「パソコンのスキルに自信がないけど、再就職のために何か始めたい」
「給付金をもらいながら無料で学べる職業訓練って、実際どうなんだろう?」
このように感じているあなたへ。
再就職を考えたとき、多くの求人で求められる基本的なパソコンスキル。
自己流でやってきたけれど、自信を持って「できます」とは言えない…という方は少なくありません。
この記事では、そんなパソコン初心者の方に向けて、国の支援制度である「職業訓練」を徹底解説します。
この記事を読めば、あなたに合ったコースの探し方から、給付金の条件、申し込み方法まで、再就職への具体的な道筋がわかります。
不安を解消し、自信を持って新たな一歩を踏み出すために、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
パソコン初心者に職業訓練がおすすめな3つの理由
職業訓練は、国が求職者のスキルアップと再就職を支援するための公的な制度です。
特にパソコンに不慣れな初心者の方にとって、安心してスキルを習得できる心強い味方となります。
おすすめする理由は、主に以下の3つの大きなメリットがあるからです。
メリット | 内容 |
---|---|
① 受講料が原則無料 | 国の支援制度のため、経済的な負担を最小限に抑えて専門的なスキルを学べます。※テキスト代は別途必要 |
② 給付金で生活を支援 | 訓練期間中の生活費の心配を軽減するための給付金制度が用意されています。(条件あり) |
③ 手厚い就職サポート | スキルを学ぶだけでなく、キャリア相談や面接対策など、就職活動まで一貫して支援してくれます。 |
これらの手厚いサポートがあるため、スキルアップに集中し、自信を持って再就職活動に臨むことができるのです。
パソコン初心者向け職業訓練のコース内容
「具体的にどんなことが学べるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
職業訓練のパソコンコースは、事務職などへの就職を想定した実践的な内容が中心です。
ここでは、代表的なコースのカリキュラムをご紹介します。
OA事務・パソコン基礎科
多くの初心者の方が最初に検討するのが、この「OA事務・パソコン基礎科」です。
訓練期間は3ヶ月から6ヶ月程度が一般的で、事務職で必須となるスキルを基礎から体系的に学びます。
全くの初心者でも、最終的には自信を持って実務に臨めるレベルを目指します。
分野 | 学習内容の例 |
---|---|
パソコン基本操作 | 電源の入れ方、マウス操作、キーボードの指の配置、タイピング練習(e-typingなど)、ファイルの作成・保存・整理 |
Word(文書作成) | お知らせや送付状などのビジネス文書作成、表の挿入、画像の貼り付け、見やすいレイアウト設定 |
Excel(表計算) | データ入力、SUM(合計)やAVERAGE(平均)などの基本関数、請求書の作成、見やすいグラフの作成、データ並べ替え |
PowerPoint(資料作成) | プレゼンテーション資料の作成、図やグラフの挿入、見やすいデザイン設定、アニメーション効果 |
ビジネスマナー | 電話応対、来客対応、ビジネスメールの書き方、名刺交換の基本 |
このように、自己流では断片的にしか知らなかった知識を、しっかりと基礎から固め直すことができます。
Web制作・デザイン
事務職だけでなく、少し専門的なスキルを身につけてキャリアの幅を広げたい方には、Web系のコースも選択肢になります。
初心者向けのコースでは、Webサイトがどのように作られているかの基礎から学びます。
事務職として働きながら、会社のホームページの簡単な更新作業などを任せてもらえるようになると、自身の市場価値も高まるでしょう。
分野 | 学習内容の例 |
---|---|
Webデザイン基礎 | Webサイトの仕組み、デザインの基本原則(配色、レイアウトなど) |
コーディング | HTML、CSSを使った簡単なWebページの作成 |
画像編集ソフト | PhotoshopやIllustratorを使った画像の加工、簡単なイラスト作成 |
「難しそう…」と感じるかもしれませんが、これらのコースも多くは初心者を対象としています。
興味がある方は、説明会などに参加して内容を確認してみるのがおすすめです。
職業訓練でもらえる給付金の種類・条件
職業訓練の最大の魅力の一つが、生活の心配をせずに学べる給付金制度です。
給付金は、あなたが「雇用保険(失業手当)をもらっているか、もらっていないか」で大きく2つに分かれます。
まずはご自身の状況がどちらに当てはまるか、下の表で確認してみましょう。
あなたの状況 | 対象となる制度 | 主な給付内容 |
---|---|---|
退職し、雇用保険(失業手当)を受給中の方 | 基本手当の延長 | 基本手当+受講手当+通所手当 |
上記以外の方(専業主婦、フリーター、雇用保険が終わった方など) | 求職者支援制度 | 職業訓練受講給付金(月10万円+通所手当) |
自分がどちらに当てはまるかによって、手続きや条件が異なります。
それぞれの詳細をしっかり確認していきましょう。
雇用保険を受給中の方向け「基本手当」
現在、ハローワークで失業手当(基本手当)を受け取っている方は、職業訓練を受けることで大きなメリットがあります。
通常、失業手当は所定の給付日数(90日など)が終わると支給も終了してしまいます。
しかし、訓練を受けている間は、訓練が終了する日まで給付日数が延長されるのです。
- 失業手当が訓練終了まで延長される
- 受講手当(日額500円)がプラスで支給される
- 通所手当(交通費)も支給される
これにより、経済的な不安を大きく減らしながら、安心してスキルアップに専念できます。
雇用保険の対象外の方向け「職業訓練受講給付金」
「失業手当はもらっていない」という方でも、諦める必要はありません。
一定の条件を満たせば、「求職者支援制度」を利用して月10万円の給付金を受けながら訓練に参加できます。
専業主婦だった方や、アルバイト・パートで雇用保険に加入していなかった方の多くが、この制度を利用しています。
ただし、給付金を受け取るには収入や資産などの要件を満たす必要があります。
給付要件 | 詳細 |
---|---|
本人収入 | 月8万円以下であること |
世帯全体の収入 | 月30万円以下であること |
世帯全体の金融資産 | 300万円以下であること |
出席率 | 全ての訓練実施日に出席していること(やむを得ない理由があっても8割以上の出席が必須) |
訓練への姿勢 | 積極的に求職活動を行っていること |
過去の受給歴 | 過去3年以内に不正受給をしていないこと |
これらの条件は厳格に審査されます。
ご自身が対象になるか、必ず最寄りのハローワークで詳細を確認してください。
受講前に知っておきたい職業訓練のメリット・デメリット
職業訓練は非常に魅力的な制度ですが、良い面ばかりではありません。
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておくことが大切です。
メリット
まずは、改めてメリットを確認しましょう。
スキルやお金の面だけでなく、生活面や精神面でのプラス効果も大きいのが特徴です。
分類 | メリットの具体例 |
---|---|
スキル・知識面 | – パソコンスキルやビジネスマナーを無料で基礎から体系的に学べる – MOSなどの関連資格の取得を目指せる |
経済面 | – 受講料が無料で、給付金を受けながら学べる(条件あり) – 交通費(通所手当)も支給される |
就職活動面 | – キャリアコンサルティングや求人紹介など、手厚い就職サポートを受けられる – 履歴書や職務経歴書の添削、面接練習もしてもらえる |
生活・精神面 | – 毎日通学することで、規則正しい生活リズムが戻る – 同じ目標を持つ仲間と出会え、孤独感が和らぎ、モチベーションを維持しやすい |
特に、一人で就職活動をしていると陥りがちな孤独感や不安を、仲間と共有しながら乗り越えられる点は、大きな支えになります。
デメリット
次に、注意すべきデメリットと、その対策について解説します。
事前に対策を知っておけば、多くの問題は回避できます。
デメリット | 内容と対策 |
---|---|
必ず受講できるわけではない | 人気のコースは定員があり、面接などの選考で落ちることもあります。 **【対策】**なぜこの訓練を受けたいのか、学んだことをどう活かしたいのか、志望動機を明確に伝えられるよう準備しましょう。 |
クラスのレベルが合わない可能性 | クラスには様々なレベルの人が混在するため、授業が簡単すぎたり、逆に難しすぎてついていけないと感じる場合があります。 **【対策】**事前に見学会に参加して、授業の雰囲気やテキストの内容を確認することが重要です。 |
就職が100%保証されるわけではない | 訓練はあくまでスキルアップの場です。本人の就職意欲や活動が最も重要になります。 **【対策】**受け身にならず、キャリア相談を積極的に利用し、自主的に企業研究や応募を進めましょう。 |
人間関係の悩み | 様々な年代や経歴の人が集まるため、クラス内での人間関係に悩む可能性もゼロではありません。 **【対策】**あくまで目的は「スキルアップと就職」と割り切り、特定の人と深く関わりすぎないなど、適度な距離感を保つことも大切です。 |
デメリットを正しく理解し、事前に対策を立てておくことで、より有意義な訓練期間を過ごすことができます。
申し込みから選考までの流れ
「受けてみたい」と思ったら、次は具体的な手続きに進みましょう。
申し込みは全てハローワークを通じて行います。
全体の流れを把握しておくと、スムーズに行動できます。
1. ハローワークで求職の申し込み・相談
まず、お住まいの地域を管轄するハローワークへ行き、「求職の申し込み」をします。
そして、職業訓練の相談窓口で「パソコンスキルを身につけて事務職に就きたい」といった希望を伝えます。
職員の方が、あなたに合ったコースを一緒に探してくれます。
2. 訓練校の見学会・説明会に参加
興味のあるコースが見つかったら、訓練を実施する学校の見学会や説明会に参加しましょう(多くは任意参加ですが、強く推奨します)。
実際に通う場所の雰囲気や、授業で使うテキスト、講師の教え方などを直接確認できる貴重な機会です。
この時に質問したいことをまとめておくと良いでしょう。
3. ハローワークで受講の申し込み
受講したいコースが決まったら、再度ハローワークで正式な申し込み手続きを行います。
申込書には志望動機などを記入する欄があるため、事前に内容を考えておきましょう。
この際、給付金の申請手続きについても案内があります。
4. 訓練校の選考(筆記・面接)
申し込み後、訓練校による選考が行われます。
選考方法はコースによって異なりますが、主に筆記試験と面接が一般的です。
筆記試験
中学レベルの国語(漢字の読み書き、文章読解)や数学(簡単な計算問題)が中心です。
特別な対策は不要な場合が多いですが、不安な方は市販の一般常識問題集などで復習しておくと安心です。
面接
筆記試験よりも面接が重視される傾向にあります。
スキルレベルよりも「なぜこの訓練を受けたいのか」「訓練を最後までやり遂げ、就職する意欲があるか」といった熱意が見られます。
ハキハキと、前向きな姿勢で臨むことが合格への鍵です。
職業訓練のリアルな評判・口コミ
制度の説明だけでは、実際の雰囲気はなかなかわかりにくいものです。
ここでは、実際にパソコン初心者向けの訓練を受けた方の、リアルな声をご紹介します。
評判・口コミ①
45歳の時に販売職から事務職への転職を目指して参加しました。パソコンは自己流で、Excelの関数なんて全く分からなかったのですが、授業は本当に基礎の基礎から。先生も丁寧に教えてくれるので、問題なくついていけました。何より、同じように頑張る同年代の仲間がいたことが心強かったです。無事に訓練後、希望の事務職に就けました。(40代・女性)
年齢やスキルへの不安を抱えている方にとって、同じような境遇の仲間がいることは大きな励みになります。
一人ではないという安心感が、学習意欲を高めてくれます。
評判・口コミ②
正直、覚えることが多くて授業についていくのは必死でした。毎日、家に帰ってから1時間は復習しないと追いつけなかったです。でも、その分だけ力がついたと実感しています。キャリアコンサルタントの方が親身に相談に乗ってくれて、自分の強みを活かせるような職務経歴書の書き方を指導してくれたおかげで、自信を持って面接に臨めました。(30代・女性)
楽してスキルが身につくわけではない、というのも正直なところです。
しかし、その努力が確実に自身の力となり、就職への自信につながっていきます。
専門家による就職サポートの価値も大きいようです。
パソコン初心者の職業訓練に関してよくある質問
最後に、パソコン初心者の方が職業訓練を検討する際によく抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. パソコンを全く触ったことがなくても大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。
初心者向けコースの多くは、パソコンの電源の入れ方やマウスの操作方法といった、初歩の初歩から教えてくれます。
「パソコンが苦手」という意識を持っている方こそ、基礎から体系的に学べる職業訓練はおすすめです。
Q. 自分の住んでいる地域のコースはどうやって探せますか?
A. ハローワークの公式サイト「ハローワークインターネットサービス」で全国の訓練コースを検索できます。
トップページの「職業訓練検索」から、お住まいの都道府県や「パソコン基礎」「事務」といったキーワードで絞り込むと、開催予定のコース一覧を確認できます。
また、「東京都 職業訓練」のように検索すると、各自治体の情報サイトも見つかります。
パソコン初心者の職業訓練についてまとめ
この記事では、パソコンスキルに自信のない初心者の方へ向けて、職業訓練制度を詳しく解説してきました。
- 職業訓練は、無料でパソコンスキルを学び、給付金で生活支援を受けながら就職を目指せる公的制度
- 初心者向けコースでは、PCの基本操作からWord・Excelまで、事務職に必要なスキルを体系的に学べる
- メリットだけでなく、選考や人間関係といったデメリットも理解し、対策を立てることが重要
- 申し込みや相談は、全てハローワークが窓口。まずは相談に行くことから始めましょう
スキルがないのは、今のあなたです。
未来のあなたは、職業訓練を通じて自信とスキルを身につけ、新しいキャリアを歩んでいるかもしれません。
まずは「話を聞いてみるだけ」でも大丈夫です。
最寄りのハローワークに足を運ぶ、その小さな一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけになるはずです。