格を取得するには、35時間のプロジェクト管理教育を履修することが必須であり、大学卒であれば直近8年のうち最低3年間の実務経験で、うち4,500時間の直接管理した経歴が、大学卒でなければ最低5年間、うち7,500時間の直接管理した経歴が必要である。
 以下、ZDNET’ Tech Public Organizationが調査した米国での技術認定資格者の2009年平均給与別リストである。

表4‐2 各技術認定資格者の平均給与   (単位:ドル)
順位 技術認定資格 年間給与平均
1 Project Management Professional(PMP) 101,695
2 Certified Associate in Project Management(CAPM) 101,103
3 Information Technology Infrastructure Library(ITIL) 95,415
4 Certified Information Systems Security Professional(CISSP) 94,018
5 Cisco CCIE Routing and Switching certification 93,500
6 Cisco Certified Voice Professional(CCVP) 88,824
7 ITILv3(ITIL Mater) 86,600
8 Microsoft Certified Solution Developer(MCSD) 84,522
9 Cisco Certified Network Professional(CCNP) 84,161
10 Red Hat Certified Engineer(RGCE) 83,692
11 Microsoft Certified IT Professional Enterprise Support(MCIPT) 82,941
12 Cisco Certified Security Professional(CCSP) 80,000
13 Microsoft Certified Application Developer(MCAD) 79,444
14 Microsoft Certified IT Professional Database(MCITP) 77,000
15 Microsoft Certified Database Administrator(MCDBA) 76,960

4.2.1 制度概要

 職業能力を測るため、適性モデル(Competency models)と呼ばれる評価基準がある。今日、労働市場は買い手市場であるため、企業の多くは自社に特有の業務に必要な知識、技能、能力、その他の要件を定義して、適性モデルを作成している。労働省はこのような適性モデルに注目し、あらゆるデータベースからサンプルを集めている。
 適性とは、基本業務をこなすために知識、技能、才能を駆使する資質である。それらを等級別に定めて、技能基準として採用している企業が多い。適性モデルはある特定の仕事に役立つ能力をまとめたもので、企業の人事部門にとって、採用や教育を効果的に行うために重要な情報である。特定の職業についてのものもあれば、職種についてのものもあり、業界全体についてのものもありうる。適性モデルはいろいろな形で表される。一般的に以下のような要素を持っている。

  1. 「能力」の定義
    例えば、「チームワーク」については、次のように定義されている。
    • 建設的な人間関係を作れる。
    • 仲間への尊敬、親切、気配りができる。
    • 役職の上下、経歴、性別、人種、民族などに関係なく一緒に仕事ができる。
    • 説得や時には妥協するなどして、異なった意見を解決に導く姿勢がある。
    • グループの決断に対して協力的である。
    • グループの目標達成に向けて仲間を引っ張っていくことができる。

  2. 「能力」に関わる行動(上述同様「チームワーク」について)
    • 同僚との仕事のやり方に違いがあっても上手く調整できる。
    • チームで仕事を進める上で仲間の長所を上手く活用できる。
    • 問題を予想でき、率直に又は上手に指摘できる。
    • 仲間が意見や助言を出せるような雰囲気作りができる。
    • グループの目標達成に自らの献身的な努力を示すことができる。

  3. ピラミッド構造図
     適性モデルには、職務の熟練レベルに応じて必要な技術や技能が記されているものもある。それぞれの具体的な適性項目はピラミッド型にブロックを積み上げる形で構成され、全部で9層の適性項目があり、それぞれの層に、当てはまる能力がそれぞれある。層は階層になっており、一番下には多くの産業や職種があてはまる。上に上がるにつれて、産業や職種が限定されてくる。9つの層はその業界、職種で必須の知識と技能、才能により3ブロックに分けることができる。

    1. 基礎適性
       まず、基礎適性には3つの項目がある。この基礎適性は学校や実社会でうまくやれるかの適性であり、この能力が職場での実務能力と相関があり、新しい技術を習得するのに必須であると企業側は認識している。これら基礎適性は、仕事に取り掛かる準備能力(Work Readiness Competencies)と呼ばれることが多い。

      【1層目:自己能力開発(Personal Effectiveness)】
       自己能力開発はソフトスキルとも呼ばれ、企業にとっても重要な判断要素である。家庭や地域さらに社会で生活する上で、基本的な能力である。この能力は、一般に家庭や地域で培われ、学校や職場で磨かれるものである。次のようなものを含んでいる。
      対人関係能力(Interpersonal Skills)、誠実さ(Integrity)、専門家意識(Professionalism)、率先力(Initiative)、信頼感(Dependability & Reliability)、向学心(Willingness to Learn)

      【2層目:学習の適性(Academic Competencies)】
       思考能力や思考方法同様、学校などで身につける能力であり、仕事をする上でどの業界でも共通する基本能力である。読解力、文章力、数学、科学・技術、対話力(聞く、話す)、批判的と分析的思考、コンピュータの基礎的な知識などがある。

      【3層目:職場での適性】
       チームワーク、適用力・柔軟対応力、顧客重視、計画力・取りまとめる力、創造的思考、問題解決力と意思決定力、技術理解力、業務専用コンピュータソフトの操作、スケジュール及び調整力、調査力、審査・記録力、ビジネスの基礎知識などがある。

    2. 産業界への適性(Industry Related)
       他の職種へ応用が利く技能があれば、業界内での転職が容易になる。以下の4層と5層の適性は一つの職種技術にこだわって狭いキャリアを進むのでなく、むしろ他でも応用が利く技能開発を目指す人たちに役立つものである。
       
      【4層目:業界で必要な技能適性(Industry-Wide Technical Competencies)】
       産業界では、適性モデルを開発中で具体的な適性は未定義である。業界内での必要な技能適性を定義する必要がある。例えば、最近の例では、最先端製造業界が適性モデルの作成を始めた。産業界に共通の技能適性には次のものが含まれる。
      製造、保全管理、据付工事と修理、製造工程の開発と設計、供給管理(Supply Chain Management)、品質管理と品質改善、健康と安全管理

      【5層目:業界で必要な特殊な技能適性(Industry-Specific Technical Competencies)】
       1つの業界の中の一部門(例えば、最先端製造業界の化学工業部門)に属する全職種で必要な知識、技能、才能そのほかの適性能力を示している。これらは、まだ開発中で定義が確定されていないが、それぞれの業界で独自の定義が必要になっている。

    3. 職種への適性(Occupation Related)
       以下、6〜8層目は職種への適性である。職場で必要な能力を定めたり、訓練カリキュラムを開発したり、認定資格を取得するための教育を行ったりするのに「職種への適性」が役立っている。
       
      【6層目:職種で必要な知識(Occupation-Specific Knowledge)】
       職種にはその職種に特化した知識が必要である。労働省職種情報ネットワーク(Occupational Information Network: O*NET)では、仕事に必要な知識を公開しているが、それらは「職種ごとに必要な知識」を定義する際に役立てられている。また、コミュニティカレッジなどの教育機関でも、さまざまな職種に必要な知識についての情報を入手することができる。
       
       O*NETは職種に必要な条件や働く人の資質に関するデータベースで、職種ごとにどのような知識や技能が必要か、典型的な職場環境などを想定して、記述されている。これらの情報は産業界、教育者、求職者、人材開発専門家だけでなく、公的な労働力投資制度での求職支援などに活用されている。O*NET制度の趣旨は、経済の活性化と人材の開発、地域経済発展に役立つ技能教育への支援、キャリア指導や相談の実施支援である。O*NETの公開情報は、O*NETデータベース、O*NETオンライン、O*NETキャリア開発支援からなっており、オンラインや官民のさまざまなキャリア及び労働市場情報制度などで入手できる。例えば、事務管理及び企業管理職、生化学、建設業、化学、秘書職、コミュニケーション、メディア、コンピュータ・エレクトロニクス、接客業、設計デザイン、経済・会計、教育・訓練、技術工学、国語(英語)、芸術、食品、外国語、地理、歴史・考古学、法律・政府、数学、工学、薬品・歯科、人材開発・人事管理、哲学・神学、物理、製造・工程管理、心理学、公共安全、販売・マーケティング、社会学・文化人類学、通信、心理療法・カウンセリング、運輸などの情報がある。
       
      【7層目:職種で必要な技能適性(Occupation-Specific Technical Competencies)】
       どの職種にもその仕事に特有な技能適性がある。職種で必要な技能適性については、コミュニティカレッジなどで入手できる職種の知識を基にして、企業に合わせて定義づけることができる。
       
      【8層目:職種への限定された条件(Occupation-Specific Requirements)】
       この層は認定資格や職業資格、学位、教育訓練の修了条件や身体条件を示しており、多くはコミュニティカレッジなどでそれらの情報を入手できる。
       
      【9層目:職場管理適性(Management Competencies)】
       最後のこの層は以下のような業種の管理職に必要な適性を示している。
       部下管理、通達、指示、ネットワーキング、監視、起業家精神、支援、動機付け、指導、戦略的企画立案と実行、予算策定と評価、役割や目標の明確化、チーム内の仲裁や協力、組織の方針作成、人材管理などがある。
       
       企業は職場での適性(第3層)を優秀な人材の採用判断に活用している。また、人材紹介会社(Workforce professionals)も企業が求める技能を詳しく知るために使い、教育者は適性に沿う教育を行うために活用している。また、求職者や学生は将来のキャリアに必要な技能を知ることにもなる。自分の進路に必要な要件として、実地訓練の経験、職業資格・認定資格の取得、職人研修や学位などの中から自分に合ったものを選択できる。このような適性モデルは職務を向上させるのに必要な能力、昇進や転勤で新たな職務に就くために必要な能力は何かを教えてくれるし、自分の技能との比較で足りない能力を知ることができる。その足りない能力を埋めるために、自己能力開発計画(Individual training and development plans:IDP)を立てることが大切である。
       適性モデル作成の一般的な方法は、官・民の資料から適性モデルに使えそうな候補のリストアップ、若しくはフォーカスグループやインタビューを通して候補を絞る。考慮すべき点は以下のとおりである。
      • 適性モデルの適用範囲
      • 調査手段(フォーカスグループ、インタビュー等)
      • 利用目的の明確化
      • 職務経験が長い現場係長クラス(Supervisors)の協力
      • フォーカスグループや該当部門の有能な社員へのヒヤリング

       他に適性モデル作成の方法は、職場での事故などを想定してそれにどう反応し、どのように対応するかをインタビューする方法である。職場での重大な事故への対応は業務上最も重要なことである。また、階級(現場係長、中間管理職、上級管理職)ごとの適性に応じた「各職務行動モデル(Behavioral Statement)」も作成されている。
       適性モデル制度は次の4つの項目で構成されている。
      1. 職場の目標設定と達成査定(Identification/assessment of desired results)
        この目標を設定するには、組織が目指す目標をしっかりと認識する必要がある。他に、組織の効率指標をデータで表すことは、達成の査定に有益である。
      2. 適性の明確化(Competency identification)
        業績結果に最も影響を与える適性を明確にする。
      3. 労働者の適性査定(Employee competency assessment)
        適性モデルと労働者の業務能力との差を知る。
      4. 技能育成計画(Employee development strategies and resources)
        適性モデルと比較して足りない能力・技能を補う教育プログラムや育成方法を計画する。

       以上4つの要素は企業の投資効率の最大化、資材管理の効率化、業績の向上に役立つものだが、結果が良くなければ、作成した適性モデルを見直す必要がある。最後に、人材育成を最優先にしなければ、組織の目標は達成されず労働者は不満に思い、適性モデル作成への努力は無駄になる。したがって、適性モデルを上手く活用するには、上記4つの項目を計画し、適切に導入することである。

4.2.1 制度概要

 2008年以降、グリーン(環境分野)関連に従事するための認定資格が増えている。この分野は社会での重要性が増しており、その中で人気が高まっている認定資格を以下に紹介する。

  1. Leadership in Energy and Environmental Design(LEED-AP)
     ビルの省エネ対策に関する認定資格である。連邦政府の所有ビルの75%や多くの民間所有のビルは、今後さらなる省エネ対策が施されることになるといわれている。この関係の仕事に従事する人には価値のある認定資格である。

  2. Professional Engineer(PE)
     原子力、化石燃料、インフラエネルギー(風力など)に加え、代替エネルギーや電力などの多くのプロジェクトでは電気、地質、機械、土木、環境、採掘などの専門技術者が求められている。これらの仕事はベビーブーム世代(1946〜59年代生まれ)の専門技術者が担ってきたが、昨今定年退職してきているために不足する職業である。専門工学士(PE)の職業資格を持っていると将来のキャリアとして有利である。

  3. Certified Construction Manager(CCM)
     建築管理は新しい分野ではないが、新技術を使った設計が開発され普及してきている。新しいビルは3DのBIM(3D Building Information Management Systems:3次元建築情報管理制度)を使ってデザインされているため、建築管理者はデジタルイメージと現実の差が理解できなくてはならない。

  4. Certified Professional Estimator(CPE)
     建築コスト査定士資格で、建築にかかる資材、人件費などを詳細に見積もる仕事である。省エネ、資材調達、健康管理などの分野で人材が不足している。この資格を取得するには、建築設計や建築技術者としての実務経験が求められる。

  5. Certified Professional Environmental Auditor(CPEA)
     CPEAは企業が環境規制や条例などを遵守しているかを監査する。環境問題への対策や保護に関心が高まってきているので、この分野に精通した環境監査士への求人は増えてきている。

  6. Professional Land Surveyor (PLS)
     測量専門士の資格であり、建設プロジェクトや所有地譲渡、数値地図(Digital Mapping)などに必要な地形データを測量分析する仕事である。現在この専門家は不足している。

  7. Certified Water Treatment Plant Operator(CWO)
     水処理・水浄化施設の管理認定資格で、ベビーブーム世代の大量退職によって現在不足している。すべての州ごとに独自の資格検定を行っている。

  8. Certified Information Systems Security Professional(CISSP)
     情報制度を国内外からのサイバーアタックから保護するセキュリティ資格である。

  9. Electrician Licenses
     州がそれぞれ独自で定める電気工事公認職業資格で、自家発電や配電機を管理する資格証明であるため、省エネ意識の高まりで増えることが予想される。

  10. Certified Internal Auditor and Public Accountant(CIA/CPA)
     米国の金融危機発生の大きな原因は企業会計の不正であったといわれており、企業内監査士や公認会計士の公正な役割がさらに期待されている。

  11. Professional in Human Resources and Certified Internal Recruiter(PHR/CIR)
     企業内人事管理や人材の採用に関する専門的な能力を持つ資格である。経済が回復すれば、人材の獲得に企業間競争が激しくなると予想される。

4.3 相互認証

 職業資格は州政府が定め、その職業資格で認められた職業は州内に限られることが一般的であるが、認定資格は垣根がなく全米で有効活用できる。例えば、コンピュータ関連の認定資格は世界で通用するため、人気が高い。
 IT業界には、世界中で広く認知されているCompTIA(コンプティア)がある。この団体は特定の企業や製品とは関わりなく、セキュリティ、ネットワーク、コンピュータ修理、サーバーなどのIT技術の認定資格を交付している。世界中で資格検定を行っていて、検定試験は筆記かオンラインを選択できる。事務所はオーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、インド、日本、南アフリカ、韓国、英国、米国にある。
 IT認定資格が世界中で通用することから、IT企業は仕事を米国からインドや中国などの他国に外注(Outsourcing)する動きになってきた。また、米国の大手IT企業のほとんどはIT技術教育プログラムを海外でも行ってきたので、外注を受ける企業が育ってきたといえる。しかし、この外注には多くの課題が出てきており、最近は伸びが減少してきている。
 IT認定資格がもたらした良い点は、米国人がIT技術を習得し、企業の海外拠点や外国企業で働く機会を提供したことにあるが、IT教育、検定試験がオンラインで行えるようになったため、外国人がこの技術を習得するようになった。このことは米国企業の海外事業の発展や外国人のIT技術者に多大な恩恵を与えている。最近の調査報告書では、企業のほとんどが外注に支障を感じている。調査に回答した企業の50%は、毎月多数の問題に直面している。別の調査では、海外にある外注先企業の25%は予想以上にコストが負担になっている。残り25%の企業は、米国内と比べて実際にコスト効率が悪くなってきていると回答している。また、外注先企業の30%は事業として失敗と判断しており、外注契約を打ち切るかもしくは再契約をしない方向であると回答している。
 主な問題の1つは、外注先地域の企業間のサービスの質にばらつきが出てきていることである。IT認定資格所持者は厳しい教育と試験に合格し、高い能力を持っているため、外注請負企業間での引き抜き合戦が激しくなっており、転職率が上昇している。海外の外注先ではIT認定資格者の価値が高いため、コストが掛かりすぎている。インドを例にすると、IT認定資格所持者の給与は急激に上昇している。また、優秀なインド人技術者やプログラマーたちは高給で仕事に就けることを充分知っている。つまり、海外のプログラマーの給与が上昇することは、米国企業からみると外注する魅力がなくなってきているということである。
 また、海外企業に外注することは、知的財産侵害やデータのセキュリティのリスクもある。このようなリスクは国際法で保護できないといわれている。世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization:WIPO)や世界貿易機構(World Trade Organization:WTO)でも知的財産所有権についての保護は検討されていない。2005年のブーズアレン報告書によれば、中国と南アメリカ諸国は最もリスクが高い国と位置付けられている。調査回答者のほんの5%だけが、これらの国での知的財産所有権に対するセキュリティは信頼できると述べている。一方、インドについては、回答者の30%がセキュリティは信頼できると、最も高い評価を与えている。
 アウトソーシングの問題を解決するために、米国企業は独自の外注モデルを作っている。デュポンやIBMはITの外注契約の枠組みを作成したり、また、カーネギーメロン大学のソフトウエアエンジニアリング研究所(Software Engineering Institute:SEI)は模範となる企業を認定している。海外での知的財産所有権の侵害やデータセキュリティの問題が解決するかどうかは時がたってみないと分からない。結論は、米国企業にとって海外への外注は自社のソフトウエアを拡販できる点が有益であるといえる。


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